その他のつるもの

  • 2020.03.16 Monday
  • 05:40
北国のつるもの  その17 その他のつるもの

壁面など、立体的な修景緑化ができるつるものの紹介も、いよいよ最終回になりました。まずは山野によくあるノブドウです。ノブドウ(Ampelopsis glandulosa var. heterophylla)は、ブドウ科ですがブドウとは別のノブドウ属の植物で、東アジア一帯に自生しているようです。ブドウのような房にはならず、株を覆い尽くすようにまばらな果実を付けます。
ノブドウ

Wikiによると、ノブドウの正常な果実は白色で、虫が寄生して虫こぶになった果実が青や紫に色付くのだそう。それならこの画像の果実はすべて寄生果ということになります。(いい画像がなかったので、これは Wikipedia からお借りしました。m(__)m)
ノブドウの果実

ノブドウには斑入りの品種(A. g. 'Elegans')があるので、よく見かけるようになりました。でも性質は大変強くてよく伸びるので、放任しないように注意が必要です。
斑入りノブドウ

ちなみにかみさんはノブドウが大好きで、自分の焼いた器にはノブドウ柄がたくさん描かれています。ゴミステーションのところに生えていた株は、毎年可愛い実を付けていたけれど、家が建ってなくなってしまったのは残念です。
  春日のノブドウ
ナツユキカズラも大変旺盛な成長をするので、油断大敵なつるものです。これは事務所のすぐ近くにある株で、時々切り詰めているようだけど、すぐにもりもりと覆い尽くしてしまいます。
ナツユキカズラ

ナツユキカズラ(Fallopia baldschuanica)は、タデ科イタドリ属の植物で、花をよく見ればイタドリによく似ていることが分かります。中国の奥地からカザフスタン、ロシアにかけて自生しているようで、Russian-vine や Chinese fleecevine と呼ばれているようです。9月に花が咲く、貴重な秋のつるものです。
白い花

チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)は東アジアに広く分布するマツブサ科のつるもので、道内の山地でもよく見かけます。強い日当たりは好まないようで、樹陰にひっそりと生育している雰囲気があります。ゴミシは漢方では五味子といい、この実を食べると甘味、酸味、辛み、苦味、鹹(塩味)の五つの味が舌を襲ってくるのでこの名があります。
五味子

本種は雌雄異株のため、株を採取する場合には果実が生っているものを選ぶか、花時に雌花がついている株を選ぶ必要があります。この画像は雄花のため、5本の雄しべはありますが、雌しべは退化して見当たりません。 (つるもののトップに戻る)
チョウセンゴミシ

草本性のつるもの

  • 2020.03.15 Sunday
  • 06:04
北国のつるもの  その16 草本性のつるもの

つるものの中には、冬にはつるが枯れてしまい、根株だけが残る宿根性のものがあります。雪が載っかってアーチが傷むこともないので、管理上は楽だといえるでしょう。代表的なものがホップです。
ホップ(Humulus lupulus)はアサ科の多年草で、明治の初めにやってきたお雇い外国人が、岩内で在来のカラハナソウ(H.l.var. cordifolius)を見つけ、北海道でもビールが作れるぞ!!と開拓使にビール工場を造らせたのが現在のサッポロビールになりました。雌雄異株で、雌株には毬花(まりはな)という松笠状の集合果を作ります。
毬花

ホップとして売られているのはすべて雌株のはずで、どんどんつるを伸ばして二階にまで届いてしまいます。根萌芽が激しいので、油断するとあちこちからツルが伸びてしまい、野良ホップだらけになるので注意が必要です。
恵庭のホップ

大通公園西8丁目にある、リラの会が管理している花壇にもホップが植えられています。(スポンサーはサッポロビール)ホップのつるは10mは軽く伸びるため、可愛いアーチだとちょっとかわいそう。でも大通公園でホップが見られるので、観光客には大好評でしょう。
大通のホップ

アピオスも大変丈夫で、旺盛な生育をする草本性のつるものです。正式にはアメリカホド(Apios americana)といい、北アメリカの原産のマメ科の多年草です。大変栄養価が高く、インディアンが食べていたのでインディアンポテトとよばれます。青森の南部地方でよく作られているのは、明治の初めにアメリカから導入したリンゴの苗木に紛れ込んだといわれます。
アピオス

秋に掘りあげると、ずらりと繋がった塊茎が出てきます。江戸時代の本草学者が、ジャガイモに「馬鈴薯」を当ててしまったのが間違いの元。本当はホドイモに当てた漢字だったそうです。確かにジャガイモは馬鈴にならないですからね。これを素揚げにすると最高に美味しいですが、たくさん食べると精が付きすぎるのでご注意を!とのこと。
馬鈴薯

もう一つ、それほど長いつるではないけれど、最近あちこちで見かけるのが宿根スイートピー(Lathyrus latifolius)です。一年草のスイートピー(L. odoratus)と同じく地中海のシチリア島が原産で、宿根性の方は品種改良が進んでいないため、花も小さく花色も濃いピンクから白くらいです。ここは自宅からバス停に行く途中ですが、花時はなかなかきれいです。
スゥィートピー

やせ地でもマメ科特有の旺盛な生育を示すし、こぼれダネでどんどん増えるので、いったん野生化すると厄介です。北大の圃場の一角にもこれが侵入して大変なことになっており、根絶不可能な状態です。植栽する時には、こぼれダネが飛散しないような場所を選んで植える必要があり、このゆにガーデンでの植栽例のように、石積みの肩に植えて垂らしているのはうまい植え方です。 (つづく)
ゆにガーデン

フジ

  • 2020.03.12 Thursday
  • 05:45
北国のつるもの  その15 フジ

つるものシリーズも、ようやく終わりが見えてきました。ここに来て、ようやくつるものの代表ともいえるフジの登場です。フジは普段からちゃんと手なずけていればおとなしく収まってくれますが、ひとたび暴れ始めると手がつけられなくなります。庭園では普通藤棚仕立にしますが、今までに見た藤棚ではここが一番素敵でした。藤本さんとか藤原さんだったか、表札まで確認はしなかったですが。
藤棚

フジには、上から見てつるが右巻き(時計回り)になるノダフジ(Wisteria floribunda)と、左巻きになるヤマフジ(W. brachybotrys)がありますが、ヤマフジは西日本が原産なので、北海道でもヤマフジは栽培されているのでしょうか?品種も、花の色や房の長さ、八重咲きなどの組み合わせでかなりあるようですが、そこまで真剣に見比べたことはありません。
フジの花

たいていは小さくても棚づくりにしているけれど、たまにこのような立体的なものも見かけます。でもつるが絡まって太くなっていくので、いつまでコントロールできるのでしょうか?
仕立て方

つるが地面を這っていき、やがて幹に捉まり始めると、あっという間に木に登っていってしまい、あららあんなところに…ということになってしまうのです。
絡みつき

これは今から36年前に、苗穂にあった庭園で撮したものです。古いリバーサルなので変色しておりますが、このようになれば自然に毎年花を楽しむことができます。絡まれた木が生きているのか、どうだったでしょうか…
  氏家邸

フジの持つ、マメ科特有の強さを示しているのは、この写真でしょう。これも30年近く前に熊石で撮したもので、海岸線にある家の背後に張りめぐらせた落石防止ネットに、フジが絡んで満開になっていたのです。ここのお宅が植えたものかは聞きませんでしたが、ここまで豪快に伸びるのはフジくらいなものでしょう。道内の海岸線には、あちこちにこんなネットが張られているので、こっそりと植えていくと面白いかもしれません。 (つづく)
  熊石

ツルマサキ

  • 2020.03.10 Tuesday
  • 05:49
北国のつるもの  その14 ツルマサキ

ツルマサキ(Euonymus fortunei)は、北国では数少ない常緑性のつるもので、雪解け後の林内ではよく目立ちます。この写真は星置緑地にあるものですが、ここではヤチダモの木に、ツルアジサイ、ツタウルシ、ナツヅタなどと共に、ツルマサキがたくさんくっついています。北海道に来て間もないころには、地面近くにあるものでは葉の大きさは小指の爪程度しかなく、木に絡まっている大きな葉っぱのものとは、全く別の植物だと思っていたくらいです。
   雪解け後

付着根で木の幹を登っていき、条件のいい場所で競合するものがないと、四方に枝を伸ばし始め、まるでツルマサキの木になってしまいます。これは北大農学部前にあるもので、捉まって登った木が枯れていたのでこんなになってしまったけれど、木が腐って倒れてしまえば自分では支えきれません。最近見ないようだけど、雪が融けたら確認に行かなくては。
ツルマサキの木

以前ある先生が、北電にかけ合って電柱緑化を普及させたいと、自宅前の電柱で試験植栽をやったことがありました。ここは住宅地だからいいけれど、町中の電柱の足元に植栽可能な土があることは珍しいので、ちょっと難しいのでは…と思ってしまいましたが。
緑化電柱

ツルマサキには、外国で改良された園芸品種がグラウンドカバープランツとして導入されています。白斑のエメラルドガイティ(E. f. 'Emerald Gaiety')と黄斑のエメラルドゴールド(E. f. 'Emerald 'n' Gold')があちこちに植えられているけれど、ある程度つるを伸ばして這い上がってきても、ツルマサキのように大きな葉っぱにならないのが不思議です。
グラウンドカバー

最もつるものらしい使い方としては、知事公館の西側のフェンスに絡ませたものがピカイチでしょう。多分林務部か林業試験場の方が植えたのでしょうが、鉄のフェンスにしっかりとくっつき、毎年きれいに散髪しているので、とてもすっきりしています。
知事公館

生垣のように何度も刈り込む必要はないし、幅がないので雪対策もいらないし、常緑なのでずっと緑を楽しむことができます。
壁面

でも4〜5年に一度くらいに、寒波にやられて真っ赤になり、春に落葉してしまうことがあります。でもつるが枯れたわけではないので、すぐに芽吹いて元に戻るので、ほとんど気になりません。このような使い方をもっと普及させたいですねぇ。 (つづく)
寒風害

ツルウメモドキ

  • 2020.03.09 Monday
  • 05:42
北国のつるもの  その13 ツルウメモドキ

ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)は、ニシキギ科の落葉・つる性木本で、我が国では北海道から沖縄まで、東アジア一帯に広く分布しています。つるは他の樹木に絡まって覆い尽くしてしまうほど生育が旺盛で、林業では厄介な嫌がられる存在です。豊平公園のバラ園には、40年前に整備された時からアーチに絡ませていたため、暴れるツルの整理が大変でした。
豊平公園

これは町中で見かけた住宅の玄関先ですが、見たところ果実は着いていなかったので、これを植えてもなぁ…と思ってしまいましたが。大通公園の西2丁目には、ノウゼンカヅラ類の反対側(南側)のパーゴラに、雌株が植えられて毎年実が付いています。
玄関先

ツルウメモドキは雌雄異株のため、見どころの多い雌株でないと面白味がありません。実生で増やしたものでは雌雄が分からないため、ある程度の大きさになり、花が咲いたら見分けることが可能になります。雄花には雄しべだけしかなく、雌株では雄しべが退化して、真ん中に先が3つに分かれた雌しべが1本だけあります。
花の図
  (「北海道植物図譜」 滝田 謙譲著、同 発行、2001 より引用させていただきました。)

雌株では8〜9月には果実がびっしり付いてきます。果実が着いていない余分なつるは、この時に整理した方がすっきりします。
雌株

10月半ば過ぎると黄葉し、やがて落葉してから果皮が割れて真っ赤なタネが見えてきます。このコントラストがきれいなので、ドライフラワーやリースの材料にも使われます。 (つづく)
果実

アケビ類

  • 2020.03.06 Friday
  • 05:50
北国のつるもの  その12 アケビ類

アケビ類は、修景用と言うより果実を楽しむものとして、けっこう植えられています。道内にはミツバアケビ(Akebia trifoliata)が自生していて、石狩の防風林やポプラ通でも見たことがありますが、わざわざ植える人は少ないかもしれません。
ミツバアケビ

ミツバアケビの花は、ゴールデンウィーク頃にはもう咲いてきます。固まりになって咲く花をよく見れば、茶褐色で大きな花弁状のガク片を持っているのが雌花で、その下に固まってくっついているのが、雄しべだけを持っている雄花です。つまり雌雄同株で雌雄異花ということに。
ミツバアケビの花

9月末頃になると、浅緑色をしていた果実が薄紫に色付き、熟するにつれてにまぁと口を開けてきます。ほんのりと甘い果肉は、甘いものに慣れてしまった現代では見向きもされませんが、東北地方では果実を天ぷらにしたり、しっかりと料理法が生きているそう。
ミツバアケビの実

本州にはアケビ(A. quinata)が自生しており、小葉が5枚になっています。アケビとミツバアケビの雑種にゴヨウアケビ(A. × pentaphylla)というのがあり、その名の通り小葉が5枚あります。アケビとゴヨウアケビはどこが違うのかと思ったら、アケビの葉にはこの画像のように、突起がなくてつるっとしているのだそう。
葉の比較

これは以前滝野公園のガイドさんが持って来てくれたものですが、この画像ではよく分かりませんが、ミツバアケビの形質を引き継いでいるため、これには突起があるのでゴヨウアケビの果実ということになりました。
ゴヨウアケビ

アケビ類には、ちょっと変わった昆虫が発生します。アケビコノハというガの幼虫で、アケビ類の葉をもりもり食べるし、成虫になったガもナシやモモ、ブドウなどの果実を食害する厄介な害虫だそうです。
アケビコノハ

ところがこの幼虫は、危険を察知すると体を曲げて、腹に付いている目玉模様で鳥をにらみつけるので、思わずひるんでしまうのです。これじゃ人間だって怖いですから。
拡大

親になったガも、上の羽根が枯葉そっくりなためにこの名前がありますが、見事な擬態で鳥などの目をくらませます。それでも見つかった場合には、下の羽を広げて鳥が怖がる目玉模様で威嚇するのです。ガでは最大級の大きさなので、できるだけ食べられないよう、親子でしっかりと防御機能を身に付けてきたのでしょうね。 (つづく)
アケビコノハの成虫
  (この画像は Wikipedia から拝借しました。m(__)m)

マタタビ類

  • 2020.03.03 Tuesday
  • 05:57
北国のつるもの  その11 マタタビ類

マタタビ(Actinidia polygama)は、ネコの大好物として知られ、爪とぎの段ボールには粉末が一袋付いてきます。少し振りかけておくと、確かにゴロニャンとよれてしまい、よだれを垂らしてごろごろしてしまいます。でも生の葉や枝をやっても知らんふりなので、どこを粉末にすれば効き目があるのでしょうか。マタタビは林縁部にごく普通にあり、家の近所にもたくさん生えています。花を咲かせるつるの先の葉が白く色付くのは、送粉昆虫にサインを送って引き寄せているのだそう。
マタタビ

なんの変哲もないつるものではあるけれど、一度だけしっかりと使われているのを見たことがあります。新得駅の近くに設けられたベンチ付きのパーゴラには、どんだけほったらかしにしたんじゃ!とあきれるほどのマタタビが覆い被さって、とても座れたものではありませんでしたが、なかなかいい使い方をされていると思います。
マタタビのパーゴラ

マタタビは全国に自生があるのに対し、ミヤママタタビ(A.kolomikta)はその名の通り本州北部から北海道のやや高地に自生があり、道内でも平地にはほとんどなく、山地や峠に行くとよく見かけます。標高約700mにある大雪森のガーデンには、マタタビはなくてすべてミヤママタタビですが、初めは真っ白になるので、あれ?マタタビがあったか?と思ってしまいます。
ミヤママタタビ

でも半月後に行くと、ほとんどがピンク色に変わっていて、やっぱりミヤママタタビかと納得しました。両者の違いは、マタタビは枝の髄が白色で中実なのに対し、ミヤママタタビの髄はひだ状で中実にならないのだそう。ミヤマの方が葉の付け根が丸くなり、先が少し細長いような気がするけれど、ちゃんと見分け方を確認しなくては。
赤く色付く

ミヤママタタビは、マタタビほどツルが暴れないので、道内では使いやすいように思いますが、そもそも苗の流通がないので、うまく使うことができません。今まで唯一植えたのは、滝野公園の花のテラスに植えているものですが、ちょっともったいない素材です。
ミヤママタタビ

いずれも雌雄異株だと思っていたけれど、雌雄異株か雌雄雑居性とされ、明確に区別ができないのだそうです。これはミヤママタタビの花で、左が雄花、右が雌花です。朝の盤渓の道すがら、路面にマタタビの花が散り始めると夏だなぁと思ってしまいます。
雄花と雌花

世界には40〜60種もの仲間があり、中国産の一種からはキウイフルーツが生み出されましたが、国内にはもう2種全国的にサルナシと南部にシマサルナシが自生しています。サルナシ(A.arguta)はコクワの名で知られ、甘い果実は確かにミニキウイと言っていい甘さです。コクワ棚を作っているのは見たことがありますが、修景的な使われ方はこれが唯一でした。近くにあったクリーニング屋さんの工場の前に植えられていて、なんでコクワを?と思っていたのですが、昨年突然店を閉めてしまい、既に更地になってしまいました。 (つづく)
コクワ

ハニーサックル

  • 2020.03.02 Monday
  • 05:34
北国のつるもの  その10 ハニーサックル

花の美しいつるものに、ハニーサックル(ロニケラ類)があります。一般に出回っているのは、交雑によって作られた園芸品種で、ロニケラ・ヘックロッティ(Lonicera × heckrottii)や黄色い花の多いロニケラ・テルマンニアーナ( L.× tellmanniana)のようです。
ハニーサックル

滝野公園のくらしの花園には、真ん中のアーチに植えたものが、7月になるとたくさんの花を咲かせてくれます。
アーチ修景

でも剪定をサボると枝が衰退し、途端に花着きが悪くなるので、3〜4年おきに強く切り詰めてもらっています。この花の咲き方を見ると、新梢開花性だということがよく分かります。
くらしの花園

8月から9月にかけて、美味しそうな真っ赤な実が生ってきますが、残念ながらこの実は有毒なので、食べることはできません。
ロニケラの実

ロニケラ類でよく見かけるものに、北アメリカ原産のツキヌキニンドウ(L.sempervirens)があります。種小名センペルウィレンスは「常緑性の」という意味ですが、北国ではほとんど落葉してしまうことが多く、せいぜい半常緑性でしょう。大変花着きがよく、6月半ばから咲いてくるのが特徴です。
ツキヌキニンドウ

ツキヌキニンドウの名は、花の下の葉が2枚合着して、花茎が突き抜けている様子から名付けられました。咲き始めの花は花筒の中が黄色いのに、咲き進むと真っ赤になってきます。
葉の様子

我が国に自生しているのはスイカズラ(L.japonica)。和名は「吸い葛」から来ており、つぼみを抜いて蜜を吸ったことからこの名があります。別名を「金銀花」というのは、咲き始めは真っ白なのに、咲き進むと黄色くなって混じって咲いている様子から、「忍冬」は寒さに耐えて冬を生き抜いていることから付けられた名前です。
スイカヅラ

スイカズラを植えているのはあまり見かけませんが、斑入りスイカズラ(L. j. 'Mint Crisp' )はよく植えられています。
斑入りスイカヅラ

ハニーサックルは、放任しておくとつるが絡まってワヤクチャになってしまうので、数年おきにつるを強く切り戻し、枝の更新を図ってやると見た目もすっきりし、元気を取り戻して花もたくさん咲いてくれるでしょう。(つづく)

クレマチス類

  • 2020.02.24 Monday
  • 05:46
北国のつるもの  その9 クレマチス類

花の美しいつるものには、もう一つクレマチス類があります。テッセンと呼ばれていた時代から、和洋いずれにも似合う植物として親しまれ、様々な使い方をされてきました。最近のガーデニングでは、ツルバラと共に欠かせない素材として、ものすごくたくさんの種類が出回っています。
クレマチス

つるもの特有の、自在な使い方ができる特性を活かして、玄関先のわずかなスペースでも、大きめのプランターに植えられたクレマチスによって、洒落た空間に変身しています。
玄関先

多分新枝咲きの品種でしょうから、冬囲いとかの心配がなく、切り戻せばもう一度咲かせることができるでしょう。
八重咲

壁面緑化として使う場合には、つるの伸びが著しいモンタナ系の右に出るものはありません。これは使わなくなくなったトタン貼りの車庫を、ネットで誘引したモンタナによってお洒落にカバーしている例です。
壁面

モンタナ・ルベンス(Clematis montana var.rubens)は、私が大学を出た頃には既にあちこちに植えられていたので、札幌にはかなり古くから入っていたようです。旧枝咲きで一季咲きだけれど、何ともいえない素敵な花だなぁ…といつも見とれていました。
モンタナ

しかし、その旺盛な生育ぶりはかなり脅威で、強く切り詰めると枯れるし、扱いの面倒なつるものだなぁ…という印象も持っています。花の咲いている時であれば、こんな姿もいいなぁと思えるけれど、花が終わってしまえばただの暴れたつるものでしかありません。手なづけるのには難しい素材だと思います。
絡みつき

道内では道南に自生のあるセンニンソウもクレマチスの仲間。ただ、本物のセンニンソウの開花は10月下旬なので、ちょっと利用するには難しいかもしれません。本州産のセンニンソウは夏咲きだと武市さんは言っていたし、センニンソウにそっくりな夏咲き種も出回っているので、そちらなら使えそうです。 (つづく)
センニンソウ
 (札幌で見つけたセンニンソウの開花  10月26日撮影)

ノウゼンカヅラ

  • 2020.02.22 Saturday
  • 05:50
北国のつるもの  その8 ノウゼンカヅラ

花の美しいつるもののトップバッターは、なんといってもノウゼンカヅラでしょう。ノウゼンカヅラ(Campsis grandiflora)はノウゼンカヅラ科の植物で、中国原産ですが、平安時代には既に渡来していたそうです。この株は事務所の近くにあるもので、8月上旬が一番の見ごろになります。
ノウゼンカヅラ

本種は、つぼみのたくさん付いたつるが優美に垂れ下がり、ラッパ状の花筒が短く、ラッパが大きく開くことと、のどの部分が少し黄色くなります。
花のアップ

ノウゼンカヅラ属にはもう一種、北アメリカ原産のアメリカノウゼンカヅラ(C.radicans)があります。多分これも、ユリノキやマンサクなどと共にゴンドワナ要素の一つなんでしょう。こちらはあまり普及していなくて、唯一知っているのは植物園に植えられている株です。ノウゼンカヅラに比べて花筒が細長く、ラッパも小さくてあまり目立ちません。
アメリカノウゼンカヅラ

アメリカノウゼンカヅラはつるの伸びが旺盛で、その割りに花着きがあまりよくなく、花も小さくまとまって咲きます。これには黄花種があり、黄色い花が目立つのでよく植えられるけれども、赤花はあまり目立たないので植えられないのでしょう。
黄花アメリカノウゼンカヅラ

この2種を交雑したものから選抜されたのが、アイノコノウゼンカヅラとも呼ばれるもので、‘マダム・ガレン’(C. × tagliabuana 'Madame Galen')があちこちで植えられています。これは両者の中間型の花を咲かせますが、のどの部分も真っ赤なのと、花の咲き方がアメリカノウゼンカヅラと同じのため、ノウゼンカヅラとは容易に区別できます。
マダムガレン

約30年前の大通公園再整備の際、西2丁目に作られた璧泉の上の大パーゴラにノウゼンカヅラを植えたところ、本物は両側の二本だけで、‘マダム・ガレン’と黄花アメリカノウゼンカヅラが半々くらいに混じっていました。いろんなものが見られてよかったとはいえ、苗木屋さんもちゃんと区別ができなかったのでしょう。
大通公園

20年前に滝野公園に植えたものも、片側は‘マダム・ガレン’で、もう一方はずっと花を咲かせませんでしたが。ようやく数年前に花が咲いて、黄花アメリカノウゼンカヅラであることが分かりました。本物のノウゼンカヅラの苗木をずっと探しているのですが、なかなか見つからなくて困っています。
ポール仕立て

ノウゼンカヅラは普通行灯作りやポール仕立てにされるので、あまり気がつかないのですが、ノウゼンカヅラ類の枝には、無数の付着根が発生して壁面にくっついて登っていきます。今までに見た中で最大のものは、植物園の裏にある教会の壁でしょう。これは‘マダム・ガレン’で、なかなか壮観です。建物だと嫌がられそうだけど、土木構造物にこれをくっつけてみたいと思っているのですがねぇ…(つづく)
壁面緑化

ツルアジサイとイワガラミ

  • 2020.02.20 Thursday
  • 05:50
北国のつるもの  その7 ツルアジサイとイワガラミ

この2種については、以前(といっても8年前ですが…)にも書いたことがありますが、はずすわけにもいかないので入れておきます。ツルアジサイ(Hydrangea petiolaris)は、別名ゴトウヅルともいい、北海道から九州まで広く分布しています。同じアジサイ属のガクアジサイと同様の花を咲かせ、花序の回りに4枚のガク片が付いた装飾花がちりばめられてきれいです。
ツルアジサイ

林内では、他の木の幹に付着根でくっついて這い上がり、10mくらいまでびっしりと花を咲かせているのをよく見かけます。ヤマブドウやツルウメモドキのように、やがて木を覆い尽くして弱らせることもなく、ひっそりとつつましく生活しています。半日陰で湿った環境を好むので、我が家でも隣との間にあるブロック塀にくっつかせ、毎年たくさんの花を楽しませてもらってます。
自宅のブロック塀

滝野公園では、中央口の休憩所があまりにも殺風景なので、当初から植えていますが、日当たりがよく乾燥する環境なので付着力が弱く、なかなか這い上がれません。そこでナツヅタを植えて先行して緑に覆ってしまい、それに捉まって登っていかせようとしています。あと10年くらいかかるかなぁ。
滝野公園

山道をいくと、落石防止のために金網を張っているところがありますが、こういうところがツルアジサイには絶好の環境のようで、見事な壁面になっていることがあります。
落石防止網

イワガラミ(Schizophragma hydrangeoides)は、ツルアジサイにそっくりな姿をしているけれど、アジサイ属ではなく、別属のイワガラミ属となっています。花が咲けば、装飾花のガク片が1枚しかないのですぐに見分けがつきますが、ツルアジサイより花が付きにくく、滝野公園のカントリーガーデンにもたくさん生えているけれど、花が咲くのはかなり珍しいです。
イワガラミ

イワガラミが人工物の壁面にくっついているのは、この場所しか見たことがありませんでした。建物の北側のトタン板の壁にくっついていたのです。もちろん植えたものではなく自然に生えたものでしょうが、中央区の町中だったので、ちょっとびっくりでした。この建物も今はなくなり、ビルになってしまいましたが。
壁面

花が咲いていない時に両者を見分けるのには、葉の鋸歯をよく見ます。ツルアジサイの鋸歯は細鋸歯といって。細かいノコギリの歯のようなギザギザになっています。これに対してイワガラミの葉の鋸歯は、丸くカーブをした切れ込みが入るので、間違いなく区別することができます。
区別方法

欧米では両者を導入してたくさん利用されているようですが、本家の我が国では、さっぱり使われることもありません。なかなかいい場所がないけれど、うまく使っていきたい素材です。
(つづく)

アイビー類の問題点

  • 2020.02.14 Friday
  • 06:00
北国のつるもの  その6 アイビー類の問題点

これまでナツヅタとフユヅタの仲間(広義のアイビー類)を見てきました。確かに付着力は強いし、成長も早く、短時間での壁面緑化が可能なので、最もたくさん使われていると思います。でもいいことばかりではありません。これは北大農学部の隣にある演習林棟。ワザと植えたものか勝手に生えてきたものかは定かではありませんが、ナツヅタの上にヤマブドウまでくっついて見事です。林業関係の研究室が入っているだけに、これだけツタに覆われても誰も文句は言わないでしょう。
演習林

このビルは、うどんのおか田のお隣さん。このあたりのビルには、すぐにツタが生えてくるらしく、あちこちで這い上がってきています。別におか田が植えた訳でもないのに、これだけくっついて窓を塞ぎ始めると、入居者から文句が出てこないのか、心配になってしまいます。あまりにも生命力・付着力が強すぎるのも、ちょっと困りものかもしれません。
おか田の隣

最近町中の街路樹の幹が、こんな風にツタに覆われてしまっているところが目立ちます。秋にブドウ果を食べた野鳥が、街路樹に止まってプリッとタネを落とすので、こんな風に広まっていくのです。一度くっついてしまうと、完全にはがすのはまず難しいので、どんどん増えていくことでしょう。
街路樹

とうとう電柱にまでくっつき始めているので、そろそろ北電でも問題になるのでは。無機質な電柱よりは見栄えがいいとしても、どんどん登っていって電線に絡めば、ショートしたり断線する危険性がありますから。
電柱

イングリッシュアイビーをグラウンドカバープランツとして使用したのは、25年前に整備したさとらんどでした。確かに少ない株数でもあっという間に広がってくれるので、広々とした場所のカバーには最適だったのです。実際、短期間で雑草など寄せ付けない、しっかりとしたカバーを形成してくれました。
さとらんど

ところがここで問題が生じてきました。勢い余って高木の幹に貼り付き始め、しょっちゅうこれをはがすのが大変だと文句を言われてしまったのです。付着性のないオカメヅタならこんなことは起きないのですが、丈夫さがあだになってしまいました。
這い上がり

今はなくなってしまった円山の建物も、常緑のつるが窓を塞ぎながら、これだけ厚くくっつき始めると、自分で植えたものだと思いますが、さすがに住んでいる方も焦ったことと思います。
アイビー

二日前に紹介した‘グレイシャー(Glacier)’がくっついている建物を、昨日の昼に散歩がてら見に行くと、きれいさっぱりはがされておりました。アイビー類を使う場合、歓迎される使い方をしっかりと見極めていく必要があるようです。(つづく)

キヅタ・カナリーキヅタ

  • 2020.02.13 Thursday
  • 05:46
北国のつるもの  その5 キヅタ・カナリーキヅタ

セイヨウキヅタはその名の通りヨーロッパ原産ですが、東アジアの朝鮮半島から我が国にはキヅタ(Hedera rhombea)(Japanese ivy)が自生しています。本州の植物園に行くと、樹林内の高木にはたいていキヅタが絡みつき、ただでさえ暗い常緑樹林を、ますます鬱陶しくさせています。道内には渡島半島に自生があるそうで、最初に見つけたのは函館市役所のすぐ近くの民家でした。なるほどこういうものなんだと思った記憶があります。
函館

札幌市内でも何カ所か見ていますが、近くの廃屋に絡んでいたのが最初の発見だったかと。常緑ものは夏には意識されないけれど、落葉後の初冬になると俄然存在感が出てくるので、すぐに見つけることができるのです。
キヅタ

キヅタ類はウコギ科の植物なので、ヤツデやハリギリなどと似た果実が生ります。この家はしばらく荒れ放題に放置されていたけれど、昨年とうとう解体されて駐車場になってしまいました。円山墓地近くの個人宅にもう1箇所あったけれど、今でもあるのかなぁ…
結実

ヨーロッパ原産のキヅタ類には、もう一種カナリーキヅタ(H.canariensis)(Canarian ivy)があります。名前の通りカナリー諸島の原産で、セイヨウキヅタに比べて葉が大きくてやや薄いです。普通は「オカメヅタ」の名で鉢物として流通しているのですが、これがそんなに耐寒性があるとは思っていませんでした。自宅近くに新しくできた家の前に植えられた時、どうせ一冬もたないだろうと思っていたら、翌年もちゃんと育っているのです。鉢物としては、斑入りのものを「オカメヅタ」、斑の入らない緑のものを「青オカメ」と呼んでいますが、やはり斑入りのものは消えてしまい、現在はすべて青オカメになっています。
オカメヅタ

これは植物園裏のマンションに植えられているもので、雪が被らないところはしばれて枯れていますが、ある程度雪が被ればちゃんと越冬できるので、夏になるとまた上に伸びてくるのです。今は模様替えしてなくなってしまいましたが、京王プラザホテル前にもかなりの数が植えられていました。
マンション

以前学会の出張で行った名古屋の久屋大通。両サイドの植え込みはすべて青オカメで覆われていました。高木がほとんどクスノキなのでちょっと鬱陶しいけれど、自転車を置かれたりしないので、人止め用には最適です。
久屋大通

以前大通公園の魅力アップの仕事をやった時に、無法状態の駐輪対策には絶対効果があると説得し、2箇所で試験植栽をやってみました。3丁目の喫煙所裏と4丁目の南東隅です。どちらもちゃんと生育できているのですが、残念ながら全面採用にはなりませんでした。ハゲハゲに放置するよりも緑で覆った方が、雨水の捕捉効果も高まるし、樹木にとっても効果的だと思うのですがねぇ… (つづく)
大通公園

イングリッシュアイビー

  • 2020.02.12 Wednesday
  • 05:43
北国のつるもの  その4 イングリッシュアイビー

夏緑性のナツヅタに対し、冬でも緑を保つ常緑性のツタをフユヅタと呼びますが、植物学的にはセイヨウキヅタ(Hedera helix)といいます。common ivy とか English ivy 、単にアイビーといえば本種を指しています。学生時代、先生のお宅にちょくちょく行っていた時に、隣の庭先にアイビーが育っているのを見て、ちゃんと冬を越せるんだと初めて認識しました。それでもあくまで雪を被っているからもっているのかと思っていたら、この建物を見つけてびっくり。
アイビー

初めて見つけた時には、まだ二階に届くかどうかでしたが、とうとうこんなに育っていきました。事務所のすぐ近くにあったので、ずっと見てきましたが、7〜8年前にとうとうはがされてしまい、昨年建て替えられて建物そのものがなくなってしまいました。ほとんど原種に先祖返りしていたけれど、多分‘ゴールドハート(Gold Heart)’だと思います。
Gハート

この建物もすぐ近くにあり、ナツヅタと共に植えられていて、大変よく育っています。夏はあまり気付かないのですが、ナツヅタが落葉する晩秋には、その存在感がはっきりします。完全に南面しているので、きっと居心地がいいのでしょう。
壁面

これは白い斑の入る‘グレイシャー(Glacier)’だと思いますが、こちらは先祖返りせずにおとなしくしているようです。
グレイシャー

時計台前の中通りにあるマリアさんも、ナツヅタとフユヅタをうまく組み合わせている素敵な建物です。三階まで伸びて出窓の壁だけを彩っているのはナツヅタで、緑の葉も素敵だし、紅葉も見事です。
マリヤ

玄関脇のサインの前だけに、アイビーが植えられていて、四季を通じて案内サインを彩っています。これは葉がとんがっている‘サギッティフォリア(Sagittifolia')’のようですが、いずれも鉢物として出回っているものを地面に下ろしたものでしょう。
サギッティフォリア

これは近くのマンションの駐車場棟の壁に植えられたアイビーで、特に葉の変化のない普通種のようでした。ほかの場所はうまく育たなくていじけているのに、右端のこの株だけは年々大きく育ってこんなに育っています。ここは完全に北面だけど、葉も傷まずに平気で育っているので、札幌市内ではアイビーの生育には全く問題がないといえるでしょう。(つづく)
普通種

アメリカヅタ・ヘンリーヅタ

  • 2020.02.10 Monday
  • 05:45
北国のつるもの  その3 アメリカヅタ・ヘンリーヅタ

ツタ(Parthenocissus)の仲間は、東アジアに9種、北アメリカに3種分布しており、アメリカ産の一つがアメリカヅタ(P.quinquefolia)です。昔から圃場のネットフェンスに絡まっていたので、そんなに珍しいものとは思わなかったけれど、これまで見かけたのは数えるほどです。
圃場のフェンス

種小名が quinquefolia (五枚葉の)となっているとおり、ナツヅタより一回り大きい葉が5枚に分かれています。ナツヅタ同様ブドウ果をたくさん生らせるけれど、圃場周辺で実生が発生したこともなく、発芽率が悪いのでしょうか?
アメリカヅタ

ナツヅタのような吸盤を持たないので、壁面付着性がなく、ネットフェンスのようなものに絡ませなければ壁面を緑化できません。今までで一番きれいに使われていたのは、ノーザンホースパークのこの壁面でしょう。ぐるりに目の粗い金網が張られていました。
ノーザン

斑入り葉のものを手稲区内で見たことがありますが、なにも絡ませるものがなかったので、ダラリと這いずり回っておりました。それぞれの特性に合わせた補助材は、ちゃんと設置してあげなければなりません。
斑入り

ナツヅタより葉が大きくて艶があるため、紅葉はことのほか美しく、天気のよい日は本当に見事です。10月の半ばには紅葉のピークを迎え、周りがまだ緑緑している中での紅葉がよく目立ちます。
紅葉

アジア産の仲間にはもう一つ、5枚葉になるヘンリーヅタ(P.henryana)を最近よく見かけるようになりました。葉が小振りで、濃緑の葉の葉脈部分が白く彩られてよく目立ちます。これも壁面付着性がなく、巻きひげが掴まれるような補助材を取り付けてやらなければ、このように団子状態になってしまいます。
ヘンリーヅタ

自宅や事務所の近くでもちょくちょく見かけるようになり、人気が出てきているのでしょう。紅葉も美しく、アメリカヅタよりツルが暴れにくいので、こちらの方が扱いやすいようです。(つづく)
紅葉

ナツヅタの利用

  • 2020.02.09 Sunday
  • 05:57
札幌は、4時前に−14.9℃まで下がっていました。確かに顔がチクチクと痛かったけれど、さすが面の皮を鍛えているだけあって、思ったほど寒くなかったです。昨日けっこう積もったのに除雪が入らなかったけれど、今日は歩道除雪まできれいにしていたので、気持ちよく走れました。今週はまた気温が上がるので、グチャグチャになってしまいそうです。

北国のつるもの  その2 ナツヅタの土木的利用

ちょうど20年前に、函館新道の道路緑化の仕事をやりました。七飯の赤松街道の渋滞緩和のために、山側にバイパスとして高規格道路を建設していたのですが、市街地からの景観や自然環境の保全など、様々な配慮をするために質の高い緑化が求められていました。その一つがこの現場で、大きな盛土をするはずのところに、道内一の大トチノキが立っており、七飯町の水源もあることから、巨大な擁壁を建ててその場所を保全しました。ところが高さ10mもの巨大擁壁が異様な存在になるので、できるだけ早く緑化をしてくれというのです。
はこしん

こういうコンクリート擁壁は、型枠がきれいにはずれるように剥離剤を塗ってツルツルにしてしまうため、ほとんどのつるものが歯が立たないけれど、ナツヅタだけは平気でつかまりながら、短時間で覆ってしまうことを確認していました。ロフトの事例でも、高さ10mならビルの3〜4階なので、楽勝だということが分かっていたのです。
擁壁緑化

そこで2001年にナツヅタの苗を植えてもらい、翌2001年の春に現地を見に行きました。するともう1mくらいのつるが這い上がり始めていたので、これなら大丈夫と確信したのです。
二年目

それから4年後の2006年に現地確認にいくと、既に半分くらいまで這い上がっていました。造成地のやせた土壌でもこれだけ伸びるのですから、ある程度肥沃な土ならもっとスピードがあったはずです。
四年後

9年後の2009年には、他の現場を含めて法面緑化の追跡調査を道内各地で行う機会があり、現地に入って感動しました。ちゃんと天端(てんば)まで到達していたのです。
七年後

7月下旬にもかかわらず一部紅葉しているのは、水分を隅々まで送るだけの力が足りないところでしょう。10mもの高さまで、よくこれだけ水分や栄養分を送ることができるものだと、本当に感心します。
天端到達

遠目に見ても、これだけ緑に覆われれば、ここにコンクリートの壁があることに気付かないくらい。これ以降現場を見に行っていないのですが、間違いなく全面をツタで覆い尽くしていることでしょう。ツタによって足場が確保できれば、ヤマブドウやツルアジサイがそれに絡んで登って行くことができるようになり、ますます楽しみが増えていきます。ナツヅタの力は本当に素晴らしいと思います。(つづく)
町からの景観

ナツヅタ

  • 2020.02.08 Saturday
  • 05:42
この時期は植物の話題もほとんどなく、与太話ばかりなのも気が引けるので、昨年この時期にやったグラウンドカバープランツの続きとして、つる性のグラウンドカバープランツといえる「つるもの」を紹介していくことにします。これらのつるものは、壁面緑化に使われるので、広い意味ではグラウンドカバープランツに含まれます。第1回目はやはりナツヅタでしょう。

北国のつるもの  その1 ナツヅタ

ナツヅタ(Parthenocissus tricuspidata)は、植物学的には「ツタ」でいいのですが、利用面からはナツヅタとフユヅタという使い分けをするので、ナツヅタとしておきます。属名のパルテノキッススとは、「処女の ツタ」という意味で、アメリカ産の同属別種のアメリカヅタが Virginia creeper と呼ばれていたことから付けられたのだそう。種小名のトリクスピダータとは、葉が三つのとんがりを持っていることを意味しています。葉をよく見ると、1枚のものの中にちらちらと3枚に分かれたものが混じっています。本来は3枚の葉が、くっついて1枚になっているためで、秋になると葉柄だけを遺して落葉していきます。
ナツヅタ

秋にはまるでヤマブドウとそっくりな果実を付けるので、ブドウ科に属していることが分かります。これが干しブドウになった頃には、たくさんの野鳥がこれをついばみ、あちこちに糞としてばらまくために、あちこちからツタが生えてくるのです。
ブドウ果

たくさんあるつるものには、フジやツルウメモドキのようにツルを絡ませるもの、ブドウやロニケラ類、クレマチス類のように巻きひげや葉柄で絡みつくもの、ツルバラやホップのように棘で絡みつくもの、ツタやノウゼンカヅラ、ツルアジサイのように吸盤やひげ根で付着するものなどがありますが、壁面への付着性ではナツヅタが一番で、ガラスや鉄板、コンクリート面でも難なく登って行くことができるのは、無数の吸盤で植物体を支えられるからです。
吸盤

ナツヅタは、秋には紅葉して一際美しくなりますが、「最後のひと葉」のように、やがてハラハラと散っていきます。四季の変化があることから、常緑のフユヅタ(アイビー類)よりも圧倒的に使われる機会が多かったものと考えられ、甲子園球場のような特徴的なものが知られています。ここは真駒内にある「六花文庫」。普通の民家でこんなにツタを這わせていたら、お化け屋敷とか言われてしまうでしょうが、こういうところで素晴らしい例を見せてくれています。
六花文庫

ナツヅタで一番懐かしいのは、今はなきロフトでしょう。ここができた時に、歩道際のほんのわずかな植えますに植えられているのを見て、これでどこまで登っていけるのかなぁ…と思いました。見事に予想ははずれ、7〜8年で屋上まで登っていき、やがて壁面が覆われてしまったのです。
ロフト

これをずっと見ていたので、ナツヅタの生命力を改めて認識し、いろんなところで使い始めたきっかけを与えてくれた場所でした。今こんな粋なことをしてくれる経営者がいるとは思えないですけれど。
西武

北大博物館の北側も、素晴らしい壁面を持っていたのですが、残念ながら改修工事が入った時にすべて剥ぎ取られてしまいました。でも近くにたくさんツタが生えているので、そのうち野鳥がせっせとタネ播きをしてくれることと思います。(つづく)
北大博物館

その他のGCP(2)

  • 2019.03.15 Friday
  • 05:40
北国のグラウンドカバープランツ  その13  その他のGCP(2)

マツバギク(Lampranthus spectabilis)は道南では珍しくない植物で、大島の調査で松前方面に行くといつもうらやましく思ってしまいます。ハマミズナ(ツルナ)科の植物で、基部がやや木化してきます。耐塩性が強いので、渡島檜山の漁村では一番目立つ植物といえ、日が差すと大きく花を開いて見事です。札幌で売られている「耐寒性マツバギク」は、近縁のデロスペルマ(Delosperma)のようで、見た目は同じ姿をしているので紛らわしいです。
マツバギク

エゾノキリンソウ(Phedimus(旧Sedum) kamtschaticus)も海岸性の植物で、大島に7月に行くと、斜面が真っ黄色でまぶしいくらいです。乾燥には最も強いGCPといえ、札幌市内でも一時中央分離帯の緑化に使われていたことがありました。でも数年でブタナが侵入し、徐々に衰退していきました。ブタナは葉が地面に密着するので、どうしても葉が被圧されて負けてしまいます。
エゾノキリンソウ

カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)はシソ科のつる性草本で、普通種はひっそりと道路縁などで生育していますが、斑入りのカキドオシはGCPとして使われることがあります。ただ乾燥には弱いので、半日陰の適湿地でなければ本種のよさが発揮されないでしょう。
カキドオシ

リュウノヒゲ(Ophiopogon japonicus)は、本当の和名はジャノヒゲですが、生まれ育った松山の家の庭にいっぱい生えていたので、やっぱりリュウノヒゲと呼びたいです。次のヤブランと同様にキジカクシ科(旧ユリ科)の常緑多年草で、東アジアに広く自生があるようです。秋に紫の花が咲き、冬から春に紫黒色の実がたくさんなるので、子どもの頃はこれを集めておままごとに使っていました。昔はこんな常緑ものは道内に入って来なかったのですが、最近マンションの外構などでよく目にします。普通種の葉は20〜30cmもありますが、現在流通しているのは葉の短い矮性種の‘タマリュウ(玉竜)’で、積雪に隠れればそんなに葉が傷むことなく越冬可能です。
リュウノヒゲ

斑入りヤブラン(Liriope muscari)もリュウノヒゲと同様に、最近よく使われるようになりました。こちらはほとんどが斑入り葉のもので、花着きのいい新しい品種が出回っています。リュウノヒゲも本種も半陰地から陰地向きのGCPで、適湿な環境でなければ傷んでしまいます。また積雪下で傷んだ葉をそのままにすると見苦しいので、ヤブランの場合は。雪解け後古い葉を地際でカットした方が新芽がきれいに揃います。
斑入りヤブラン

ヒペリカムの仲間は、木本ながら当年枝開花性のものが多いため、最近急速に使われるようになってきました。よく見かけるものには二種あり、花をよく見れば区別が付きます。上向きの花に長い雄しべがたくさん付いているものは、ヒペリカム・カリシナムの名で流通しているヒペリクム・カリキヌム(Hypericum calycinum)です、これに「セイヨウキンシバイ」なる名前を付けたために混乱の元になっており、キンシバイではなくビヨウヤナギに大変よく似ているので、「セイヨウビヨウヤナギ」とすべきでした。
カリシナム

もう一種がヒペリクム‘ヒドコート’(Hypericum patulum 'Hidcote') で、これはキンシバイから作られた園芸品種のため、ダイリンキンシバイ(大輪金糸梅)の名があります。こちらの花の雄しべは短く、雌しべの周りに輪状に付き、花弁の付け根に集まっているので、5つに分かれているのがよく分かります。雪の下ではどちらも普通に越冬しますが、春先に切り詰めた方が新しい枝を伸ばしてよく咲いてくれます。
ヒドコート

これまで13回にわたって、北国で利用できるグラウンドカバープランツを紹介してきました。もちろんまだまだ種類はありますが、うまく活用して素敵な空間づくりに活用していただきたいです。(まとめてご覧になりたい方は、左にある categories のグラウンドカバープランツをクリックして下さい。)

その他のGCP(1)

  • 2019.03.14 Thursday
  • 05:51
北国のグラウンドカバープランツ  その12  その他のGCP(1)

グラウンドカバープランツ(GCP)の紹介も12回目になり、これで主なものは紹介できたように思います。最後はあれこれ二回に分けて紹介していきましょう。

ロックローズはハンニチバナ科の小低木で、ヨーロッパの山地原産です。これに初めて出会ったのは、学生の時の帰省中に日本橋三越の屋上にあった園芸コーナーで、このタネを見つけたのです。戻ってから圃場で播いてみると翌年には赤やピンク、白の一重の花が咲きました。でもそれ以来全く見たことがなかったけれど、カントリーガーデンを造る時に植物材料をオランダから輸入することになり、そのリストにあったので、4品種を導入することができました。今でも残っているのは、この‘アマビレ・プレヌム’(Helianthemum nummularium 'Amabile Plenum')だけではないでしょうか。けっこう花期が長く楽しめますが、アルカリ性土壌を好むので、滝野の火山灰土ではだんだん衰退するのかもしれません。
ロックローズ

フオプシス(Phuopsis stylosa)も、初めて出会ったのは学生の時。先生の知り合いという学園大近くの平岸街道に沿った家で初めて出会いました。その後植物園のロックガーデンの一番奥に生えているのを見つけ、圃場に持って来たのです。コーカサスからイラン原産のアカネ科の植物で、フオプシスがなじめなくて「ハナムグラ」という和名を勝手に付けていました。
フオプシス

サポナリア・オキモイデス(Saponaria ocymoides)も学生の時に、駅前にあった札幌興農園でタネを見つけ、さっそく播いて増やしたのが最初の出合いです。ヨーロッパ中南部原産のナデシコ科の植物で、どんどん大きく育って隣の植物に被さるほどでした。
サポナリア

ポテンチラ(Potentilla neumanniana (verna)) は、比較的新しく出回ってきた植物で、グラウンドカバープランツがブームになり、たくさん流通し始めてから、道内に入ってきたように思います。日当たりさえよければどんどん広がり、しょっちょう散髪していないと株が蒸れてしまうほどです。ずっとポテンチラ・ウェルナだと思っていたら、今はポテンチラ・ネウマンニアナに変わっておりました。
ポテンチラ

リシマキア(Lysimachia nummularia) もポテンチラと同様に、急速に流通経路で広まってきた植物です。同じくリシマキア属のヤナギトラノオやクサレダマ同様、湿ったところを好む植物で、植栽場所には注意が必要です。葉の黄色い‘オーレア’は、強光線下では葉焼けすることが多いので、半日陰に植えてやりましょう。
リシマキア

ワイヤープランツ(Muehlenbeckia complexa)は、ニュージーランド原産のタデ科の植物で、私はずっと温室植物だと思っていました。興部で大きなガーデンを作っていたKさんのところに行った時に、ここでも全然平気で越冬するんだよと教えられて、びっくりしたことを思い出します。Kさんは、葉の大きさや形の違う種類を何種も集めていて、耐寒性などを試していました。
ワイヤープランツ
管内のフラワーマスターの代表を永らくされていて、とてもいろんなことに精力的に取り組まれていたのですが、残念ながら早くに亡くなられて、その後あのガーデンはどうなったんだろうと、ワイヤープランツを見るたびにふと思ってしまいます。

イネ科GCP

  • 2019.02.16 Saturday
  • 06:00
北国のグラウンドカバープランツ  その11  イネ科などの植物たち

今回はイネ科のグラウンドカバープランツを。最も普及しているのは、なんといってもフウチソウでしょう。本種は本州中部に自生のあるウラハグサ(Hakonechloa macra)の黄縞斑(きしまふ)品種で、原種は属名の由来となった箱根に、特に多く自生しているのだそう。緑葉として使われるのは多分原種なんでしょうが、少し草丈が高くなるので、やや扱いにくくなります。このような縁取りにすると、雑草には絶対に負けないし、メンテナンスフリーの無敵の素材です。
フウチソウ

森のガーデンで見つけたのですが、稀に白縞斑のものがあり、層雲峡の滝に因んで『流星』と名付けました。うまく使い分けるといいかもしれません。
流星

黄金葉のものは、葉緑素が足りないのかいまいち生育がよくありません。暗いところならなんとかなるのかもしれませんが、日焼けしそうで扱いが難しいです。
黄金葉

フウチソウより葉の幅が広く、もっとがっちりしているのが「ササスゲ」の名で流通し始めているもので、本来の植物名は道内にも自生のあるタガネソウ(Carex siderosticta)です。これはイネ科ではなくカヤツリグサ科の植物ですが、形態的には同じ扱いになるので入れておきました。これは‘大宝錦’という品種で、森のガーデンには4品種が植えられており、黄斑や黄金葉など、半日陰地では極めて丈夫なグラウンドカバープランツとなっています。
ササスゲ

細長く涼しげな斑入り葉を繁らせるのがリボングラス。これにそっくりで、葉がなよっとして垂れ下がり、茎が少し立ち上がる斑入りクサヨシとは、なかなか見分けるのが大変です。ネットで調べても、外国ではどちらも‘Ribbon Grass’としているようで、なんだかよく分かりません。確実に見分けるのは、掘り上げて根を見れば、リボングラスは数珠状に肥大して根茎を持っています。
リボングラス

我が国にたくさん自生しているササの中でも、コグマザサが一番よく使われているでしょう。これもいろんな種が「コグマザサ」の名で流通しているようなので、なんだか面倒です。これは中島公園の日本庭園に植えられているもので、このような半日陰地のカバーとして使われることが多いのですが、最近マンションの外構に植えられているのをよく見かけます。
コグマザサ

これは近くのマンションのものですが、春先にはこのように葉が枯れて見苦しくなります。これは雪融け後すぐに地際できれいに刈り取ることにより、新芽がきれいに生えそろい、草丈が低く、より密なカバーにすることが出来るのですが、道内の植木屋はコグマザサの扱いを知らないらしく、葉が汚いまま新しい葉が広がってきて、きれいに維持されているのを見たことがありません。
春の姿

本州ではそんなに傷まないので、このクマザサのように縁が隈取りされるのでしょうが。道内でクマザサというと、「熊笹」だとみんな思ってしまいますが、本当は「隈笹」ですからね〜
クマザサ

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