マンサク開花

  • 2024.03.14 Thursday
  • 05:37
昨日は一転、雪がちらつく寒い日になりました。真向かいから吹き付ける冷たい西風の中、気になっていたマンサクを見に行くと、遠目にも黄色く花が開いているのが分かりました。

マンサク

花弁はずっと見えていたので、数日前の暖かさで一気に開いたのでしょうか。真っ先に咲くので「まず咲く」から来たとも、花がたくさん咲くから「満咲き」からとも言われているそうですが、私は「まず咲く」でいいように思います。

開花

日本のマンサクはこの様な小高木にならないので、これは‘アーノルド・プロミス’という園芸品種ではないかと思っています。これはアメリカのアーノルド植物園に植えられていた中国産と日本産のマンサクから、自然交雑によって生まれたといわれている品種です。国内に流通しているもので、似ているものはこれしか見当たらないのですが。

アーノルドプロミス

実は先週の水曜にも見に来たのですが、その時はまだ全然変化がありませんでした。その後の天気からすると、週末の9日〜10日頃に開花したものかと。まだ雪の世界での開花では、訪花昆虫もいないだろうに、ちょっと気の毒かもしれません。

一週間前

まんさくの花

  • 2024.02.28 Wednesday
  • 05:42
「まんさくの花」といってもお酒ではなくて木の話。事務所の近くにあるマンサクが、何日頃から開花するのか、今年こそ確認しようと思っていたので、まだ早いかなと思いながら昨日見に行きました。ここは毎朝の通勤路ですが、先週ようやく排雪が入り、見通しがきくようになってホッとしたところです。それにしてもこの銭湯、煙突が見当たらないし天然温泉でもなさそうだけど、熱源はなんだろう??
神宮温泉

ここは昔、植木屋時代に庭の管理に来ていたところ。某銀行の元副社長宅で、今は六花亭円山店になっている社長宅と共に、時々手入れに来ていました。その後空き家になっていたと思ったら、知らぬ間に立派な家が建ち、庭もすっかり変わってしまったようです。こんなコンコロールモミなんか昔はなかったなぁ…
旧副社長宅

マンサクを植えている家に着くと、木の上にどっかりと雪が乗っかっていて枝が折れそう… でも雪落としするわけにもいかないので、そっと下から見上げてみると、なにやら黄色いものが見えています。
雪の下

接写モードに切り替えて何枚か写していくと、所々に花弁が開き始めていました。どんな状態なら開花宣言出せるのか分かりませんが、この週末には花弁がかなり開きそうです。それにしても早いなぁ…こんな木をガーデンに植えても誰も見ることができませんからねぇ…(^^;)
開花始め

帰り道、ちょっと寄り道して「謎の常緑広葉樹」を見に行くと、やはり寒風害を受けて枯れ始めていました。
寒風害

そらみろ言わんこっちゃない!!と、横に見ていくと、なんと全然傷んでいない木もありました。今この状態であれば、冬を越せるかもしれません。がんばってもってほしいと思う気持ちと、こんなものが育つのは困るんだけど!!と思う気持ちが入り交じってしまいました。マンサク詣ででしばらく通うことになるので、また様子を見に来ることにしましょう。
元気

マンションの植栽

  • 2024.01.14 Sunday
  • 05:49
元旦に事務所まで歩いて下りてきた時に、神宮前の歩道が人が多くて歩きづらいので、北3条通の方に曲がりました。そこには年末に完成した巨大な豪華マンションがありますが、その前を通っていた時に一瞬???と頭の中に飛び交いました。札幌ではあり得ない高木性の常緑広葉樹が植えられていたのです。
常緑広葉樹

その時にはとても寒かったのと、行き交う人がたくさんいたので、写真一枚だけ写しただけでやり過ごしました。どうにも気になったので、郵便局に行くついでに再度チャレンジ。こんな冬景色に常緑樹が立っていると、すごく違和感があります。
マンション前

改めてじっくり見たところで、常緑広葉樹を扱ったことがないので、さっぱり分かりません。監視カメラがあちこちにあるはずなので、枝を取るわけにもいきません。モチノキではないし、シイの仲間でもなさそうだし、ソヨゴかなぁ…?という程度。花か実が付かないと、この類いはさっぱり分かりませんでした。春まで待ったところで、まず100%枯れてしまうだろうしなぁ…
わからん

足元の低木もほぼ常緑樹で、ツツジ類が何種類かと、これはアセビです。アセビは越冬できるけれど、いきなり秋(というより冬)植えでは厳しいかもしれません。
アセビ

たくさん植えられているのが、斑の入らない緑葉のアオキで、これもこの時期に植えられればちょっと厳しそう。大手のS不動産なので、建築も外構も本州で図面を書いているのでしょう。はたして雪解け後の様子がどうなっているでしょうか?
アオキ

ベニバナトチノキ

  • 2023.12.05 Tuesday
  • 05:52
昨日の昼は北の方に向かって散歩に行き、帰り道に北4条通のベニバナトチノキの並木に出ました。葉がすっかり落ちて明るく、この時期に歩いたことはなかったなぁ…とよく見ると、以前に増して木が太くなっていることに気付きました。
ベニバナトチノキ

ここのベニバナトチノキは、トチノキを台木にして接ぎ木されているのですが、ほかの所よりも高い位置で接ぎ木されています。白っぽくつるりとした肌がトチノキで、焦げ茶でガサガサしているのがベニバナトチノキです。昔はもっとすらっとしていましたが、特に下の方がどっしりした幹になっています。
継ぎ目

接ぎ木ものではよくあるのですが、接がれたものが弱ってくると、台木の芽が伸び始めてそちらの方が強くなり、接がれたものはどんどん弱ってしまい、この木のように枯れてしまうことがよくあります。ここの並木でも何本かはトチノキに化けているのが、花の時期にはよく分かります。
残骸

一番端っこの木は接ぎ木部分が段違いで、上と下がぴったり同じ太さという芸術的な接ぎ木がされています。造園遺産に認定したいくらいです。
芸術的

この向かいの建物の壁もなかなか興味深い姿。夏だと全部緑なのでよく分かりませんが、この時期になると落葉性のツタは葉がなくなってしまい、常緑性のイングリッシュアイビーが緑の葉を広げています。このためツタを「夏ヅタ」アイビーを「冬ヅタ」と呼んで区別するのです。
ツタの比較

少し歩いていると、道端にコムラサキの実が。北大の圃場にはムラサキシキブがあり、秋になるとしっとりした紫の実を楽しみにしているのですが、今年は野鳥に一つ残らず食べられてしまい、実を楽しむことができませんでした。コムラサキは鳥に見つからなかったのか、まずくて食べられなかったのか分かりませんが、この時期の貴重な彩りになってくれました。
コムラサキ

ネムノキの剪定

  • 2023.10.24 Tuesday
  • 05:38
我が家のシンボルツリーになっているネムノキは、今年は異常高温のおかげでたくさんの花が長く咲き続けました。まだ青々しているのですが、このところの低温で葉がぱらぱらと落ち始めています。ネムノキの葉は二回羽状複葉で、米粒ほどの小葉がバラバラになって落ちてきます。濡れた地面にくっつと掃いても取れないので、掃除が大変になってしまいます。

昨日はちょうど家に用事もあったので、午後から剪定しようと家に戻りました。昼間に自宅に戻ることがないので、足元でコハマギクが咲いていてしばらく眺めてしまいました。松山にいた頃は晩秋に咲くノジギクが大好きで、いつもこの時期に咲いている所まで見に行ってましたが、北海道に来てからはコハマギクがその位置に着いているようです。
コハマギク

ネムノキは放任すると巨木になってしまうので、毎年秋に剪定して同じサイズを維持しています。カーポートに上がり、高枝切り鋏で届く範囲と決めているのです。
カーポートに

この木も幹にかなり腐朽が進んでいるため、そんなに長くはなさそうですが、ここ数年夏が暑いので、元気を取り戻しているのかもしれません。鉛筆よりも細い枝は付け根から落とし、ある程度太い枝を5cmくらい残して剪定していきます。
カーポート

数年前、高枝切り鋏が当たったのか、落とした枝が当たったのか、光ファイバーが切れてしまい数日間テレビも電話も使えなくなったことがありました。このため線の近くは慎重にも慎重を重ねて作業していきます。
光回線等

落とした枝は、かみさんが集めて70リットルの袋に要領よく詰めていきます。それでも今年は袋が3つで収まったので、いつもの年より少なかったかもしれません。地面にくっついていた細かい葉もきれいな洗い流したので、初冬の一大行事が無事完了しました。
剪定完了

紅葉真っ盛り

  • 2023.10.19 Thursday
  • 05:58
来月旭川で緑に関する講演を頼まれてしまい、今一度市内の緑地を見ておこうと出掛けました。前日は雪が舞いそうなくらい寒かったそうですが、きれいに晴れ渡って暖かく、気持ちよく回ることができました。高速を下りて最初に出会ったのがこの街路樹。なんとハウチワカエデでした。札幌にも所々に植えられているけれど、こんなにきれいなものは見たことがありません。
ハウチワカエデ

当然札幌より紅葉は早く進んでおり、市内がちょうどいいくらいだったのかも。樹形も整っているし、いい色になっていると思ったら、やはりアカイタヤでした。エゾイタヤではこんなきれいな色は出ませんから。
アカイタヤ

私がいた講座の第1号の卒業生である大先輩が、永らく旭川で活躍されていて、旭川にはヨーロッパクロマツがよく似合うと、せっせと公園や公共施設に植えたようです。この公園では、なんと3mくらいのピッチでずらりと植えられており、しかもしっかりと剪定されています。素晴らしいけれど、管理するのは大変だろうと思ってしまいました。
ヨーロッパクロマツ

このヨーロッパクロマツもしっかりと樹形が作られていましたが、ラベルを見てびっくり。『和名クロマツ、一名オトコマツ、原産地日本、韓国』となっているではありませんか!泉下のS先輩も苦笑いしていることでしょう。
クロマツ

ある神社では懐かしい木に出会いました。20年以上前にこの辺りをうろついていて見つけたシロヤナギの大木が、ちゃんと残っていました。ヤナギの中では珍しく大木になり、札幌でも中島公園や新琴似神社に大木があります。でもこの木はとても樹形がきれいで、見惚れてしまいました。
シロヤナギ

ヤマモミジが見事な紅葉のグラデーションを。今年の夏は暑かったけれど、二年前と違ってそこそこ雨が降ったので、葉の傷みが少なかったのかもしれません。札幌も来週くらいから紅葉真っ盛りになってくれることでしょう。
ヤマモミジ

ある公園では、たくさんのアカナラの中で1本だけが真っ赤に色付いています。アカナラはほかの葉が落ちてからようやく赤く色付くのに、この木はずいぶんとせっかちなんでしょうか。レッドオーク、アカナラの名の通りの見事な紅葉です。足元では幼稚園の子供たちがドングリ拾いで大騒ぎしていて、子供たちには紅葉なんて目に入らないんだろうな…と思ってしまいました…(^^;)
アカナラ

江戸絞り

  • 2023.09.20 Wednesday
  • 05:41
昨日はあちこち用足しやら買い物やらして、ついでに自宅へ。日曜に球根の植え替えをやっていて、鉢が足りなくなったのです。昼間に自宅にいることがないので家の周りを一回りすると、白花のエゾオヤマノリンドウがまた咲いて来ました。一番大きな枝には一月以上前に咲いていたのに、小さな枝にも咲いてくれてうれしいです。

白花エゾオヤマノリンドウ

裏の階段には、ハギの‘江戸絞り’の鉢が置かれています。普通の年であれば、ヤマハギの品種のため枝がピンと上を向いて咲くのですが、今年はミヤギノハギのように枝が枝垂れています。いつもは花が咲き始めると玄関先に出してやるのに、これでは地面に着いてしまうので出してやれません。

枝垂れ江戸絞り

最近は定期的に植え替え、枝の伸びが揃うように7月の初めに全刈りして枝を吹かし直しているのですが、今年の馬鹿陽気のおかげで枝の伸びと花芽の形成が異常なくらいに進んでしまい、枝先が重たく垂れ下がってしまったのです。

満開

マメ科の花は蝶形花と呼ばれる独特の形をしています。上に大きく広がっているのを旗弁(きべん)といい、白地にピンクの模様が入っています。その前にある二枚のピンクの花弁を翼弁(よくべん)といい、その下に白い二枚の花弁がくっついているのを舟弁(しゅうべん)または竜骨弁(りゅうこつべん)といいます。江戸絞りでは、この微妙な配色の妙が何ともいえない魅力を醸しだしています。

ハギの花

恩師がチューリップの育種をやっていたためか、原種のチューリップが好きでちょこちょこと買っていますが、露地植えにするとすぐに消えてしまうので、最近はすっと鉢植えにしています。毎年真面目に植え替えていないため、花着きが悪くなってしまったので、今年はちゃんと植え替えてやりました。再来年くらいには元気になってくれるかな…

小球根類

ボタンブッシュ

  • 2023.09.19 Tuesday
  • 05:44
先日新琴似の住宅地を走っていて、反対側の住宅の前に「なにか」があることに気付きました。樹木の場合、チラ見の瞬間に樹種の判別がつくのですが、あらら…と判断できないまま通り過ぎてしまいました。草本では見知らぬものはたくさんあるけれど、木本で道内に植えられているものはたいてい判断が付くのですが、これは全く思い当たりません。仕事が終わってから再び確認に行っても、頭の中に????とクエスチョンマークがたくさん点滅してしまいました。

全景

そもそも何科の植物なのかも分かりません。判別できない樹木は時々出てくるのですが、ここまで分からないものは久しぶりで、怪しまれないうちに写真だけ撮してすごすごと帰ってきました。

花

さてそれからが大変。普通の樹木図鑑にはそれらしいのはないし、いろいろな検索条件をかけてネット検索し、ようやく特定することができました。アメリカ原産のアカネ科の低木で、ケファランツス・オッキデンタリス(Cephalanthus occidentalis)という学名で、英名はボタンブッシュとありました。ケファルは頭で、アンツスは花だから、頭状花序とその姿そのものが属名になっています。花が終わっても果実の形はそのままでした。

果実

アメリカタニワタリノキとかタマガサノキ、アメリカタマガサノキ等というヘンテコな和名も出てきましたが、英名のボタンブッシュが一番分かりやすいと思います。ゾーンナンバーは5〜9なので道内でも栽培可能なところが多いし、当年枝開花性なので秋に切り詰めた方がよく、花の少なくなる時期に咲いてくれる面白い素材です。‘マジカル ムーンライト’という品種が国内でも流通しているようなので、さっそく植えてみたいです。

ボタンブッシュ

現地見学会

  • 2023.07.16 Sunday
  • 06:00
昨日は緑関係の人達で30年以上続いている研究会の現地見学会。あいにくの雨になってしまいましたが、みなさん現場に出ている人達なので、装備は万全です。場所は羊ヶ丘にある森林総合研究所の樹木園で、OBのSさんに案内していただきました。
真田さん

樹木園は、研究施設のあるエリアまでの左側にあり、国内産から外国産の様々な樹種が植えられているので、比較するのに便利です。ただ木が大きくなりすぎて、葉が間近に見られないものが多く、もう少し間引きをしてくれればと思ってしまいました。
樹木園

雨は止むことなく降り続きましたが、林内にいるとそれほど気になりません。落ち葉でふかふかになっているので歩きやすかったです。
林内

樹名板が新しく付けられていたので、それを見ながらみんなであーだこーだと意見を言い合っていきました。時間は2時間を予定していたのですが、雨が降っていたからなんとか回れたけれど、晴れていたらとっても回りきれなかったでしょう。
散策

ユリノキは巨木になっていたけれど、まだ咲き残っている花を間近に見ることができました。
ユリノキ

以前にも見てビックリしたのは、カリンが毎年かなりの数生っているのです。町中よりかなり寒いはずですが、ちゃんと育っているのにはびっくりでした。平日は車も入れるし、園内を自由に見ることができますので、是非見ていただきたいです。
カリン

鉢ものの植え替え

  • 2023.06.06 Tuesday
  • 05:40
道新の連載を2年やっていたので、月曜締め切りのため日曜は毎週原稿書きに追われていました。これがなくなって肩の荷が下りたというか、精神的にもずいぶん楽に。4日は午後早くに帰り、溜まっていた鉢ものの植え替えをようやくやることができました。こんな可哀想な状態のものがたくさんあったのです。
球根

幾つか小物を片付けたあと、最後に残ったのがこの大物です。このアカエゾマツは、うちに来て32年。1991年11月に滝川市であった「緑の環境シンポジウム」のパネリストに呼ばれ、参加者に配られた苗木を私にもくれたので、仕方なく持ち帰って鉢植えにしていました。14号の輪鉢になると重たくて持てないので、だんだん植え替えが面倒になり、10年以上ほったらかしに…
アカエゾマツ

根が詰まっているのでノコ鎌で一皮削り落とし、ようやく持ち上げられる大きさになりました。
根鉢

ある程度は剪定していたものの、少しずつ大きくなってしまい、思い切って切り詰めなければかさばって大変です。女竹を定規代わりに立てておき、これを目安に切り詰めていきますが、針葉樹なので葉のあるところまでしか切り詰められません。小さいながら結構な手間でした。
定規

高さも幅も一回り小さくし、元の鉢に植え戻してようやく収まりました。この木もこんな窮屈な所で暮らすことになるとは思ってもいなかったに違いありません。私が動けるうちに、余市のブドウ畑の隅にでも植えてあげようかなぁ…
完成

クロフネツツジ

  • 2023.05.15 Monday
  • 06:01
圃場に2本植えられているクロフネツツジが、ちょうど満開になり、強い日差しを浴びて輝いていました。私が学生の時にはまだ植えられたばかりで膝くらいしかなかったのに、50年近く経つと2mをはるから超える大木になっています。
満開

四国ではサツキやキリシマ、オオムラサキなどの常緑性のツツジしか知らなかったので、札幌に来て初めてレンゲツツジやムラサキヤシオなどの落葉性ツツジがあることを知りました。中でもこのクロフネツツジの豪華さには目を見張り、英語では Royal Azalea と呼ばれるのもなるほどと思いました。それ以来、このツツジには強い思い入れがあったのです。
クロフネツツジ

研究室に配属になった3年の時には、圃場と植物園に入りびたって北海道の植物について調べまくりました。その中で、こんなにたくさんの落葉性ツツジ類があるのに、町中や庭園に植えられているのは冬囲いをしなければ傷んでしまう常緑性ばかりなのか?という疑問に突き当たりました。そこで卒論には「落葉性ツツジ類の造園的利用とその繁殖」というテーマにしたのです。
卒論

当時はワープロなどない時代なので、すべて手書きでしたが、こんな汚い字を先生もよく我慢して読んでいただいたものだと赤面の至り… 真駒内と大麻団地の住宅に片っ端から訪問し、ツツジ類の種類と本数を調べていきました。それと共に、落葉性ツツジ類の普及の衝害になっているのが、挿し木繁殖ができないものが多いということも分かってきたのです。そこでまだ一般的ではなかったホルモン剤の使用により、どのくらい発根を促進できるのかを実験したのです。4種のツツジを対象に行い、ナフタレン酢酸(NAA)とインドール酪酸(IBA)を濃度を変えて処理すると、NAA10ppm処理区ではクロフネツツジの場合最も効果が高いことが分かったのです。

オーキシン

生育期の枝を使って挿木を行う緑枝ざしの場合、当年枝だけと前年枝を少し付けて挿し木をすると、後者の方が発根率ガ高いことも分かりました。普通の挿木ではほとんど発根しないクロフネツツジでも、70%もの好成績であれば経済的にやっていけるレベルだということが分かったのです。

穂木

先日あるお宅のクロフネツツジを見学に行きました。見事な大木で、淡いピンクの花弁に付いている褐色の斑点がかなり濃い花を咲かせていました。
巨木

その株のタネを播いて作った子どもの株もたくさん植えられていて、ほとんど白に近いものから、この株のように濃ピンクの花まであり、花の大きさもかなり違っています。実生繁殖はこの様に多彩な形質を発現させるにはいいのですが、これを栄養繁殖で増殖すれば固定品種として流通させることが可能です。私の実験をもっと実用化まで突き詰めていれば、もっと多彩な品種群が出回っていたのかなぁ…と、クロフネツツジの花を見るたびに思ってしまうのです。
濃紅株

マンサク

  • 2023.03.13 Monday
  • 05:42
異様なほどの温かさに加え、昨夜からの強風で雪融けが一気に進み、札幌の積雪深は34cmに。道南や胆振・日高も積雪が0になり、あちこちから花だよりが聞かれるようになりそうです。

昨日スノードロップが咲いていたので、それならとマンサクを見に行ったら、やはりちゃんと咲いていました。先月末に寄った時にはまだ堅いつぼみだったので、来年はもう一週間早く確認に来なくては。

全景

これまでの私の確認記録は18日だったので、それでも一週間早くなりました。それにしてもさすがマンサク。ちゃんと「先ず咲く」です。

満開

晴れていれば暖かいけれど、曇って風が吹くとまだまだ寒く、繊細な花弁が風に吹かれて震えています。でも生の花はいいもので、しばし見とれてしまいました。

まんさく

波末奈須比

  • 2023.01.27 Friday
  • 05:41
北海道のシンボルフラワーとなっているハマナスは、昔から「ハマナシ」説と「ハマナス」説が火花を散らしていました。ある植物系の情報サイトに、それがいよいよ決着したという話題があったのです。海岸に自生することが多いハマナスは、砂地から元気よく枝を伸ばし、テンキグサやハマハタザオなどと共に生えています。
ハマナス

北大の客員教授を務めている先生が、文献調査に合わせて自生地での呼び名を拾っていったところ、北陸地方にはかなり古くから「ハマナスビ」という呼び方が定着し、文献では1,200年も昔に「波末奈須比(はまなすび)」と称されているというのです。確かにハマナシ説は、ある植物学者が大正時代にハマナシがなまってハマナスになった説を唱えたのが最初ですが、きちんと文献等で裏付けられていません。でもあろうことか牧野先生までもがそれに追随したために、牧野先生が言うのだからハマナシだよと、多くの国語辞典までもが追随してしまったのです。

牧野図鑑
  (「牧野 新日本植物圖鑑」 牧野富太郎、北隆館、1961)

それにずっと異を唱えていたのが、仙台市野草園を作った菅野(かんの)邦夫さんです。深津正さんの「植物和名の語源研究」にも大きく取り上げられていました。

      菅野さん
  (「植物和名の語源研究」 深津正著、八坂書房、2000)

深津さんもしっかりと文献をたどり、できるだけ正しい名前を伝えようと努力した方ですが、この様に結んでいました。

      深津さん
  (「植物和名の語源研究」 深津正著、八坂書房、2000)

ハマナスの果実が、ナスビのようには見えないと言われてきたのですが、現在のような長ナスが広まったのはかなり新しく、江戸時代などは丸ナスしかなかったので、ハマナスビと呼ばれてもおかしくなかったのです。同じバラ科ではありますが、どう見てもナシには見えません。むしろナス科のミニトマトの方が似ていると言ってもよいでしょう。
果実

この先生は、いろんなところにこの検証結果を発表しているようですが、ハマナシ派からはなんの反論もないのだそう。「筆者の新説により、『広辞苑』などが書き換えられ ることを切に望んでいる。」と結んでいるので、これで決まりかもしれません。

タネの整理

  • 2023.01.13 Friday
  • 05:25
先日グイマツのコーンを探したときに、タネのコレクションを引っかき回してしまいました。久しぶりに出して見ると、採取場所も書かれていないものや、種類不明のものまでたくさんあることが分かりました。また入りきらずにあちこちのすき間に突っ込んでいるものが一箱分くらいあり、天井とのすき間に入るコンテナボックスをようやく見つけたので、最低限の整理をすることに。針葉樹は分かりやすいですが、23種類ありました。
松笠類

同じエゾマツでも、左は大雪森のガーデンで、右は滝野公園。かなり大きさが違います。南の方が少しでも栄養条件がよくて、大きくなるのでしょうか。
エゾマツ

広葉樹は数が多くてとても大変。形のはっきりしている松笠のようにはいかず。色も変色してしまうと なにこれ?というものがたくさんあります。細かい判断はしないで、とりあえず形のはっきりしているものを選んでいきました。
広葉樹

でも中には懐かしいものも。今から30年くらい前に、開発局の調査団の一員としてアメリカ中を回ったことがありました。メリーランド州のかなり田舎のレストランでランチをいただいたときに、店の裏で拾ったタネです。あとで調べたらケンタッキーコーヒーツリー(Gymnocladus dioica)というマメ科の樹木で、タネを焙煎するとコーヒーになるのだそう。試したことはありませんが…
ケンタッキーコーヒーツリー

長い葉っぱが1本出てきて、すぐに思い出しました。もう10年以上前に神代植物公園に行ったとき、立派なダイオウショウの木がありました。アメリカの松は三葉松(さんようしょう)が多いので、見本にこっそり1本だけいただいてきたものですが、よくも折れずに残っていたものです。
ダイオウショウ

広葉樹はかなり選んで72種ありました。そもそもこれを始めたのは、子供たちに森に興味を持ってもらうために、いろんなイベントをやる中で、木に親しむとっかかりとしてタネというのは分かりやすいからでした。最近そんな仕事はやっていないので、やめてしまえばいいのですが、私自身面白くてつい拾ってしまうのです。重複するものなど、これらは迷わず廃棄です。
ゴミ捨て

今回の整理で、すべてコンテナボックスに収容し、きちんと天井とのすき間に納めることができました。これからはもう増やさないで、今あるものもスケール入れて写真に記録し、廃棄していかないと叱られそうです。
整理完了

グイマツ

  • 2023.01.09 Monday
  • 05:42
グイマツ(Larix gmelinii var. japonica)は、ダフリアカラマツの変種で、現在は樺太と千島列島に生育しています。かつては北海道にも生育していたことは花粉から分かっていますが、温暖化が進んで北海道では絶滅してしまいました。札幌で一番有名なグイマツは、植物園にあります。
グイマツ

6月ころに行くと松笠はまだ若く、みずみずしさがあってとてもきれいです。グイマツとカラマツとの違いは、グイマツは枝が横に広く伸びると教えられましたが、若いグイマツを見たことがないのでいまだ判然としません。松笠があれば一発で分かりますが。
若いコーン

カラマツ(Larix kaempferi)は国内では信州を中央にした本州中央部や東北地方に自生がありますが、その範囲はかなり狭いようです。道内には明治以降大量に持ち込まれ、円山公園にあった開拓使の養樹園で苗が作られて、全道に広まっていきました。造林面積では本家信州を圧倒し、道内最大の林業木となっています。
カラマツ

市内では創成川に面したホテルエーデルホフの玄関前に、グイマツのかなりの古木が残っています。ここはもともと北海道営林局があったところで、西高の隣に移転したあとホテルになったものです。
エーデルホフ

意外なところがモエレ沼公園。海の噴水の周りにはカラマツの森が作られています。成長の早いカラマツなので、すくすくと大きくなっています。
モエレ沼公園

集中講義の現地学習で学生を連れて行ったときに、ふと近くまで行って松笠を見たところが小さい!どう見てもカラマツではなくてグイマツです。でもグイマツの苗木が流通しているはずはないので、カラマツとグイマツを交雑したF1かもしれません。カラマツは野鼠(やそ)害や先枯れ病に弱く、抵抗性の強いグイマツとの交雑種が現在林業では植えられているのです。
グイマツ

グイマツの松笠はカラマツに比べてかなり小さく、このくらいしかありません。今度こっそりモエレ沼公園の松笠も取ってきて比較してみなくては。
比較

ヒマラヤシーダー

  • 2022.12.14 Wednesday
  • 05:47
今回問合せのあったヒマラヤシーダーについて、いろいろ調べてずいぶんと勉強になりました。原産地は文字通りヒマラヤの麓で、パキスタンでは国の木になっているそうです。我が国には明治の初めに導入され、東京や横浜にはかなりの大木が残されています。この写真は名古屋の鶴舞(つるま)公園のもので、こういう植え方をしていることが多いように思います。
ヒマラヤシーダー

札幌で一番の大木は、道庁構内の赤れんが庁舎の南にあるものかと。4〜5本が寄せ植え状になっており、このおかげで台風来襲の時に倒れずに済んだのかもしれません。意外と根張りが弱く、風倒には弱いとされています。コーンが付いていたのは気付きませんでしたが、あと数年は改修工事の仮囲いの中になっています。天神山にも大木があるそうなので、今度見に行かなくては。
赤れんが

私も植木屋時代に植えたことがありますが、その木は今はもうありません。この木は事務所のすぐ近くにあったもので、あら珍しいと思っていたら、数年前に切られてしまいました。住宅地には、このような木は時々見かけることがあります。
個人宅

このコーンはかなり大きく、松山時代の私の記憶では、洋ナシくらいの大きさだったかと。でも下からは全く見えなくて、台風で倒れて初めて気が付きました。
コーン

こんなものが落ちてくれば気が付くはずですが、トドマツなどのモミ類のコーンと同じく、熟すると樹上でばらけてタネと鱗片が落ちていき、軸だけが残るようです。この写真では、この軸は何年も残っているみたいです。
分解

コーンの先の方にはタネが入らないので、その部分はばらけないでそのまま落ちていき、ちょうどバラの花状になっているので、シダーローズと呼ばれているのですね。
シダーローズ

林業試験場が、主要樹木の分布と生育可能なエリアの調査をしたものがまとめられています。これによればやはり札幌が良好な生育の北限になっているようです。実際には植えれば育つ所はたくさんあるでしょうが、まず植えてみないことには分かりません。函館でこの木があるのを見た記憶がないけれど、きっとどこかにあるのでしょうね。

分布

ネムノキの剪定

  • 2022.10.22 Saturday
  • 05:43
我が家のシンボルツリーになっているのがネムノキ。植えてから30年以上になるけれど、放置すると大木になるので、毎年この時期に剪定しています。剪定の理由はもう一つ、ネムの葉はものすごく小さくバラバラに落ちてくるので、掃除が大変になるのです。そろそろかみさんも悲鳴を上げているので、バッサリと剪定することにしました。
着手前

カーポートと塀の間の狭いところに植えているので、カーポートの上に上がるとほとんど届きます。というか、ここから届く範囲までしか伸ばさないようにしているのです。 数年前に、枝が当たったらしく光ケーブルを切断してしまい、業者に来てもらって修理したことがありました。以来ケーブル付近の剪定は、ものすごく慎重にやっています。
剪定中

隣に向かって伸びている枝は、下から高枝切り鋏で剪定し、無事剪定を終えました。太い枝だけ残して、あとは細切れにして袋に詰め、70リットルの袋二つに収まりました。これで一安心です。
完了

二段ばしごを出したついでに、イタヤカエデにくっつかせているヤドリギの救出を。3年前に隣に延びている枝を強剪定していたので、幹から胴吹きがたくさん発生して、ヤドリギも取り込まれてしまったのです。下から見てもどこにあるのか分からないほど。
イタヤカエデ

ハシゴを一杯伸ばしてようやく届く高さですが、ようやくヤドリギに絡んでいる枝を落とせました。これも「タネを播いて」から十数年経っており、つぼみらしきものが見えています。雄か雌か分かりませんが、赤い実が生らないかなぁ。それにしても、ヤドリギをわざわざ育てている家もないでしょうねぇ…(^^;)
ヤドリギ

残念無念…

  • 2022.08.25 Thursday
  • 05:46
庭先に植えているキングサリが、今月の初め頃から葉が黄ばみ始め、はらはら落ちてきました。当初はほんの一部だったので、まさか枯れたわけではと思っていたのですが、いよいよ真っ黄色になってしまいました。根元をよく見ると樹皮が変色しているので、地際に何か障害が起きたのでしょうか。救いだったのが、ひこばえを1本だけ残していたのはなんともなく、根がやられていなければこちらがまた大きくなってくれそうなこと。いやはや残念でした。
枯死

今から32年前の9月に北大のA先生と二人で北欧に行った時、一晩ゲストハウスに泊めていただいたスウェーデンのエーテボリ植物園で、園内にあった大きなキングサリから何個かタネをポケットに。翌年タネを播いて育ててきた、想い出のある木でした。これはその時お土産にいただいたTシャツの模様です。
エーテボリ植物園

すぐにあんな大木になるのかと思ったら、なかなか大きくならず、初めて開花したのも十数年後。それでも最近はようやく花着きも安定して、6月の始めにたくさんの花を咲かせていました。
満開

最近流通しているのは、もっと花穂が長くなる ‘ボッシー’という園芸品種であることが多いのですが、これはラベルをちゃんと確認したキングサリ(Laburnum anagyroides)そのものです。
キングサリ

実はこのタネを百合が原公園に分けており、それから作った木が今も園内に育っています。うちの木よりはるかに大きいので、やはりうちの土壌が悪いのかもしれません。また気長にひこばえを育てていこうと思います。
百合が原公園

エンジュ

  • 2022.08.10 Wednesday
  • 05:54
仕事がちょっと落ち着いて来たので、先日見に行ったエンジュの花を見てきました。少し花が散り始めていましたが、今が満開というところ。今頃こんな花が咲いていても、きっと誰も見上げる人はいないでしょうね。初めてこの木を見つけたのはちょうど10年前で、開花期に当たらなかったら絶対に気付くことはなかったでしょう。
エンジュ

エンジュは中国原産で、我が国には8世紀に到来していたといわれます。このため、学名の種小名がヤポニクム(japonicum)と、日本原産と間違われてしまったほど。英名も Japanese pagoda tree となっています。中国では縁起のよい木として朝廷の庭に植えられていたので、そのあたりがごっちゃになって伝わったのかもしれません。新芽は茶の代わりに、蕾と種子は染料に、乾燥させた蕾やさやは薬用にされていたそうです。
花の拡大

道内には育たないと思い込んでいたのですが、初めてこの木を見たのは今から13年前の帯広でした。ある方の案内であちこち見て歩いた時に、帯広駅から西に新緑通を走っていて、思わず止めて!と叫んでしまいました。ニセアカシアの街路樹の中に、真っ白な花が咲いていたのです。真夏にこんな花が??と思って車を降りてよく見たら、なんとエンジュが3本紛れ込んでいました。十勝でも冬を越せるなら、札幌なら全然平気なんだと分かったのです。
街路樹

その路線はニセアカシアの街路樹でしたが、正式名はハリエンジュのように、エンジュによく似ているけれど、枝は棘だらけなのでこの名が付けられたわけです。本州にはエンジュは普通に流通しているので、わざわざ棘だらけで扱いにくいニセアカシアより、縁起のよいエンジュを植えればよいものをと思ってしまいました。
ハリエンジュ

同じくエンジュによく似ているけれど、可哀想に格下だからとイヌが付けられたのがイヌエンジュ。こちらは自生種で、材が堅くていろいろと役に立つ木なのに、この名ではなんとなく二級品扱いで可哀想です。札幌市内では、扱いにくく苦情の多いニセアカシアは新植しないことになり、欠株が出るとイヌエンジュを植えてきました。でもこの木を植えると、年によってキジラミが大発生し、木の下が排泄物でベタベタになって苦情が多く、余り好まれなくなりました。こうなるとエンジュを街路樹に導入することを、真剣に考えなければならないようです。
イヌエンジュ

続々開花

  • 2022.06.23 Thursday
  • 05:32
昨日の昼は、久しぶりにおか田で食べようとチャリで出かけました。朝のうちパラッと来たものの、昼にはピーカンに晴れて少し暑く感じました。遠目に白い花があるので近寄って見ると、セイヨウバイカウツギ。バイカウツギより白みが強くて花冠が丸くなり、少し遅く咲くようです。バイカウツギのしっとり感が全くないので、私の好みではありませんが…(^^;)
セイヨウバイカウツギ

ラベンダーにもすっかり色がついて、そろそろ開花してきそうです。今年はたっぷりの雪に保護されて、傷みが全く見られません。
ラベンダー

おおっ!て思ったのは、もうナツツバキが咲いていました。町中は何でも早いです。一気に夏の花に変わっていくようです。
ナツツバキ

北3条通は、ネグンドカエデの街路樹でしたが、毎年の剪定が高所作業車とバリカンを使ってものすごくお金がかかるため、せっせとハシドイに入れ換えてきています。ハシドイも年によってかなり花着きが違うのですが、やはり今年は多い年になったよう。花が終わりかけると黄色くなって、コントラストがきれいです。
ハシドイ

最近このあたりでやたら増えているのがシュッコンリナリアで、しかもすべて紫色の花ばかり。どうせはびこるならピンクや白も混じればよいのに。かなりの増殖ぶりで、庭からの逸出する園芸種の中には、危険なものがどんどん増えてきそうです。
歩道脇 植えます内

どこもバラはもう満開で、ある庭先ではランブラーローズが満開に。今日明日と昼間は雨が強く降り、週末だけは晴れの予報。各地のバラ園も見頃を迎えていることでしょう。
ランブラーローズ

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