APG分類体系(1)
- 2018.06.29 Friday
- 05:54
一般の世界ではあまり関係ないけれど、植物に関係する人間にとっては大問題になっているのが、分類体系が大きく変わってしまったことです。リンネが確立した植物の分類体系は、主に花の形態から類縁関係を組み立てていき、私が習った頃は新エングラー体系と呼ばれるものでした。その後80年代にクロンキスト体系が出現し、あれこれ科名が変わってきて、おやおや…と。アジサイ類がユキノシタ科からアジサイ科に、ホップがクワ科からアサ科にとか、身近なものでも結構変化がありました。ところが、20世紀の終わり頃に発表されたAPG分類体系になると、これまでの常識がどんでん返しになってしまうほど、大きく変わってしまったのです。
APG体系とは、被子植物系統グループ (Angiosperm Phylogeny Group) という学者の団体が提唱したもので、ゲノム(遺伝情報全体)を植物ごとに調べていき、それによって類縁関係を規定していくものです。顔が似ていると言うだけで、お前たちは兄弟だ!とされていたものが、血液型を調べると全然違ってた!というようなもので、当然これが正しいのですが、古い情報が染みついている者にとっては大変なことなのです。
新しい分類体系の本は何年も前からで回っているけれど、それを分かりやすく解説してくれたものがありませんでした。そこにようやくこの本が登場し、先日入手して少しずつ読んでいますので、いくつか代表的なものを紹介してみます。
一番大きく変わったのがゴマノハグサ科でしょうか。残ったものはほんのわずかで、大部分の植物は別の科に移籍してしまいました。そこに、ブッドレアに代表されるフジウツギ科が加わり、新しいゴマノハグサ科になっています。ゴマノハグサ科の主力だったウンラン属やイワブクロ属、クガイソウ属などがなんとオオバコ科に。サギゴケ属やミゾホウズキ(ミムラス)属がハエドクソウ科になってしまいました。
ユキノシタ科も大きく分裂していますが、アジサイ科はクロンキスト体系で既に分かれていたので、ショックは小さかったかも。ウメバチソウがニシキギ科に行ってしまうのは、なんとも不思議ですが…
劇的と言えば、スイカズラ科の中の、ニワトコ属とガマズミ属が切り離され、なんと我が国では1属1種しかなかったレンプクソウ科に組み込まれたことでしょう。暗い林床にひっそりと咲くレンプクソウが、なんで木本ばかりのニワトコやガマズミの仲間を引き連れることになるの??とかなり話題になりました。ところがこの本では、ガマズミ科の方がより早く発表されているので、ガマズミ科になったと書かれています。マツムシソウ科やオミナエシ属やカノコソウ属のあったオミナエシ科が、スイカヅラ科に組み込まれたのもびっくりでした。
(くどいようですが、後日もう少し紹介することにしましょう。)
APG体系とは、被子植物系統グループ (Angiosperm Phylogeny Group) という学者の団体が提唱したもので、ゲノム(遺伝情報全体)を植物ごとに調べていき、それによって類縁関係を規定していくものです。顔が似ていると言うだけで、お前たちは兄弟だ!とされていたものが、血液型を調べると全然違ってた!というようなもので、当然これが正しいのですが、古い情報が染みついている者にとっては大変なことなのです。
新しい分類体系の本は何年も前からで回っているけれど、それを分かりやすく解説してくれたものがありませんでした。そこにようやくこの本が登場し、先日入手して少しずつ読んでいますので、いくつか代表的なものを紹介してみます。
一番大きく変わったのがゴマノハグサ科でしょうか。残ったものはほんのわずかで、大部分の植物は別の科に移籍してしまいました。そこに、ブッドレアに代表されるフジウツギ科が加わり、新しいゴマノハグサ科になっています。ゴマノハグサ科の主力だったウンラン属やイワブクロ属、クガイソウ属などがなんとオオバコ科に。サギゴケ属やミゾホウズキ(ミムラス)属がハエドクソウ科になってしまいました。
ユキノシタ科も大きく分裂していますが、アジサイ科はクロンキスト体系で既に分かれていたので、ショックは小さかったかも。ウメバチソウがニシキギ科に行ってしまうのは、なんとも不思議ですが…
劇的と言えば、スイカズラ科の中の、ニワトコ属とガマズミ属が切り離され、なんと我が国では1属1種しかなかったレンプクソウ科に組み込まれたことでしょう。暗い林床にひっそりと咲くレンプクソウが、なんで木本ばかりのニワトコやガマズミの仲間を引き連れることになるの??とかなり話題になりました。ところがこの本では、ガマズミ科の方がより早く発表されているので、ガマズミ科になったと書かれています。マツムシソウ科やオミナエシ属やカノコソウ属のあったオミナエシ科が、スイカヅラ科に組み込まれたのもびっくりでした。
(くどいようですが、後日もう少し紹介することにしましょう。)