エゾシロチョウ

  • 2016.06.06 Monday
  • 05:46
先日、ガーデンに植えられているズミの枝に、びっしりとエゾシロチョウのさなぎがくっついているのを見つけました。大発生すれば、葉が全くなくなってしまうので気付かれやすいのですが、小規模だと気付かないままさなぎになれたようです。
さなぎ

エゾシロチョウは北海道特産の蝶で、白い翅(はね)に黒い翅脈(しみゃく)がとても美しいのですが、あんまりたくさん発生するので、むしろ嫌われるようです。そんな蝶の本を出したのが、北大の低温研究所の所長を務めた朝比奈英三先生。個人的な趣味ではなくて、昆虫の耐凍性の機構の解明が専門だったのです。
  エゾシロチョウ

15年くらい前でしょうか、辻井先生から困ったことがあるようだから行って見てくれないかとの連絡があり、円山のご自宅を何度か訪れたことがあります。大先生なのでとても緊張しましたが、いたって気さくな方で、本題の話だけでなくいろんな昔の話などを伺うことが出来ました。円山のアメリカキササゲのことを教えられたのもこの時でした。奥さまは坂本直行さんの妹で、なるほど自然とのつきあい方が幅広いはずだと感心させられたりしました。調べてみると2013年に98歳で亡くなられているので、間近にある円山を毎日眺めながら、長生きされたようです。その庭のボケに毎年発生するエゾシロチョウを記録したのがこの本でした。
成虫
 (「エゾシロチョウ」朝比奈英三著、北海道大学図書刊行会発行、1986 より)

エゾシロチョウは不思議な生活史を持っています。成虫によって産み付けられた卵からすぐに幼虫が生まれ、葉の表面を舐めるように食べていきます。そうして8月までに二回脱皮して三齢幼虫になると、葉を糸で綴って越冬巣(えっとうそう)を作り、その中でじっと動かないまま長い冬を越すのです。朝比奈先生は、どうして幼虫が低温下でも生き延びて翌年活動を始められるのか、それを研究していたのです。
越冬巣
 (「エゾシロチョウ」朝比奈英三著、北海道大学図書刊行会発行、1986 より)

エゾシロチョウがよく付くのはバラ科の樹木で、リンゴやナシでは害虫として嫌われますが、家庭ではハナカイドウやズミなどのマルス類、ボケ、サンザシなどによく付きます。同じバラ科でも、ナナカマドの葉を食べた幼虫は越冬して成虫になれないのだそう。越冬した幼虫は新芽が伸びるにつれて活動を始め、枝先に群生して丸坊主にするので大騒ぎになることがあります。札幌市のHPでは「大発生する不快な虫」と紹介されていました。とてもかわいそうだと思います。
5齢幼虫
(「エゾシロチョウ」朝比奈英三著、北海道大学図書刊行会発行、1986 より)

その後、四齢五齢幼虫を経て現在さなぎを作り、間もなく羽化して蝶が姿を現してきます。北大のマルス類には、何年かに一度大発生して丸坊主になりますが、今年は全く見当たらないので、年によって発生が大きく変わるようです。丸坊主になっても木が枯れることはないので、あまり大騒ぎしないで、しばし優美な蝶の姿を楽しみましょう。

(参考:「エゾシロチョウ」朝比奈英三著、北海道大学図書刊行会発行、1986)
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