大島の植物

  • 2016.06.30 Thursday
  • 06:00
今回の大島は、なにせ滞在時間が4時間弱だったので、工事区域周辺を含めてじっくり見てくることができませんでした。それでも一通り見て歩いた中では、一番問題のアメリカオニアザミの数がかなり少なくなっていることが特徴的でした。80年代に島に侵入したと考えられる外来種であり、この現場に入ったときから毎年格闘してきた強烈な植物です。工事ヤード内でも数株しか見つかりませんでした。毎年続けている抜き取りの成果もあるのでしょうが、このまま推移してくれることを祈るばかりです。
アメリカオニアザミ

昨年見つけた新規確認種であるハマウツボは、今年は数が少し増えていました。この種はヨモギ属の植物に寄生する性質があり、ここではハマオトコヨモギに寄生しています。種子は長年土の中で休眠し、寄生植物の根が近くに伸びて来ると発芽してその根に寄生するのだそうです。この場所は切土造成した区域なので、そんなものがなんでここに生えてきたのでしょうねぇ?
ハマウツボ

工事ヤードの背後には、一面のススキ草原が広がっているのですが、すぐ目の前になぜかミズナラの木が1本あります。かつてこの浜には番屋があり、コンブやワカメの時期にはある程度定住していたそうなので、ここには畑でも作っていたのか、木を植えて風除けにしようとしたのか、いずれにせよ人為的に持ち込まれた可能性が高いものです。ところが今年見ると、ヤマブドウのつるにすっかり覆われてしまい、ミズナラの葉が見えないのです。
ミズナラ

確かに以前からヤマブドウは絡んでいましたが、こんなにひどくはなかった筈と、5年前の写真を見てみました。確かに少し絡んでいましたが、年々大きくなって来たようです。
5年前

それよりもびっくりしたのは、一面ノブドウが地面を覆ってしまい、つるが絡んで入って行けなくなってしまったのです。この草原には、ヤマブドウとノブドウ、ツルウメモドキやツタウルシなど、厄介なつるものが絡み合うので、藪こぎが大変なところが多いのです。
ノブドウ

ここに生えているのは、普通林内でひっそりと生えているマイヅルソウが純群落を形成しているのですが、その上をすっかりノブドウが覆い尽くしてしまっていました。この近くにもう一箇所マイヅルソウ群落があるのも、同様にノブドウが覆っており、これも遷移の過程なのか見ていかなければなりません。ここのマイヅルソウは、私は『テリハノオニマイヅルソウ』と名付けているほど、肉厚でがっちりしており、びっくりさせられるのがその葉の大きさ。私の手の平よりも大きなものがゴロゴロあるのです。マイヅルソウの葉の大きさについては立派な論文が出ているほど、地域によって大きく異なる傾向がありますが、ここのものは間違いなく最大級のもののようです。
マイヅルソウ

例年咲いているウツボグサやホタルカズラの花も見かけず、今年は少し早く生育が進んでいるようでした。もっとじっくりと見て歩きたかったなぁ…(>_<)

日帰りで大島へ

  • 2016.06.29 Wednesday
  • 06:06
渡島大島に通い始めて、なんと27年目になりました。これだけ長く関わることになろうとは、始めた頃には夢思わなかったです… 現在では、学識経験者として元いた会社の調査を指導する立場。調査時期を同じ条件にしなければならないので、日程は6月最終週としており、ここは常に空けておかなければなりません。ところが今年は海象がよろしくなく、なかなか船が渡れない日が続いていました。交通船の定員が8名なので、調査隊が乗れる日が限られてしまうこともあり、このまま行くと来週とかになりそうなので、たまたま空いているところにもぐり込み、なんと日帰りで調査することになりました。
いつも泊まる民宿では、せっかく来たので朝イカ食べていけと、5時半に朝食を出していただきました。こりこりと甘みが乗って最高でした♪
朝イカ

松前港に行くと、いつもの交通船が待っておりました。向こうに見える弁天島には、昔は無線局があって職員が常駐していましたが、遠い昔のことになりました。
松前港

7時に出港して1時間半あまり、べた凪の海面だと本当に楽です。何度か大時化にも遭遇しましたが、あんな経験は本当にご勘弁です。島が近づくと、木が全く生えていない火山島は、いつ来ても不気味に感じてしまいます。
大島

建設中の漁港に近づくと、深夜に出港して先行した台船が着岸し、水をタンクに送っていました。ずっと時化が続いて水が不足していたそうです。今年から建設工事が本格的に再開され、たくさんの重機が入っているので、とてもにぎやかになりました。
トリカラスノ浜

調査時間は3時間ちょうど。紙に記入する時間がないので、ICレコーダーにコメントを録音し、あとで起こしてもらうことにしました。担当者と二人で各ポイントを周り、なんとか最低限の現場確認と調査を行うことができました。3時間しゃべり続けたのでさすがにぐったり…
漁港

12時ちょうどに島を出発しました。この10年間は工事が中断していたので、宿舎には泊まれましたが、電気も水もないキャンプ状態でした。今年は宿舎も改装してウォッシュレットまでついていたというのに、残念ながら「ホテルニュー大島」には泊まることができませんでした。うーむ…
出発

向かい風だったので、行きよりは多少揺れましたが、2時前には無事に松前港に戻ってきました。いつも弁天島を見るとホッとします。それから札幌まで走り、なんとか明るいうちに札幌に帰ることができました。それにしても無茶苦茶な移動距離…私の都合でこんなことになってしまったものですが、付き合ってくれた担当者には本当にお疲れ様でした…
弁天島

渡島大島の植物

  • 2015.07.03 Friday
  • 05:51
先日行ってきた渡島大島は、日本最大の無人島でありながら、かつてはかなり活発な活動をしていたと考えられる火山島であり、絶海の孤島のため極めて植生は貧弱です。それでも海流に流された種子が漂着したり、渡り鳥によって運ばれたりして、百数十種の植物が確認されています。

現場のあるトリカラスノ浜の南側には、ここにだけハマヒルガオ(Calystegia soldanella)群落が広がっています。このような生え方をする海浜植物は、種子が海水に耐えられるようになっており、漂着し次第発芽して広がって行きます。
砂浜

それにしてもここ数年群落が拡大し、ちょうど行く6月末に満開になっているので、ピンク色のカーペットになっています。毎日新しい花が咲いてくるのですから、いったいどれだけのつぼみが用意されているのでしょうか。
ハマヒルガオ

ハマベンケイソウ(Mertensia maritima subsp.asiatica)も、昨年に続いて開花株が見つかりました。より汀線寄りの岩礫地に生えており、たくさんの種子を残して、冬の波浪で本体は消え去る運命のようです。
ハマベンケイソウ

大島特有の植物としてはこのムラサキモメンヅル(Astragalus adsurgens)が不思議な存在です。アルカリ性熔岩砂礫地にのみ成育し、本州でも富士山や浅間山、岩手県の宇霊羅山など、道内でも夕張山地や岩内方面など数カ所にしか自生していないものです。一体どうやってここがアルカリ熔岩だということを嗅ぎつけて、こんな離れ小島にやってきたものでしょうか。
ムラサキモメンヅル

ホタルカズラ(Lithospermum zollingeri)も渡島半島の数カ所でしか確認されていない植物ですが、大島では至るところで咲いています。園芸的には地中海沿岸産のミヤマホタルカズラ(Lithodora diffusa)がよく植えられますが、花はよく似ているけれど草姿も異なります。別種で海外産なのに、こんな和名を付けるのはもってのほかだと思いますが。
ホタルカズラ

わりとどこにでもあるウツボグサ(Prunella vulgaris subsp. asiatica)ですが、普通林内でなよなよした生え方をしているのに、木陰のない大島では、なんだか見違えるようにがっしりした咲き方をしています。
ウツボグサ

今回初記録種となったのがこの花。初めはウツボグサだと思っていたけれど、何か印象が違うなぁ?ともう一度よく見てみると、あれ?葉がないぞ!ということに気付きました。
花のアップ

今まで図鑑でしか見たことがなかったハマウツボ(Orobanche coerulescens)だったので、ちょっと興奮。これはハマオトコヨモギに寄生する植物で、周りを見ると昨年の花ガラを見つけてしまい、どうやら昨年はウツボグサだと見逃していたようです…(>_<) ハマウツボ科という全然別の仲間で、あちこちうろつきながらアンテナの感度を上げていけば、いろんな植物に出会えるものだと思いました。
ハマウツボ

大島からの帰還

  • 2015.06.25 Thursday
  • 16:47
島での二日間、本当に死にものぐるいで働いて、昨日の昼前に島を離れました。今回はスカッと晴れた時間がほとんどなかったけれど、これで晴れるとものすごい紫外線で火傷を負うこともあるほどなので、このくらいの方が過ごしやすかったです。島を離れる時には、来年もまた来ることになるのかなぁ…と、ちょっぴり感傷的になるのですが、26年目にもなるとねぇ…(^^;)
大島

今回は9年ぶりに工事が再開し、工事業者の交通船に便乗する形なので、いつもの江良漁港ではなく松前港の発着です。津軽海峡の方に回り込む形になるので、20分ほど余計にかかり、松前港の入り口にある弁天島灯台を見ながらの入港になりました。
弁天島

上陸して遅いお昼を食べようと旧道を通っていたら、家の前にずらりとボタンゲシの花壇が… こんな人通りの多い道端で、よくも堂々と栽培しているものだとあきれてしまいました。パトカーだって頻繁に通っているだろうに、おまわりさんにもちゃんと教育しなければいけませんねぇ。
ボタンゲシ

松前では、これまで何度か入ったことのある蕎麦屋さんへ。鰊蕎麦と海苔弁当をいただきました。この海苔は白神岬周辺でわずかに取れる寒摘みの岩海苔だそうで、とっても香りがよくて美味しかったです。アルマイトの弁当箱がなんとも懐かしく、昔の弁当談義で盛り上がりました。
ニシン蕎麦 のり弁当

今回は、調査開始時に世話になった植生研究の権威であるS先生に同行をお願いし、いつものH氏と3人での道行きとなりました。植物好き3人なので、まっすぐ帰るわけがありません。まずは松前の町外れにある立石観音回りの植物確認を。珍しいアオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus)が見つかりました。ツヅラフジ科の雌雄異株のつる性木本で、雌株には秋になると真っ青なブドウのような実がなるというものです。図鑑でしか見たことがないものが間近にあると感激ものです。
アオツヅラフジ

車を止めたあたりには、もうかなり萎れ気味でしたがオオマツヨイグサが群生。この花を見ると松前に来たということが実感されます。
オオマツヨイグサ

松前町二越の海岸では、以前見つけていたエビヅル(Vitis ficifolia var.lobata)を先生に見ていただきました。これも雌雄異株のつる性木本で、ヤマブドウよりは美味しいとのこと。アオツヅラフジも本種も道南要素の一つです。
エビヅル

砂浜にはハマハコベ(Honkenya peploides var.major)の大きな株が満開になっていました。雄しべ雌しべを完備した両性花と雄花雌花の単性花の株があるとのこと。これは雄花ばかりの株でした。今年大島の海岸にも3株小さな株が見つかり、海流によって漂着したもののようでした。対岸にこれだけあるのですから、いろんなものが流れ着いてきそうです。
ハマハコベ

いざ大島へ

  • 2015.06.21 Sunday
  • 14:00
大島といっても渡島大島。私の現場では一番遠いところにあります。ここに通い始めてなんと26年目。いい加減早く決着をつけたいところです。

このところあちこちの火山が噴火を始めており、大島も江戸時代には大噴火しているので、決して気持ちのいい場所ではありません。今回の調査中は、ヘルメット必携の命令が出ているので、そのあたりを警戒しているのでしょうか。水深900mの棚の中に羊蹄山くらいの山がそそり立っていて、そのうち700mほどが水面から顔を覗かせているわけです。
大島近海

今回は工事との関係で深夜の渡島になり、島の写真も撮せません。毎年行っているとはいえ、どんな様子になっているのか興味津々です。寝るところはプレハブがあるものの、水も電気もない無人島では、お日様と共にのんびりと過ごすことしか出来ないので、否が応でもストレスの解消になります。25日頃には帰ってこられると思いますので、しばしお休みさせて下さい〜
大島

渡島大島の海岸で

  • 2014.06.28 Saturday
  • 14:43
海を越えた渡島大島は、絶海の孤島であり、日本最大の無人島といわれるほど巨大な島です。約1,500mの海底から羊蹄山よりも大きな円錐形の山体がきれいな形で形成されており、そのうち700mほどが海面の上に頭を出している状態です。
繰り返し火山が噴火してきたため、植生はいたってシンプル。樹木はほとんどなく、全島でも百数十種の植物しか生育していません。海流によって漂着する可能性が高い海浜植生にしても、江差で普通に見られたハマニガナやハマニンニク、シロヨモギ、ウンランなどはまったく見当たらず、かなり寂しい海岸景観となっています。入島した日、浜の向こうでピンク色に染まっていると測量班から聞いて行ってみると、ハマヒルガオが満開になっていました。
トリカラスノ浜
斜面からの崩落が止まらず、風が吹けばサラサラ崩れ落ちてくるような急斜面の途中やその下に、ハマヒルガオの純群落がありますが、今年の花着きがまたすばらしく、ピンク色のカーペットになっていたのです。それにしても今年はいろんな植物で花着きがいいようですが、こんな草でもそうなるとは。
ハマヒルガオ
オカヒジキはかつて1個体だけが、最近ようやくコウボウムギがちらほらと、海流によって流されてきたと考えられる植物が見つかることがあります。それこそオニハマダイコンが侵入していないか、目を凝らしてみていくと、なんとハマベンケイソウの大きな株に花が咲いていました。昔小さな株が見つかったことがありましたが、翌年には消えてしまっており、それ以来の対面でした。それにしてもこのサイズであれば、どこかに定着していたものが、冬の時化でさらに流されてきたものかもしれません。
ハマベンケイソウ

最近海岸で貝殻やゴミなど、いろんな漂着物を探すビーチコーミングが流行ってきています。私たちはずっと昔からこれを続けてきており、今年も一つ見つかったものに白樺浮きがありました
白樺浮き
これは、今でも対岸のロシアに住む先住漁労民族が、網の浮きとしてシラカンバの皮を剥いてくるくる巻き、網にたくさん付けているものです。5〜6年前には十数個付いた網の一部を拾ったこともありました。油分が多く、軽くて浮きやすい性質を活かしたものです。中国語やハングルが書かれたプラスチック製の浮きは山ほどありますが、こんなものを見るとまだ使っている人達もいるんだなぁと嬉しくなります。

今年初めて椰子の実も漂着しました。ヤシの実割りでS君に割ってもらいましたが、中身はもう腐っており、かなり時間が経ったもののようでした。
椰子の実

渡島大島は、我が国では珍しいアルカリ基質の火山なので、国内でも生育箇所の限られているムラサキモメンヅルも、同じくアルカリ性熔岩からなる富士山、浅間山、戸隠山、国内では夕張岳、大平山くらいしか生育していないのです。
カンラン石輝石玄武岩と呼ばれる熔岩には、宝石でもあるペリドットが含まれています。砂浜にしゃがんでじっと目を凝らすと、淡いオリーブ色のペリドットがすぐに見つかりますが、残念ながら指輪にできるほど大きなものはこの島では難しいとのこと。帰りの船待ちの合間に、桟橋近くの浜で10分くらい探すとこの程度は拾うことができるのです。この程度なら、ペリドットを求めて観光客が殺到することもないでしょう。
ペリドット

大島から帰ってきました

  • 2013.06.27 Thursday
  • 07:04
昨日の夜に、大島から帰ってきました。
今回は、これまでと別の会社が業務を受注し、全くの初めての島行きなので、いろいろと不安もありましたが、みなさんとてもがんばってくれたので、私たちの仕事は順調にこなすことができました。無人島とはいえ、工事のための作業施設があるので、電気や水がないことを除けば、そんなに不便な生活ではありません。とはいえ、できるだけ早く仕事を片付け、一日でも早く撤収しなければならないので、仕事はかなりハードですが、私の場合もともと早寝早起きの生活なので、無人島ではピッタリのリズムになるのです。

今朝も3時過ぎに目が覚め、4時に起床して仕事のレポートを書いていました。島に渡ってずっと曇り空でしたが、ようやく朝日が。
日の出
作業基地のあるトリカラスノ浜は東側にあるので、朝日がまぶしかったです。

残っている仕事を手早く片付け、帰還する4名は荷物をまとめて撤収準備を。島との交通船は、朝の四時半には島に来て、裏側の方で待機していました。私たちはこれで帰れますが、別の班の仕事はまだまだ残っているので、なんだか申し訳ないような気持ちでお別れしてきました。
近海号

この島に通うようになってもう23年。こんなに一つの仕事に係わる例は、多分日本中を探してもないだろうと思います。それだけに、避難港の完成と共に、工事に関わる施設の撤去、そして地形の復元や植生の復元と、最後までずっと係わっていかなければならないのです。確かにやりがいのある仕事ですが、いつも帰り道にこの島を眺めていると、また来年も来なくちゃならないのかぁ…という複雑な気持ちになってしまいます。
大島

本土の土を踏んで、まず最初はお風呂に入って、きれいさっぱりと汚れを落とさなければなりません。今年は時間が早かったので、上ノ国にある花沢温泉に。たった200円で入れる天然温泉です。今年はそんなに暑くなかったので、いつもよりはきつくなかったのですが、それでも最初は泡が全く立ちません…
温泉

きれいさっぱり髭も剃り、指名手配犯のような人相から解放され、少し遅いお昼を。今回は江差の「むらた」という蕎麦屋さんに。風呂と蕎麦は、島帰りの毎度のパターンです。出てくるのにとっても時間がかかりましたが、美味しい手打ちそばでした。
そば

ようやく人心地つき、一路札幌に。厚沢部から落部に抜け、高速に乗って黒松内まで行き、ニセコ経由が好きなので、黒松内新道から5号線に回ります。結構日差しが強く、羊蹄山にかかっている雲は、噴煙のような高く伸びており、まるで入道雲のようでした。
羊蹄
暗くなる前に、無事に事務所まだ戻り、松前までの往復630km、海上100kmの旅が終わりました。本当にハードではありますが、こんな仕事をやれるのも、技術屋冥利に尽きるといえるでしょう。一度きちんとリセットしてから、後半戦に臨まなければなりません。

渡島大島の委員会

  • 2013.03.08 Friday
  • 07:34
昨日は、渡島大島に建設中の大島漁港の、建設と環境保全に関する委員会。この仕事は、1990年(H2)に第1回目の調査が始まり、今年でもう24年目に入る、超ロングタームの仕事になりました。当然役所や業者関係の人達は、すべて入れ替わってしまいましたが、私だけが初めからずっと関わっている、いわば生き証人のような人間になってしまいました。これまではずっと事務局として参加していましたが、今回からは委員の一人として関わることに。

大島
(姿を現した渡島大島。日本最大の無人島であり、いつ噴火してもおかしくない火山です。 2011.6.25)

委員会のあと、夜の部として懇親会もあったので参加してきました。担当の所長と話していて、私がなんで、このような漁港の環境保全に関わっているのかという話になりました。確かに、普段やっている仕事とのギャップは、回りから見ればかなりあるでしょうが、当時の仕事ではむしろそれが当たり前だったのです。

漁港
(現在の漁港の姿。避難港ですから、かなり素っ気ない姿です。米粒のようなブロックは、最大級の60トンブロックなので、近くで見れば見上げるような巨大さです。)

こんなに長く関わるとは思いませんでしたが、昨日の委員会で、完成の見込みはまだまだ先で、事業として完結するのは10年かかりそうだということが分かり、頭がくらっとしてしまいました。まさか、70過ぎまでここに関わることになろうとは…しっかり体力を維持して、体を鍛えておかなければと思った夜でした。

渡島大島調査 番外編

  • 2012.06.29 Friday
  • 10:58
大島の調査では、前日に松前の江良という集落にある漁師民宿「いかわ」に泊まるのが恒例になっています。今は松前町に合併されていますが、江良は昔は大島村という名前の村だったので、今でも学校は大島小学校、大島中学校のままです。渡島大島は、大島村に属していたという経緯があり、江良の漁師の縄張りでもありました。(この辺りでは、おおしまではなく、おおじまと呼ぶのが普通です)

調査が始まった頃は、民宿をやっている伊川さんの長兄(本家と呼んでいましたが)にずっと世話になり、本家の漁船で島まで行き来していました。遠洋の乗組員をやっていた末っ子が戻ってきて民宿やり始めたので、そちらを使ってくれとのことで、それ以来ずっといかわに泊まっています。道南では有名な漁師民宿で、先日もDASH村を見ていると、伊川さんが出てきたのでびっくりしました。

夜に伊川さんと飲んでいると、「すぐそこに刺し網かけているので、明日朝早く、揚げにいがねか?」と言われたので、二人で行くことにしました。四時半に起きて、飼い犬のウニと磯舟に乗り込み、江良港からほんの2〜3分のところに網がありました。

磯船

30mくらいのところに網を沈めているのですが、かなり重いようです。H氏がうんせうんせと揚げていると、ちょっとどけっと伊川さんが揚げるのですが、今までの倍くらいのスピードで上がり始めるのです。コツも力もいる仕事なんですね。最初に上がったのが大きなホヤ。海のパイナップルと言うだけあって、まん丸のいい形のものが引っかかってました。

ほや

何十mもの網を揚げるのは結構大変のようで、交代で揚げていくと、ソイやカレイ、サメなどが次々とかかってきました。

網揚げ

ウニは、いつも船に乗っているのですが、初めからサメが大嫌いだったそうで、今回もシッポにかじりついたり吠えかかったりと、大騒ぎしてましたが、ひれで顔をはたかれて、しゅんとなっていました(笑)

うに

そして狙っていたヒラメが揚がったのです。しかも50cmほどもあるいい形のものでした。

漁果

さすがこの辺りでは一目置かれている漁師だけあって、刺し網をかける位置や深さには自信があるのです。ちゃんと成果を出すところがプロだと感心しました。

一緒に上がったのは水草ガレイと言うんだそうですが、なるほどカレイとヒラメの顔の違いがよく分かりました。「左ヒラメに右カレイ」と言い、腹を手前に置くと、左に顔が来るのがヒラメで、右に来るのがカレイです。ところが日本では100%右なのに、アメリカのカレイでは半々になるというのでややこしい…(^_^;)
カレイはおちょぼ口なのに対し、ヒラメの口は裂けていて怖いのも区別点だとか。

ひらめ

この後すぐに島に渡ってしまったので、ヒラメのえんがわは食べられませんでした…(T_T)
でも、こんな体験ができるのも、海に関係する仕事をやってきたからこそなのですね。いい体験をさせていただきました。

渡島大島調査 仕事編

  • 2012.06.29 Friday
  • 07:18
私が、渡島大島に行き始めて、もう22年も経ってしまいました。ここに避難港を作るに当たって、周囲の貴重な自然環境を保全しなければならないことから、本土から外来種などが持ち込まれていないか、しっかりと管理を行う必要があります。また漁港が完成すると、工事ヤードをすべて撤去し、回りと同じ植生を復元しなければならないのです。植生管理や植生復元を主力としている私にとっては、とても面白い仕事なんですが、あまりにも長くかかりすぎて、ちょっと困っているのです。

最も手強い侵入植物がアメリカオニアザミ(Cirsium vulgare)です。(本来ヨーロッパ原産なので、この名前は不適なことから、セイヨウオニアザミと呼ばれることも多くなってきました)

アメリカオニアザミ
こんな大株はかなり減ってきている

この外来種は、かつて海保によって行われたヘリポートの建設工事によって、島に持ち込まれたといわれます。この調査が始まった頃には、既に島中に背丈ほどの大株が生い茂っていました。初めは普通のカマを使っていましたが、あまりにも棘が痛く、山菜用の長い柄のカマを探してから、作業がずいぶん楽になりました。

刈り取り
山菜カマでの刈り取り作業

二年草の特性を生かし、花茎を伸ばしてくるものを刈り取ることによって、効率的に数を減らすこともできてきています。知床半島先端部でもアメリカオニアザミの侵入が問題になり、ちょうど環境省の仕事もしていたので、ノウハウを提供したこともありました。
工事によって持ち込まれないよう、細心の注意をしているにもかかわらず、いくつかの侵入植物が確認されています。地面を這いつくばらないと確認できないような、ウスベニツメクサ(Spergularia rubra)やアライドツメクサ(Sagina procumbens)なども、既にかなり広がってしまっています。確認後数年は、かなりがんばって抜き取りを行いましたが、これだけ小さいと完全な駆除は難しいのです。

ウスベニツメクサ
路面間雑草と呼ばれる乾燥に強いウスベニツメクサ

植生復元のためには、どんな植物を、いつ、どのように植えればよいのか試験を行ってきました。今でもウサギの食害から守っている試験区を維持し、採種用の株を確保しています。

試験植栽区

ここではムラサキモメンヅル(Astragalus adsurgens)という植物が、初期の緑化には有効なことが分かっています。アルカリ性熔岩砂礫を好んで生育することから、富士山や浅間山、道内でも夕張岳や渡島大島など、国内では極めて限られた場所にしか生えない、希少な植物です。

ムラサキモメンヅル

植生復元には使用できませんが、島における特殊な植物にマイヅルソウ(Maianthemum dilatatum)があります。この植物は、普通林内の湿った場所に群生していますが、葉の大きさはせいぜい5cm程度で、弱々しいイメージしかありません。ところがここでは樹林がないため、かんかん照りの直射日光の元で大群落を作っています。しかも葉の大きさは10から15cm以上もあり、クチクラ層が発達したテカテカゴワゴワの葉なのです。私は「テリハノオニマイヅルソウ(照葉鬼舞鶴草)」と勝手に呼んでいますが、環境によってこんなに植物は変化するものなのですね。

マイヅルソウ

今年もネズミ取りをかけていましたが、毎日一匹かかっていました。今年の個体は極めて大型で、二日目のものは全長(鼻先からしっぽの先まで)が42cmもありました。わなに近寄ると、威嚇したり飛びかかってくるので、かなり怖かったです。

ドブネズミ

今年の工事は海上工事が主体なので、毎日作業船が港内の浚渫を行っていましたが、はていつになったら完成するのでしょうかねぇ…(>_<)

工事

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