植物園温室

  • 2024.01.20 Saturday
  • 05:48
植物園の横を通ったら、温室が開いていたのでちょっと覗いてみました。コロナでずっと閉まっていたので、四年ぶりでしょうか。入口を入ったところには、クリーム色の花を咲かせているアメリカバンマツリ(Brunfelsia americana)が。開花したては真っ白で、少しずつ黄ばんでくる花のようです。
アメリカバンマツリ

窓際ではトベラ(Pittosporum tobira)の花が。四国の海岸には普通に生えていたので、ちょっと懐かしく感じました。この花も初めは白く、やがて黄ばんできます。
トベラ

なんだか怪しい花を付けているのは、オオバシダソテツ(Stangeria eriopus)というソテツの仲間。南アフリカが原産で、裸子植物らしい花はやっぱり雄花のようです。
オオバシダソテツ

かつては熱帯スイレンやオオオニバスが目を引いていた池には何もなくなり、オヒルギとメヒルギの鉢が置かれているだけ。なんとも寂しい限りです。ストレリッチア(ゴクラクチョウカ)(Strelitzia reginae)だけが派手な花を咲かせて一人気を吐いていました。
ストレリッチア

部屋の一番隅の方で、小さくて見逃してしまいそうな花を咲かせているのは、ウマノスズクサ科のアリストロキア・バエチカ(Aristolochia baetica)。イベリア半島からモロッコにかけて自生しており、まるで食虫植物のようです。
アリストロキア

大温室で目を引くような花はこれだけで、なんとも寂しくなっていました。廊下にも鉢が一つもなくなり、北側はシダ室だけなので、せっかくたくさんの外国人が見に来ているのに、ちょっとかわいそうです。南側にある食虫植物室では、ムシトリスミレの仲間のピングィクラ ‘アフロディテ’(Pinguicula 'Aphrodite')が咲いていました。たくさんあるウツボカヅラの鉢はなんだか元気がなく、生きのいい捕虫葉がほとんどありません。湿度が足りないのかなぁ…
ムシトリスミレ

洋ラン室も目新しいものはなく、丈夫でいつも花を咲かせているものばかり。これはブラソカトレヤの‘マユミ’(Brassocattleya Maikai 'Mayumai' )。展示が目的の温室ではないとしても、今まで持っていたものをただ並べてあるだけでは、120円でもお金を取る価値はないように思えます。
ブラソカトレヤ

一番奥にある多肉・サボテン室も回遊園路ができた分植栽スペースが狭くなっています。マユハケオモト(Haemanthus albiflos)を実生したのか、小さな株に咲いた花からまっ赤な果実が覗いていました。
マユハケオモト

恐らく札幌市民でここに来る人はほとんどいなくて、最近では来園者の半分以上は外国の方。都心でこれだけ緑を楽しめる唯一の場所なので、市民ボランティアの力を借りてでも、もう少し賑やかにできないものでしょうかねぇ…

牧野展

  • 2023.09.09 Saturday
  • 05:44
植物園の温室では、『牧野富太郎と北海道の植物』という企画展がありました。植物園協会に加盟している全国の植物園で、同時並行的に行われているのだそうです。でも温室の狭いロビーだけなので、ちょっと物足りない展示でした。
牧野展

牧野富太郎(1862ー1957)と宮部金吾(1860−1951)はほぼ同じ時期を長く生きて親交も深く、たくさんの書簡が残されているそうです。そのあたりがたくさん紹介されているのかと思いきや、このパネル一枚でした。そこが一番知りたいところなのに…(>_<)
宮部金吾

牧野は精密な植物画を残していますが、道内の植物画も大変レベルが高く、1990年に発足した北海道植物画協会を中心にたくさんの描き手が生まれています。その中心人物の中から、早川さんと松島さんの植物画が展示されていました。
植物画

なお、牧野ゆかりの植物も入り口脇にいくつか展示されています。みんな花は終わっていたけれど、コマクサも牧野さんが命名していたんだとびっくり。でもそのことより、このロングポットの方が気になりました。滝野公園に毎年のように植えてもなかなか定着できません。地植えは難しいようなので、今度はこの方式で植えてみようかな?
コマクサ

せっかくなので温室の中も一回りしてきました。ちょうど咲いていたのがプルンバーゴ(ルリマツリ)。絶対に写真では表現できない色をしています。
プルンバーゴ

初めて見た花がスイレンボク(睡蓮木)というアオイ科の小低木で、確かにスイレンの花に似ているかもしれません。非耐寒性の低木ですが、ミニ盆栽などで結構出回っているようです。この時期に温室をあまり見たことがなかったので、いろいろ目新しいものに出会えました。
スイレンボク

牧野展は来年3月末までのロングラン展示だそうですが、10月初めの秋咲きクロッカスの時期など、植物の見どころの多いうちにぜひご覧下さい。

夏の名残り花

  • 2023.09.07 Thursday
  • 05:58
久しぶりに植物園に行って来ました。曇り空なので、写真映りがいいと思ったのです。宮部記念館前にあったハルニレ三姉妹のうち、館寄りにあった長女(?)が倒れてからもう10年くらい経ちました。株元の痕跡が年々小さくなり、まもなく跡形もなくなってしまいそうです。
スリーシスターズ

植物園に来たら、必ず挨拶に行くのが博物館前にあるクロビイタヤ。学名がアーケル・ミヤベイ(Acer miyabei Maxim.)で、師であるマキシモビッチ先生が、宮部の名をとって名付けてくれた植物であり、植物園のシンボルでもあります。
クロビイタヤ

草本分科園では、エゾトリカブトを追いかけるようにオクトリカブトが咲き始めていました。余り分岐しないで咲いてくることや、花の色も濃くて大きいです。毒性が強く、中でも小樽近辺のものが最も毒性が強いため、ブランド化していたそうです。
オクトリカブト

イヌキクイモが一本だけ開花していました。植え替えしないと球根が密集して小さくなり、花が咲いてこないのでしょう。横に逃げた株にだけ咲いています。キクイモは10月中下旬でないと咲いてこないので区別できますが、寒さに弱いのか、小樽以南でしかまだ見たことはありません。
キクイモ

キクイモと区別できるのか?かなりもめている植物ですが、開花期の違いや塊茎の付き方などは明らかに違いがあります。葉を見比べてみると、イヌキクイモ(右)の葉はやや緑が濃く、付け根に向かってすっと細くなっています。キクイモ(左)の葉は緑が薄く、葉が急に細くなっていますが、決め手になるのでしょうか。
区別

バラ園との境界には、生垣の中にアメリカノウゼンカヅラのアーチがあり、その左にある白花のサルスベリと共に、今年はたくさんの花を付けています。南方系の植物は、暑い夏には本当に生き生きと元気になるのです。
ゲート

黄花のアメリカノウゼンカヅラは、大通公園や滝野公園にも咲いているのですが、本来の赤花の株はいまだかつてここでしか見たことがありません。よく似ているのがノウゼンカヅラとの交配によって作られたアイノコノウゼンカヅラで、‘マダムガレン’という品種はあちこちで見かけます。これより花筒が短く、ラッパがより大きく開くので見分けられるのですが…
アメリカノウゼンカヅラ

ここのサルスベリは二本あり、昔はほとんど同じ大きさだったのに、左にある紫の花の株は寒さで傷んだのか、息も絶え絶えで縮こまっています。それに対して白花の方はボウボウに枝を伸ばしてたくさん咲いているけれど、ちょっと暴れすぎかなぁ…(^^;)
サルスベリ

北大植物園

  • 2023.05.16 Tuesday
  • 05:57
デスクの横に、送られてきた雑誌や報告書、学会誌などを積み上げており、一年に一度くらい片付けています。その中に以前植物園から送られてきた6年分の年次報告が入っていました。それを片付けようと書棚に行くと、ついいろんなものを引っ張り出してしまいました。

植物園は農学部附属植物園だったので、農学部の学生であれば無料で入ることができました。(現在は全学組織の北方生物圏フィールド科学センターの一組織)このためしょっちゅう行ってましたが、正門からではなく裏の方からバックヤードに出入りしていたように記憶しています。助手だった華園先生にはずいぶんいろんなことを教えていただきました。多分その時辺りにいただいたのがこれらの植物リストで、ロックガーデン、樹木、草本、温室植物、北方民族植物園の5冊です。
植物リスト

88年9月に辻井先生に転職の挨拶に行ったら、ちょうどいいところに来たと、90年の大阪花博の大阪市の施設である「咲くやこの花館」の高山植物室の設計と植物供給のテストを手伝うことになり、一層植物園との関係が深くなりました。その頃にちょうど発行を始めたのがこの年報です。
年報

これは2000年から「技術報告・年次報告」と模様替えし、2017年までのが届いてます。辻井先生が植物園から農学部に移ってからも、送付リストに残っているらしく、いまだに送られてきています。
年次報告

植物園では、もう一つ画期的なレポートが発行されていました。『MIYABEA』という英文誌で、「Illastrated Flora of Hokkaido」の副題の通り特集を組まれた植物の植物画が添えられていました。
MIYABEA

第1号はエンレイソウ属、第2号はサクラソウ属、第3号はスプリングエフェメラルが特集され、素晴らしい植物画としても見応えがありました。
1,2号

1991年に第1号が発刊され、それから三年おきに発行されてきましたが、99年の第4号はなんとミズゴケ特集。あまりにも玄人向けすぎて、私にはちんぷんかんぷんでした。結局この号で打ち止めになり、以降は発行されていません。
3.4号

これらのレポート類は、現在の植物園のHPからダウンロードできるようになっているので、もう送っていただかなくてもよいのですが、パラパラめくっていると、ついいろんなことを思い出してしまいました。

初植物園

  • 2021.11.24 Wednesday
  • 05:50
9月の札幌10区の特集で、私は植物園を取りあげました。初めて植物園に入った時のことは、50年経っても鮮明に覚えています。
植物記

その時に撮した写真があったことは覚えているのですが、手元にはプリントした写真もなく、ネガはどこかにあるはずですが、そのままになっていました。昨日別の写真を探していて、実家のアルバムを見ていたら、その時の写真が出てきたのです。母に送ったものが、コメント付きできちんとアルバムに貼られていました。ライラックウォークのある北ローンを、向こうから走ってきているのが私です。
北ローン

隣に寝転んでいるのが、高校の同期で現役で入っていたS君。私は一浪して4月20日に札幌に来て住み始め、5月の10日くらいにSに誘われて植物園に初めて入りました。広々したローンに感動し、自由に歩き回ってもいいことにびっくりし、座った途端に湿っているので跳ね上がりました。しっとりした西洋芝の初体験です。それにしてもすごいくせ毛だなぁ…(^^;)
19歳

そのあと道庁の赤れんが庁舎の裏で写していますが、この辺りの記憶はありません。植物園でも、ほかの所の記憶はないので、よほどあのローンの感触が忘れられなかったのでしょう。それにしても不思議なのが、この写真を撮したのは誰だったのか、全く記憶がないのです。やはりネガを探し出して、他にも写っている誰かを探さなければならないようです。
赤れんが

久しぶりの植物園

  • 2021.08.15 Sunday
  • 05:53
ちょっと仕事が煮詰まってしまったので、気分転換に植物園に行って来ました。6月末まで閉園していたので、今年初めての訪問です。ススキは乾燥に強いので平気な顔をしていましたが、足元のオシダは枯れ枯れになっていました。
植物園

いつものように右手に入っていくと、さすが植物園、ローンは何ごともなかったように青々としています。メムをそのまま残している地形的なものもあるのでしょう。右側のハシドイは、クラーク博士がアメリカにタネを持ち帰って、アーノルド植物園に植えられていた木からタネを取り、里帰りしてきたものです。
宮部記念館

宮部記念館前に植えられている「札幌最古のライラック」が、ずいぶんと小さくなっているのにびっくり。2004年の18号台風の時に、横のハルニレが折れて倒れ込んでしまい、2/3くらいつぶれてしまいました。大きな幹が1本残っていたのですが伐り株に…株元からのひこばえを育てていくことになりますが、ちょっと説得力がなくなってしまいました。
ライラック

町中にあった『コッネイの三泉』のうち、植物園に湧いていたピシクシメムは、とっくに涸れてしまっているのですが、道庁の空調とかで大量に汲み上げている水の余り水を、パイプで源泉のところに引いてきているため、一年中水が涸れることがありません。一部は陸地化していますが、真ん中に横たわっている幽庭湖は健在で、この水があるのでローンが青々しているのです。
幽庭湖

灌木園に行ってみると、相変わらずオオスズメウリがはびこって黄色い花を咲かせていました。本種は農学部裏と植物園内にのみ見られる外来種で、マルバフジバカマなどと共に「北大雑草」の一つです。誰が持ち込んだものやら…(^^;)
オオスズメウリ

園内に2箇所植えられているサルスベリが、今年は一際大きな花房を咲かせていました。暑い夏が大好きなので、今年は勢いよく咲き続けることでしょう。
サルスベリ

さすがにアジサイのコーナーだけはかなり傷んでいました。ノリウツギやミナヅキは平気でしたが、ガクアジサイやこのタマアジサイは葉がチリチリに。我が家の ‘玉段花’は開花までにまだ半月くらいかかりそうですが、原種はもう咲いていました。
タマアジサイ

幽庭湖が北5条通にぶつかるところにある、ミズナラの連理の枝。最初に見た時はまだバットくらいの枝だったように記憶していますが、ずいぶんと太くなってきました。確かにもう50年も経っているのですからね。これが自然にできたものなのか、木が倒れないように、技官の誰かが腹接ぎの要領で枝を差し込んだものなのか、今となっては確かめる術もありません。
連理の枝

植物園の温室

  • 2020.01.27 Monday
  • 05:47
植物園配植図の中に、温室のあたりが切り貼りされているみたいです。現在の温室は3代目。1983(S58)年に建て替えられて公開されているので、それに合わせて図面を差し替えたものでしょう。

温室付近

初代温室は、もともと全日空ホテルの周辺にあった開拓使の苗圃の中に、ルイスベーマーによって建てられました。わが国初のガラス温室でしたが、隣にあった札幌農学校に取られてしまい、ベーマーはやむなく清華亭の裏に小さな花室(はなむろ)を建てて、苗の育苗や非耐寒性植物の越冬に使っていました。この温室は多分農学校の現在地への移転に合わせ、植物園内に移設されて、昭和の初めまであったようです。

1号2号温室

2代目の温室は1932(S7)年に廬(ろ) 貞吉氏の寄贈によって建てられ、1980(S50)年頃までありました。通路は狭かったけれど、まっすぐ伸びた廊下の右側にずらりと温室が並んでいて、ものすごくわくわく感がありました。私が持っている一番古いパンフレットには、その形状が遺されています。

配置図

そのパンフレットには当時の入園料が示されており、入園料が60円、温室が20円となっています。農学部の学生はタダだったのでお金を払ったことはありませんでしたが、こんなに安いんだとと思った記憶があります。当時は昼休みに近くのサラリーマンがたくさん入園して、芝生で昼寝をしていましたねぇ。その頃の入園者は確か15万人ほどあり、現在はその十分の一以下になってしまっているはずです。

入園料

先の図の温室の右端に、小さくカキと書かれているように(オレンジの枠)、温室の建て替えにもぎりぎり当たらず、このカキの木は生き延びてきました。形状からすると庄内柿のようですが、いつ誰が植えたのか、当時のことを知る人が生きているうちに、しっかりと聞いておけばよかったなぁ。
カキの木

現在は駐車場になっているところに、「マイクジャク」(赤い枠)と書かれていました。こんなところにハウチワカエデの‘舞孔雀’があったなんて。今度拡大図を持って。確認して歩いてみなければならないようです。(この舞孔雀は中島公園にあるものです。)

舞孔雀

植物園配植図

  • 2020.01.24 Friday
  • 05:43
事務所の打合せと書庫に使っている部屋に、植物園の配植図をパネルにしたものを掛けています。なんとなく絵としか見ていなかったけれど、そういえば昔データ化しておいたはずと、探してみると出てきました。A3版でスキャンできないので、4枚を切り貼りして作ったものです。
配置図

これは辻井先生が若い頃に、学生たちと測量しながら作ったものだとのこと。そのコピーをいただいたので、パネルにしておいたものです。きちんと真北を上にしているため、かなり傾いていることがよく分かります。札幌の町は、大友亀太郎が適当に掘った掘り割りを基準に造ったため、こんなに傾いてしまいました。

建物群

それはさておき、真ん中にある博物館は、ちゃんと南北軸に建てられていることが分かります。かつて博物館と植物園は別組織で、入り口の門の右側に植物園の、左側に博物館のプレートが付いていました。最初に造られた博物館の周りを植物園にしたという経緯から、博物館の方がえらい…みたいな雰囲気だったそうです。博物館周りの建物の位置関係が、今とはかなり違っているけれど、なにも書いていないのでよく分かりません。
現況

博物館のすぐ横に建物はなく、ちょっと下がったところにバチェラー記念館があります。これは道庁のすぐ裏にあったバチェラー邸を1962(S37)年に移築したということなので、既に現在地にあったはずですが。(この画像は修復前なので、外壁が傷んでおります。)
バチェラー記念館

南西の隅には、まだ園長官舎が残っています。植物園長は、宮部先生以降歴代の農業生物学科の教授が就任しており、ここに住んでいたということは、現在のようにたびたび代わっていなかったということなんでしょう。植物園は、初めからこの敷地になったのではなく、少しずつ時間をかけて、主として道庁から移管を受けて現在の姿になっていきました。ところがこの凹みだけは民地になっていて取得できなかったために、こんな変な形になってしまったのです。

園長官舎

現在建物は撤去されていますが、新しく作られた塀にもここに出入り口が付けられ、苗圃に出入りできるようになっています。バラ園から苗圃にかけては、秋咲きクロッカスが野生化しているので、10月第1週にはこんな光景が見られるので、是非覗いてほしいです。
クロッカス

植物園の温室(つづき)

  • 2019.12.06 Friday
  • 05:49
この時期は、植物の画像はなかなか見せられないので、もう少し紹介しておきます。真ん中の池にはオオオニバスが見当たらず、いつも咲いている熱帯スイレン(‘ディレクター GT ムーア’)だけが寂しそうに葉を広げていました。これも以前のような勢いがありません。植え替えなんかしてないんだろうな。
熱帯スイレン

窓際に変な果実を付けているのは、ソテツの仲間かな?とラベルを見ると、南アフリカ産のオオバシダソテツ(Stangeria eriopus)となっていました。確かに葉だけを見ればシダの仲間と間違えそうです。オーストラリアに近縁種があるので、ゴンドワナ大陸時代の生き残りかもしれません。
シダソテツ

恐ろしい棘のある木はトックリキワタ(Ceiba speciosa)。こんな恐ろしい木は、一度植えたら移植なんかできないでしょう。幹を囓られたくないから、こんな棘で武装するのでしょうか?
トックリキワタ

その横にある小さな木の花は、プルメリアによく似ていると思ったら、プルメリア・プディカ(Plumeria pudica)という低木性のプルメリアでした。時期が違うせいか、初めて見る花がずいぶんとあるような気がします。
プルメリア

木陰に地味な草があると思ったら、なんとグンネラでした。これと一緒に温室の隅に転がっていた株を、上川町長名の公文書を出してもらい、大雪森のガーデンに導入することができました。あちらは背丈よりも大きく育って結構話題になったのに、これじゃあんまりかわいそう。本来の環境に近い温室にある方が、いじけて小さいまんまというのも変な話ですが。
グンネラ

北側にはシダ室のみに緑があり、ここも生育地ごとに分けられたようですが、みんな似たような姿だから、何が変わったのかよく分かりませんが。壁際にポツンと鉢植えになっていたのがデンジソウ(Marsilea quadrifolia)。まるでクローバーですが、これもシダ植物です。ヨーロッパから日本まで広く自生があり、かつては水田雑草だったものが、最近では絶滅危惧種にもなっているそう。それにしても四つ葉の形ではなく、すき間の形から「田字草」と名付けるセンスはすごいです。
デンジソウ

かつてアナナスなどがあった真ん中の部屋は、研究紹介のパネルが並んでいて、ちょっと殺風景。大学付属の施設であることをアピールしたいのでしょうね。
パネル展示

一度外に出て向こうの温室に行くと、食虫植物と洋ランの部屋は変化がなかったけれど、一番奥の多肉植物室は、ずいぶんすっきりしていました。枝が落ちてきたらどうしようかと、ビクビクしていた棘だらけのヤブが整理され、まっすぐ向こうに行ける周回園路ができていました。あんな棘だらけの多肉を、がんばって整理してくれたのですね。目新しいものはなかったけれど、ラベルもしっかり付いて見やすくなってました。
多肉室

時期を変えていくと、初めて出会ったような花がたくさん見られて新鮮でした。公開される部屋が少なくなったのは寂しいけれど、この時期に楽しめる貴重な緑なので、目の保養になりました。

植物園の温室

  • 2019.12.05 Thursday
  • 05:52
町に用事があったので、その前に植物園の温室に寄ってみました。昨年9月の台風と地震でガラスが破損し、それからずっと閉鎖されていたので、2年振りになります。ゲートには現在の見どころがパウチされて掲示してあり、ずいぶんと親切になったものです。さすが大学付属の植物園、ちゃんと英語が併記されています。
見ごろ案内

お客さんは誰もいないようで、館内は静まりかえっていました。廊下に入ってびっくり。奥の部屋に行けないように、晒竹で垣根が作られていました。入ってすぐ左の部屋もずっと立ち入り禁止になっていたので、どんどん狭くなっていきます。
通せんぼ

右側の大部屋に入ると、かなり明るく感じました、あちこちに枝を伸ばしていたゴムノキやパキラなどが姿を消して、ベゴニア類やアナナス類が並べられています。あとで分かったのですが、ベゴニアやアナナスの部屋もパネル展示コーナーになっており、公開されているのは大部屋とシダ室だけになっていたのです。(別棟の3部屋は以前通りですが)
大温室

植物の配置がすっかり変わり、原産地ごとにまとめられていました。それはそれで分かりやすくていいのですが、日照や乾湿などの環境に関係なく置かれているので、ちょっと心配。ほとんどの鉢物が何年も植え替えられていないし、手をかける人がいなくなってしまったのでしょうか。入ってすぐ右側はアメリカ大陸産のコーナーで、プルメリアが花を咲かせていました。
プルメリア

その下で大きな花を咲かせているのは、ソランドラ(Solandra maxima)で、実物を見たのは初めてです。ウコンラッパバナ(鬱金ラッパ花)という和名が付いていましたが、変な和名より、ソランドラで通用するはずです。
ソランドラ

その左になつかしい花が。ヤナギトウワタ(Asclepias tuberosa)は、学生時代に圃場に行き始めた頃、ボーダー花壇に咲いていて、不思議な花だなぁと強い印象を持った花です。ちゃんと露地で育っていましたが、あれ以来他で見たことがありませんでした。温室植物だったんだ。
ヤナギトウワタ

入り口脇に初めて見た植物が。ラベルを見るとヤマゴボウ科のジュズサンゴ(Rivina humilis)だそうです。英名が baby peppers とか、bloodberry というのはなんとなく分かります。見た目はカーランツみたいで美味しそうだけど、ヤマゴボウ科ならきっと毒でしょう… こんなもの、今までどこに置いてあったのかなぁ?
ジュズサンゴ

もう一つ、初めて実物を見たものがテイキンザクラ(Jatropha integerrima)です。葉の形がバイオリンみたいだと「提琴桜」が和名になっているけれど、属名のヤトロファでも通じると思いますが。五弁のものになんでも○○桜と付けるのは止めてほしいです。
テイキンザクラ

いよいよ真っ白な世界に入ってしまうと、緑や花が見られる場所はありがたい。ここなら歩いても来られるので、この冬は目の保養に通わなくては。

府立植物園の温室

  • 2018.11.23 Friday
  • 06:00
今日は雪が積もったくらいで特に話題もなかったし、昨日湯の川の温室を見学した勢いで、府立植物園の温室も紹介しておきましょう。
ここの温室は特定の植物を集中的に集めているものではなく、きれいに花を飾っているわけでもなし、ベーシックなコレクションという感じでした。本州には大温室はあちこちにあるので、その中では地味に感じられるかもしれません。こういう温室では、動線を必ず一方通行にして、くまなく見られるようにしています。また、環境を分けなければ、うまく開花結実や生育にも影響が出てくるので、部屋を分けたり区切りを入れるなどの工夫が必要です。
観覧温室

入ってすぐ、よく目立つ真っ赤に色付いているヤシが、ボルネオ原産のショウジョウヤシ(猩々椰子)(Cyrtostachys renda)です。幹は緑色ですが、幹を包んでいる葉の軸の部分が真っ赤に色付くので、若い幹だけにすれば一層美しくなります。90年の花博の時に、咲くやこの花館の目玉の一つとして導入されたのが、我が国では最も早かったのでは?
ショウジョウヤシ

子供の頃、幹になっているカカオの黄色い果実を、ガンガン山刀で落としているのを、ガーナチョコのコマーシャルで見た記憶がありました。あんな風に木になるんだと、不思議な思いを子供ながらに持っていたのです。こうやって、幹から花が沸いてきて、そのうちの一つが大きな果実になっていくのですねぇ。間近に見たのは初めてでした。カカオは中央アメリカから南アメリカにかけての熱帯雨林に生え、幹の途中から幹生花(かんせいか)という花を房状に咲かせます。
カカオ

同じく幹生花で、丸い大きな果実をたくさん付けているのが、ホウガンノキ(Couroupita guianensis)。英名の cannonball tree を直訳したもので、これはピッタリの名前でしょうか。南米ガイアナが原産で、世界各地の熱帯地方に植えられているそうですが、砲丸ほどもある大きな実が、頭上から落ちてきたらとっても怖いです…
ホウガンノキ

枝から長〜く伸びた果柄(かへい)の先に、白瓜くらいの大きな果実がぶら下がっていました。右にはまだ小さなものも。どこかで見たことあるなぁと思ってラベルを見たら、アフリカバオバブ(Adansonia digitata)でした。星の王子様に出てくる、何千年も生きる神秘な木が、こうやって間近に見られるなんてと、ちょっと感激でした。
バオバブ

サボテン室の真ん中に、1mくらい石積みして井戸のようになった中に、我が国では『奇想天外』と呼ばれるウェルウェッチア(Welwitschia mirabilis)が植えられていました。この名前は多肉植物名として名付けられたもので、多肉の世界は、奇抜な名前ばかり付けられています。アフリカ南部のナミブ砂漠に自生する、1科1属1種の希少な植物で、裸子植物のため、松笠みたいな果実が着くのだそう。何千年も生きる大変長命な植物なのに、一対の葉しか伸ばさず、延々と葉を伸ばし続けるという不思議な性質があります。この株はもう50年近く生きているようだけど、せいぜいこのくらいの大きさしかありません。
奇想天外

出口に近いところに、鉢に植えられた、かわいいツバキの仲間がありました。花は全くツバキだけれど、葉はずいぶん雰囲気が違います。ラベルを見ると、カメリア・アンブレクシカウリス(Camellia amplexicaulis)という、ベトナム原産のツバキでした。種小名は「茎を抱く」という意味だけど、葉は素直に着いているしなぁ…?でもきりっとして、かわいい花でした。
カメリア

こういう熱帯産の植物は、かつてはここでしか見られないと人気があったけれど、ハワイだグァムだと海外旅行にどんどん行き始めると、珍しい存在ではなくなってしまいました。室内が暖かくなり、こういう植物を身近に置くことも可能になっています。アジア系のインバウンドにとっては、全然珍しいものではないので、観光の面からもインパクトがなくなり、熱帯系の温室はますます衰退していくことでしょう。そうなると、このようなベーシックなコレクションくらいしか、生き残るのは難しいのかもしれません。

湯の川 熱帯植物園

  • 2018.11.22 Thursday
  • 05:50
札幌は真っ白に雪が積もったようですが、函館にもうっすらとですが積もっていました。函館は昨冬に史上最高の降雪量があり、都市機能がパンク寸前になっただけに、みなさんドキッとしたことでしょう。でもその後は日差しがあったので、どんどん融けていきました。
初雪

午前中は、湯の川にある熱帯植物園を見学してきました。ここの目玉はなんといっても温泉入浴猿ですが、ずっと入りっぱなしにすると毛が抜けてしまい、余計かわいそうなことになるので、お湯が入るのは12月になってからなんだそうです。このため、ふさふさとした毛に包まれて、暖かそうでした。
サル山

この熱帯植物園ができたのは、1970(S45)年なので、まもなく50年にもなります。当初はここにある湯の川温泉の源泉から引き湯して暖めていましたが、現在ではいろいろ問題があり、ボイラーを焚いて暖めているそうです。老朽化も著しいので、そろそろリニューアルの検討を始めないといけないようです。
熱帯植物園

ここに植えられている植物は、館の名前の通り熱帯系の植物が中心で、道内では今や貴重な存在です。それだけに、室温を維持するための費用も、かなりのものになってしまうでしょう。入り口には、株分けされたり増えすぎたものが小鉢に分けられ、一鉢百円程度で売られていました。どうせ捨ててしまうものならば、手間の方がかかるかもしれないけれど、このような心遣いはうれしい取り組みだと思います。
苗の売り場

以前来た時に見事な花を咲かせていたクンシランは、すっかり小さな株に分けられて、しかもなんだか元気がありません。これでは今年の花もあまり期待できないでしょう。こうなると回復には時間がかかりそうです。
クンシラン

小さなステージの両脇に植えられているエンゼルストランペットは、花後に一度切り戻され、吹いてきた芽にたくさんのつぼみが着いてきました。12月のイベント時には、たくさんの花がぶら下がっているそうです。
エンゼルストランペット

木立の中に珍しい実が成っていました。ピンポンの木(Sterculia monosperma)という、アオギリ科の植物で、実が成っているのを初めて見ました。そんなにたくさんは成らないけれど、今年はたった一つだけだそうです。白い実ならともかく、黒い実にピンポンと付けられてもねぇ…と思って調べて見ると、原産地の一つ中国では「蘋婆」といい、音が「ピンポー」なんだとか。ピンポーノキでは貧乏に聞こえそうなので、ピンポンの木としたとか。うーーん。
ピンポンの木

2mくらい伸びた枝先に、真っ赤な花を咲かせているのが、「ナンヨウザクラ」として流通しているヤトロファ・インテゲリマ(Jatropha integerrima)という、西インド諸島原産のトウダイグサ科の植物。葉の形がバイオリンに似ているので、和名はテイキンザクラ(提琴桜)というのも苦しいですねぇ… 五弁の花に○○ザクラと名付けるのは、ちょっと止めてほしいです。
南洋桜

今や貴重な熱帯植物の温室。案内いただいた園長さん以下、苦労しながらとても熱心な管理を続けてこられた様子が窺えました。リニューアルするとしても、どのようにこれらを活かしていくのかが課題になるでしょうねぇ…

京都植物園の花壇

  • 2018.11.17 Saturday
  • 06:00
広い植物園の中には、あちこちに花壇が設けられており、11月だというのに、どれももりもりに花が咲いていました。正門を入ってすぐの所には、長方形の大きな花壇が二つあります。手前の花壇は赤・オレンジ・黄色のホットカラー。中央のカンナは、まだもりもりと花を咲かせていました。その手前のオレンジ色の花は、チトニア(メキシコヒマワリ)で、黄色いアフリカンマリーゴールド、真っ赤なジニアと続きます。
入り口花壇

その次の花壇は、サルビア・レウカンサ(メキシカン・ブッシュセージ)の紫に、クリームイエローのアフリカンマリーゴールドが強烈な補色関係。手前のオレンジはフレンチマリーゴールドです。その彩りに目を奪われてしまい、ふと見上げた木に成っているのが、パパイヤなのにびっくり仰天。なんと、パパイヤを花壇に植えるなんて!北山門の近くにもたくさん植えられていたけれど、まさかこのまま冬は越せないよなぁ…(^^;)
パパイヤ花壇

鑑賞温室の前には、やや小振りで不整形の花壇が二つあり、オフィシャルパートナーとしてタキイ種苗の看板が立っていました。締結したのはちょうど4年前と新しく、意外と遅かったんだなぁという気がしました。昔は役所と民間企業が提携するなんて、とんでもないという雰囲気があったのでしょうねぇ…
タキイ花壇

温室が10時からだったので、大芝生地を横切って、菊の展示を見に行くと、その前には菊人形ならぬ、菊のネコバスが飾られていました。もちろん根付きの株を植え込んで誘引し、一斉に花を咲かせるのですから、大変な手間がかかっているはずです。でも、菊を見に来るじじばばに見せるのではなく、もっと目立つ場所に置いてやればと思ってしまいました〜(笑)
ネコバス

菊を見てから南側の洋風庭園に入っていくと、コスモスが見事に育っていました。どう見ても滝野公園のコスモスの二倍はありそうな大きな花で、同じタネでもこんなに違うものなのか、タキイのタネだからなんでしょうか?クサントスとおぼしき黄花コスモスも、ずいぶんと色が濃かったです。せっせと花ガラを摘んでいる方たちは、みなさんボランティアで、百人以上いるそうです。
コスモス

その奥には沈床花壇があり、真ん中には噴水がありました。ちょうど保育園のちびちゃんたちが、何班もやって来てましたが、噴水を怖がってぎゃん泣きしている子供が何人も。うちの孫たちなら飛び込んで行きそうだけどなぁ…なんてにやにやしてしまいました。左に見える痛々しいヒマラヤシダーも、台風によって幹や枝を折られてしまったもので、一番南側にあるこの辺りが特に風を受けて、被害が甚大でした。
噴水

それにしても、ここにも植えられているカンナの素晴らしいこと。関西以南なら地植えで冬を越せるので、根張りがしっかりしているから、これほど力強く咲いているのでしょうか。足元にはフレンチマリーゴールドやジニアが、まだもりもりに咲いているけれど、あまりにも季節感が違うので、頭がくらくらしてしまいました。
カンナ

この植物園は、保有植物種数が日本一と、世界中から様々な希少種も導入展示している一方で、このような花壇修景でも来園者の心をしっかりつかんでいます。入園料が200円なんて、今どき信じられない価格でもあり、本当に身近な存在であることがうらやましい限りです。

府立植物園の花

  • 2018.11.16 Friday
  • 06:00
京都府立植物園は、公立の植物園としては最も古い歴史を持っており、5年後には開設百年を迎えることになります。(大学付属には、江戸時代から続く東大の小石川植物園や、札幌農学校が造った北大の植物園などがあります) これまで3回くらい行ったことがあるけれど、あまりにも見どころが多くて、毎度回りきれません。今回は11月ということもあり、あまり期待はしていなかった割には、さすが!!と脱帽するところが多々ありました。魅力的な植物たちを、何回かに分けて紹介することにしましょう。

この時期なので、紅葉には期待していました。大阪方面は、夏の台風による塩害で葉がみんな傷んでしまい、あまりきれいではないとのことでしたが、京都までは塩も来ていないだろうと思っていたのです。ところがまだ少し早いのか、園内のモミジはようやく色付き始めたくらいで、池の回りのイロハモミジが、それなりの風情を見せてくれました。やはりイロハでないと繊細な雰囲気にはならないものですねぇ。
イロハモミジ

池の回りは桜の見本園になっていて、その中に秋に開花する桜が集められている一角が。これは一番たくさん咲いていたシキザクラ(四季桜)(Cerasus × subhirtella ‘Semperflorens’)。四季といっても春と秋の2回咲きで、エドヒガンとマメザクラの交雑によって作られたものだとか。近くには、同じ二季咲きのジュウガツザクラ(十月桜)やコブクザクラ(子福桜)があるので、この一角だけが賑わっていました。
四季桜

その奥に水車があり、サザンカが咲き始めていました。その足元にシクラメンの花があり、ヘデリフォリウムかと思ったら、普通のシクラメンほどもある大きな葉を持っています。ラベルを探すと、シクラメン・アフリカヌム(Cyclamen africanum)とあり、アルジェリアの地中海岸が原産だとか。北海道では越冬できないのかなぁ…?
シクラメン

その奥の「四季 彩の丘」というロックガーデン風のエリアにも、まだまだたくさんの花が咲いていました。その中で感激したのが、このラパゲリア・ロゼア(Lapageria rosea)。チリの国花のため、英名はChilean bell flower となっており、和名はツバキカヅラだそうです。これを見たのはもう30年近く前、チェルシーの温室の片隅に一輪だけ咲いているのを見つけ、感激して以来のご対面でした。
ラパジュリア

その近くでは、なんとスノードロップが咲き始めていて、いくらなんでも早くないかい!と、思わずつぶやいてしまいました。札幌だって、まだ雪が降っていないのに。
スノードロップ

大阪からの移動中、屋根にブルーシートがかかっているお宅がまだたくさんあるのにビックリでした。修理の手が間に合わないのでしょうか。京都は内陸なので、そんなに被害はなかったのかと思いきや、あちこちで倒木や、幹や枝を折られた木がたくさんあるのです。来園者に聞いてみると、倒木だけで200本近くあり、どこもかしこもスカスカになってしもてるんよ〜とのことでした。
倒木

北山門(口ではなく門というところが、いかにも京都らしい!)近くには、ベンチの後ろにイチゴノキ(Arbutus unedo)がずらり植えられ、満開の花と、いろんな熟れ方をしている果実が見られて面白かった。ツツジ科というより、ヤマモモの親戚のような果実で、見た目は美味しそうだけれど、種小名の unedo は「一回食べる」との意で、一回食べればもう食べたいとは思わないところからだとか。
イチゴノキ

園内では、ウェディングの写真撮りをしているカップルに3組会ったけれど、みなさん和服でした。確かに紅葉にしろ竹林にしろ、和服の方が似合いますからねぇ。電車に和服のカップルが普通に乗っていたり、あの市長の努力が実を結びつつあるのでしょうか。
竹林

温室再び

  • 2018.03.20 Tuesday
  • 05:53
道庁周辺で会議のある時には、事務所から札駅行きのバスに乗り、西7丁目で下りるとすぐなのでとても便利です。今年北1条通は渋滞がほとんどなく、毎度すいすい走れるので早く着きすぎてしまい、植物園温室でちょこっと時間つぶしができるのです。先週も20分ほどの駆け足でしたが、前回から変化のあるものをさっと見てきました。

花や実が付かないと、なかなか気付かないものだぁと毎度思ってしまいます。入ってすぐの所に、ミラクルフルーツ(Synsepalum dulcificum)が少しですが実っていました。これ自体は全然甘くないけれど、これを食べてから他のものを食べるととても甘くなるのだそう。一度やってみたいと思っているけれど、他に食べるものがなかったので断念しました…(>_<)
ミラクルフルーツ

ちょうどマンゴー(Mangifera indica)が花盛り。その昔沖縄に材料仕入れに行った時に、あちこちの庭先にあるマンゴーにみんな網がかかっているので、通る人が盗んでいくの?と聞いたら、夜にコウモリがやってきて食べてしまうんだよ〜と聞きました。開花はだいたい冬なので、ミツバチよりもハエなどの方が効果的なんだとか。ハウス栽培では、中に魚のアラを放り込んでおくと、銀バエがたくさんやって来て効果的に受粉できるそうです…(^^;)
マンゴー

シチヘンゲ(七変化)の和名があるランタナ(Lantana camara)が咲き始め。開花して間もないうちはカロテノイド色素で黄色っぽく、日が経つに連れてアントシアン色素が増えてきて、赤紫色になっていきます。受粉済みの花は色が変わって昆虫には見えにくくなる変化もあり(例えばウコンウツギ)、単に時間の経過による変化なのか、いまだはっきりとは分かっていないとありました。
ランタナ

独特の大きな花が咲く、ツユクサ科のコクリオステマ(Cochliostema odoratissimum)も咲き始めているので、しばらく楽しめそうです。
コクリオステマ

奥の部屋では派手なエリスリナの花が。本当に花が咲かないと気付かないものです。和名はカイコウズ(海紅豆)(Erythrina crista-galli)だけれど、普通はアメリカデイゴと呼ばれます。四国や九州ではよく植えられ、南アメリカ原産だけど、鹿児島県の県木になっているそうです。
エリスリナ

南側の3部屋は相変わらず寂しいもの。見るものがないので、モウセンゴケの粘液をどアップに接写してみました。いつも何かくっつけてやりたいと思うのですが、小バエも飛んでおりませんでした。
モウセンゴケ

ピンギクラ(ムシトリスミレ類)の花もほとんど終わってました。この葉のどこに虫を捕るほどの粘液があるのか、触ってみてもさらさらだし、虫を捕らない種類もあるのかなぁ…?
ピンギキュラ

ネペンテス(ウツボカズラ類)の捕虫袋は、ほとんど干からびていて、寂しい限り。むしろ隣の部屋で裂いているパフィオペディルムの花の方が食虫植物らしく感じます。
パフィオ

夜明けもぐんと早くなったし、昼間の日差しが強くなっても、木々が芽吹くまでにはもう一息。本州以南の花の便りが本当にうらやましくなる日々ですが、こんな息抜きをやりながら乗り切りたいです〜

植物園温室再び

  • 2018.03.01 Thursday
  • 05:57
今朝は久しぶりに暖かかったです。このところずっと−10℃前後の、顔が痛くなるほどの低温が続いていたけれど、プラスになったかのような生暖かい風が吹いていました。これから道内は大荒れになる予報ですが、各地に被害がないことを祈りたいです。

一昨日町に出かけた時、バスがすいすい走って道庁に早く着きすぎたので、時間つぶしに植物園の温室を駆け足で見てきました。2月初めに見たばかりだったので、何か違う花が咲いているかなと見ていくと、いかにもキツネノマゴ科の植物である、サンケジア・スペキオーサ(Sanchezia speciosa)というものでした。ペルーからエクアドルにかけて自生しているとのこと。ジャングルで見つけた時に、美しいと思ったからスペキオーサ(美しい)という種小名が与えられたのですから、改良されていない素顔の美しさのままなんでしょう。大柄すぎて鉢物には難しいので、出回らないのかもしれません。
サンケジア

相変わらず咲き続けている熱帯スイレンの前では、コンロンカ(Mussaenda frondosa)がひらひらと白く色付いた葉を広げていました。「ハンカチの花」という別名があるほどです。昔は花屋さんに売られていたけれど、最近はどうなんだろう?
コンロンカ

奥の部屋ではダンドク(檀特)(Canna indica)が咲いてました。カンナの原種となった植物で、もともとは熱帯アメリカの原産ですが、コロンブスがいち早くタバコなどと共に持ち出して広めたものだそうです。インドなどアジアの熱帯各地に広まっていたので、誤認して種小名も indica になったのかな。ダンドク(檀特)とはなんだろう?と牧野図鑑を見ると、「梵語であろう」とありました。中国名は「美人蕉」なので、誰がどんな意味で梵語の名前を付けたのでしょうね?
ダンドク

花もなにも咲いていない鉢物に、サキシマスオウノキというラベルが。板根(ばんこん)で有名な木だけど、こんな小さなうちからそれらしく根を張ろうとしているようです
サキシマスオウノキ

ネットから借用してきましたが(m(__)m)、西表島に行けばこんな木が見られるのですから、一度は見てみたいですねぇ。
  サキシマスオウノキ3

ハイビスカスもいくつか咲いていましたが、鉢物で邪魔して奥に入っていけないので、間近に見られたのはこれだけでした。‘綾姫’という品種名がついていたけれど、鉢物として売られていたものかな?開いた時はかなり白く、日を追って色が濃くなっていくようです。
綾姫

奥の食虫植物質は、管理がよくないのかネペンテスの捕虫袋がほとんど干からびていました。もったいないなぁ。真ん中のラン室も、ただあるものを置いているだけで、ほとんどが‘○○○の一種’という、札落ち品ばかり。なんだかわびしくなってきます。
シンビ

珍しく種小名まで付いていたのがセロジネ・クリスタータ(Coelogyne cristata)。ヒマラヤからベトナムの奥地にかけて自生している着生ランだそうです。
セロジネ

館内には私以外に一人も来ていなくて、受付の職員に聞くと、雪祭りが終わると外国人や観光客もあまり来なくなるんですよね〜とのこと。この内容では地元の人も見に来ないだろうし、せっかくの施設がなんとももったいなく感じてしまいます。

植物園温室

  • 2018.02.06 Tuesday
  • 05:46
土曜日には、かなり駆け足で植物園の温室を見てきました。土曜日は10時から12時まで2時間しか入ることができません。けっこうぎりぎりで飛び込むと、観光客が数組入っていました。地元の人はまずいないです。今回のお目当てはタベブイア(イペー)。昨年は1月末でまだつぼみだったので、ちょうど咲いてるかな?とまっすぐ近寄ると、ばっちり満開になっていました。鉢替えもしていないので、ようやく1つ花を咲かせるのが精一杯という風情。本当に気の毒です。鮮やかな黄色の花は国花だけあって、ユニフォームはこの花の色に合わせているのでしょう。
タベブイア

あんまり花が咲いているものがなく、窓際でブルンフェルシア(ニオイバンマツリ)(Brunfelsia australis)が次々と花を咲かせている程度。珍しいナス科の低木で、花が咲いた時には紫色で、日が経つにつれて薄くなり、やがて真っ白になっていきます。最近鉢物で売られているのかなぁ?全然見かけなくなりましたが。
ブルンフェルシア

シダ室の入り口に、グンネラの鉢物が2株置かれていました。一昨年株を掘り上げた時に、大株は滝野公園と動物園にもらわれ、小さな株がポットのまんま放置されていたので、上川町から移譲願いを出してもらいました。首尾よく許可が出たので、今年は森のガーデンに植える予定ですが、温室育ちになっているので、いつ持っていけばよいか悩んでしまいます。風邪引かせないようにするには、かなり暑くならないと難しいかも…(>_<) うまく定着できれば、我が国最北の株になるはずですが。
グンネラ

奥の部屋では、パボニア(Pavonia intermedia)がちらほら咲いていました。和名はヤノネボンテンカというのですが、梵天に似ているといわれても、どんなものだか分からないんですけど…
パボニア

同じくアオイ科の小低木であるアブチロン(Abutilon megapotamicum)。和名ウキツリボク(浮釣木)もあまり使われない名前かも。花はとてもかわいいけれど、とにかくオンシツコナジラミがつきやすいので、あまりいい印象がありません。
アブチロン

食虫植物コーナーはなんだか干からびたものばかりで、ちゃんと灌水してるのかなぁ?真ん中のラン室もほとんど花がなく、大輪トキソウが唯一たくさんの花を咲かせていました。隣のご主人が、秋にせっせと花壇に植え込んでいるので、なにやってんの?と聞いたら、チューリップみたいに春に咲くんでしょ!!安かったからたくさん買ってきたのよ〜といわれて真っ青に…)^o^( これを見るといつもそのことを思い出してしまいます。
大輪トキソウ

一番奥の多肉植物室に入ると、改装されて周遊できるようになっていました。よくも棘だらけの株ばかりなのに、これだけ移植とかできたものです。狭い通路で人とすれ違おうとすると、とっても危険だったので、周遊園路になったのはとてもいいことです。
改装前 改装後

通称金の成る木(正式名フチベニベンケイ(縁紅弁慶))(Crassula portulacea)は、一時のブームは去ったけれど、まだあちこちで大株になっている鉢物を見かけます。こんなに丈夫でよく増えるものもないですからねぇ。花は満開を過ぎて少しピンクがかっていましたが、株元をよく見ると巨大な幹が横たわっていました。
クラッスラ

町中の散歩

  • 2017.09.11 Monday
  • 06:10
昨日は町中にあちこち用事があったので、自転車こいで出掛けました。日向にいると暑く感じますが、日陰に入るとひんやりする、この時期特有の清々しい陽気でした。ちょっと時間調整に植物園に寄ってみると、温室の入口でフランクリニアがたくさん花を開いていました。
フランクリニア

温室の担当が変わったので、どんな風になっているのかと思ったら、どこの部屋もかなり殺風景に… この壁にはビカクシダがもりもり育っていたのに、一体どこに行ってしまったのでしょう…? 木性シダのマルハチは、水やりを忘れたのか立ち枯れしたまんま放置されているし、あまりの変貌振りにがっかりしました。
シダ室

高山植物が植えられているロックガーデンは、この時期の花はほんのわずかで、唯一目を惹いたのがアクシバの真っ赤な果実です。これは一斉に花が咲いて実がなるのではなく、かなり時間をかけて次々と赤くなっていくようです。
アクシバ

せっかく駅前通まで来たので、北3条広場のイチョウの様子を見てきました。南側の木はビルの影になっていたのでもともと成長が悪く、しかも病気に冒されて弱っている木が多く、ずっと心配していましたが、新梢の伸びに勢いがついてきたので、ようやく安心できそうです。
元気なイチョウ

これに対して元気のよかった北側の木のうち、何本かがほとんど枝を伸ばしていないのにびっくり。何が原因なのでしょうか、ちょっと心配です。
元気のないイチョウ

道庁の北側に移転した斗南病院の回りは、ボランティア団体の「ときめき倶楽部」のみなさんが花を植えて管理していると聞きていました。時々車の中からは見ていたのですが、間近でじっくり見たことがありませんでした。(注:横のコンテナはそのようですが、この植えます部分は、ときめき倶楽部さんの管理ではないようです。)
斗南病院

東側の植えますはリシマキアが植えられていただけだったのに、大きなプランターがランダムに配置され、花がもりもり咲いています。かなりこまめに管理されているようで、花がらもなくみんな元気に育っています。こういう場所が少しずつ増えてきているのは、本当にうれしいものです♪
ときめき倶楽部

北5条通を走っていると、隣がなんか賑やかなので寄ってみたら、北4条のミニ大通で、「お散歩まつり」が開かれていました。あちこちの駐車場にはいろんな店が出たりステージまで設けられていて、かなりの賑わいでした。普段はひっそりとした場所で、始まりの頃は数軒の店が集まってやり始めたと聞いていましたが、こんなに人出のあるイベントになったのですね。
お散歩まつり

真夏の植物園

  • 2017.08.10 Thursday
  • 05:56
昨日も、かでる2・7で委員会がありました。さび付いた頭がぷすぷす煙を吐きそうになったので、終わってから目の前の植物園に。歩道際の細長い花壇には、燃えるような真っ赤のコリウスが植えられていました。今年は雨も多いので、特に元気よく育っているようです。
植物園前

時間があまりなかったので、左回りのショートコースで回ることに。ヌマスギの足元に赤い花が群生していると思ったら、エンビセンノウ(Lychnis wilfordii)です。これが自生しているのは胆振・日高の限られた場所で、稀に見つかってもポツンとあるだけという希少さ。そんな自生地に建設されたのが日高自動車道で、数年前にその予定地から2株が植物園に持ち込まれ、それを増殖していったものがこの群生です。この仲間の多くは茎がピンと立つことがなく、他の草に寄りかかってぐだぐだ伸びるため、これだけ植えるとなんともだらしない姿になってしまいます。
エンビセンノウ

燕尾仙翁の名の通り、ピンと細く尖った花弁が特徴的で、野生植物とは思えない強烈な色彩です。看板にはシレネ属を採用していましたが、センノウはやっぱりリクニス属だよなぁ…
花のアップ

ロックガーデンに入ると、ほとんど花がない中に、流れに沿ってタチ(ムラサキ)ギボウシと、全く同じ草姿で白花のギボウシが咲いていました。どこかに偶然白花品が出現したものを栽培しているのでしょうか。シロバナムラサキギボウシではなんともややこしいか。
白花タチギボウシ

ロックの中は植え替え中なのか、ほとんど植物がなくなっており、ハイマツや低木性のナナカマド、キンロバイなどがある程度。葉に鋸歯(きょし)がほとんど入らないので、ウラジロナナカマドのようです。
ウラジロナナカマド

植物園の園路が歩きやすいのは、宮部先生が開設前に学生たちを自由に歩かせ、自然にできた踏み分け道通りに園路を設けたことに依っているという「伝説」が伝わっています。かつてこの赤い舗装は「焼けズリ」という、自然発火によって焼けたズリ山の砂利を敷いていましたが、今は手に入らなくなったので、レンガくずを粉砕したものを敷いているようです。ぬかりそうでぬからず、しっくりと歩きやすい抜群の園路素材です。
園路

アカナラ、ユリノキと並んで巨木に育っているヒメトチが、今年もたくさんの果実を付けていました。その手前にあるハンカチノキもずいぶん大きくなって来たので、だんだん花が見づらくなってしまうのでしょうか。
ヒメトチ

宮部記念館の横を通ると、昨年春に伐採された三姉妹の長女?の切り株が、すっかり土に戻ってしまったようです。このこんもりした盛り上がりを削ってしまえば、ここにハルニレがあったことすら忘れられていくことでしょう。マップもただの姉妹に書き換えるのでしょうか。
3姉妹

じわりと春が

  • 2017.04.08 Saturday
  • 05:47
朝方は小雨ながらかなり暖かかったのに、明るくなるにつれて風が冷たくなり、どんどん気温が下がりました。それでも昼近くになってようやく日が差し始め、この時期らしいきりっとした寒さに戻ったかな。あんまり馬鹿陽気にならなくてもいいです。町中に数件用足しがあったので、今年初めてチャリで出かけた帰り道、せっかくなので植物園を覗いてみました。あちこちまだ雪が残っているものの、池のほとりではミズバショウの花が。
ミズバショウ

辺りをよく見ると、小さな株ながらエゾノリュウキンカも咲いており、やっぱりこれらが一番乗りを競っているようです。
リュウキンカ

温室に入ると、珍しくお客さんが誰もおらず、貸し切り状態でした。市内の方はほとんど来なくて、最近ではむしろ観光客、それも外国からのお客さんの方が多いのです。微妙に時期が違うのか、いつも青々してなんの草かいな?と思っていたものから派手な花が。ラベルを見るとネオマリカ・ノルチアーナ(Neomarica northiana)、和名がアメリカシャガというのはちょっと無理があります。英名が walking iris というのは、花の付け根に子株ができ(写真の花の下)、花茎が倒れるとそこから発根して広がって行くのでこんな名前になったのだとか。
ネオマリア

植えたものではなくて、多分雑草化したマルバアサガオが、あちこちつるを伸ばしながら満開になっていました。こんなのを見ると、やっぱり冬が終わったんだなぁと実感させられます。
アサガオ

奥の方にビタンガが赤く色づいてました。ブラジリアンチェリーとも呼ばれるそうですが、アブラムシやカイガラムシでべたべたになっていて、つまみ食いする気がおきませんでした。
ビタンガ

池の中では相変わらず熱帯スイレンが満開に。色の濃い方にはラベルが付いておらず、やや淡い方は ‘ペンシルバニア’となっていました。本当に一年中、花を切らさずに咲き続けるものです。
スイレン

昨年初めて花を見たツユクサ科のコクリオステマ(Cochliostema odoratissimum)が、たくさんの花を咲かせていました。花を見ると、とてもツユクサ科とは思えない造りをしていると思います。
コクリオステマ

奥の部屋にはゲットウとパボニアくらいしか花がなく、窓際で地味にリュウキュウアセビ(Pieris koidzumiana)が満開に。アセビに比べるとさらに葉が細くなっています。園芸用の採取のため、野生では既に絶滅させられてしまっているとか。島の生態系は、面積が小さいこともあって極めて脆弱なので、こんなことになってしまうのでしょう。
リュウキュウアセビ

桜前線は既に関東を通り過ぎたようだけど、ここまで来るのにはまだまだ先のこと。こんな花を楽しみながら、じっくりと待つことにしましょうか。

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