北海道のササ
- 2012.11.24 Saturday
- 07:19
このところクマイザサ、チシマザサと来たので、こうなれば道内にあるあと二つのササについても、紹介しないわけにはいきません。
ササの分類は学者によって大きく違い、私も講義を受けたI教授によると、道内のササは2属14種あることになっています。他の分類では、3属5節43種11変種とめちゃくちゃ細かく分けているものすらあるのです。しかし、一般的にはそんなに細かく分けても仕方ないので、クマイザサ、チシマザサの他に、ミヤコザサ(Sasa nipponica)とスズタケ(Sasamorpha borealis)を加えた4種に区分するのが分かりやすいでしょう。(スズタケは別属ですが、他の3種はササ属です。)
1983年に林業試験場北海道支場がまとめた、『北海道ササ分布図』という貴重な資料があります。全道くまなくササの分布を調査し、5枚の大きな地図にまとめているので、どこにどんなササが分布しているのか、一目で分かります。これをかなり苦労してデータ化し、1枚にまとめているので、こっそりと公開してしまいます。
(『北海道ササ分布図』 林業試験場北海道支場、1983 より)
細かいところはよく分からないでしょうが、緑色がクマイザサ、赤紫色がチシマザサ、黄色がミヤコザサ、紫色がスズタケとなっています。全道くまなく分布しているのがクマイザサですが、十勝と釧根、胆振日高の沿岸部だけが黄色のミヤコザサになっています。これは、この地域が寡雪寒冷地という、積雪があまりなくて保護されないために、常緑のクマイザサでは越冬ができない地域なのです。このため、冬に地上部が枯れても平気なミヤコザサが生き延びて(そのように進化して?)いるのです。
(ミヤコザサの成長点は地下にあり、地上部が枯れても平気なのです 標茶町内で 2001.4.18)
ミヤコザサは、なにもこの地域だけに生えているわけではなく、本州から四国、九州と広く分布しています。比叡山で初めて発見されたのでこの名があり、種小名もニッポニカと、わが国を代表するササといえるでしょう。毎年地中から新芽を伸ばす性質があるので、雪の少ない地域でも平気なのです。
(風当たりが弱い林内では、いくらか緑は残っているミヤコザサ 同 )
クマイザサとチシマザサは重なっているところが多いのですが、より標高の高いところにチシマザサが分布しています。クマイザサは雪が積もると完全に雪の中に埋もれてしまいますが、チシマザサは背が高いので、雪の上に出ても平気なんですね。その意味では最も耐寒性の強いササかもしれません。
この地図ではほとんど分かりませんが、スズタケは胆振・日高を中心に、釧路や十勝などにも点々と分布しています。これは基本的に太平洋岸に分布する傾向があり、本州から四国、九州まで点在しているようです。
(スズタケの稈はすらっと背が高く、葉はかなり細いので見分けやすい 白老町内で 2008.5.3)
日本の国土は、様々なササに覆われているからこそ、こんなに雨が多い地域なのに、土砂の流出をしっかり食い止めています。だから決してササの悪口をいったり、粗末にしてはいけないのです。
ササの分類は学者によって大きく違い、私も講義を受けたI教授によると、道内のササは2属14種あることになっています。他の分類では、3属5節43種11変種とめちゃくちゃ細かく分けているものすらあるのです。しかし、一般的にはそんなに細かく分けても仕方ないので、クマイザサ、チシマザサの他に、ミヤコザサ(Sasa nipponica)とスズタケ(Sasamorpha borealis)を加えた4種に区分するのが分かりやすいでしょう。(スズタケは別属ですが、他の3種はササ属です。)
1983年に林業試験場北海道支場がまとめた、『北海道ササ分布図』という貴重な資料があります。全道くまなくササの分布を調査し、5枚の大きな地図にまとめているので、どこにどんなササが分布しているのか、一目で分かります。これをかなり苦労してデータ化し、1枚にまとめているので、こっそりと公開してしまいます。
(『北海道ササ分布図』 林業試験場北海道支場、1983 より)
細かいところはよく分からないでしょうが、緑色がクマイザサ、赤紫色がチシマザサ、黄色がミヤコザサ、紫色がスズタケとなっています。全道くまなく分布しているのがクマイザサですが、十勝と釧根、胆振日高の沿岸部だけが黄色のミヤコザサになっています。これは、この地域が寡雪寒冷地という、積雪があまりなくて保護されないために、常緑のクマイザサでは越冬ができない地域なのです。このため、冬に地上部が枯れても平気なミヤコザサが生き延びて(そのように進化して?)いるのです。
(ミヤコザサの成長点は地下にあり、地上部が枯れても平気なのです 標茶町内で 2001.4.18)
ミヤコザサは、なにもこの地域だけに生えているわけではなく、本州から四国、九州と広く分布しています。比叡山で初めて発見されたのでこの名があり、種小名もニッポニカと、わが国を代表するササといえるでしょう。毎年地中から新芽を伸ばす性質があるので、雪の少ない地域でも平気なのです。
(風当たりが弱い林内では、いくらか緑は残っているミヤコザサ 同 )
クマイザサとチシマザサは重なっているところが多いのですが、より標高の高いところにチシマザサが分布しています。クマイザサは雪が積もると完全に雪の中に埋もれてしまいますが、チシマザサは背が高いので、雪の上に出ても平気なんですね。その意味では最も耐寒性の強いササかもしれません。
この地図ではほとんど分かりませんが、スズタケは胆振・日高を中心に、釧路や十勝などにも点々と分布しています。これは基本的に太平洋岸に分布する傾向があり、本州から四国、九州まで点在しているようです。
(スズタケの稈はすらっと背が高く、葉はかなり細いので見分けやすい 白老町内で 2008.5.3)
日本の国土は、様々なササに覆われているからこそ、こんなに雨が多い地域なのに、土砂の流出をしっかり食い止めています。だから決してササの悪口をいったり、粗末にしてはいけないのです。
はじめまして、道東中標津在住で、釧路市にはR272を利用して1の写真の場所もよく通ります。以前からこの場所付近にミヤコザサと違うササを発見し、長い間その名前が解りませんでした、図鑑などで調べましたが、なかなかその正体が判明しませんでしたが、偶然このブログを拝見しまして解決致しました。ただ図鑑のスズタケと少し違う様な気もしますので検索をしてみたいと思います。
コメントありがとうございます。
ササの分布図を確認すると、釧路根室管内では白糠から西庶路の間の山地、厚岸湖の周囲から霧多布湿原にかけての二つの地域のみにあることになってました。
したがって標茶町方面では、かなり奥の方にクマイザサがでてきますが、あとはミヤコザサとなっています。
ミヤコザサも雪が被って緑が残っていると、?という感じもあるので、よく分からないですね。
スズタケは稈がすらっと立つので、かなり印象が違うと思いますが。
この資料を作ったのは、植物屋ではなくて林業屋さんですから、そんなに精度は期待しない方がよろしいかと…(^_^;)
植物屋が調べたデータがありますので、別途メールいたします。この辺りにも分布しているようですよ〜
詳しくはこちらに載せられていらっしゃらないと思いますが、
胆振や釧路管内にはオオクマザサとミヤコザサ、どちらが多いのでしょうか。滝田(2001)『北海道植物図譜』カトウ書館ではSasa chartacea Makinoの学名とともに別名がエゾミヤコザサとなっています。一方で梅沢(2007)『新北海道の花』北海道大学出版会などでは、とくにオオクマザサについて触れずミヤコザサSasa nipponica makino et Shibataと載せられています。私の行動圏内の登別から白老周辺では、オオクマザサをよくみます。ミヤコザサについての情報は多いのですがオオクマザサについての情報がネット上でも少なくて、自宅で調べていても迷走してしまいます。何かおすすめの参考資料があれば、お教えいただきたいです。
コメントありがとうございます。
私の行動範囲にはオオクマザサは生えていないので、ミヤコザサとの区別はよく分かりません。クマイザサとチマキザサの違いもそうですが、毛のあるなしが種レベルの違いなんでしょうか?うーーん。
伊藤浩司先生が昔書かれた「北海道の笹?」だったか、簡単な冊子が道内のササを50種近くに分けていた記憶があります。前にいた会社に残っているか聞いてみましょう。
これは、見つけることができました。
http://www.ffpri-hkd.affrc.go.jp/koho/rp/rp1_53/rp10.pdf#search='%E3%82%B5%E3%82%B5+%E5%88%86%E5%B8%83'
おかげでカラー版を発見できました。
父は北海道林務部の役人で公職の最後は美唄にある林業試験場長でした。その後請われて今はない専修短大の造園科を立ち上げ時から関わり学生に教えていました。炭焼きの授業をしたことなど楽しそうに語っていました。
私は札幌育ちですが今は川崎市に住んでおります。懐かしい情報が満載です。
コメントありがとうございます。
専修短大は、俵先生はじめ、後輩が二人も世話になっていたので、何度か行ったことがあります。卒業生もたくさん業界で活躍されております。
お父様とは面識はありませんでしたが、撤退はもったいなかったといつも思っておりました。