丸山隆展

  • 2017.10.12 Thursday
  • 05:58
宮の森にある本郷新記念札幌彫刻美術館で、7日から「記憶素子 丸山隆と教え子たち」の展示が始まりました。これは行かなくてはなりません。
  丸山隆展

彫刻美術館によく行っていたので、道内作家の作品はよく見ていたけれど、丸山さんの作品が一番好きでした。やさしさと力強さを併せ持つと言えばいいのか、強く惹かれるものを感じていたのです。まだコンサルに転じて間もないころの1990年に、あいの里駅前に大規模マンションの計画が始まり、その外構計画をやることになりました。そのエントランスのシンボルにはやっぱり彫刻を置きたいと、施主であるN不動産に強く働きかけ、設置できたのが『残留応力』という作品です。(スライドが探せないので、こちらからご覧下さい。)

その打合せで何度もあいの里の教育大に通い、研究室でいろんなお話を伺いました。出身が信州安曇野で、なんと碌山美術館の近所だったとか。そういう環境から芸術的な感覚が磨かれていったのでしょうか。この写真の通り、本当に優しいまなざしですが、いつもキラッと光る視線を感じる方でした。
丸山さん

その後、1994年に恵庭市の仕事で、島松の交差点を挟んだ二つの広場の設計をやることになり、現場に何度も通って考え込んだのですが、やっぱりこれは彫刻の出番だと丸山さんに相談に行きました。あんまり高い費用はかけられなかったけれど、それぞれの広場にベンチとしても使えるどっしりとした作品を置くことができました。
おはよう広場

この広場は地元の方から「おはよう広場」と名付けられ、ラジオ体操を始めいろんな活動の場所として大切に使われているそうです。
作品

私は関係しておりませんが、大通高校に植えられているハルニレ第1号のすぐ近くにも、丸山さんの作品『記憶素子「丘」・「森」』が置かれています。
記憶素子

彫刻美術館は、もともと本郷さんのアトリエをベースに作られた施設なので、道路をはさんで記念館と美術館があります。駐車場は狭いけれど、バス停から歩いてもそれほどでもなく、裏山にも散策路が整備されていますので、紅葉見物がてら、ぜひお出かけください。

鎌田芳治展

  • 2017.08.09 Wednesday
  • 06:01
めずらしく個展の案内を。個展をやるのは、私の植木屋時代の先輩です。
私たちの親方は、岩城亘太郎(せんたろう)や斉藤勝雄など日本を代表する作庭師たちのところで修行した方なので、図面にはものすごく厳しい人でした。当時働いていた若者たちは、みんな造園とは無縁のところから入って来た人たちだったので、なまじ学校で造園をかじっていた私には、結構風当たりが強かった… それでも歯を食いしばって現場仕事や図面書きを覚えたものでしたが、それまで図面書きを一手に引き受けていた鎌田さんにはとてもかないませんでした。とにかく根気が強く、面倒な芝点々を実に丁寧に書いていくのです。(芝のマークは、鉛筆を立てて、あんまり力を入れないで無数の点々を書いていくので一番嫌でした…) そうやって図面を書いていくので、仕上がりが抜群にきれいなのです。

私は35歳で植木屋から転職してしまいましたが、鎌田さんも確か60歳前くらいで会社を辞められ、家で何かをこつこつやっているという話は聞いていました。そうして最初の個展の案内が来てびっくり。エンピツ画という、全く独自の表現を切り開いていたのです。これは2回目の個展の案内だったかな。たった1本の鉛筆で、ここまで精緻な表現ができるものかと感心させられました。
2013年個展

今回は札幌での3回目の個展。案内はがきはさらに複雑な絵になっており、これがはたしてどんなサイズで描かれているのか、ちょっとわくわくしてしまいます。模写となっている通り、元になる写真をその通り描いていく訳ですが、なんだ模写するだけか〜なんてとても言えない仕上がり。写真以上に陰影が深くなるので、より実物に近く感じてしまいます。
鎌田展1

15日から20日までの六日間やっています。町中に行く機会があれば是非覗いて見て下さい。絶対に損はしないですから。
鎌田展2

ミュシャ展

  • 2017.05.22 Monday
  • 05:50
せっかく東京に出てきたので、これだけは見ておきたかったのが『アルフォンス・ミュシャ展』。パリ時代のポスターなどは,以前函館美術館で見ていたけれど、「スラブ叙事詩」がメインのこの展示はどうしても見ておきたかったのです。
場所は六本木の国立新美術館。開館が10時なので、それまで東京ミッドタウンと六本木ヒルズを見て歩き、かなりくたびれた頃に美術館に向かいました。六本木ヒルズからは青山墓地脇のトンネルをくぐり、坂の下からのろのろと上がって行かなければなりません。すると途中の木々に怪しい水玉模様が。なんと草間彌生展と同時開催だったのです。
アプローチ

まだ開館15分前だというのに、既に館の中にも、外にある券売所にも長い行列が。それでも早く行ったおかげで5分ほどで券が買え、入館して並んでいると、外には草間展とミュシャ展のそれぞれ別の列がどんどん長く伸びており、館の職員も既に声を涸らして誘導に当たっていました。なにせ30℃にもなる予報なので、炎天下の行列は大変です。行列の看板を見ていると、私たちの頃の30分待ちが、40分50分とどんどん伸びていくのです。
行列

館内でものろのろと牛歩戦術のような行進が続き、ようやく2階に上がったと思ったら、超長い廊下の端から端まで到達するのに、40分くらいかかりました。私が並び始めてから、ちょうど一時間で展示室まで到達できましたが、昼からだと何時間かかることやら…
中の行列

展示室の中も、キャンバスがあまりに巨大なため、うまく動線が取れなかったのでしょう。どこから次の展示に行けるのかがよく分からないので、満員電車の中を移動しているようなもの。なかなか落ち着いて見ることができませんでしたが、ある程度予習をしていたこともあり、なんとか20枚ほどの巨大な作品を鑑賞することができました。
内部

最後の展示室は写真撮影がフリーになっていたので、みんなバシャバシャとカメラの放列に。珍しい対処だと思います。でもこの存在感は、写真や印刷物ではとても伝わらないでしょう。もう二度と見ることができないであろうこれらの作品を、しっかりと目と心に焼き付けておきました。
スラブ叙事詩

出口で図録を買うのにもまた大行列になっており、ほうほうの体で展示室から転げ出し、再び館内を見てまたびっくり。どこが先頭なんだか分からない二つの大行列が、館の内外にとぐろを巻いておりました。一体何時間待ちになっているのでしょうか?
大行列

帰りに直結している乃木坂駅から出ようとしたら、そのすぐ脇に屋外展示が一つ。先日新聞に出ていた草間さんのカボチャのオブジェです。シンプルだけど力強い作品です。
カボチャ

草間展は今日まで、ミュシャ展も来週月曜までなので、今度の土日も大混雑になるのでしょう。回りの声を聞いていると関西からやってきたおばちゃんや、どこか地方の方もおりました。こうやって東京の吸引力はますます強くなり、人も情報もなんでも飲み込んでいくのでしょうね。

はなのすきなうし

  • 2017.01.29 Sunday
  • 05:47
家に帰ったときにテレビをちらっと見ると、本屋さんの話題の中に懐かしい絵本がありました。「はなのすきなうし」という本です。探してみると子供たちに買った絵本や図鑑の中にありました。発行年からすると、これは結婚する前にかみさんが買ったもののようです。
   表紙
(「はなのすきなうし」 マンロー・リーフ、ロバート・ローソン著、岩波書店、1976 より)

久しぶりに読んでみると、こんなに小さな本だったかな?とまず思ってしまいました。この時には定価が320円でしたが、今でも640円で売られているのですから驚きです。岩波書店が出していたのですね。
はなのすきなうし11

これを初めて読んだときに、真っ先に自分の子供時代のことを思い出してしまいました。放課後も誰とも遊ばず、いつも一人でいろんな道をたどりながら、家に帰っていました。小学校は地区の真ん中の田んぼの中にあり、ちょっと遠回りするとため池や川の土手で、いろんな植物を見て歩きながら帰ることができるのです。
はなのすきなうし12

今にして思えば、相当変わっていた子供だったのかもしれません。運動系がからきし苦手だったこともあり、男子と遊ぶことはほとんどありませんでした。休み時間にいつも女子と一緒にいたので、よくいじめられたなぁ。植物というか、自然と付き合うことの楽しみがなかったら、完全に引きこもりになっていたのもしれません。
はなのすきなうし13
 (それにしてもコルクガシの木に、コルク栓の実がなっている絵は困るなぁ…(^^;))

兄弟三人の中で、私だけがそんな風に育っていったけれど、母も祖母もなんにも言わずにそのまま見ていてくれたことには感謝しています。なので、この本を初めて読んだときに、まるで自分のことが描かれているかと思ってしまいました。子供の時にこれを読んでいれば、また違う気持ちになっていたのかもしれませんが、こういう本との出合いはとても大切です。これらの絵本は、ちゃんと孫たちに引き継いでいかなくては、絶対にタブレットでは見せたくありませんから。
はなのすきなうし14

猫の肖像

  • 2017.01.26 Thursday
  • 05:55
お年玉切手などが入った整理箱をひっくり返していたら、思わぬものが出てきました。1996年に発行された「ふみの日」の葉書と切手です。元の絵はもちろん山城隆一さん。こんなものがあったなんて、すっかり忘れていました。切手も11枚残っています。
  ふみの日

山城隆一さんの『猫の肖像』は、私が最も大切にしている本で、うちにいる生の「こまめ」よりかわいがっているかもしれません…(笑) この本が出てしばらくして、パルコの上にあったパルコブックセンターで、この絵はがきが売られているのにびっくりして、あったものすべて買い求めていました。もちろんもったいなくて使っておりませんが。
はがき
 (パルコ発行の絵葉書  1986)

『猫の肖像』の中身は、本当に全部紹介したいくらいかわいい猫ばかり出てきます。最後に載っているこの絵皿は、一番弟子Y氏の、結婚式の引き出物に描いた絵皿だそう。なんと200枚も、伊豆の窯元のところに缶詰になって描いたとあります。「センセの腕なら3日もあれば200枚くらいアッという間にできますよ」と、これをそそのかしたのが、かつての部下だった長友啓典氏だったとありました。ビズのアートディレクションをずっとやっていた長友さんです。絵付けの絵の具はザラザラしてとても大変だったとありますが、その出来映えは本当に素晴らしい。
  絵皿0
 (『猫の肖像』  山城隆一著、求龍堂刊、1984 より)

変な干支の切手作るより、毎年この猫の切手にしてくれた方がはるかに面白いのになぁ… ネコ年のない恨みは深いです〜(^^;)
絵皿2
 (『猫の肖像』  山城隆一著、求龍堂刊、1984 より)

鳥瞰図の魅力

  • 2017.01.16 Monday
  • 05:57
先週チ・カ・ホで、鳥瞰図のフェアをやっているというので、あわてて行ってきました。これらの鳥瞰図は、大正から昭和にかけて約三千点もの鳥瞰図を遺している吉田初三郎のものです。札幌グランドホテルのロビーに、これを拡大した大きなパネルがあり、いつも見飽きないで眺めていました。(写真が見つからなくて残念…)
鳥瞰図
 (フェアを企画した総合技研のパンフレットより)

これを見てビックリしたのは、道内の主要都市くらいしか作られていなかったのかと思いきや、ほとんどの市町村や国立公園、道立自然公園など、200点近くもあったのでした。でも印刷の精度が低く、とても細部まで読めません。折り込み地図仕立てになっていた札幌、函館、旭川、小樽の4都市にしても、函館と旭川はかなり画質が粗く、文字が読めないので断念し、精度のよかった札幌と小樽だけ手に入れてきました。
札幌・小樽

鳥瞰図は醍醐味は、限られた空間にぎっしり情報を詰め込むため、真ん中あたりはいいけれど、両端になるとものすごくゆがんで、よくもこんなにデフォルメできるものだと思うくらいの形になるところ。でもちゃんと分かるところが面白いのです。札幌の右の方にはすぐに小樽があり、その先に気渡島半島が伸びて函館があり、なんと青森まで描き込まれて笑ってしまいます。
札幌部分

札幌は格子状の街区だから全然面白味がないのに対して、小樽は港を囲むように町が広がっているので、とても鳥瞰図に向いています。これは昭和6年製作となっているので、小樽が最も隆盛を極めていた頃の絵図になるでしょう。手宮の高架桟橋から盛んに石炭を積み込んでいたことがよく分かります。運河の沖にたくさんの船が浮かんでおり、当時ははしけに積んで陸揚げしていたものでしょう。
小樽手宮

水天宮や小樽公園、住吉神社など、小樽の町は地形に変化が多く、ブラタモリでもこのあたりを歩き回って昔の痕跡を探していたわけです。左上の松が枝町には遊郭があり、市街地から隔離されたところに作られていた様子がよく分かりますが、こんな所にまで出かけていたのにはびっくりさせられます。今では普通の住宅地になっていますが、この手前には洗心橋というのが残っていて、当時を偲ぶよすがなんだそうです。
小樽山の手

吉田初三郎(1884〜1955)は京都に生まれ、
友禅染の図案工を経て商業美術に転じ、鉄道沿線の名所図や観光案内を手がけて有名になっていったそうです。その絵心も素晴らしいのですが、ちょっとひねった遊び心がそこかしこに感じられて面白いのです。デジタル時代には絶対に描けない絵だけに、道内各地の作品については、もっとしっかりとした公開が待たれるところです。
  あとがき

カイ

  • 2016.12.17 Saturday
  • 05:48
『カイ』という雑誌がありました。2008(H20)年秋に創刊され、今年の春まで季刊誌として発行され、30号まで出ていたのです。「カイ」とは、アイヌ語で「この地に生まれし者」。松浦武四郎がアイヌの古老から教わった言葉で、のちに開拓判官として、蝦夷地に代わる名前の候補の選定を行ったときに、「北加伊道」として提案した名前でもありました。
  カイ01

知り合いが何人もエッセーを書いていたこともありますが、テーマ選びがなかなか素晴らしかったのです。この号なんか、私の大切な本の一つになりました。ライターもセンスのいい方を使っているので、とにかく面白く、目からうろこが落ちっぱなしになるほどでした。
  カイ08

この号なんて、思わずなんじゃこれは!と、叫びそうに。誰がこんな企画を作ったのかと思ったら、主なライターは元花新聞編集長の○藤さんだったのです。その他にも素晴らしい特集が満載で、これも手放せない本になりました。
  カイ11

楽園周遊では、真鍋さん、紫竹さん、そして武市さんなどなど。これをすべて掲載したいくらいです。
陽殖園

そんな思い出話をしようとしたのではなく、この『カイ』が、この春からWEBマガジンに模様替えして公開されました。残念ながら、バックナンバーは公開されておりませんが、内容は以前と同じく、じっくりと北海道の魅力を掘り下げてる、とてもいい企画が満載です。紙ベースからWEBに移行するというのは、私のような人間にはとても寂しいのですが、こうやって出し続けてくれることに感謝したいです。

運営は主にまちづくりのコンサルタント「ノーザンクロス」。いろんなところでお世話になっている、渋くていい会社です。ぜひごひいきに読んでみて下さい。(メルマガに登録しておくと、新しい記事が掲載されるたびに知らせてくれます。)

北海道主要樹木圖譜

  • 2016.12.06 Tuesday
  • 05:48
須藤忠助氏を甦らせたので、最高傑作である『北海道主要樹木圖譜』も紹介しておかなければなりません。これは、1913(T2)年に北海道庁が主要樹木の選定及び図譜の作成を宮部金吾博士に委嘱し、宮部の片腕であった工藤祐舜助教授と、道庁技手の須崎忠助のコンビで、86枚の図譜が描き上げられています。これらは1920(T9)年から1931(S6)年まで、28回に分かれて発行されましたが、当時最高の「写真彫刻石版術」をもって刷り上げられ、我が国はもちろんのこと、海外でも高く評価されるものとなったのです。

私もその現物を若い頃に一度見たことがありますが、ものすごく感激をする出来映えでした。それが、1986(S61)年に、北大植物園開園百周年記念事業として覆刻されたのです。原画は関東大震災で烏有に帰したため、残されているものの一番いい状態のものから版を起こし、特注の紙に印刷されたものです。その時はまだ植木屋時代の貧乏暮らしでしたから、54,000円の復刻版はさすがに買うことができず、4,800円の普及版で我慢することに。その普及版でも、私の宝物の一つになっています。
圖譜表紙

1枚の紙の中に、枝葉から花、果実まで実に細密に描かれており、特に分類上の決め手になる花器については、かなり詳細なところまで描かれています。そして何よりもこの構図が素晴らしい。1枚の中にすべて詰め込むのですが、そのバランスがピタリと収まっているのです。パソコン内でペタペタ貼り付けていくのとは訳が違いますから。
トドマツ

この会社を作って間もないころ、印刷所に残っていた復刻版の図版の余りを、北大生協が放出するという話が入って来ました。その日にはちょうど行くことができず、当時在学していた娘に行ってもらい、10枚ほどの図版を手に入れることが出来ました。B4版ほどの図版は、フレームに入れて一度滝野公園で展示したことがありましたが、これも私の宝物の一つです〜
ヤチダモ

須崎忠助氏のもう一つの作品が、『北海道薬用植物圖彙(ずい)』です。これは工藤祐舜との共著の形ですが、須崎の書いた序によると、樹木図譜の作成のため、新鮮な材料を求めて山間僻地に宿泊している時に、「疫害虫に襲われること数次、急に医薬を求めんとするも能わず、里人俗用の草根木皮に救われたり。」当時の医療体制が僻地では全く不備であったため、何かよい図書はないかと探したけれどなかったので、自分で描くことにしたのです。ちょうど工藤が道庁の依頼で道内の薬草の調査をしていたため、それらを合わせて図書にまとめ、樹木図譜よりも早く出版されています。(これも復刻版が出版されています。)
薬用植物圖彙

こちらは口絵にヌルデ、カタクリ、ウスアカリンドウ(ユウパリリンドウ)の3枚だけがカラーで、あとはモノクロの線画となっています。多分出版を急いだこともあったのでしょうが、シンプルだけど、素人でも簡単に見分けやすいように描かれており、アイヌ名やその用途なども整理されているので、とても役に立った本ではないでしょうか。
スズラン

大雪山植物其他

  • 2016.12.05 Monday
  • 05:54
金曜日の夜中、ようやく家にたどり着いた机の上に、レターパックが届いてました。さっそく開けてみると、一冊の本が。実は以前本屋で見つけて、いずれ買わなくちゃいけないなぁ…と思っていた本だっのでちょっとびっくり。著者の一人から贈っていただいたのでした。書名は『須崎忠助植物画集 [大雪山植物其他]』というものです。
表紙

昨年の春、永らく行方不明だった植物画の原画が見つかり、苫小牧の演習林で展示されるという記事を見つけました。でも公開されたのはたったの二日。これではとても行くことができません。すっかり忘れていたところ、これが画集としてまとめられたのを見つけたのでした。
新聞記事
  (※ 朝日新聞道内版 2015.4.22 朝刊より)

須崎忠助は、明治から大正にかけて北海道庁技手として勤務し、その間に宮部金吾・工藤祐舜両博士のもとで、わが国最高の植物画集といわれる『北海道主要樹木圖譜』の植物画を一人で描き上げた人です。人となりはほとんど伝わっておらず、『樹木圖譜』普及版出版に際して、その解説を書いた辻井先生によって、いくらか関係者から聞き取られたのみのようです。なので、どこでこのような素晴らしい絵が描けるように勉強したものか、肝心の情報はほとんど見当たりません。
  ミネズオウ
  (大変不粋ですが、絵の性質上斜線を付けさせていただきました…m(__)m)

でも樹木圖譜では、工藤博士による極めて厳しいチェックのもとに描かれており、正確極まりないのはもちろんですが、かなり印象としては堅い植物画であるのに対し、この高山植物の絵図は、肩の力が抜けているというか、実に生き生きとした筆致で描かれています。これらの植物画は、出版を目的として描かれたものかも全く分からず、原画がいったん北大に納められながらも、外部に流出した経緯も全く不明です。
  ミヤマキンバイ

絵に添えられているメモから、すでに道庁を退職した後で描かれていることは間違いなく、舘脇操博士による注意書きも散見されることから、何らかの依頼で短期間に描かれたもののようです。里に下ろされているものを描いたものと、実際に大雪などの山に登ってスケッチしたものとがあるようで、回りの石や岩まで描かれているものがいくつもあります。とにかく、楽しみながら描いたことだけは間違いない、これらの絵図がまとめられたのは大変幸運なことです。本屋で見かけたら、ぜひご覧になっていただきたいと思います。

アルフォンス・ミュシャ

  • 2016.11.25 Friday
  • 05:10
事務所の玄関は暗くて殺風景なので、ドライフラワーと植物のいろんなポスターを飾っていましたが、今年の春からはアルフォンス・ミュシャの額絵に変わりました。朝日新聞の読者サービスでは、これまでいろんな額絵がありましたが、浮世絵のようにそれほどいいもではなかったのに、昨年からなんとミュシャの額絵シリーズが始まったのです。
玄関
昨年は「美しきアールヌーボーの世界」シリーズが2枚ずつ12回、今年も「スラブの誇りと祖国への思い」シリーズが続いています。額絵はもちろんただですが、専用ファイルと額縁は有料ながらこれはとてもお得で、玄関にさっそく飾りました。

アールヌーボーには昔から興味があったので、ミュシャのことは当然ながら好きな作家でした。ここまで精緻に、植物をデザイン化している作家はなかったからです。大規模な展覧会は、1989年4月から1992年6月まで、なんと丸3年かけて全国24箇所で連続して行われました。札幌展は89年6月に行われていますが、ちょうど転職して間もなく、翌年の花博の準備でてんてこ舞いしていたため行くことができず、92年4月の函館展をようやく見ることができました。ちょうど仕事で出張する機会があり、かなり駆け足ながら五稜郭の美術館で感激の対面を果たし、厚さ2cmもある超重たい図録を買うこともできたのです。
92ミュシャ展

今回の頒布では、主だった代表作が網羅されているし、印刷の質もよくなっているので、図録に比べればその差は歴然としています。出世作である「ジスモンダ」も、色違いの作品かと思うくらいでした。女優であるサラ・ベルナールの、戯曲ジスモンダのために描かれたポスターですが、その出来映えを気に入られてサラの専属になった作品です。そりゃ本人よりも美人に描かれていたでしょうからねぇ…(^^;)

ジスモンダ

ミュシャの作品はほとんどリトグラフなので、完成するまでにかなりの下絵が作られています。図録の方にはそれが併記されているので、制作過程が分かって面白いのです。これだけの植物をデザインに取り込んでいるのですから、日常的にかなりのデッサンを続けてきたのではないでしょうか。この花はなんだろうな?とあれこれ考えて見るだけでも時間は尽きません。

夢想

実は先日から風邪を引き込み、頭が二日ほどもうろうとして仕事もなかなか進みませんでした。気分転換にずいぶん役に立ってくれ、ようやく頭もすっきりと。そうかこの風邪は、土曜日に内倉さんからバトンタッチされたものだったのですねぇ…(>_<)

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