創成川のシダレヤナギ

  • 2016.12.13 Tuesday
  • 05:55
この時期はひたすら業務の成果品づくりに追われる日々が続き、気晴らしに雪かきするほかには、外には出ないことも結構あります。そんな中、ちょっと理由があって昔の仕事を整理する必要があり、画像を見直したりレポートをめくったりすることがちょっとした息抜きに。そんなことから、昔の現場をあれこれ振り返ってみようと思います。

今回は創成川です。整備前の姿は、もう忘れてしまった方も多いのではないでしょうか。創成川通にアンダーパスができたのは、今から40年以上も前の札幌オリンピックの時でした。それまでは川に蓋をかけてサーカスをやったり、この時期であれば歳の市が立ったりと、賑わいの空間だったようです。それがこの工事によって東西が分断され、川岸に植えられたシダレヤナギが大きく育ったことにより、緑の壁ができてしまいました。狸小路から二条市場に渡るためには、遠回りして横断歩道を2回渡る以外には、暗くて気味の悪い地下道を通っていくしかないので、二条市場はそれで寂れたと言われました。川縁を歩くこともできないので、真ん中に川があることすら気付かなかったかもしれません。
020708創成川
 (昔の創成川の姿  2002.7.8)

今回の整備によって東西の行き来が昔のようになるのでは?という期待が、創成川東の人たちにはものすごく強かったのです。その基本計画を検討する委員会に、私は参与という、技術的なアドバイスをする立場で参加していました。その中で一つ問題になったのが、それまで緑の壁を作っていたヤナギの扱いでした。木を伐ることに異常なほど反応するクレーマーがいるものだから、結果的に枯れてもいいからすべての木を移植したいというのです。その見積もあるというので提出してもらってびっくり。約200本ものヤナギの移植に、なんと1億円もかけるというのですから。

その金はみんなから集められた貴重な税金ではないか!ふざけるのにもほどがあると、そこからが私の出番。移植する価値があるのか、きっちり調査して正確な判断を出しておけば何も怖くないので、ある方法を提案したのです。林業でよく使う道具に成長錐(せいちょうすい)(Increment Borer)があります。スウェーデン鋼の極めて鋭い刃で、直径5mmほどのサンプルをくりぬくことができる道具です。多分この会社の製品が、世界中の独占品ではないでしょうか。
040924成長錐
 (成長錐でサンプルをくりぬいていった。 2004.9.17)

ヤナギのような柔らかい材であれば、30cmくらいなら簡単にくりぬけるので、特に幹の芯の部分に腐朽が入っているかどうか、これでサンプルを取れば一目瞭然に分かります。外観では判断できないような健康そうな木でも、意外と芯がダメになっているものが多く、それで絞り込みをかけようと提案しました。
サンプル

その仕事に入る直前に、忘れもしない18号台風が襲来し、創成川のヤナギも15本が倒れたり折れてしまいました。その切り株を見れば一目瞭然。これを細いサンプルで再現できるわけですから、説得力が格段に上がることになったのです。
040917年輪

対象木204本をすべてくりぬき、正確に記録しながら移植対象にふさわしいか判定していきました。右の数字は成長錐を入れた方角と地上高を示しています。この結果、移植可能と結論づけたものはなんと5本しかありませんでした。成長は早いけれど、材がもろく傷つきやすい特性から、ほとんどの木の幹が腐朽していたり、空っぽになっていたりして、移植に耐えられないと判断されたのです。5本も後から補植された小さな木ばかりだったので、なんとまるまる1億円もの貴重な税金を、無駄にしなくで済んだのでした。
041105最終報告
 (2004年11月5日に提出した最終報告より)

この結論の後、直ちにヤナギは伐採され、足元にあったライラックなどの低木は、すべて他の公園などに移植されました。いよいよ工事が始まる直前にこれを見ながら、ヤナギにはかわいそうだったけど、こういうことはきちんと割り切って仕事を進める必要があるからなぁと思いました。
050129創成川

実はこの提案をしたときに、伐採する木はゴミにしないでぜひ活用して欲しいとお願いしていました。ヤナギの材は柔らかいので、まな板にピッタリだから、健全な部分を切り取って創成川という焼き印を押し、市民に還元すれば喜ばれるし、伐採した木の供養にもなるはずだと。ところが、あまりに腐朽が進んでいるので、まな板にするだけの材が取れませんでしたと、出てきたのがこのコースターでした。いろんなイベントで配られたので、持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、こんな経緯で生まれたものだったのです。
コースター
 (この文字は、当時の上田市長によるものだそうです…(^^;))
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