その他のGCP(2)

  • 2019.03.15 Friday
  • 05:40
北国のグラウンドカバープランツ  その13  その他のGCP(2)

マツバギク(Lampranthus spectabilis)は道南では珍しくない植物で、大島の調査で松前方面に行くといつもうらやましく思ってしまいます。ハマミズナ(ツルナ)科の植物で、基部がやや木化してきます。耐塩性が強いので、渡島檜山の漁村では一番目立つ植物といえ、日が差すと大きく花を開いて見事です。札幌で売られている「耐寒性マツバギク」は、近縁のデロスペルマ(Delosperma)のようで、見た目は同じ姿をしているので紛らわしいです。
マツバギク

エゾノキリンソウ(Phedimus(旧Sedum) kamtschaticus)も海岸性の植物で、大島に7月に行くと、斜面が真っ黄色でまぶしいくらいです。乾燥には最も強いGCPといえ、札幌市内でも一時中央分離帯の緑化に使われていたことがありました。でも数年でブタナが侵入し、徐々に衰退していきました。ブタナは葉が地面に密着するので、どうしても葉が被圧されて負けてしまいます。
エゾノキリンソウ

カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)はシソ科のつる性草本で、普通種はひっそりと道路縁などで生育していますが、斑入りのカキドオシはGCPとして使われることがあります。ただ乾燥には弱いので、半日陰の適湿地でなければ本種のよさが発揮されないでしょう。
カキドオシ

リュウノヒゲ(Ophiopogon japonicus)は、本当の和名はジャノヒゲですが、生まれ育った松山の家の庭にいっぱい生えていたので、やっぱりリュウノヒゲと呼びたいです。次のヤブランと同様にキジカクシ科(旧ユリ科)の常緑多年草で、東アジアに広く自生があるようです。秋に紫の花が咲き、冬から春に紫黒色の実がたくさんなるので、子どもの頃はこれを集めておままごとに使っていました。昔はこんな常緑ものは道内に入って来なかったのですが、最近マンションの外構などでよく目にします。普通種の葉は20〜30cmもありますが、現在流通しているのは葉の短い矮性種の‘タマリュウ(玉竜)’で、積雪に隠れればそんなに葉が傷むことなく越冬可能です。
リュウノヒゲ

斑入りヤブラン(Liriope muscari)もリュウノヒゲと同様に、最近よく使われるようになりました。こちらはほとんどが斑入り葉のもので、花着きのいい新しい品種が出回っています。リュウノヒゲも本種も半陰地から陰地向きのGCPで、適湿な環境でなければ傷んでしまいます。また積雪下で傷んだ葉をそのままにすると見苦しいので、ヤブランの場合は。雪解け後古い葉を地際でカットした方が新芽がきれいに揃います。
斑入りヤブラン

ヒペリカムの仲間は、木本ながら当年枝開花性のものが多いため、最近急速に使われるようになってきました。よく見かけるものには二種あり、花をよく見れば区別が付きます。上向きの花に長い雄しべがたくさん付いているものは、ヒペリカム・カリシナムの名で流通しているヒペリクム・カリキヌム(Hypericum calycinum)です、これに「セイヨウキンシバイ」なる名前を付けたために混乱の元になっており、キンシバイではなくビヨウヤナギに大変よく似ているので、「セイヨウビヨウヤナギ」とすべきでした。
カリシナム

もう一種がヒペリクム‘ヒドコート’(Hypericum patulum 'Hidcote') で、これはキンシバイから作られた園芸品種のため、ダイリンキンシバイ(大輪金糸梅)の名があります。こちらの花の雄しべは短く、雌しべの周りに輪状に付き、花弁の付け根に集まっているので、5つに分かれているのがよく分かります。雪の下ではどちらも普通に越冬しますが、春先に切り詰めた方が新しい枝を伸ばしてよく咲いてくれます。
ヒドコート

これまで13回にわたって、北国で利用できるグラウンドカバープランツを紹介してきました。もちろんまだまだ種類はありますが、うまく活用して素敵な空間づくりに活用していただきたいです。(まとめてご覧になりたい方は、左にある categories のグラウンドカバープランツをクリックして下さい。)

その他のGCP(1)

  • 2019.03.14 Thursday
  • 05:51
北国のグラウンドカバープランツ  その12  その他のGCP(1)

グラウンドカバープランツ(GCP)の紹介も12回目になり、これで主なものは紹介できたように思います。最後はあれこれ二回に分けて紹介していきましょう。

ロックローズはハンニチバナ科の小低木で、ヨーロッパの山地原産です。これに初めて出会ったのは、学生の時の帰省中に日本橋三越の屋上にあった園芸コーナーで、このタネを見つけたのです。戻ってから圃場で播いてみると翌年には赤やピンク、白の一重の花が咲きました。でもそれ以来全く見たことがなかったけれど、カントリーガーデンを造る時に植物材料をオランダから輸入することになり、そのリストにあったので、4品種を導入することができました。今でも残っているのは、この‘アマビレ・プレヌム’(Helianthemum nummularium 'Amabile Plenum')だけではないでしょうか。けっこう花期が長く楽しめますが、アルカリ性土壌を好むので、滝野の火山灰土ではだんだん衰退するのかもしれません。
ロックローズ

フオプシス(Phuopsis stylosa)も、初めて出会ったのは学生の時。先生の知り合いという学園大近くの平岸街道に沿った家で初めて出会いました。その後植物園のロックガーデンの一番奥に生えているのを見つけ、圃場に持って来たのです。コーカサスからイラン原産のアカネ科の植物で、フオプシスがなじめなくて「ハナムグラ」という和名を勝手に付けていました。
フオプシス

サポナリア・オキモイデス(Saponaria ocymoides)も学生の時に、駅前にあった札幌興農園でタネを見つけ、さっそく播いて増やしたのが最初の出合いです。ヨーロッパ中南部原産のナデシコ科の植物で、どんどん大きく育って隣の植物に被さるほどでした。
サポナリア

ポテンチラ(Potentilla neumanniana (verna)) は、比較的新しく出回ってきた植物で、グラウンドカバープランツがブームになり、たくさん流通し始めてから、道内に入ってきたように思います。日当たりさえよければどんどん広がり、しょっちょう散髪していないと株が蒸れてしまうほどです。ずっとポテンチラ・ウェルナだと思っていたら、今はポテンチラ・ネウマンニアナに変わっておりました。
ポテンチラ

リシマキア(Lysimachia nummularia) もポテンチラと同様に、急速に流通経路で広まってきた植物です。同じくリシマキア属のヤナギトラノオやクサレダマ同様、湿ったところを好む植物で、植栽場所には注意が必要です。葉の黄色い‘オーレア’は、強光線下では葉焼けすることが多いので、半日陰に植えてやりましょう。
リシマキア

ワイヤープランツ(Muehlenbeckia complexa)は、ニュージーランド原産のタデ科の植物で、私はずっと温室植物だと思っていました。興部で大きなガーデンを作っていたKさんのところに行った時に、ここでも全然平気で越冬するんだよと教えられて、びっくりしたことを思い出します。Kさんは、葉の大きさや形の違う種類を何種も集めていて、耐寒性などを試していました。
ワイヤープランツ
管内のフラワーマスターの代表を永らくされていて、とてもいろんなことに精力的に取り組まれていたのですが、残念ながら早くに亡くなられて、その後あのガーデンはどうなったんだろうと、ワイヤープランツを見るたびにふと思ってしまいます。

イネ科GCP

  • 2019.02.16 Saturday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ  その11  イネ科などの植物たち

今回はイネ科のグラウンドカバープランツを。最も普及しているのは、なんといってもフウチソウでしょう。本種は本州中部に自生のあるウラハグサ(Hakonechloa macra)の黄縞斑(きしまふ)品種で、原種は属名の由来となった箱根に、特に多く自生しているのだそう。緑葉として使われるのは多分原種なんでしょうが、少し草丈が高くなるので、やや扱いにくくなります。このような縁取りにすると、雑草には絶対に負けないし、メンテナンスフリーの無敵の素材です。
フウチソウ

森のガーデンで見つけたのですが、稀に白縞斑のものがあり、層雲峡の滝に因んで『流星』と名付けました。うまく使い分けるといいかもしれません。
流星

黄金葉のものは、葉緑素が足りないのかいまいち生育がよくありません。暗いところならなんとかなるのかもしれませんが、日焼けしそうで扱いが難しいです。
黄金葉

フウチソウより葉の幅が広く、もっとがっちりしているのが「ササスゲ」の名で流通し始めているもので、本来の植物名は道内にも自生のあるタガネソウ(Carex siderosticta)です。これはイネ科ではなくカヤツリグサ科の植物ですが、形態的には同じ扱いになるので入れておきました。これは‘大宝錦’という品種で、森のガーデンには4品種が植えられており、黄斑や黄金葉など、半日陰地では極めて丈夫なグラウンドカバープランツとなっています。
ササスゲ

細長く涼しげな斑入り葉を繁らせるのがリボングラス。これにそっくりで、葉がなよっとして垂れ下がり、茎が少し立ち上がる斑入りクサヨシとは、なかなか見分けるのが大変です。ネットで調べても、外国ではどちらも‘Ribbon Grass’としているようで、なんだかよく分かりません。確実に見分けるのは、掘り上げて根を見れば、リボングラスは数珠状に肥大して根茎を持っています。
リボングラス

我が国にたくさん自生しているササの中でも、コグマザサが一番よく使われているでしょう。これもいろんな種が「コグマザサ」の名で流通しているようなので、なんだか面倒です。これは中島公園の日本庭園に植えられているもので、このような半日陰地のカバーとして使われることが多いのですが、最近マンションの外構に植えられているのをよく見かけます。
コグマザサ

これは近くのマンションのものですが、春先にはこのように葉が枯れて見苦しくなります。これは雪融け後すぐに地際できれいに刈り取ることにより、新芽がきれいに生えそろい、草丈が低く、より密なカバーにすることが出来るのですが、道内の植木屋はコグマザサの扱いを知らないらしく、葉が汚いまま新しい葉が広がってきて、きれいに維持されているのを見たことがありません。
春の姿

本州ではそんなに傷まないので、このクマザサのように縁が隈取りされるのでしょうが。道内でクマザサというと、「熊笹」だとみんな思ってしまいますが、本当は「隈笹」ですからね〜
クマザサ

シャガ・ヒメシャガ

  • 2019.02.12 Tuesday
  • 05:48
北国のグラウンドカバープランツ  その10  シャガ・ヒメシャガ

今回は、和風のグラウンドカバープランツであるシャガとヒメシャガです。
シャガ(Iris japonica)は常緑性の多年草なので、札幌のようにある程度の積雪があれば越冬可能ですが、道内ではかなりマイナーな存在かもしれません。イリス・ヤポニカなんて学名が付いているので、わが国を代表するアヤメのように感じてしまうけれど、残念ながら原産地は中国で、かなり古い時代に渡来したようです。なので、この学名を付けたチュンベリー(Thunberg)は、やたらあちこちに生えていたので当然日本原産と勘違いしたものでしょう。

シャガ

日本のものは3倍体なのでタネが出来ず、その代わりランナーを四方に伸ばして猛烈に広がっていきます。ヒガンバナも我が国のものはすべて3倍体とのことだけど、どうして3倍体だけがやって来たのでしょうか?このため日本中の株は、すべて同じ遺伝形質の可能性があるとのこと。花は一日花なので、花期そのものは長くはありませんが、半陰地の樹林地のカバーには最適で、密なカバーを形成します。滝野公園にもなぜか平成の森に植えられていたのですが、あんな所で増えられては困るので、カントリーガーデンのこもれびの庭に少し持ってきています。

群落

これに対してヒメシャガ(Iris gracilipes)は我が国特産種で、北海道南部から本州、四国、九州北部に自生しています。種小名のグラキリペスは、細長い柄をもったという意味なので、シャガと違ってか弱い花茎をさしているのでしょう。葉も薄く細長くて黄緑色をしており、花がなければイネ科と間違えそう。こちらの方が花は小さいけれど、色が濃くてきれいです。

開花株

この花は昔から大好きで、ずっと庭に植えていたのですが、このところほったらかしにしていることが多くて、知らぬ間に消えてしまいました…(>_<) 数年前に小樽のある古い庭園の調査をしたことがありましたが、その庭はほとんどヒメシャガに覆われていて、花時にわざわざ見に行ったときのものです。これはランナーを伸ばさないので、タネで増えているのでしょう。これが似合う場所がなく、ガーデンなどには植えていませんが、いつかチャンスがあればたくさん植えてみたい植物です。
ヒメシャガ

ラミウム

  • 2019.02.06 Wednesday
  • 05:45
北国のグラウンドカバープランツ  その9  ラミウム

ラミウムは、最近よく使われるようになった、半日陰向きのグラウンドカバープランツです。一般に出回っているのはラミウム・マクラツム(Lamium maculatum)の園芸品種でしょう。ヨーロッパから西アジアにかけて自生があり、種小名の maculatum は「斑の入った」という意味なので、原種にも少し模様が入るのか、英名は Spotted Dead Nettle (斑の入ったイラクサ)となっています。最も一般的なものは、このように銀白色に色付いており、密に地面を覆うので、半日陰地のカバーにはもってこいなのです。
ラミウム

我が家にあるものは、‘ビーコン シルバー(Beacon Silver)’で、これが一番出回っているかと。雪融けと共にもりもりと茎を伸ばし、地面を覆っていきます。開花期は5月下旬〜6月中旬と結構長く、白っぽくなっている葉の中で、赤紫の花がよく目立ちます。
ビーコンシルバー

白花もよく見かけ、多分‘ホワイト ナンシー(White Nancy)’だと思いますが、一面真っ白になってきれいです。
ホワイトナンシー

葉の模様は、全面が真っ白になるものと、このように筋状の斑が入るタイプがあります。なんとなくこちらのタイプの方が広がり方が弱いように思うのですが、どうなんでしょうか?これは市松模様に見えるので、‘チェカーズ(Chequers)’という品種です。
チェカーズ

これらによく似ているのですが、もう少し大柄の茎葉をもち、花が黄色いラミウムもよく見かけます。これはラミウム・ガレオブドロン(Lamium galeobdolon)で、和名もないので舌をかみそうです。この草の匂いをかいだことがありませんでしたが、種小名の galeobdolon は「イタチの匂い」なんだそうなので、思い切り臭いのでしょうか…)^o^(
ガレオブドロン

たくさんある英名の中では、アルミニウム プラント(aluminium plant)あたりがなじみやすいけれど、うまく定着できるかな。これも半日陰を好み、マクラツム種より草丈が高くなるので、ほかの草に覆い被さってしまう危険性があります。
花のアップ

いずれも半日陰で適湿な土壌を好みますので、家の周りなどでは出番が多いグラウンドカバープランツです。

セラスチウム

  • 2019.01.28 Monday
  • 05:48
北国のグラウンドカバープランツ   その8  セラスチウム

学名的にはケラスチウムですが、セラスチウムが慣用的に使われているので、ここではそのままにします。最もよく使われているのが、シロミミナグサ(Cerastium tomentosum)で、乾燥地に適したグラウンドカバープランツの代表とも言えるものです。
セラスチウム

本種はヨーロッパアルプスが原産で、花は真っ白だし、tomentosum(細毛のある)の名の通り、葉も銀色に輝いて、英名の Snow-in-Summer の通りの姿です。
草姿

セラスチウムには、もう一種タイリンミミナグサ(C. grandiflorum)があり、大学の圃場に植えられていて、矮性の植物を集めた高床ボーダーの一番端にあったので、名前と学名を覚えた最初の植物でした。
タイリンミミナグサ

濃緑色の葉の色と、真っ白な花のコントラストがとてもきれいです。grandiflorum (グランディフロールム)の名の通り、花が大きいのが特徴ではありますが、なかなか一緒に生えていることがなく、比べたことがありませんでした。
葉の様子

数年前に、円山の道路の植樹桝に両種が植えられているのを見つけ、初めて花を比べることができました。確かにこうしてみると、「大輪」と付くだけあって少し大きいのは確かだけど、まぁ誤差の範囲内でしょうか…
花の比較

葉を比べてみると、シロミミナグサ(左下)の方が肉厚で、真っ白に細毛が生えているのがよく分かります。
葉の比較

どちらも日照と乾燥を好むので、厳しい環境でも元気に育ちます。花は短期間で終わってしまうので、やはりシロミミナグサの方がグラウンドカバーとしては魅力的だといえるでしょう。

フッキソウ

  • 2019.01.25 Friday
  • 05:52
北国のグラウンドカバープランツ その7  フッキソウ

今月は仕事3本抱え込み、毎日引きこもりが続くので、このシリーズのはかどること。こうやって見直していくのは、私自身のためにもなるので、結構楽しい作業になっています。シリーズ第7弾は、我が国が生んだ最高のグラウンドカバープランツと言ってもよい「フッキソウ」です。
フッキソウ(Pachysandra terminalis)は、富貴草と書き、常緑の葉を広げている姿がめでたいと名付けられたものです。草が付くけれど、一応草質木本として低木の仲間に入れられるのに、例えば平凡社の『日本の野生植物』という図鑑では、なぜか草本編の中に入っています。
フッキソウ

北海道から九州まで全国の林内に自生し、中国まで分布しているとのこと。東アジアに4種と北アメリカに1種の、典型的隔離分布をしている仲間です。茎は地面を這って節から発根し、脇芽を分岐して広がるため、グラウンドカバーには最適な性質を持っています。林床植物ではあるけれど、肥沃な土壌で適湿さえ保てば、かなりの陽地でも生育可能です。札幌駅前通の中央分離帯では、地中灌水を行っているので、問題なく生育しています。春早くに花を咲かせますが、花弁はなく、雄蕊(ゆうずい)の白い花糸(かし)が肥大してよく目立つのです。
花

花の上部に雄蕊が集まっているのに対し、雌蕊(しずい)は下の方に目立たなく付いていて、うまく受粉すると白く瑞々しい果実が肥大してきます。ほんのりした甘さがあり、美味しいとまでは言えないけれど、時々つまんでみたくなります。
果実

葉に白い斑が入っているものは、昔から山草としては流通しているけれど、グラウンドカバーとして使われているのは見たことがありません。値段的にもそんなに変わらないのに、なかなか使われないのは、やはりこの艶々した緑色の葉に魅力を感じるからなのでしょうか。
斑入り

植木屋時代にも、フッキソウにはずいぶん助けられました。これはもう37年も昔に造った庭先の画像ですが、フッキソウを植えると足元が引き締まるというか、まさに『根締め』の植物として、和洋いかなる場所にも使える最適な植物といえるでしょう。
永渕邸

コトネアスター

  • 2019.01.23 Wednesday
  • 05:43
北国のグラウンドカバープランツ その6  コトネアスター

最近よく見かけるようになったグラウンドカバープランツです。コトネアスター属は、分け方によって70〜400種以上もの大きな仲間で、温帯アジアからヨーロッパ、北アフリカなどに自生しているけれど、大部分は中国北西部に集中しています。
我が国にはそのうちの一つ、ベニシタン(Cotoneaster horizontalis)が庭木や生垣として利用されており、札幌でもたまに見かけます。本種は落葉性なので、秋に葉が落ちてから真っ赤な果実がよく目立ちます。ベニシタンもホリゾンタリス(水平の)の名の通り、枝を横に伸ばして粗いカバーを作ることはできますが、ちょっとグラウンドカバーにはなりません。
ベニシタン

そこでまず導入されたのが、コトネアスター・サリキフォリウス(C. salicifolius)種で、サリキフォリウス(ヤナギのような葉を持つ)の種名から、ヤナギバシャリントウという和名が与えられました。シャリントウとは、花が車輪のようで、桃のような果実を付けることから、コトネアスター属の和名がシャリントウ属という和名になったものですが、かなり無理があります…(^^;)
ヤナギバシャリントウ

本種は常緑性で、枝の分岐性もいいし、よく伸びるので、非常に密なカバーを作ります。伸びすぎるので、時々カットしなければ際限なく広がってしまいます。
緑の葉

現在流通しているのは、‘オータムファイア(Autumn Fire)’という、特に赤い果実が目立つ品種がほとんどで、長ったらしい名前を呼ばないで、オータムファイアで通用するようになりました。
果実

その後流通してきたのが、やはり常緑性でより葉が細かく、さらに密なカバーを作ることができるダンメリ種(C. dammeri)です。
ダンメリー

花はみんな同じ形で、この形から車輪桃の名が生まれた訳です。1センチに満たない小さな花なので、花が咲いていることすら気付かないでしょう。
花

秋になって赤く色付いてくると、濃い緑の葉とのコントラストが見事なことから、よく目立つことになります。どちらの種も一旦カバーが完成してしまえば、非常に堅固で密なカバーを作ってくれることから、グラウンドカバープランツではよく使われるようになりました。灌水や除草などの手間もかからない優れものですが、枝の伸びがよすぎるので、時々散髪してやらないと見苦しくなるかもしれません。
果実

シバザクラ

  • 2019.01.19 Saturday
  • 05:47
北国のグラウンドカバープランツ その5  シバザクラ

北海道では、グラウンドカバープランツで一番早く脚光を浴びたのが、多分シバザクラではないでしょうか?家や畑のちょっとした法面に植えられていたものが、ここ滝上(たきのうえ)では、約60年も前から少しずつ拡大を続け、今では総面積10万平米になっているとか。私は開花の時期に行ったことがないのですが、町中に香りが漂うのだそうです。
滝上

道内では、東藻琴や遠軽、留寿都など、大規模な植栽があちこち見られます。でも開花期以外の時期には、誰も訪れる人はいないので、こういう修景は維持するのが大変でしょう。といっても、検索をかけてみると全国にシバザクラの名所がたくさんあるのにビックリ。シバザクラは、本来アメリカ中部の山地に自生する植物なので、高温多湿環境下では蒸れやすいと思うのですが。このような植栽景観は、わが国独特のものでしょうねぇ
東藻琴

グラウンドカバープランツの範疇では、このように身近なところで法面を押さえているものが本来の使い方でしょう。春に車を走らせていると、おおっと思うほど素晴らしいところはたくさんあります。ニセコや木古内など、普通の農家さんなのに、観光バスが行くところもあるようです。
法面

でも花の色がこのようにどぎついと、ちょっと引いてしまいます。これは町内のバス停裏にある、街区公園の擁壁ブロックに植えられたもの。このような使い方は勘弁してほしいです。
擁壁ブロック

オーダーかける時には、ピンクとか白で頼んでいると、どんなピンクだか分かりません。専門業者だと、品種指定して、きちんと色を合わせられるようにしているところもあるようですが、せいぜいこのくらいの淡い色を基調にしてほしいものです。
淡い紫

自宅には、覆輪品種の‘多摩の流れ’だけ少し植えているけれど、道端なので時々むしり取られることがあります。でも株が更新できるし、これが広まるのならよしとしていますが。
多摩の流れ

タイム類

  • 2019.01.16 Wednesday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ その4  タイム類

代表的なハーブとして知られるタイム類も、グラウンドカバーとしてはかなり昔から使われていました。その筆頭が、花の鮮やかなヨウシュイブキジャコウソウ(Thymus serpyllum)でしょう。ヨーロッパ一円からアフリカ北部にかけて自生しており、たくさんの変異が知られています。
ヨウシュイブキジャコウソウ

ハーブとして使われるクリーピングタイムも。学名的には本種に含まれるのですが、グラウンドカバーとして使われているものとかなり様子が違います。このあたりがどうなっているのか、昔から不思議でした。
クリーピングタイム

ヨウシュイブキジャコウソウは、開花すると色がまぶしい感じはするものの、草丈はほんの数センチで密なカバーを作るため、よく植えられました。これはさとらんどに植えたものなので、25年くらい前のものですが。
使用例

花のない時期には、コケのようにぺったり貼り付いているので、雑草が入るとすぐに見つけられるので、却って丈夫なカバーになったのでしょうか。
花のない時期

日本産のイブキジャコウソウ(T. quinquecostatus)も、同様に使われていたのですが、これが間違いなくイブキジャコウソウだ!という自信がないままになっています。この画像はWikiから借りた自生地の姿ですが、花の色が少し薄いくらいで、なかなか区別がつきません…(>_<)
イブキジャコウソウ

このところ(といっても20年くらい前からですが)よく植えられるようになったタイムが、タイム・ロンギカウリス(T. longicaulis)です。ロンギカウリスとは、長く伸びる茎という意味だけど、みんな長く伸びるのですが… イベリア半島あたりが自生地で、セルフィルム種の変種とする説もあるようです。
ロンギカウリス

大きな違いは、花序が丸く集まっているのと、葉が少し大きく、緑が鮮やかな点でしょうか。茎が幾重にも覆い被さるので、カバーの厚みはヨウシュイブキジャコウソウよりもかなり厚くなり、より丈夫なカバーになるようです。現在使われているタイム類のグランドカバーは、ほとんどこれでしょう。
花のアップ

創成川公園の整備では、二段護岸の中段にわずか3cmの土しか入れられない植えますができていました。コンクリートで覆うのも嫌だけど、これしか厚みが付けられないので、なんとかならないでしょうか?と無理難題が。仕方なく、持続性のある保水材を使って本種を植え込みました。すると、3年くらいは全然平気だったのですが、ここ数年、株が上に逃げ始めています。土壌厚が薄いので、貼り付いていると煮えてしまい、少しでも風通しのいい壁際の方が居心地がいいのでしょうか?よく分かりませんが、もう少し様子を見ていきたいと思います。
創成川

アラビス・オーブリエタ

  • 2019.01.13 Sunday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ その3 アラビス・オーブリエタ

春一番に咲くグラウンドカバープランツは、多分アラビス(Arabis alpina)でしょう。日当たりのいい所でないと育たないので、雪解け後真っ先に花を咲かせてくれます。基本種は白花ですが、植えられているのはピンクの方が多いと思います。北国では、この時期白を見飽きているので、ピンクにあこがれがありますからね。
アラビス

アブラナ科の植物で、ヨーロッパ各地からアフリカ北部にかけての山地や岩礫地に自生しているようです。大変花着きがいいので、満開になると花に覆われてしまいます。
白花

春一番に花が咲いて、あとはあまり見どころがなくなるのは仕方ないものの、かなり密なカバーを作るので、まず雑草が侵入することはないでしょう。株分けも容易なので、便利な素材と言えるでしょう。
咲き始め

アラビスの仲間には山草として植えられるものがあり、亜種であるアラビス・アルピナ・コーカシカ(A.alpina subsp.caucasica)や、アラビス・フェルディナンディ-コブルギー(Arabis ferdinandi-coburgii)なんて舌をかみそうなものが、滝野公園の峠の庭や、意外と近所の庭先などに見かけたることもあります。
フェルディナンディ

アラビスより少し遅く、ゴールデンウィークの頃に咲いてくるのがオーブリエタ(Aubrieta deltoidea)。私が学生の頃にはオーブリエチア(Aubrietia)だったのに、いつの間にやら変わっています。本種もアラビス同様アブラナ科の植物で、南東ヨーロッパが原産です。
オーブリエタ

花色は青紫から赤紫まで、若干の変化はありますが、暖かみのある花色なので満開になるととても見事です。
咲き始め

このような日当たりのよい植えますのカバーには最適で、これは宮の森にある美容室前の花壇ですが、30年くらい前からほとんど変化していないように思います。
満開

どちらも大変よく似ているので、花の時期以外に見比べたことはありませんが、アラビスの方が葉が広く、オーブリエタの葉は小さく尖り、やや銀白色になるくらいですかねぇ。

ビンカ・マヨール

  • 2019.01.11 Friday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ その2 ビンカ・マヨール

第2弾は、同じビンカの仲間のビンカ・マヨール(Vinca major)です。属名のウィンカ(Vinca)とは、ラテン語の結ぶ・縛るから来ているそうで、丈夫なツルを持っていていることから来ています。原産地はミノール種よりもやや南の、南ヨーロッパからアフリカ北部で、その分耐寒性が劣っているようです。マヨール(メジャー)の名の通り、ミノール(マイナー)種よりはるかに大きな葉を持っており、花も大きくなります。
緑葉

これも緑葉は陰気になりがちなので、葉に斑が入ったものがよく使われ、一般的には白い覆輪斑(ふくりんふ)のものをよく見かけます。花は、紫以外のものを見たことがなかったような…
白覆輪

黄斑(きふ)と言っていいのか分かりませんが、やや黄色みを帯びたものもよく見かけます。
黄斑

数年前に近くで見つけた斑入り葉は、中斑というほどの斑でもなく、遠目には栄養不良の葉に見えるので、あまりパッとしませんでした。
中斑

マヨール種の特徴は、極めて生育が旺盛であることで、よく肥えた場所だと1mくらいは軽くツルを伸ばします。といっても、ツルから発根したり付着根を持っている訳でなし、巻きひげや巻きつるを持っている訳でもないので、お互いもたれあって背伸びをする程度。近くに草丈の低いものを植えていると、覆い被さっていくので注意が必要です。
立ち上がり

このため、この例のように街路樹の植えますに植えておけば、勝手に盛り上がって、雑草の侵入も防いでくれるでしょう。
植えます

問題は耐寒性が弱いことで、本来は常緑性ですが、北国では地上部が枯れてしまい、宿根草扱いになってしまいます。春早くに新芽が伸びてくるため、もたもたしていると枯れた蔓を取り除くのが大変になるので、秋にきれいさっぱり刈り取った方が無難です。
冬枯れ

※マヨール種にはツルニチニチソウ、ミノール種にはヒメツルニチニチソウという和名があるのですが、いまだかつて使ったことがありません。

ビンカ・ミノール

  • 2019.01.10 Thursday
  • 05:58
本州の知人からの年賀状に、「植物をネットで調べると、たいていこのブログが出てくる。恐るべし。」とありました…(^^;) 7年近く、毎日あーだこーだと駄文を書き続ける訳にも行かず、時にはちゃんとした情報を流さなくてはと、植物の話題はしっかりと流してきました。最近サボり気味だし、連日仕事で引き籠もっていると目新しいこともないので、少しずつ植物ネタを書いていこうと思います。
大学の恩師が、芝生とグラウンドカバープランツが専門だったこともあり、すぐにはまっていきました。植木屋時代になると、いろんな種類を実際に使えることができるようになり、『北国の園芸』に紹介記事を書いたりしていると、それが本州の方に知られて、1986年には共同執筆でわが国初の専門書である『グラウンドカバープランツ』を出版することができました。なので、私にとっては、原点のような植物ジャンルかもしれません。

北国のグラウンドカバープランツ その1 ビンカ・ミノール

記念すべき第1号は、やはり最も利用されている「ビンカ・ミノール」(Vinca minor)でしょう。キョウチクトウ科の常緑草本で、ヨーロッパの中南部から西南アジアにかけてが原産地です。非常に密なカバーを作るので、最も早くからグラウンドカバープランツとして利用されてきました。
ビンカミノール

ツルをどんどん伸ばしながら広がることや、ツルが接地するとすぐに発根するので、より密なカバーを作ります。このため一度密生してしまうと、雑草がほとんど侵入できなくなります。陽陰を問わず生育できることも、本種の優れた特徴でしょう。ただ本来の緑葉では、半陰地ではどうしても陰気な雰囲気になってしまいます。
緑葉

このため、そういう場所では葉に斑が入っているものを使うと、かなり明るく感じます。一般的には黄斑のビンカが出回っています。
黄斑

白斑の品種もあるのですが、斑が葉の縁に細く入るので、あまり目立たないかもしれません。花は5月に入るとすぐに咲いてきて、濃紫色から赤紫、薄い紫、ピンク、白など多彩ですが、花期が短いので、あまり目立ちません。
白斑

ビンカ・ミノールは大変丈夫なので、ツルを切って挿しておけば、ほぼ100%活着するほどです。どこかで分けてもらうことができれば、ツルをつまんで20cmくらいにカットします。少し切り詰めることで、そのカバーもツルが更新できるので、却ってその方が元気よく復活します。カバーを作る時に、あまりにまばらに植えるとなかなかカバーができないし、雑草の侵入を許してしまいます。これはポットが植えられたものですが、あまりにケチってだめな例になってしまいました。
まずいやり方

これはある場所で試験植栽した時のものですが、ポット苗を植える場合だと、最低36pot/m2は必要です。カットしたつるを植える場合には、土壌改良した場所にこのくらいの密度でツルを配置し、上から土をふるいで軽くかけ、ツルが半分くらい土を被った状態にしておきます。乾かないよう灌水に注意しておけば、半月くらいで活着してくれるはずです。
正しいやり方

これはポット苗を植えて、ちょうど一ヶ月後の状態ですが、既にカバーが完成してきています。このくらい成長が早いのです。
一ヶ月後

さらに二ヶ月目の様子を見ると、より厚くカバーが完成してきており、こうなれば安心です。最も気をつけたいのは、初めの地拵えの際に、スギナやヒメスイバ、キレハノイヌガラシなど、地中に地下茎を張り巡らせる雑草を残さないことです。その場合は浸透移行性の除草剤でしっかり除草してからの方が、あとから後悔しなくて済むでしょう。
2ヶ月後

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