大島息抜き編

  • 2017.06.30 Friday
  • 06:01
昨日の昼に大島を離れ、途中用事を片付けながらも、8時前には事務所に戻ってきました。往復共に海がべた凪だったし、島の生活環境が抜群に快適だったので、これまでになく楽な調査だったといえるでしょう。

二日目の調査が早く終わったので、近くの見晴場所にH氏と出かけることにしました。標高150m弱の見晴らしのいい岩場があり、工事ヤード周辺とはちょっと違う植生が見られるのです。途中たくさんの花を見かけたのがホタルカズラ。外国産のミヤマホタルカズラはよく栽培されますが、自生種の方は花は見事だけれど、ツルが伸びまくってお行儀が悪く、ちょっと栽培には向きません。
ホタルカズラ

工事ヤード近くではほとんど花が見られなかったウツボグサも、この辺りにくるとたくさんの花が見られました。隣に咲いている白い花はミヤマイボタ。ウサギの食害を受けるのであまり大きな株にはなりませんが、この辺りにはたくさんあるので、かじり残された枝から花が咲いたものです。
ウツボグサ

この辺りにびっしりと咲いているのがヤマブキショウマ。木本のない島では、マイヅルソウや本種が全く違う表情を見せてくれます。日陰でなよなよしたやさしい草姿のイメージとは全く異なり、まるで低木のようなごわごわガッチリした姿で一面に咲いているのです。
ヤマブキショウマ

一汗かいて見晴場所に到着。涼しい顔をしていますが、実はとっても大変なところに座っているのです。
岩峰

背後は数十mの崖になっており、あまり高いところが苦手な人は、とてもここに行くことはできないでしょう。でも最高の見晴が得られるので、慎重に足場を確保して、写真だけ撮ってきました。
見晴台

本当に天気がよく、海も凪いで鏡のようになっていました。絶海の無人島のこんな所で仕事しているんだ〜と、不思議な感覚にとらわれます。
漁港全景

離れた所から岩場を覗いていて、崖の少し下にガマズミが花を咲かせているのを見つけました。ガマズミは工事ヤードのすぐ近くに1本だけあったのですが、大雨で土砂崩れが起きた時に流されてしまい、植物リストから抹消されていたのです。これでまた復活させることにしましょう。
ガマズミ

急斜面をそろそろ下りていくと、ちょっとした窪みにエゾヒナノウスツボを二株見つけました。これも道南要素の一つで、まことに不思議な花を咲かせる植物です。
ヒナノウスツボ

往復2時間弱の散歩でしたが、いろいろと収穫もあったので、ただの息抜きではなく稔り多いものとなりました。本当は工事ヤード周辺から出てはいけないのですが、島の植生を把握するためにはこのような調査も必要不可欠なのです。

大島調査編

  • 2017.06.29 Thursday
  • 06:03
前日とはうって変わって海は平穏。漁師さんは‘とろ波’と呼ぶ静かな海を、いつもの近海号はひた走り、2時間弱の航海を経て8時半には大島の東端にあるトリカラスノ浜に到着しました。
大島到着

上陸するとたくさんの重機が動き回り、海岸の風景も一変してました。流入する砂が港内を埋め尽くして、まるで海水浴場の砂浜みたいになっていたものが、がっぽり浚渫されてなくなってました。一冬で元に戻らなければよいですが。
浚渫作業

まずは荷物を宿舎に運び、寝る場所の確保。これまで工事が中断していた時には、建物は使えたけれど、水も電気も何もなかったのですが、たくさんの作業員が寝泊まりするようになって、室内もすっかりきれいになり、なんと布団も支給されました。以前の工事期間中でも、私たち調査班には布団など使わせてもらえず、固い板敷きに寝袋で寝泊まりしていたため、28年目の調査で初めて布団で休むことができるのです。その上なんと宿舎内にはWi-Fiまで完備しており、至れり尽くせりの環境です。聞いてみると、こんな場所で働いてもらうためには、このくらいしなくては若い人が集まらないのだそう。なるほどねえ…
宿舎

ここでの調査は多岐にわたり、最も大切なのは工事による環境の改変を押さえること。重機や資材が持ち込まれるため、いろんな外来植物が島内に持ち込まれ、安定した孤島の自然環境が脅かされるのを防ぐことです。今回も2種の新規侵入植物を発見して除去しました。このため工事区域をしらみつぶしに見て回り、2年前にはハマウツボという寄生植物が生えているのを見つけたこともあります。自生種でもこのように新規確認されることもあるのです。
ハマウツボ

工事ヤード内を歩いていると、バッと飛び出して逃げたのがこのアナウサギ。これは今から約80年前に、毛皮を取ろうと松前の漁師が放したもので、島内至る所に巣穴を掘りまくって大繁殖してしまったものです。ピーターラビット君はかわいいけれど、生態系に甚大な影響を与えるために、世界中で問題になっている外来種です。
ウサギ

島内の自生種でこの時期に花が咲いているものは、ウツボグサ、ホタルカズラとこのエゾノキリンソウくらい。海岸近くの草原にはこのカーペットが形成され、満開になると真っ黄色になって見事です。日当たりのよい海岸の砂礫地で、花が咲きかけた株を見つけました。
エゾノキリンソウ

絶海の孤島なので、西ノ島のように噴火して島ができて以降、風で飛んできたり渡り鳥によって運ばれた植物が少しずつ定着し、乏しいながら百数十種の植物が確認されています。その中には、海流によって種子が運ばれ、海岸の砂礫地に生えて来るものがいくつかあります。このハマベンケイソウもその一つ。波にさらわれない場所に3株が定着し、花を咲かせてきました。この葉はオイスターリーフと呼ばれ、牡蠣の風味があるサラダ用として利用されているものです。
ハマベンケイソウ

漁港を上から見るとこんな感じ。深さ1,500mの海底から羊蹄山より大きな火山が屹立し、上の700mだけが見えているような島なので、このような施設を作るのはものすごく大変なことなのです。米粒のように見える消波ブロックだって近くに寄ると小さな小屋くらいのサイズで、最大級の60トンブロックを積み上げています。全国的に見ても最も厳しい環境での避難港造りなので、現地着手以来28年経ってもまだ完成に至らないという状況です。この環境保全の仕事に関わって現場を知り尽くしている者として、最後まで関わっていかなければならないけれど、あと5年で70になるのだから、早く完成してほしいなぁ…(>_<)
漁港全景

松前移動編

  • 2017.06.28 Wednesday
  • 05:40
渡島大島からの更新です。今年の大島は、なんと宿舎棟まで Wi-Fi が完備されており、これまでの無人島生活とは大違い。工事が中断し、再開後も通いでの施工が続いていたけれど、いよいよ本格的に完成に向けて工事を進めなくてはならないことから、傷んだ建物を補修し、並みのホテルクラスの設備になっておりました。電気はもちろんのこと、トイレまでウォッシュレット付きになり、無人島を意識することが全くないのです。衛星回線経由なので少し遅いけれど、ネットにも繋げることができるようになったので、ぼちぼちと振り返ってみることにしましょう。

26日は、夕方までに松前に移動するだけなので、いつものH氏とのんびり中山峠経由での移動。まずは真狩の空(くう)の庭に寄ってみました。
空の庭

いつもは日曜に移動するため、会うことができなかったけれど、今回は一日遅れたためにSさんの元気な顔をみることができました。いろいろと苦労も多いけれど、すっかりこの場所になじんだ植物たち相手に、少しずつ自分らしさを発揮してくれるでしょう。
斜面花壇

ちょうどお昼になったので、近くの蕎麦屋に行ってみました。週末は激混みだけど、平日ならと寄ってみると、一組待ちでなんとか座ることができました。この「いし豆」は、マッカリーナと共にミシュランガイドに掲載の店。夫婦二人でやっているため、普段なかなか入ることも難しいのだとか。
メニュー

鶏ごぼうをいただきましたが、確かにキリッとした質の高いお蕎麦でした。返しがちょっときついのがもったいないかと思いましたが、旅の思い出になる蕎麦でした。
鶏ごぼう

月曜とあって道路もかなり空いており、黒松内から高速、落部で降りて厚沢部経由で日本海岸に出ると、まだ風が残っている海はかなりのうねりがありました。上ノ国を過ぎるとゆったりとした海岸草原が広がり、エゾスカシユリやエゾゼンテイカの花が見られ始め、以前にも立ち寄ったエゾニュウ群落で下車。3mを越すエゾニュウが見渡す限り咲いていて壮観です。
エゾニュウ

道路に戻ったところで思わず息を呑んでしまいました。ようやく晴れて暖かくなり、日向ぼっこに出てきたアオダイショウが。怖さ半分、でもあまりの美しさに、じっと我慢してしばらく眺めてしまいました。アオダイショウとはよく言ったもので、本当にきれいな色をしています。
アオダイショウ

松前に着くと、空き地にはたくさんのオオマツヨイグサが。この写真は翌日の朝のものですが、この花を見ると道南に来たことが実感されます。
オオマツヨイグサ

宿はいつもの民宿いかわ。いつも出迎えてくれるダックスの「うに」が、今年の冬に事故で亡くなってしまったとのこと。ちょっとしんみりしてしまいましたが、いつもの海鮮山盛りの夕食をいただくことができました。
いかわ

大島の植物

  • 2016.06.30 Thursday
  • 06:00
今回の大島は、なにせ滞在時間が4時間弱だったので、工事区域周辺を含めてじっくり見てくることができませんでした。それでも一通り見て歩いた中では、一番問題のアメリカオニアザミの数がかなり少なくなっていることが特徴的でした。80年代に島に侵入したと考えられる外来種であり、この現場に入ったときから毎年格闘してきた強烈な植物です。工事ヤード内でも数株しか見つかりませんでした。毎年続けている抜き取りの成果もあるのでしょうが、このまま推移してくれることを祈るばかりです。
アメリカオニアザミ

昨年見つけた新規確認種であるハマウツボは、今年は数が少し増えていました。この種はヨモギ属の植物に寄生する性質があり、ここではハマオトコヨモギに寄生しています。種子は長年土の中で休眠し、寄生植物の根が近くに伸びて来ると発芽してその根に寄生するのだそうです。この場所は切土造成した区域なので、そんなものがなんでここに生えてきたのでしょうねぇ?
ハマウツボ

工事ヤードの背後には、一面のススキ草原が広がっているのですが、すぐ目の前になぜかミズナラの木が1本あります。かつてこの浜には番屋があり、コンブやワカメの時期にはある程度定住していたそうなので、ここには畑でも作っていたのか、木を植えて風除けにしようとしたのか、いずれにせよ人為的に持ち込まれた可能性が高いものです。ところが今年見ると、ヤマブドウのつるにすっかり覆われてしまい、ミズナラの葉が見えないのです。
ミズナラ

確かに以前からヤマブドウは絡んでいましたが、こんなにひどくはなかった筈と、5年前の写真を見てみました。確かに少し絡んでいましたが、年々大きくなって来たようです。
5年前

それよりもびっくりしたのは、一面ノブドウが地面を覆ってしまい、つるが絡んで入って行けなくなってしまったのです。この草原には、ヤマブドウとノブドウ、ツルウメモドキやツタウルシなど、厄介なつるものが絡み合うので、藪こぎが大変なところが多いのです。
ノブドウ

ここに生えているのは、普通林内でひっそりと生えているマイヅルソウが純群落を形成しているのですが、その上をすっかりノブドウが覆い尽くしてしまっていました。この近くにもう一箇所マイヅルソウ群落があるのも、同様にノブドウが覆っており、これも遷移の過程なのか見ていかなければなりません。ここのマイヅルソウは、私は『テリハノオニマイヅルソウ』と名付けているほど、肉厚でがっちりしており、びっくりさせられるのがその葉の大きさ。私の手の平よりも大きなものがゴロゴロあるのです。マイヅルソウの葉の大きさについては立派な論文が出ているほど、地域によって大きく異なる傾向がありますが、ここのものは間違いなく最大級のもののようです。
マイヅルソウ

例年咲いているウツボグサやホタルカズラの花も見かけず、今年は少し早く生育が進んでいるようでした。もっとじっくりと見て歩きたかったなぁ…(>_<)

日帰りで大島へ

  • 2016.06.29 Wednesday
  • 06:06
渡島大島に通い始めて、なんと27年目になりました。これだけ長く関わることになろうとは、始めた頃には夢思わなかったです… 現在では、学識経験者として元いた会社の調査を指導する立場。調査時期を同じ条件にしなければならないので、日程は6月最終週としており、ここは常に空けておかなければなりません。ところが今年は海象がよろしくなく、なかなか船が渡れない日が続いていました。交通船の定員が8名なので、調査隊が乗れる日が限られてしまうこともあり、このまま行くと来週とかになりそうなので、たまたま空いているところにもぐり込み、なんと日帰りで調査することになりました。
いつも泊まる民宿では、せっかく来たので朝イカ食べていけと、5時半に朝食を出していただきました。こりこりと甘みが乗って最高でした♪
朝イカ

松前港に行くと、いつもの交通船が待っておりました。向こうに見える弁天島には、昔は無線局があって職員が常駐していましたが、遠い昔のことになりました。
松前港

7時に出港して1時間半あまり、べた凪の海面だと本当に楽です。何度か大時化にも遭遇しましたが、あんな経験は本当にご勘弁です。島が近づくと、木が全く生えていない火山島は、いつ来ても不気味に感じてしまいます。
大島

建設中の漁港に近づくと、深夜に出港して先行した台船が着岸し、水をタンクに送っていました。ずっと時化が続いて水が不足していたそうです。今年から建設工事が本格的に再開され、たくさんの重機が入っているので、とてもにぎやかになりました。
トリカラスノ浜

調査時間は3時間ちょうど。紙に記入する時間がないので、ICレコーダーにコメントを録音し、あとで起こしてもらうことにしました。担当者と二人で各ポイントを周り、なんとか最低限の現場確認と調査を行うことができました。3時間しゃべり続けたのでさすがにぐったり…
漁港

12時ちょうどに島を出発しました。この10年間は工事が中断していたので、宿舎には泊まれましたが、電気も水もないキャンプ状態でした。今年は宿舎も改装してウォッシュレットまでついていたというのに、残念ながら「ホテルニュー大島」には泊まることができませんでした。うーむ…
出発

向かい風だったので、行きよりは多少揺れましたが、2時前には無事に松前港に戻ってきました。いつも弁天島を見るとホッとします。それから札幌まで走り、なんとか明るいうちに札幌に帰ることができました。それにしても無茶苦茶な移動距離…私の都合でこんなことになってしまったものですが、付き合ってくれた担当者には本当にお疲れ様でした…
弁天島

渡島大島の植物

  • 2015.07.03 Friday
  • 05:51
先日行ってきた渡島大島は、日本最大の無人島でありながら、かつてはかなり活発な活動をしていたと考えられる火山島であり、絶海の孤島のため極めて植生は貧弱です。それでも海流に流された種子が漂着したり、渡り鳥によって運ばれたりして、百数十種の植物が確認されています。

現場のあるトリカラスノ浜の南側には、ここにだけハマヒルガオ(Calystegia soldanella)群落が広がっています。このような生え方をする海浜植物は、種子が海水に耐えられるようになっており、漂着し次第発芽して広がって行きます。
砂浜

それにしてもここ数年群落が拡大し、ちょうど行く6月末に満開になっているので、ピンク色のカーペットになっています。毎日新しい花が咲いてくるのですから、いったいどれだけのつぼみが用意されているのでしょうか。
ハマヒルガオ

ハマベンケイソウ(Mertensia maritima subsp.asiatica)も、昨年に続いて開花株が見つかりました。より汀線寄りの岩礫地に生えており、たくさんの種子を残して、冬の波浪で本体は消え去る運命のようです。
ハマベンケイソウ

大島特有の植物としてはこのムラサキモメンヅル(Astragalus adsurgens)が不思議な存在です。アルカリ性熔岩砂礫地にのみ成育し、本州でも富士山や浅間山、岩手県の宇霊羅山など、道内でも夕張山地や岩内方面など数カ所にしか自生していないものです。一体どうやってここがアルカリ熔岩だということを嗅ぎつけて、こんな離れ小島にやってきたものでしょうか。
ムラサキモメンヅル

ホタルカズラ(Lithospermum zollingeri)も渡島半島の数カ所でしか確認されていない植物ですが、大島では至るところで咲いています。園芸的には地中海沿岸産のミヤマホタルカズラ(Lithodora diffusa)がよく植えられますが、花はよく似ているけれど草姿も異なります。別種で海外産なのに、こんな和名を付けるのはもってのほかだと思いますが。
ホタルカズラ

わりとどこにでもあるウツボグサ(Prunella vulgaris subsp. asiatica)ですが、普通林内でなよなよした生え方をしているのに、木陰のない大島では、なんだか見違えるようにがっしりした咲き方をしています。
ウツボグサ

今回初記録種となったのがこの花。初めはウツボグサだと思っていたけれど、何か印象が違うなぁ?ともう一度よく見てみると、あれ?葉がないぞ!ということに気付きました。
花のアップ

今まで図鑑でしか見たことがなかったハマウツボ(Orobanche coerulescens)だったので、ちょっと興奮。これはハマオトコヨモギに寄生する植物で、周りを見ると昨年の花ガラを見つけてしまい、どうやら昨年はウツボグサだと見逃していたようです…(>_<) ハマウツボ科という全然別の仲間で、あちこちうろつきながらアンテナの感度を上げていけば、いろんな植物に出会えるものだと思いました。
ハマウツボ

大島からの帰還

  • 2015.06.25 Thursday
  • 16:47
島での二日間、本当に死にものぐるいで働いて、昨日の昼前に島を離れました。今回はスカッと晴れた時間がほとんどなかったけれど、これで晴れるとものすごい紫外線で火傷を負うこともあるほどなので、このくらいの方が過ごしやすかったです。島を離れる時には、来年もまた来ることになるのかなぁ…と、ちょっぴり感傷的になるのですが、26年目にもなるとねぇ…(^^;)
大島

今回は9年ぶりに工事が再開し、工事業者の交通船に便乗する形なので、いつもの江良漁港ではなく松前港の発着です。津軽海峡の方に回り込む形になるので、20分ほど余計にかかり、松前港の入り口にある弁天島灯台を見ながらの入港になりました。
弁天島

上陸して遅いお昼を食べようと旧道を通っていたら、家の前にずらりとボタンゲシの花壇が… こんな人通りの多い道端で、よくも堂々と栽培しているものだとあきれてしまいました。パトカーだって頻繁に通っているだろうに、おまわりさんにもちゃんと教育しなければいけませんねぇ。
ボタンゲシ

松前では、これまで何度か入ったことのある蕎麦屋さんへ。鰊蕎麦と海苔弁当をいただきました。この海苔は白神岬周辺でわずかに取れる寒摘みの岩海苔だそうで、とっても香りがよくて美味しかったです。アルマイトの弁当箱がなんとも懐かしく、昔の弁当談義で盛り上がりました。
ニシン蕎麦 のり弁当

今回は、調査開始時に世話になった植生研究の権威であるS先生に同行をお願いし、いつものH氏と3人での道行きとなりました。植物好き3人なので、まっすぐ帰るわけがありません。まずは松前の町外れにある立石観音回りの植物確認を。珍しいアオツヅラフジ(Cocculus orbiculatus)が見つかりました。ツヅラフジ科の雌雄異株のつる性木本で、雌株には秋になると真っ青なブドウのような実がなるというものです。図鑑でしか見たことがないものが間近にあると感激ものです。
アオツヅラフジ

車を止めたあたりには、もうかなり萎れ気味でしたがオオマツヨイグサが群生。この花を見ると松前に来たということが実感されます。
オオマツヨイグサ

松前町二越の海岸では、以前見つけていたエビヅル(Vitis ficifolia var.lobata)を先生に見ていただきました。これも雌雄異株のつる性木本で、ヤマブドウよりは美味しいとのこと。アオツヅラフジも本種も道南要素の一つです。
エビヅル

砂浜にはハマハコベ(Honkenya peploides var.major)の大きな株が満開になっていました。雄しべ雌しべを完備した両性花と雄花雌花の単性花の株があるとのこと。これは雄花ばかりの株でした。今年大島の海岸にも3株小さな株が見つかり、海流によって漂着したもののようでした。対岸にこれだけあるのですから、いろんなものが流れ着いてきそうです。
ハマハコベ

いざ大島へ

  • 2015.06.21 Sunday
  • 14:00
大島といっても渡島大島。私の現場では一番遠いところにあります。ここに通い始めてなんと26年目。いい加減早く決着をつけたいところです。

このところあちこちの火山が噴火を始めており、大島も江戸時代には大噴火しているので、決して気持ちのいい場所ではありません。今回の調査中は、ヘルメット必携の命令が出ているので、そのあたりを警戒しているのでしょうか。水深900mの棚の中に羊蹄山くらいの山がそそり立っていて、そのうち700mほどが水面から顔を覗かせているわけです。
大島近海

今回は工事との関係で深夜の渡島になり、島の写真も撮せません。毎年行っているとはいえ、どんな様子になっているのか興味津々です。寝るところはプレハブがあるものの、水も電気もない無人島では、お日様と共にのんびりと過ごすことしか出来ないので、否が応でもストレスの解消になります。25日頃には帰ってこられると思いますので、しばしお休みさせて下さい〜
大島

渡島大島の海岸で

  • 2014.06.28 Saturday
  • 14:43
海を越えた渡島大島は、絶海の孤島であり、日本最大の無人島といわれるほど巨大な島です。約1,500mの海底から羊蹄山よりも大きな円錐形の山体がきれいな形で形成されており、そのうち700mほどが海面の上に頭を出している状態です。
繰り返し火山が噴火してきたため、植生はいたってシンプル。樹木はほとんどなく、全島でも百数十種の植物しか生育していません。海流によって漂着する可能性が高い海浜植生にしても、江差で普通に見られたハマニガナやハマニンニク、シロヨモギ、ウンランなどはまったく見当たらず、かなり寂しい海岸景観となっています。入島した日、浜の向こうでピンク色に染まっていると測量班から聞いて行ってみると、ハマヒルガオが満開になっていました。
トリカラスノ浜
斜面からの崩落が止まらず、風が吹けばサラサラ崩れ落ちてくるような急斜面の途中やその下に、ハマヒルガオの純群落がありますが、今年の花着きがまたすばらしく、ピンク色のカーペットになっていたのです。それにしても今年はいろんな植物で花着きがいいようですが、こんな草でもそうなるとは。
ハマヒルガオ
オカヒジキはかつて1個体だけが、最近ようやくコウボウムギがちらほらと、海流によって流されてきたと考えられる植物が見つかることがあります。それこそオニハマダイコンが侵入していないか、目を凝らしてみていくと、なんとハマベンケイソウの大きな株に花が咲いていました。昔小さな株が見つかったことがありましたが、翌年には消えてしまっており、それ以来の対面でした。それにしてもこのサイズであれば、どこかに定着していたものが、冬の時化でさらに流されてきたものかもしれません。
ハマベンケイソウ

最近海岸で貝殻やゴミなど、いろんな漂着物を探すビーチコーミングが流行ってきています。私たちはずっと昔からこれを続けてきており、今年も一つ見つかったものに白樺浮きがありました
白樺浮き
これは、今でも対岸のロシアに住む先住漁労民族が、網の浮きとしてシラカンバの皮を剥いてくるくる巻き、網にたくさん付けているものです。5〜6年前には十数個付いた網の一部を拾ったこともありました。油分が多く、軽くて浮きやすい性質を活かしたものです。中国語やハングルが書かれたプラスチック製の浮きは山ほどありますが、こんなものを見るとまだ使っている人達もいるんだなぁと嬉しくなります。

今年初めて椰子の実も漂着しました。ヤシの実割りでS君に割ってもらいましたが、中身はもう腐っており、かなり時間が経ったもののようでした。
椰子の実

渡島大島は、我が国では珍しいアルカリ基質の火山なので、国内でも生育箇所の限られているムラサキモメンヅルも、同じくアルカリ性熔岩からなる富士山、浅間山、戸隠山、国内では夕張岳、大平山くらいしか生育していないのです。
カンラン石輝石玄武岩と呼ばれる熔岩には、宝石でもあるペリドットが含まれています。砂浜にしゃがんでじっと目を凝らすと、淡いオリーブ色のペリドットがすぐに見つかりますが、残念ながら指輪にできるほど大きなものはこの島では難しいとのこと。帰りの船待ちの合間に、桟橋近くの浜で10分くらい探すとこの程度は拾うことができるのです。この程度なら、ペリドットを求めて観光客が殺到することもないでしょう。
ペリドット

大島から帰ってきました

  • 2013.06.27 Thursday
  • 07:04
昨日の夜に、大島から帰ってきました。
今回は、これまでと別の会社が業務を受注し、全くの初めての島行きなので、いろいろと不安もありましたが、みなさんとてもがんばってくれたので、私たちの仕事は順調にこなすことができました。無人島とはいえ、工事のための作業施設があるので、電気や水がないことを除けば、そんなに不便な生活ではありません。とはいえ、できるだけ早く仕事を片付け、一日でも早く撤収しなければならないので、仕事はかなりハードですが、私の場合もともと早寝早起きの生活なので、無人島ではピッタリのリズムになるのです。

今朝も3時過ぎに目が覚め、4時に起床して仕事のレポートを書いていました。島に渡ってずっと曇り空でしたが、ようやく朝日が。
日の出
作業基地のあるトリカラスノ浜は東側にあるので、朝日がまぶしかったです。

残っている仕事を手早く片付け、帰還する4名は荷物をまとめて撤収準備を。島との交通船は、朝の四時半には島に来て、裏側の方で待機していました。私たちはこれで帰れますが、別の班の仕事はまだまだ残っているので、なんだか申し訳ないような気持ちでお別れしてきました。
近海号

この島に通うようになってもう23年。こんなに一つの仕事に係わる例は、多分日本中を探してもないだろうと思います。それだけに、避難港の完成と共に、工事に関わる施設の撤去、そして地形の復元や植生の復元と、最後までずっと係わっていかなければならないのです。確かにやりがいのある仕事ですが、いつも帰り道にこの島を眺めていると、また来年も来なくちゃならないのかぁ…という複雑な気持ちになってしまいます。
大島

本土の土を踏んで、まず最初はお風呂に入って、きれいさっぱりと汚れを落とさなければなりません。今年は時間が早かったので、上ノ国にある花沢温泉に。たった200円で入れる天然温泉です。今年はそんなに暑くなかったので、いつもよりはきつくなかったのですが、それでも最初は泡が全く立ちません…
温泉

きれいさっぱり髭も剃り、指名手配犯のような人相から解放され、少し遅いお昼を。今回は江差の「むらた」という蕎麦屋さんに。風呂と蕎麦は、島帰りの毎度のパターンです。出てくるのにとっても時間がかかりましたが、美味しい手打ちそばでした。
そば

ようやく人心地つき、一路札幌に。厚沢部から落部に抜け、高速に乗って黒松内まで行き、ニセコ経由が好きなので、黒松内新道から5号線に回ります。結構日差しが強く、羊蹄山にかかっている雲は、噴煙のような高く伸びており、まるで入道雲のようでした。
羊蹄
暗くなる前に、無事に事務所まだ戻り、松前までの往復630km、海上100kmの旅が終わりました。本当にハードではありますが、こんな仕事をやれるのも、技術屋冥利に尽きるといえるでしょう。一度きちんとリセットしてから、後半戦に臨まなければなりません。

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