シバザクラ

  • 2019.01.19 Saturday
  • 05:47
北国のグラウンドカバープランツ   その5  シバザクラ

北海道では、グラウンドカバープランツで一番早く脚光を浴びたのが、多分シバザクラではないでしょうか?家や畑のちょっとした法面に植えられていたものが、ここ滝上(たきのうえ)では、約60年も前から少しずつ拡大を続け、今では総面積10万平米になっているとか。私は開花の時期に行ったことがないのですが、町中に香りが漂うのだそうです。
滝上

道内では、東藻琴や遠軽、留寿都など、大規模な植栽があちこち見られます。でも開花期以外の時期には、誰も訪れる人はいないので、こういう修景は維持するのが大変でしょう。といっても、検索をかけてみると全国にシバザクラの名所がたくさんあるのにビックリ。シバザクラは、本来アメリカ中部の山地に自生する植物なので、高温多湿環境下では蒸れやすいと思うのですが。このような植栽景観は、わが国独特のものでしょうねぇ
東藻琴

グラウンドカバープランツの範疇では、このように身近なところで法面を押さえているものが本来の使い方でしょう。春に車を走らせていると、おおっと思うほど素晴らしいところはたくさんあります。ニセコや木古内など、普通の農家さんなのに、観光バスが行くところもあるようです。
法面

でも花の色がこのようにどぎついと、ちょっと引いてしまいます。これは町内のバス停裏にある、街区公園の擁壁ブロックに植えられたもの。このような使い方は勘弁してほしいです。
擁壁ブロック

オーダーかける時には、ピンクとか白で頼んでいると、どんなピンクだか分かりません。専門業者だと、品種指定して、きちんと色を合わせられるようにしているところもあるようですが、せいぜいこのくらいの淡い色を基調にしてほしいものです。
淡い紫

自宅には、覆輪品種の‘多摩の流れ’だけ少し植えているけれど、道端なので時々むしり取られることがあります。でも株が更新できるし、これが広まるのならよしとしていますが。
多摩の流れ

タイム類

  • 2019.01.16 Wednesday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ   その4  タイム類

代表的なハーブとして知られるタイム類も、グラウンドカバーとしてはかなり昔から使われていました。その筆頭が、花の鮮やかなヨウシュイブキジャコウソウ(Thymus serpyllum)でしょう。ヨーロッパ一円からアフリカ北部にかけて自生しており、たくさんの変異が知られています。
ヨウシュイブキジャコウソウ

ハーブとして使われるクリーピングタイムも。学名的には本種に含まれるのですが、グラウンドカバーとして使われているものとかなり様子が違います。このあたりがどうなっているのか、昔から不思議でした。
クリーピングタイム

ヨウシュイブキジャコウソウは、開花すると色がまぶしい感じはするものの、草丈はほんの数センチで密なカバーを作るため、よく植えられました。これはさとらんどに植えたものなので、25年くらい前のものですが。
使用例

花のない時期には、コケのようにぺったり貼り付いているので、雑草が入るとすぐに見つけられるので、却って丈夫なカバーになったのでしょうか。
花のない時期

日本産のイブキジャコウソウ(T. quinquecostatus)も、同様に使われていたのですが、これが間違いなくイブキジャコウソウだ!という自信がないままになっています。この画像はWikiから借りた自生地の姿ですが、花の色が少し薄いくらいで、なかなか区別がつきません…(>_<)
イブキジャコウソウ

このところ(といっても20年くらい前からですが)よく植えられるようになったタイムが、タイム・ロンギカウリス(T. longicaulis)です。ロンギカウリスとは、長く伸びる茎という意味だけど、みんな長く伸びるのですが… イベリア半島あたりが自生地で、セルフィルム種の変種とする説もあるようです。
ロンギカウリス

大きな違いは、花序が丸く集まっているのと、葉が少し大きく、緑が鮮やかな点でしょうか。茎が幾重にも覆い被さるので、カバーの厚みはヨウシュイブキジャコウソウよりもかなり厚くなり、より丈夫なカバーになるようです。現在使われているタイム類のグランドカバーは、ほとんどこれでしょう。
花のアップ

創成川公園の整備では、二段護岸の中段にわずか3cmの土しか入れられない植えますができていました。コンクリートで覆うのも嫌だけど、これしか厚みが付けられないので、なんとかならないでしょうか?と無理難題が。仕方なく、持続性のある保水材を使って本種を植え込みました。すると、3年くらいは全然平気だったのですが、ここ数年、株が上に逃げ始めています。土壌厚が薄いので、貼り付いていると煮えてしまい、少しでも風通しのいい壁際の方が居心地がいいのでしょうか?よく分かりませんが、もう少し様子を見ていきたいと思います。
創成川

アラビス・オーブリエタ

  • 2019.01.13 Sunday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ   その3 アラビス・オーブリエタ

春一番に咲くグラウンドカバープランツは、多分アラビス(Arabis alpina)でしょう。日当たりのいい所でないと育たないので、雪解け後真っ先に花を咲かせてくれます。基本種は白花ですが、植えられているのはピンクの方が多いと思います。北国では、この時期白を見飽きているので、ピンクにあこがれがありますからね。
アラビス

アブラナ科の植物で、ヨーロッパ各地からアフリカ北部にかけての山地や岩礫地に自生しているようです。大変花着きがいいので、満開になると花に覆われてしまいます。
白花

春一番に花が咲いて、あとはあまり見どころがなくなるのは仕方ないものの、かなり密なカバーを作るので、まず雑草が侵入することはないでしょう。株分けも容易なので、便利な素材と言えるでしょう。
咲き始め

アラビスの仲間には山草として植えられるものがあり、亜種であるアラビス・アルピナ・コーカシカ(A.alpina subsp.caucasica)や、アラビス・フェルディナンディ-コブルギー(Arabis ferdinandi-coburgii)なんて舌をかみそうなものが、滝野公園の峠の庭や、意外と近所の庭先などに見かけたることもあります。
フェルディナンディ

アラビスより少し遅く、ゴールデンウィークの頃に咲いてくるのがオーブリエタ(Aubrieta deltoidea)。私が学生の頃にはオーブリエチア(Aubrietia)だったのに、いつの間にやら変わっています。本種もアラビス同様アブラナ科の植物で、南東ヨーロッパが原産です。
オーブリエタ

花色は青紫から赤紫まで、若干の変化はありますが、暖かみのある花色なので満開になるととても見事です。
咲き始め

このような日当たりのよい植えますのカバーには最適で、これは宮の森にある美容室前の花壇ですが、30年くらい前からほとんど変化していないように思います。
満開

どちらも大変よく似ているので、花の時期以外に見比べたことはありませんが、アラビスの方が葉が広く、オーブリエタの葉は小さく尖り、やや銀白色になるくらいですかねぇ。

ビンカ・マヨール

  • 2019.01.11 Friday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ   その2 ビンカ・マヨール

第2弾は、同じビンカの仲間のビンカ・マヨール(Vinca major)です。属名のウィンカ(Vinca)とは、ラテン語の結ぶ・縛るから来ているそうで、丈夫なツルを持っていていることから来ています。原産地はミノール種よりもやや南の、南ヨーロッパからアフリカ北部で、その分耐寒性が劣っているようです。マヨール(メジャー)の名の通り、ミノール(マイナー)種よりはるかに大きな葉を持っており、花も大きくなります。
緑葉

これも緑葉は陰気になりがちなので、葉に斑が入ったものがよく使われ、一般的には白い覆輪斑(ふくりんふ)のものをよく見かけます。花は、紫以外のものを見たことがなかったような…
白覆輪

黄斑(きふ)と言っていいのか分かりませんが、やや黄色みを帯びたものもよく見かけます。
黄斑

数年前に近くで見つけた斑入り葉は、中斑というほどの斑でもなく、遠目には栄養不良の葉に見えるので、あまりパッとしませんでした。
中斑

マヨール種の特徴は、極めて生育が旺盛であることで、よく肥えた場所だと1mくらいは軽くツルを伸ばします。といっても、ツルから発根したり付着根を持っている訳でなし、巻きひげや巻きつるを持っている訳でもないので、お互いもたれあって背伸びをする程度。近くに草丈の低いものを植えていると、覆い被さっていくので注意が必要です。
立ち上がり

このため、この例のように街路樹の植えますに植えておけば、勝手に盛り上がって、雑草の侵入も防いでくれるでしょう。
植えます

問題は耐寒性が弱いことで、本来は常緑性ですが、北国では地上部が枯れてしまい、宿根草扱いになってしまいます。春早くに新芽が伸びてくるため、もたもたしていると枯れた蔓を取り除くのが大変になるので、秋にきれいさっぱり刈り取った方が無難です。
冬枯れ

※マヨール種にはツルニチニチソウ、ミノール種にはヒメツルニチニチソウという和名があるのですが、いまだかつて使ったことがありません。

ビンカ・ミノール

  • 2019.01.10 Thursday
  • 05:58
本州の知人からの年賀状に、「植物をネットで調べると、たいていこのブログが出てくる。恐るべし。」とありました…(^^;) 7年近く、毎日あーだこーだと駄文を書き続ける訳にも行かず、時にはちゃんとした情報を流さなくてはと、植物の話題はしっかりと流してきました。最近サボり気味だし、連日仕事で引き籠もっていると目新しいこともないので、少しずつ植物ネタを書いていこうと思います。
大学の恩師が、芝生とグラウンドカバープランツが専門だったこともあり、すぐにはまっていきました。植木屋時代になると、いろんな種類を実際に使えることができるようになり、『北国の園芸』に紹介記事を書いたりしていると、それが本州の方に知られて、1986年には共同執筆でわが国初の専門書である『グラウンドカバープランツ』を出版することができました。なので、私にとっては、原点のような植物ジャンルかもしれません。

北国のグラウンドカバープランツ   その1 ビンカ・ミノール

記念すべき第1号は、やはり最も利用されている「ビンカ・ミノール」(Vinca minor)でしょう。キョウチクトウ科の常緑草本で、ヨーロッパの中南部から西南アジアにかけてが原産地です。非常に密なカバーを作るので、最も早くからグラウンドカバープランツとして利用されてきました。
ビンカミノール

ツルをどんどん伸ばしながら広がることや、ツルが接地するとすぐに発根するので、より密なカバーを作ります。このため一度密生してしまうと、雑草がほとんど侵入できなくなります。陽陰を問わず生育できることも、本種の優れた特徴でしょう。ただ本来の緑葉では、半陰地ではどうしても陰気な雰囲気になってしまいます。
緑葉

このため、そういう場所では葉に斑が入っているものを使うと、かなり明るく感じます。一般的には黄斑のビンカが出回っています。
黄斑

白斑の品種もあるのですが、斑が葉の縁に細く入るので、あまり目立たないかもしれません。花は5月に入るとすぐに咲いてきて、濃紫色から赤紫、薄い紫、ピンク、白など多彩ですが、花期が短いので、あまり目立ちません。
白斑

ビンカ・ミノールは大変丈夫なので、ツルを切って挿しておけば、ほぼ100%活着するほどです。どこかで分けてもらうことができれば、ツルをつまんで20cmくらいにカットします。少し切り詰めることで、そのカバーもツルが更新できるので、却ってその方が元気よく復活します。カバーを作る時に、あまりにまばらに植えるとなかなかカバーができないし、雑草の侵入を許してしまいます。これはポットが植えられたものですが、あまりにケチってだめな例になってしまいました。
まずいやり方

これはある場所で試験植栽した時のものですが、ポット苗を植える場合だと、最低36pot/m2は必要です。カットしたつるを植える場合には、土壌改良した場所にこのくらいの密度でツルを配置し、上から土をふるいで軽くかけ、ツルが半分くらい土を被った状態にしておきます。乾かないよう灌水に注意しておけば、半月くらいで活着してくれるはずです。
正しいやり方

これはポット苗を植えて、ちょうど一ヶ月後の状態ですが、既にカバーが完成してきています。このくらい成長が早いのです。
一ヶ月後

さらに二ヶ月目の様子を見ると、より厚くカバーが完成してきており、こうなれば安心です。最も気をつけたいのは、初めの地拵えの際に、スギナやヒメスイバ、キレハノイヌガラシなど、地中に地下茎を張り巡らせる雑草を残さないことです。その場合は浸透移行性の除草剤でしっかり除草してからの方が、あとから後悔しなくて済むでしょう。
2ヶ月後

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