イヌノフグリ各種
- 2013.06.17 Monday
- 07:09
久しぶりの雨を受けて、木々の緑が滴るように潤って見えました。この雨は本当にありがたかったです。
新得町の狩勝園地では、草地の中に様々な植物が見られたのですが、やたら目立っていたのがコテングクワガタ(Veronica serpyllifolia)でした。在来のテングクワガタに似て、一回り小さいところからこの名が。
もともとヨーロッパ原産の多年生草本で、原産地では青花だそうですが、道内に見られるのはほとんど白花に近いものです。道内には戦前に入ってきたといわれ、80年頃に初めて報告されています。やや湿った場所を好み、水田の畔のカバーに使われたこともあるとか。そのような環境ではよく広がってしまうようで、園地でも一面に花を咲かせていました。
これによく似て、草丈がとても低く、地面を這う多年生のVeronica(ウェロニカ)属に、(仮)ハイクワガタ(V.repens)があり、よく間違えられます。(全農教の帰化植物写真図鑑ですら、写真が間違えられていたほどです。)私も参加している帰化植物MLでも、数年前に議論になったのですが、この二種は全く異なっており、特に道内各地に広がっています。グラウンドカバープランツとして利用可能だし、鉢物としても売られていることがあります。
(北大の圃場には学生時代から生えていました。 2013.5.25)
このVeronica(ウェロニカ)属の植物には、たくさんの園芸植物がありますが、帰化植物としてもいろいろ入ってきています。春先に真っ青な花を咲かせるオオイヌノフグリ(V.persica)や、最近畑地雑草として増えてきているタチイヌノフグリ(V.arvensis)などがあります。もう一つ、不思議な存在のVeronicaに、アレチイヌノフグリ(V.opaca)があります。
(円山墓地に細々と生きているアレチイヌノフグリ 2005.6.1)
これは、植物研究家の原松次先生が、円山墓地で発見したものを東京に送って同定され、1987年に報告・命名された珍しいものです。その後ほとんど報告されていないことから、以前私の大先輩のWさんと円山墓地で捜索したことがありました。何度足を運んでも、なかなか見つけられなかったのですが、ある日曜の午後に携帯に電話があり、とうとう見つけたよ〜。早速行ってみると、確かにオオイヌノフグリとは異なり、花も一回り小さくて、茎にたくさん毛が生えていました。
(左から、オオイヌノフグリ、アレチイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、コテングクワガタ)
しかし、なんでこの場所にだけ生えているのでしょうか?ふとその場所で顔を上げると、レーン先生ご夫妻の墓が。レーン先生は、戦前に北大予科の英語教師として来日され、戦争中はスパイ容疑で特高に痛めつけられて送還されたにもかかわらず、戦後も来日されて、長くご夫婦で教鞭を執られました。その御家族が墓参りの折に、故郷から花を持ってきて植えたものにくっついてきたのかな?なんて勝手に想像してしまいましたが、本当にその墓の周りにしか生育していないのです。帰化植物にも、こんなつつましい生活を送っているものがあるのです。
新得町の狩勝園地では、草地の中に様々な植物が見られたのですが、やたら目立っていたのがコテングクワガタ(Veronica serpyllifolia)でした。在来のテングクワガタに似て、一回り小さいところからこの名が。
もともとヨーロッパ原産の多年生草本で、原産地では青花だそうですが、道内に見られるのはほとんど白花に近いものです。道内には戦前に入ってきたといわれ、80年頃に初めて報告されています。やや湿った場所を好み、水田の畔のカバーに使われたこともあるとか。そのような環境ではよく広がってしまうようで、園地でも一面に花を咲かせていました。
これによく似て、草丈がとても低く、地面を這う多年生のVeronica(ウェロニカ)属に、(仮)ハイクワガタ(V.repens)があり、よく間違えられます。(全農教の帰化植物写真図鑑ですら、写真が間違えられていたほどです。)私も参加している帰化植物MLでも、数年前に議論になったのですが、この二種は全く異なっており、特に道内各地に広がっています。グラウンドカバープランツとして利用可能だし、鉢物としても売られていることがあります。
(北大の圃場には学生時代から生えていました。 2013.5.25)
このVeronica(ウェロニカ)属の植物には、たくさんの園芸植物がありますが、帰化植物としてもいろいろ入ってきています。春先に真っ青な花を咲かせるオオイヌノフグリ(V.persica)や、最近畑地雑草として増えてきているタチイヌノフグリ(V.arvensis)などがあります。もう一つ、不思議な存在のVeronicaに、アレチイヌノフグリ(V.opaca)があります。
(円山墓地に細々と生きているアレチイヌノフグリ 2005.6.1)
これは、植物研究家の原松次先生が、円山墓地で発見したものを東京に送って同定され、1987年に報告・命名された珍しいものです。その後ほとんど報告されていないことから、以前私の大先輩のWさんと円山墓地で捜索したことがありました。何度足を運んでも、なかなか見つけられなかったのですが、ある日曜の午後に携帯に電話があり、とうとう見つけたよ〜。早速行ってみると、確かにオオイヌノフグリとは異なり、花も一回り小さくて、茎にたくさん毛が生えていました。
(左から、オオイヌノフグリ、アレチイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、コテングクワガタ)
しかし、なんでこの場所にだけ生えているのでしょうか?ふとその場所で顔を上げると、レーン先生ご夫妻の墓が。レーン先生は、戦前に北大予科の英語教師として来日され、戦争中はスパイ容疑で特高に痛めつけられて送還されたにもかかわらず、戦後も来日されて、長くご夫婦で教鞭を執られました。その御家族が墓参りの折に、故郷から花を持ってきて植えたものにくっついてきたのかな?なんて勝手に想像してしまいましたが、本当にその墓の周りにしか生育していないのです。帰化植物にも、こんなつつましい生活を送っているものがあるのです。