菊あれこれ

  • 2018.11.20 Tuesday
  • 05:58
先日の府立植物園では、菊花展が最終日の前日で、全種類の菊を見ることができました。菊花展はあちこちでやっているけれど、多彩な中菊をこれだけ集めることは出来ないので、備忘録的に紹介しておきます。(なお説明は、園の掲示物などを参考にさせてもらいました。)

秋菊には、大菊、中菊、小菊の三つに分けられ、花の直径が六寸(18cm)以上のものを大菊とします。最も豪華なのは、手前にある「厚物」で、よくもまぁこんな大きな花を育ててくるものだなぁ…と感心させられます。奥の方に見える花弁が細いのを「管物」といい、管の太さにいろいろ違いがあります。このほか、花弁が一重で平たくなり、垂れ下がらないように紙で支える「広物」がありますが、写真を撮していなかった…(>_<)
大菊

大菊を、鉢を入れて60cm以内に仕立てる作り方を「福助作り」といい、場所を取らないので、最近の人気なんだとか。ホルモン剤を使って矮性にすることから、近年の仕立て方でもあります。かわいいといえばかわいいけれど、ちょっと違和感も残ります。
福助作り

頭花の花径が三寸から六寸(9〜18cm)のものを中菊といい、古くから各地で独特の進化を遂げています。最も古い系統は、京都の嵯峨菊で、南北朝の頃の嵯峨御所あたりで作られ始めたと言い伝えられており、正門脇に嵯峨御所のあった大覚寺による特別展示がされていました。正式な作り方は、鉢に3本の苗を仕立て、一番高いものは2mもの高さにして、殿上から眺められるようにします。高さを三段にして、上段には三花、中段には五花、下段には七花を咲かせるのが正式な作りなんだそうです。
嵯峨菊

江戸で栽培されていた江戸菊は、花弁が無秩序に伸びていく「狂い性」のため、開花してから花容がどんどん変化します。これを「芸」といい、この様子を楽しむのがポイントとなっています。
江戸菊

肥後の熊本藩では、藩士による花の栽培が盛んで、椿、芍薬、花菖蒲、朝顔、菊、山茶花を特に「肥後六花」と称していました。これらはみな一重の清楚な花であるのが特徴となっています。飾り方にも決まりがあり、三間花壇と呼ばれる配置法により、鉢が置かれていました。
肥後菊

伊勢菊は、伊勢松坂地方で発達した品種群で、嵯峨菊の変種といわれています。伊勢撫子、伊勢花菖蒲と共に、伊勢三珍花と呼ばれ、花弁が細くねじれながら垂れ下がるのが特徴で、座敷から花を眺めて楽しむために、このような花になったといわれています。
伊勢菊

丁字菊は、主に関西地方で栽培され、花の中心に筒状花が集まって盛り上がるのが特徴です。江戸時代には盛んに作られたものの、近年ではすたれ気味だけど、ヨーロッパに渡ったものからアネモネ咲きなどに発展し、切り花の世界ではたくさん作られているのだそうです。
丁字菊

頭花が三寸(9cm)以下のものを小菊とし、いろいろな作り方で楽しみます。菊花展では最も豪華な作りである「懸崖作り」は、摘芯を繰り返して伸びてくる枝を、竹の支柱に誘引してこの形にしていきます。大きなものから小さなものまで、本当に大変な手間をかけて作って行くものだと感心させられます。
懸崖作り

盆栽仕立ては、樹木の盆栽と全く同じ雰囲気に仕立てていく方法で、盆栽同様に直幹、斜幹、双幹、懸崖、寄せ植えなどの樹形に、針金を使って仕立てていきます。花はあまり咲かせないように、摘み取ってしまうのだそうです。
盆栽仕立て

小菊の仕立て方の自在さを使い、菊人形が人気ですが、近年では菊のトピアリーがよく作られます。先日挙げた「ネコバス」までいくと大変な手間がかかりますが、この程度のトピアリーだと、わりと簡単そう。
トピアリー

札幌ではかつてオーロラタウンで、現在はチ・カ・ホで展示されているけれど、雑踏の中でキクを見てもなぁ…といささか興ざめです。今回久しぶりによしず張りの展示コーナーで、たっぷり楽しませてもらいました。
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