ホップ

  • 2020.09.14 Monday
  • 05:46
ポプラ通からの帰りに、北大の圃場にも寄りました。先週の土曜日が定例の作業日でしたが、熊の沢公園のイベントとぶつかってしまったので、どうしてもやっておきたい作業を片付けたかったのです。圃場には2種類のアメリカフヨウがありますが、どちらも9月に入ってからようやく咲いて来ます。
アメリカフヨウ

2時間近く作業をして、ゴミを捨てに旧バラ園に行くと、野生化した野良ホップがあちこちでたくさんの毬花(まりはな)をぶら下げていました。昔は毎年のようにホップで壁飾りを作っていましたが、最近はずっとサボっていました。ホップはタイミングよく取らないと、未熟だとくしゃくしゃになってしまうし、遅すぎるとバラバラ落ちてしまいます。今回はちょうどよさそうでした。
ホップ

一つかみむしり取ってきたホップを、壁に吊して葉を落としていきます。葉は乾くと縮んで汚くなるので、小さなものもていねいに落としていきます。
葉っぱ取り

小さな壁掛けリースが二つできたので、小枝をうまく固定して一晩吊しておくと、すっかり乾いておりました。新しいホップは香りもよく、なんといっても鮮やかな緑が気持ちのいいものです。
リース

半端なつるが残ったので、玄関に飾っている二部黎(にべ れい)さんの小品の周りに飾っておきました。ついでにミュシャの絵も秋らしく『果物』に入れ替えて、気分一新。ちょっとした手間ですが、このくらいはやらないと、事務所がみすぼらしくなってしまいますからねぇ。
玄関

セイタカアワダチソウ

  • 2020.09.05 Saturday
  • 05:51
ことの発端は、2年前の11月24日に行われた高山植物保護ネットで、梅沢俊さんから西区の五天山公園に変なアワダチソウがあるという話題提供があったことです。五天山は近いので、数日後に早速行って見ました。すると霜枯れした風景の中に、ひとかたまりのアワダチソウが咲いていたのです。
五天山

富丘西公園で抜き取りをやっているオオアワダチソウ(Solidago gigantea var. leiophylla)は、花期はだいたい8月中で、花はほとんど終わっていました。オオアワダチソウは草丈があまり高くならず、花も黄色味が強いことや、なんといっても葉や茎に毛が生えておらず、触ればツルツルなのですぐに見分けがつきます。
オオアワダチソウ

これに対して葉を触ればガサガサしているし、花期が9月半ば以降とかなり遅く、花もややクリームイエロー気味なので、簡単に区別がつくのがセイタカアワダチソウだと、誰もが信じ切っていたのです。富丘西公園にも少し混生していて、これからようやく花が咲いてくる状態でした。
セイタカアワダチソウ

これまで撮りためた画像を見ても、セイタカアワダチソウの花のピークは9月下旬で、いくらなんでも11月なんてことはなかったのです。
9月20日頃

五天山で見つかったアワダチソウは、11月下旬でもまだ満開に至らず、円錐形の花序にはなっておりません。これについてさっそく野生植物の権威であるIさんが綿密な調査と検討を行い、その成果が北方山草の最新号で明らかになりました。
11月下旬

それによると、私たちがずっと「セイタカアワダチソウ」だと思い込んでいたものは、カナダアキノキリンソウの毛の生えるタイプであるケカナダアキノキリンソウ(Solidago canadensis var. gilvocanescens)だということに。こんな大どんでんが起きたのは、ちょっと記憶にありません。学者を含めてみんな信じ切っていたのです。決め手はこの頭花の長さなんだそう。セイタカだと思っていたカナダは、こんなに長く伸びないのだそうです。
頭花

今のところ真正のセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)は、道内ではこの五天山の一群だけということになっていますが、探していけばまだ見つかることでしょう。本州では一体どうなっているのか気になるところですが、こんなこともあるのですねぇ…(^^;)

オオハンゴンソウ

  • 2020.08.01 Saturday
  • 05:45
盤渓ではようやくオオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)が咲き始めました。スキー場があるくらいなので、町中よりはかなり遅れています。このくらいの姿であれば、まだかわいいと感じますが、やがて真っ黄色に道端を埋め尽くすようになると、『特定外来生物』に指定された理由がよく分かってきます。あまりにも風景に馴染んでしまっているので、道民はもちろん観光客なども、危険な外来種だなんて全く知らないでしょう。
オオハンゴンソウ

本種は、我が国に自生しているハンゴンソウによく似ていることからこの名が付けられたそうですが、一体どこが似ているというのでしょうか… ハンゴンソウ(Senecio cannabifolius)は、同じキク科に属していますが、セネキオ属なので花の様子がかなり違います。花だけを見れば、かつてセネキオ属だったシネラリアによく似ています。
ハンゴンソウ

ハンゴンソウ(反魂草)という和名は、葉の形が手の平のようで、葉が揺れると魂を呼び返すようなことから付けられたと言われますが、確かにお盆の前後が開花期になっています。種小名のカンナビフォリウスは、「大麻の葉のような」という意味でとても分かりやすいけれど、みなさんは大麻の葉なんて見たことないか…(^^;)
葉の形

オオハンゴンソウの葉は、確かにハンゴンソウに似ているのですが、茎に付いている葉(右)と、まだ花茎が伸びていない根生葉時代の葉(左)とは全く違うので、駆除作業の時にはいろんなタイプの葉を覚えてもらわなければなりません。
葉の違い

開花期はほぼ同じ時期ですが、両者が一緒に生えているのを見たのは、浦河の町中で見たこの一回のみです。なんとなく棲み分けているのでしょうか。
隣同士

オオハンゴンソウの花が八重咲になったものは、ハナガサギク(花笠菊)の名があり、農家の庭先などに今でもよく植えられています。これももちろん特定外来生物に指定されているので、許可なく栽培・保管・運搬・輸入・譲渡を行うことは禁止されています。とはいえ、かつて住居があった過疎地域などを走っていると、昔の生活の匂いが感じられる不思議な存在かもしれません。
ハナガサギク

この数日盤渓を走るようになって、久しぶりに盤渓から見る手稲山を望むことができました。こちらから見るどっしりとした山容も、なかなかいいものだと思います。
手稲山

マツヨイグサの季節

  • 2020.07.30 Thursday
  • 05:54
頼むからクマに食べられないでと、かみさんに懇願されるものだから、しばらくは車で盤渓まで行き、西野と真駒内を結ぶ道道沿いに走ることにしました。以前は釣り堀までしか歩道がなかったけれど、最近整備されたようで、採石場まで真新しい歩道が続いています。朝からダンプやトラックがひっきりなしに走るのがうるさいけれど、勾配も緩やかなので、気持ちよく走れるようになりました。

少しぼやけた道端の風景の中では、オオハンゴンソウとともに黄色で目立つマツヨイグサ類の花が目に入ります。一番多いのは、なんといってもメマツヨイグサ(Oenothera biennis)でしょう。
メマツヨイグサ

車を置いている近くには、花弁の重ならない「アレチノマツヨイグサ」(O.parviflora)タイプのものが。これを分けるべきなのか、図鑑によっても意見が分かれるようですが、このタイプの花は確かによく見かけます。
アレチノマツヨイグサ

最新版の梅俊図鑑ではこの区別は記載されていませんが、その前に出回っていた『新北海道の花』では、下記のような記載があり、これを見て唸ってしまった記憶があります。確かに中間タイプのものもあるので、交雑しやすい本種の特性からいろんなタイプのものが形成されているのかもしれません。
梅俊図鑑
  (『新北海道の花』 梅沢 俊著、北海道大学出版会、2007 より)

オオマツヨイグサ(O.glazioviana)は、毎年渡島大島に渡る松前港や江良漁港の桟橋近くには、たくさん咲いていて見事です。船の出航がたいてい6時くらいなので、一番いい花が見られるのです。高速の法面で見ていくと、伊達辺りまではオオマツヨイグサが多いのですが、室蘭まで行くとメマツヨイグサに替わってきます。とはいえ、札幌市内でもオオマツヨイグサを見かける機会が増えているので、そのうち当たり前になるのかもしれません。
オオマツヨイグサ

これら3種は完全な二年草で、一年目はロゼット葉を広げ、二年目に花茎を伸ばして開花結実し、タネを散布して枯れてしまいます。道内にはもう一種、ヒナマツヨイグサ(O.perennis)が帰化していて、これは宿根性の草本です。ちょうど10年前に円山公園近くの路傍で見ただけで、それ以来しばらく見ていなかったけれど、昨年白老の現場で久しぶりに対面できました。花は小さいけれど、なかなかかわいい植物です。
ヒナマツヨイグサ

宿根性のエノテラの中では、フルティコーサ(O.fruticosa)が昔から植えられていました。花期がやや短いのが残念ですが、鮮やかな黄色の花と真っ赤に色付くつぼみのコントラストがよく目立ちます。
フルティコーサ

滝野公園のカントリーガーデンを造っていた20数年前に、オランダから導入した宿根草の中に(当時は国内で導入できる宿根草の種類は本当に限られていて、つてをたどって輸入していたのです。)、エノテラ・ミズーリエンシス(現在は O.macrocarpa)がありました。今でも一株が生き残っていますが、巨大な花を毎日のように次々と咲かせてくれるので、とても人気があります。最近苗が出回るようになってきたので、また補植しなければ。
マクロカルパ

明治以降、国内にはたくさんのマツヨイグサの仲間が入って来て、日本の風景にすっかりなじんでしまいました。宿根性で昼咲きのものは、これからもいろんな種類が入ってくると思います。

ホソバウンラン

  • 2018.09.04 Tuesday
  • 05:39
信号待ちをしている間は、なんとなく周りを見回していますが、街路樹ますや中央分離帯が近くに見えると、やはり何が生えているのか覗き込んでしまいます。先日白石駅に向かって走っていて、中央署の近くの分離帯にホソバウンランが咲いていました。どこからタネが飛んできたんだろうな?と思ってしまいます。
分離帯

ホソバウンラン(Linaria vulgaris)は、ユーラシアに広く自生し、我が国には明治から大正にかけて、園芸植物として導入されたようです。かつてはゴマノハグサ科でしたが、現在はオオバコ科。繁殖力が強いので、道内でもかなり広範囲に帰化しており、全道各地で見られるはずです。この写真は、土曜日に北大の圃場で撮したもので、学生の頃から圃場内に蔓延していたので、真っ先に名前を覚えた植物の一つでした。ここから家にいろいろ植物をもってきたので、我が家の庭にもあちこちで咲いています。
園2圃場

元々のウンランは、海岸に生えるなよなよとした植物で、茎は全く立たなくて、地面を這っています。これは釧路の恋問海岸で2013年9月29日に撮したもので、海岸草原ではもうほとんど花が見られない中に、よく目立つ黄色い花が見られました。
ウンラン

先日来、近くの病院に通っていたので、その脇に大きなホソバウンランの塊を見つけてびっくり。ラベンダーの株を飲み込むように大きく繁り、無数の花を咲かせているのです。冬には地上部は枯れてしまうので、毎年の生長量は相当なものでしょう。
病院裏

でもこの丈夫さに合わせ、長い花期を保つし、無数の花はよく目立つので、夏の間に軽く刈り込んでやれば、十分園芸植物として通用しそうです。
花のアップ

この写真は、ホソバウンランのファイルに入っていたもので、花の特徴からすればキバナウンランではなく、やっぱりホソバウンランだけど、どこで撮したものだか全く記憶がありません。こんなにきれいな花で、しっかりした茎があれば、十分花壇でも利用できるでしょう。これは2002年7月6日に撮されたもので、手帳を見ると土曜日で、朝一番に滝野公園に行き、昼前に当時勤めていて東区の会社に出社して仕事をしていました。滝野公園で撮したファイルにも入っていないし、う〜ん謎だなぁ…?
園芸化?

ヒメジョオンとハルジオン

  • 2018.07.20 Friday
  • 05:52
いろんなところでヒメジョオン(Erigeron annuus)の花が満開になっています。もともとは北アメリカが原産で、既に明治維新前後には渡来したと牧野図鑑には書かれています。Wikiには「1865年に観葉植物として導入…」とあるけれど、本当かなぁ…
ヒメジョオン

種小名の「annuus」は一年生のという意味ですが、北海道では積雪下で越年して開花し、タネを飛ばして枯れる二年草の性質になります。ということは、春先には地面に貼り付いているロゼット葉があったはずで、ガーデンや庭で花が咲いていれば、秋からずっと見逃し続けてきたということになり、ちょっと問題になります。
ロゼット葉

当初は「柳葉姫菊」と名付けられたものの、いつしかこの名前になりました。「女菀」は中国産の野草のことで、姫紫苑(ひめしおん)は既に別種にあるので、あえてややこしいヒメジョオンになったもののようです。でもたいてい「ひめじおん」と呼ばれることが多いでしょう。
花のアップ

これに対して、約一ヶ月ほど開花の早いのがハルジオン(E. philadelphicus)です。同じムカシヨモギ(Erigeron)属で、北アメリカ原産ですが、こちらは多年草のため、一度侵入すると群生する傾向があります。滝野公園でも管理センター前の植え込み内や、まきばのせせらぎの橋のたもとなどに群生があります。こちらは「春紫苑」の意で、大正中期に園芸植物として導入され、牧野先生が名付けたものです。
ハルジオン

この二種は、姿も名前も混同しやすいのですが、見分け方を一度覚えれば、簡単に区別できます。花はハルジオンの方が一ヶ月ほど早く咲き、頭花はややピンクを帯びることが多く、舌状花は糸のように細くなります。(右) また、つぼみが大きくうなだれるのも特徴の一つです。(上の写真) これに対してヒメジョオンの花は真っ白で、舌状花は幅が広く、つぼみがあまりうなだれません。(左)
花の比較

葉の特徴では、ヒメジョオンの葉は、だんだん細くなって茎に付くのに対し(下)、ハルジオンの葉の付け根は、広がって茎を抱くように付きます。(上)
葉の比較

もう一つの見分け方は、茎を切断すると、ヒメジョオンの茎には空洞がないのに対し(左)、ハルジオンの茎は中空となっています。(右)
茎の比較

ヒメジョオンでは、「1個体あたり47,000以上の種子を生産し、さらにその種子の寿命が35年と長い」(Wikiより)こともあり、どちらも強害雑草として、要注意外来生物や日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれています。一番分かりやすい今の時期に、せっせと抜き取ってタネを落とさせないことが大切なので、がんばって抜き取りましょう〜

奇っ怪な植物

  • 2017.07.15 Saturday
  • 05:54
先日十勝に行った時に、珍しい植物を見つけてしまいました。帯広から出る国道の路傍に、10mくらいオレンジ色に染まった部分があったので、ピンと来たのです。その時は停車できなかったので、帰りに寄って改めてよく見ると、本当にこれが植物なの?と思ってしまいます。
路傍

これはアメリカネナシカズラという、ヒルガオ科の寄生植物です。いろんな植物に寄生するようで、ここではコメツブツクサに寄生していました。これに絡まれると、ほとんど息も絶え絶え状態になってしまいますが、枯れてしまうと元も子もなくなるので、うまくやっているのでしょう。
ネナシカヅラ

今からちょうど10年前、いつも渡島大島に渡る時に泊まっている、松前の民宿近くの海岸で、初めてこれを見つけた時には、その場所柄てっきり漁網が捨てられているのかと思ってしまいました。どう見ても植物には見えません。(2007年6月24日撮影)
松前

北海道がまとめている外来生物のサイト『北海道ブルーリスト』などを見ると、1978年に日高で発見されたのが最初で、その後道東のの農業地帯に発生したようです。飼料や牧草種子などに混入してくるのでしょう。松前では翌年には発生がなかったので、越冬して定着するのは難しいのかもしれません。

ブルーリスト

こんなものがあちこちで猛威をふるい始めたら、とんでもなく気味悪い道路景観になってしまうでしょう。定着できないことを祈るのみです。

帰化植物と園芸植物

  • 2017.07.03 Monday
  • 05:51
トキワアワダチソウのことを調べるのに、久しぶりで帰化植物写真図鑑を手に取りました。最近図鑑類は、pdf 化したものを iPAD に入れているので、本物の図鑑をめくることが減ってしまっています。やはりパラパラページをめくるという感覚は、何が飛び出すか分からない不思議な期待感があってとても面白いのです。

第2巻には、えっ!こんなものが?というものがかなり入っています。庭先からゴミに紛れて持ち出され、家の回りに生えているものを「逸出帰化」として報告されるので、このままではほとんどの園芸植物が「帰化植物」として白い目で見られるようになることでしょう。

  エノテラ
   (「日本帰化植物写真図鑑 第2巻」 全国農村教育協会、2010 より)

この「ミズーリマツヨイグサ」は、滝野公園でも昔から植えているものですが、これがどんどんタネを飛ばし、あちこちに生えて来るということは全くありません。むしろそのくらい増えて欲しいくらいです。その株だけでなく、そこで自己増殖して定着しているところまで確認しなければ、本当の帰化とは言えないと思うのですが。

  オオキンケイギク
   (「日本帰化植物写真図鑑 第1巻」 全国農村教育協会、2001 より)

もう一つの問題は、とかく「白い目で見られがちな」帰化植物が、生態的にどれだけ悪影響を及ぼしているのか?ちゃんと検証をしてほしいのです。『外来生物法』ができた時、特に環境に大きな影響を及ぼす恐れのあるものを「特定外来生物」に指定されました。その際、オオハンゴンソウなどと共に13種の植物が指定されたのですが、その中にオオキンケイギクが入れられました。どこかの河川敷でこれが猛威をふるっているということが根拠にあげられたようですが、それが本当に普遍的な現象なのか、はっきりしなかったのです。むしろ園芸や造園に関わっているものからは、学会も含めて猛反対の意見が出されたにもかかわらず、これが特定外来生物に指定されてしまいました。滝野公園でも仕方なく、植えてあったものをすべて抜き取りましたが、本来環境省に抜き取りの申請を出さなければならないけれど、そんなもの知るか!!と、無視して抜き取りました。

  デージー
   (「日本帰化植物写真図鑑 第2巻」 全国農村教育協会、2010 より)

第2巻では、意外なものが入っているのにびっくり。デージーは道内ではタンポポと同じくらい芝生雑草として定着していますが、多分本州では思いも付かなかったのでしょう。第1巻に収録されず、ようやく掲載されたようです。ヨーロッパでは、セイヨウタンポポがあんまり定着していないのか、芝生の雑草として最も多いのがデージーだということは昔から聞いていました。北海道ならではの「帰化植物」は意外とたくさんあるのかもしれません。

外来植物との付き合い方

  • 2017.07.02 Sunday
  • 06:00
大島調査の際には、松前港を早朝に出港するので、前日は松前に泊まる必要があります。初めの頃は町中の旅館に泊まっていましたが、そのうちに、かつて渡島大島を管轄していた江良(旧大島村)にある民宿に泊まるようになりました。随分と世話になった大島漁港期成会の漁師さんが、弟が戻ってきて民宿始めたので、そこに泊まればいいべや〜となったのです。そのすぐ近くの海岸には、結構珍しい植物が生えているので毎度散策していたところが、10年ほど前に珍しい植物を見つけました。2年後にようやくその正体が、国内で数例しか見つかっていないトキワアワダチソウという帰化植物だったことが分かったのです。
図鑑
   (「日本帰化植物写真図鑑 第2巻」 全国農村教育協会、2010 より)

ところが、その後も観察を続けていると、周辺に自生している道南特有のオオアキノキリンソウと交雑し、雑種を作り始めているらしいことが分かってきました。これは遺伝子汚染という点で、極めて危険なことなのでなんとかしなければと焦ってきたのです。簡単に抜き取れる株数ではなくなってしまっており、どうしたものかと思っているうちに、どんどん生育範囲が広がって参ったなぁ…と。ところが今回行ってみると、海岸に簡単に下りられるよう、土砂を押し広げて斜路が作られ、これらの生育地がきれいに押しつぶされていたのです。
自生地

よくみると、土砂をかぶらなかった株はほんの数株で、地中深くからようやく芽を伸ばした小さな株がちらほら見つかる程度。これならなんとかなりそうだということが分かったのです。
埋まった株

そこで島から戻って再び現地に行き、トキワアワダチソウと雑種と思われる株をすべて抜き取ってしまいました。
抜き取り

造成前であればこの何十倍もの数だっただけに、ある意味とてもラッキーでした。実は北大の先生に遺伝子分析してもらおうと、それぞれのサンプル株は札幌の某所で栽培しています。今年はそれを分析してもらい、その顛末を何かに報告しようと考えています。
抜き取られた株

帰化植物を水際で発見し、それらをすべて駆除することができたというのは極めて珍しい事例になりそうです。園芸や緑化植物として大量に持ち込まれている外来種の中で、このような遺伝子汚染が発見されること自体、極めて珍しいことなので、しっかりと確認をする必要があるのです。

ビロードモウズイカ

  • 2016.07.05 Tuesday
  • 05:36
週二のペースでリハビリに通う道すがら、建物とのすき間にビロードモウズイカが咲いていました。それだけならどってことはない風景なのですが、おやっと気になったことが。
街角

背丈ほどにも伸びることのある棍棒状花序の、いろんなところから花が咲いているのです。今まで何となく見ていたのですが、考えてみればどっちかにせいよ!と言いたくなる花の咲き方です。無限花序では下から順に咲き進むのに対し、有限花序では花は先端から咲き始め、下に向かって咲き進むのが一般的です。ところがこれはランダムに咲くみたいですねぇ。
花の咲き方

病院の前には、数ヶ月前に一角が一気に更地になったマンション予定地が広がり、そこには定番の帰化植物が早くも群生しています。そこにもビロードモウズイカはたくさん生えているのですが(赤丸)、その中に既に花茎を伸ばしている個体が混じっていました。あれ?お前は二年草の筈なのに、早くタネを落とさないとすぐに工事が始まりそうだと、急遽一年草になったものがあるようです(オレンジ)。はたして間に合うのでしょうか?
空き地

こんなへんてこな咲き方をするのかといろいろ調べてみましたが、どこにもそんなことは書いておりません。その代わり、この植物には実にいろんなことがあることが分かりました。ユーラシアから世界各地に侵入して大勢力になっているものの、他の植物が繁茂していると大きくなることができず、農耕地の害草にはならない代わりに、半砂漠地帯のような荒れ地にいったん侵入するとたちまち大繁殖して、生態系に大きな影響を与えるということです。そういえば昔ある採石場で見た風景。なんだか不気味な感じがしましたねぇ。高山帯にまで侵入するということは、確かに大きな脅威になりそうです。
採石場
 (南区の採石場で  1990.7.18)

花が終わると大豆くらいの果実の中に700個ものタネができ、一つの花序では20万個ものタネができるのだそう。そんなに遠くまで拡散することはないけれど、いったん土の中に入り込むと数十年も休眠し、何かの拍子に掘り返されて発芽に適した環境になれば、一斉に発芽してくるのだそうです。最近このあたりのアパートなどの陰には、こんな風景がやたら目立ちますが、ほったらかしてしているので、たくさんのタネを落としていることでしょう。
近所のアパート

するとあのマンション予定地には、その昔まだ荒れ地や畑だった頃に既に繁茂してたくさんのタネを落とし、市街地になって数十年後にようやく日の目を見たタネから生えてきたものなのでしょうか?渡来は明治初期とあり、東北から北海道に特に多いとあるので、そんな可能性も十分にあるのかと考えてしまいました。

フランスギク

  • 2016.06.20 Monday
  • 05:50
今を盛りと咲いているフランスギク。道内ではマーガレットと呼ばれることが多いのですが、本物のマーガレットは非耐寒性のため一年草扱いされる半低木(関東以西では木化する)のため、あまり使わない方がいいでしょう。和名も木になることからモクシュンギクになります。
フランスギクは、かつてはキクと同じくクリサンテムム属(Chrysanthemum leucanthemum)になっていましたが、現在では種小名が格上げされてレウカンテムム・ウルガーレ(Leucanthemum vulgare)となっています。英名は、牛のつぶらな目に似ているので、オックス アイ デージー(ox-eye daisy)。タネで簡単に殖やすことができるため、ワイルドフラワーとして全道各地にばら播かれたために、至る所で野生化してしまいました。
フランスギク

毎朝通っている盤渓への道でも、5〜6年前にはクゲヌマランが数十本も生える法面だったのに、上の庭から下りて来たフランスギクが、またたくまに法面全体を覆い尽くしてしまいました。こんな調子で既存植生に脅威を与えるようになってきているのです。
法面

北海道では、国が管轄している「外来生物法」をよりきめ細かくカバーするために、「生物多様性保全条例」を制定し、それが昨日19日から施行されました。全国的に見ても画期的な条例となっています。その第一号の植物に指定されたのが、このフランスギクと、やはり今盛んに花を咲かせているイワミツバです。
指定外来種
(道新WEBから拝借しました。m(__)m)

じゃあ、庭やガーデンに咲いているものはどうすればいいの?となりますね。それがあるからといって罰金取られるわけではありませんが、将来的には好ましくないものとして、なくしていく方向に持っていくべきでしょう。外来生物法で特に危険なものとして「特定外来生物」に指定されている、オオハンゴンソウやオオキンケイギクだって、まだ至る所に生えているけれど、ガーデン内からはほぼ駆逐されてきました。これと同じく、私が関わっているあちこちのガーデンなどでも、時間はかかってもこれらの植物は減らしていこうと思っています。

フランスギクはわりと簡単に抜けるけれど、イワミツバは根が少し残っているとすぐに再生してくるので、かなり手強い相手です。ガーデンによく植えられている斑入りイワミツバも同様に指定対象になっています。
フイリイワミツバ

外国産の植物は、古来より園芸植物や有用植物としてわが国にもたらされてきましたが、近年では個人でも簡単にタネが輸入できるようになっているため、飛躍的にその数が増えてきています。中にはとても危険なものが混じっていることがあるので、このまま無制限な流入が続くのは問題が多いのですが、規制や禁止まではとてもできないでしょう。難しい問題です。

指定外来種

  • 2016.03.20 Sunday
  • 05:53
昨日は「指定外来種」の説明会があったので、ヒマがあれば行ってみようかなと思っていましたが、案の定全くヒマもなく・・・話は動物主体だったので、まぁいいかなという感じです。

説明会

10年前に国の法律として「外来生物法」ができ、その中で極めて危険な外来種を『特定外来生物』に指定することにより、固有の自然環境をこれ以上劣化させない方向性が示されました。植物は今のところ13種が指定され、道内でなじみ深いものはオオハンゴンソウとオオキンケイギク程度です。その次のステップとして、このたび北海道では独自に「北海道生物の多様性の保全等に関する条例」に基づいて「指定外来種」を指定しました。トノサマガエルやアメリカザリガニなどと共に、植物が2種指定されたのです。
その一つがフランスギク(Leucanthemum vulgare)。道内では誰もがマーガレットと呼びますが、正しい英名はox-eye daisyです。牛のつぶらな目に似ているということでしょう。道内至るところに分布し、最近では高山帯にまで上がり始めている点が危険視されています。
フランスギク

一時流行ったワイルドフラワーの主要構成種になっていたため、至るところにタネが播かれたことも拡散の原因になりました。危険性からは、特定外来生物のオオキンケイギクなんかより、はるかに危ないと感じます。
雑草化

もう一種はイワミツバ(Aegopodium podagraria)。舌をかみそうなアエゴポジウムとは、葉の形がヤギの足に似ていることから、ポダグラリアとは「足の痛風に効く」という意味で、事実薬草として各地に広められていったようです。
イワミツバ

こちらはまだ札幌近辺が主要生育地ですが、極めて繁殖力が強いので、いずれ全道に拡散していくのでしょう。セリ科なのでたくさんの種子を生産することもありますが、これが危険な最大の理由は、地下茎を伸ばして旺盛に栄養繁殖を行う点にあります。湿った場所を好むので、そっと抜いていくとたやすく抜けてくれ、まるでセリを抜いているようないい香りがします。実際に野菜として食べられていたようですから。
抜いた状態

ところが根のところをよく見ると、無数にランナーを伸ばしているのが分かります。これがいとも簡単にちぎれてしまい、そこからまた株が再生してしまうので、根絶することが難しいのです。もう一つ懸念しているのは、これが増え始めると純群落となり、他の植物がなくなってしまうのです。多分根から化学物質を出して、他の植物の生育を阻害するアレロパシーを引き起こしているのではないかと感じています。除草剤のラウンドアップをかければ簡単に枯らすことが出来るけれど、これを嫌がる人が多いですからねぇ…( ̄。 ̄;)
ランナー

斑入りのイワミツバもよく見かけます。こちらはなぜかアエゴポジウムという名前で売られていることが多いのですが、性質は全く同じなのでやはり危険な植物です。
フイリイワミツバ

道条例による指定なので、国の法律ほど厳しい罰則はありませんが、栽培はあくまでしっかりとした管理下で行い、むやみに野外に捨てることなどが規制されます。私たちが栽培するたくさんの植物の中には、このような危険性を持っているものが、この他にもた〜くさんあることを自覚しなければならない時代になってきました。

北海道外来植物便覧

  • 2016.02.26 Friday
  • 06:03
注文していた「北海道外来生物便覧 2015年版」が送られてきました。著者は千歳在住の五十嵐博さんで、一緒の時期はなかったものの、同じ植木屋の大先輩に当たります。はじめに の冒頭に書かれているように、「本書は図鑑ではない。北海道に記録されていた帰化植物(外来植物)を調べるための本である。」 なので、帰化植物に興味の無い方にとっては、とっても退屈な本かもしれません。私は学生の時から、自然地域よりも都市近郊の帰化植物だらけの場所の方が好きだったので、園芸植物との境界があんまりない帰化植物はずっと守備範囲だと思ってきました。なのでこの本は「待ちに待った改訂版」ということになるのです。
外来生物便覧
今回は北海道大学出版会からの刊行になったので、ある程度の販路も広がることが期待できそうです。それにしても、前田一歩園財団の助成があったから出版できました とあるように、こういう特殊な本の場合、普通のルートでの刊行はとても大変なことと思います。この元になった「北海道帰化植物便覧 2000年版」が出たのが15年前。これは自費出版として刊行したので、はたしてどれだけ出回ったのでしょうか。
帰化植物便覧
新刊の中身は、基本的には旧刊を踏襲しているといえますが、サイズがA4判からB5判に小さくなって扱いやすくなったこと、道内分布図が飛躍的に多くなったこと、なんと分類体系がいよいよAPG靴飽楾圓靴燭海、などが大きな特徴といえるでしょう。帰化植物が外来植物に変わっているのも、時代の流れを感じさせます。この分布図は、全道(もちろん北方領土を除く)を二万五千分の一の地形図によるメッシュに区切り、そこで自ら確認したものを落としているのです。なので、道内での分布情報が大変よく分かるのです。たとえば、オオアワダチソウと混同されやすいセイタカアワダチソウは、石狩低地帯に集中し、道南や道東、道北にはあまり分布していないことが一目で分かります。
セイタカ

それに対してオオアワダチソウは、オホーツク北部から宗谷にかけてがやや薄いものの、ほぼ全道に広がっています。札幌近郊でも、セイタカの方が数も圧倒的に少ないのですが、この図からは密度感覚がなかなか見えにくいのは仕方ないことでしょう。
オオアワダチソウ

その下にある682.トキワアワダチソウ には、珍しく私の名前が書かれておりますが、これは全道で唯一私がこの場所で確認し、五十嵐さんに連絡したことによるのでしょう。これの扱いについては今も扱いを検討中なので、そのうち報告できる日が来るかもしれません。
トキワアワダチソウ
 (松前町二越(ふたごえ)の海岸に生えていたトキワアワダチソウ  2009.9.13)

「今後もガーデニングブームで世界各地から新しい植物が導入され、これらが各地に逃げ出すのであろう。」と書かれているように、園芸の世界に身をおいている者にとっても、外来生物問題は避けて通れない課題であることは間違いありません。私たちにとって、決して無関心ではいられないのです。

(『北海道外来生物便覧 -2015年版-』 五十嵐 博著、北海道大学出版会 発行、2016)
(送料とも5.534円のところ、4.497円で購入できますので、ご希望の方はコメント欄にどうぞ)

キクイモ

  • 2015.12.08 Tuesday
  • 05:56
先日ある情報誌を見ていて、おやっ?!と、びっくりしてしまいました。
通販

キクイモが、5kgでなんと5,000円もするのです。キクイモごときが、こんなに高価で取引されるんだと驚いてしまいました。キクイモ(Helianthus tuberosus)は、北アメリカ原産のヒマワリの親戚で、種小名のツベローススの通り地中に塊茎(tuber)を作ります。この写真は9月に掘ったものなのでまだ小さいですが、秋遅くになると小振りのジャガイモクラスに育ちます。
イモ

江戸時代末期に飼料用作物として伝来したそうですが、戦争中に栽培が奨励されたことから一気に広がり、現在のような全国的な帰化状態を作ったといわれます。デンプン質ではないので、腹は膨れるけれど栄養分としては・・・道内では至るところと言っていいくらい野生化しているけれど、キクイモの花は霜が降りる頃でないと咲かないので、意外と気付かれないのかもしれません。
キクイモ

このイモにはイヌリンが大量に含まれているので、このように健康食品として一部では人気があるといわれてましたが、それにしてもこんなに高価に取引されるものなんですねぇ… いくらでも掘って売りたいくらいです。

道南には、キクイモによく似て開花期が約一ヶ月早いイヌキクイモが分布しています。9月半ばに道南を走っていると道端であちこちに咲いているのを見かけます。こちらのイモはキクイモほど大きくならず、食用とはされないようですが。このイヌキクイモは、キクイモの種内変異なのか、変種なのか、はたまた別種なのか?いまだに結論が出ていないようです。
イヌキクイモ

「石狩産、農薬不使用」とうたっているけれど、あんなものに農薬かけるわけないし、石狩方面の道端で掘っているのかなぁ…(^^;)

ハナショウブ??(訂正版)

  • 2015.08.28 Friday
  • 06:00
新聞を読んでいると、時々なんだこれ?という記事にぶつかります。
先月の道内版には「食害なんの ハナショウブ」と、苫小牧で行われた「とまこまい花しょうぶフェスタ2015」の紹介記事で、シカの食害にもめげずに咲いているハナショウブが紹介されていました。
切り抜き

でもここに写っている花は、ハナショウブではなくキショウブ(Iris pseudacorus)のように見えてしまいました。この記事によると、2009年から造成が始まり、何と1万株ものハナショウブを植えたとのこと。ということは、これもちゃんと植えられたものということになります。キショウブは、侵略的外来種としてはかなり危険とされているもので、外来生物法による要注意外来生物に指定されています。「栽培にあたっては、逸出を起こさない。既に野生化している湖沼等があり、在来種との競合・駆逐等のおそれがある場所については、積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる。」とされているものです。
キショウブ

今どき、そんな危険なものをわざわざ公共工事で植えたりするものなのかなぁ?と考え込んでしまいました。黄色い花が咲くハナショウブもないわけではありません。1962年に愛知県の大杉隆一氏によって、伊勢系のハナショウブとキショウブを種間交雑して作出された、黄色系初の品種である‘愛知の輝’は、どこの花菖蒲園でもかならずと言っていいほど植えられています。でもこの品種は、花がクリームイエローで、葉も黄緑色をしているのですぐに見分けがつきます。
愛知の輝
 (‘愛知の輝’  芽室の花菖蒲園、2005.7.15)

‘愛知の輝’の出現以来、なんとか緑色の葉をもった黄花ハナショウブをとみなさんが努力し、‘堺の黄金’や‘みちのく黄金’なども作出されてきていますが、はたしてこれがそのような品種なのか、気になりました。
みちのく黄金
 (‘みちのく黄金’  芽室の花菖蒲園、2005.7.15)

その後関係者からの連絡で、植えられているのは黄花系の品種である‘堺の黄金’や‘金冠’であることが分かりました。「比較的大型で、花が一斉に咲きそろう特性があり、写真撮影で映える」ことから、新聞記者が撮影に至ったと推測されます。とのことですので、色彩的にもよく目立つ花を構図に入れたものでしょう。憶測記事を書いたことにより、関係者のみなさんがご不快の念をもたれたこと、深くお詫び申し上げます。

錦大沼公園は、苫小牧でも西の外れなので最近全く行っておりません。花の時期に確認してきたいと思っています。なおキショウブには、白花キショウブも稀に見つかることがあるそうです。これは植物園に植えられていたものですが、花の時期にはよく見ていただきたいと思います。
白花キショウブ

ハキダメギク

  • 2013.09.19 Thursday
  • 07:23
この時期になると、花壇に植えられた草花の中にはくたびれてくるものがあり、管理の悪いところでは、雑草が目立ってきます。そんな時期に、最近最も増えてきたと感じているのが「ハキダメギク」です。
ハキダメギク
(白石駅前のビルの植え込みに繁るハキダメギク  2013.9.18)

道内でもそんなに古い記録はなく、私が初めて気付いたのは、今から14,5年くらい前に、函館市の高松苗圃だったはずです。ところが最近では、札幌でも全然珍しくない植物になってきているようですが、生えているのは町中の花壇がほとんどで、荒れ地や道路際などの乾燥地などではあまり見られません。本によればチッソ分の多い肥沃なところを好む、とか書かれているように、帰化植物としては、ややひ弱な存在なのかもしれません。
この植物の拡散は、花苗のポットによって運ばれていったと推測しています。おそらく生産者の苗畑でまずはびこり、そこの土壌にタネが蓄積されます。ポット苗として出回る頃には、まだタネのままなので気付かれず、夏になるとさっそく発芽して繁茂し、タネをまき散らしているのでしょう。花壇は基本的に肥沃で絶好の環境だからです。
花のアップ
(大通公園の花壇に咲くハキダメギクの花  2013.9.17)

この花はよく見ると結構かわいいのです。白い5枚の花弁がすき間を空けて付いており、それぞれが3つに分かれているため、15枚の花弁があるように見えます。いかんせん花の大きさは米粒くらい、さっぱり目立ちませんが、こんな花でも「不屈の精神」という立派な花言葉があります。いかにも帰化植物らしい花言葉かもしれません。

ハキダメギクという名前は、牧野富太郎先生が名付けたもので、世田谷の経堂辺りの掃きだめに生えていたので、こんな名前を付けたようです。今のゴミステーションとは違いますからね… 人が変な名前を付けると、結構ぼろくそにケチを付ける割には、自分でも変な名前を付けています。その最たるものがハキダメギクであり、ワルナスビかもしれません。
ワルナスビ
(札幌で初めての記録だったワルナスビ(北海道神宮の梅園で)  2008.8.23)

成田の御料牧場で見つけたこの草を、調べるためか庭に植えたところ、たちまち地下茎で猛烈にはびこり、しかも針のような鋭い棘があるので駆除も大変だということで、こんな名前が付けられたようです。ううむ…
神宮の梅園で、まるで植えられているかのようなたくさん咲いているのを発見し、たまたま学会のシンポの関係でおつきあいのあった権禰宜(ごんねぎ)の方に、この植物の素性をお知らせしたので、早速駆除にかかられたようです。まだ少し残っていますが、かつてのような繁茂ぶりではなくなってきています。
梅林

外国から渡ってきた植物には、きれいだと庭でちやほやされるものもあれば、ひどい名前を付けられて疎んじられるものもたくさんあります。そんな中でこのハキダメギクは、名前はいささかかわいそうですが、結構したたかに一等地で生き抜いている植物かもしれません。

ビロードモウズイカ

  • 2013.07.11 Thursday
  • 07:06
事務所のすぐ向かいの駐車場では、ついひと月前にはミヤマオダマキが満開になっていたと思ったら、今ではビロードモウズイカ(Verbascum thapsus)の花茎がにょきにょきと。この花は、やっぱり異様な感じがします。
ビロードモウズイカ

ここは砂利敷きの駐車場なので、よほど居心地がいいと見え、とてもよく育つのです。軽く背丈を越えるほどの棍棒状の花茎を伸ばし、ぎゅうぎゅう詰めになった黄色い花が咲いています。ラムズイヤーが癒やし系ハーブとしてもてはやされるのに、なんでこの葉は気持ち悪がられるのか分かりませんが、手触りだけみれは全く同じですけれど。
花

この花茎は、ちょっとやそっとでは折れなくて、枯れて固くなったものなら、本当に棍棒として使えそうなくらい固いのです。バーバスカム(学名の読みはウェルバスクムですが、園芸的にはバーバスカム)は、ガーデニングの世界では結構人気者で、オープンガーデン巡りをすると、今時分はどこにも咲いているでしょう。大半は完全な二年草ですが、宿根性のものもあるようです。これをハンドルネームにした秋田のモウズイカさんは、この世界では超有名人で、バーバスカムの普及には大いに役立ったことでしょう。

帰化植物的に見ると、本種の分布は北日本の寒冷地中心で、道内では道南から道央に特に多く、道東道北にはまだ少ないようです。札幌近辺ではかなり厄介者になってきており、この近くのマンションの裏手など、あんまり手をかけないところでは、すぐにこんな状態になってしまいます。
近所

この植物を初めて強く意識したのは、今からもう33年も前になりますが、藤野の採石場に石を探しに行った時に、大群生を見てしまったのです。この年の春、当時藤野の国道脇にあった小さな植木屋に入り、現場に出始めた頃でした。この採石場では、藤ノ沢石の名で、ドライウォールに使うのにちょうどいい、平べったい石が取れていました。この時には、会社の仕事ではなく、私の大学の先生がドライウォールを積む石を探していて、一緒に石を見に行った時のことだったかと。
藤野採石場
(南区藤野の採石場に群生するビロードモウズイカ  1980.7.18)

あまりの見事な群生ぶりに、思わず撮したのがこの写真。当時からもうこんなに生えていたのですね。その後ドライウォールの石の積み方を伝授され、それ以来、私の得意技の一つになったということもあり、この時のビロードモウズイカは強く印象に残っています。

イヌノフグリ各種

  • 2013.06.17 Monday
  • 07:09
久しぶりの雨を受けて、木々の緑が滴るように潤って見えました。この雨は本当にありがたかったです。
新得町の狩勝園地では、草地の中に様々な植物が見られたのですが、やたら目立っていたのがコテングクワガタ(Veronica serpyllifolia)でした。在来のテングクワガタに似て、一回り小さいところからこの名が。
コテングクワガタ
もともとヨーロッパ原産の多年生草本で、原産地では青花だそうですが、道内に見られるのはほとんど白花に近いものです。道内には戦前に入ってきたといわれ、80年頃に初めて報告されています。やや湿った場所を好み、水田の畔のカバーに使われたこともあるとか。そのような環境ではよく広がってしまうようで、園地でも一面に花を咲かせていました。

これによく似て、草丈がとても低く、地面を這う多年生のVeronica(ウェロニカ)属に、(仮)ハイクワガタ(V.repens)があり、よく間違えられます。(全農教の帰化植物写真図鑑ですら、写真が間違えられていたほどです。)私も参加している帰化植物MLでも、数年前に議論になったのですが、この二種は全く異なっており、特に道内各地に広がっています。グラウンドカバープランツとして利用可能だし、鉢物としても売られていることがあります。
ベロニカ・レペンス
(北大の圃場には学生時代から生えていました。 2013.5.25)

このVeronica(ウェロニカ)属の植物には、たくさんの園芸植物がありますが、帰化植物としてもいろいろ入ってきています。春先に真っ青な花を咲かせるオオイヌノフグリ(V.persica)や、最近畑地雑草として増えてきているタチイヌノフグリ(V.arvensis)などがあります。もう一つ、不思議な存在のVeronicaに、アレチイヌノフグリ(V.opaca)があります。
アレチイヌノフグリ
(円山墓地に細々と生きているアレチイヌノフグリ  2005.6.1)

これは、植物研究家の原松次先生が、円山墓地で発見したものを東京に送って同定され、1987年に報告・命名された珍しいものです。その後ほとんど報告されていないことから、以前私の大先輩のWさんと円山墓地で捜索したことがありました。何度足を運んでも、なかなか見つけられなかったのですが、ある日曜の午後に携帯に電話があり、とうとう見つけたよ〜。早速行ってみると、確かにオオイヌノフグリとは異なり、花も一回り小さくて、茎にたくさん毛が生えていました。
比較
(左から、オオイヌノフグリ、アレチイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、コテングクワガタ)

しかし、なんでこの場所にだけ生えているのでしょうか?ふとその場所で顔を上げると、レーン先生ご夫妻の墓が。レーン先生は、戦前に北大予科の英語教師として来日され、戦争中はスパイ容疑で特高に痛めつけられて送還されたにもかかわらず、戦後も来日されて、長くご夫婦で教鞭を執られました。その御家族が墓参りの折に、故郷から花を持ってきて植えたものにくっついてきたのかな?なんて勝手に想像してしまいましたが、本当にその墓の周りにしか生育していないのです。帰化植物にも、こんなつつましい生活を送っているものがあるのです。
円山墓地

キクイモとイヌキクイモ

  • 2012.10.17 Wednesday
  • 07:05
札幌近辺ではまだ霜が降りていませんが、いつになったらやってくるのでしょう。
この間にキクイモが次々と開花してきています。キクイモの開花は、霜の降りる時期ギリギリのため、年によっては花を見ることなくしおれてしまいますが、今年は満開になりそうな気配です。
キクイモ
(この年も霜が遅く、富良野の山間部で満開になっていた。 富良野市麓郷 2006.10.12)

キクイモ(Helianthus tuberosus)は北アメリカ原産の帰化植物。ヘリアンツス属ですからヒマワリと同じ仲間で、花が咲けばなーんだということになるでしょう。
キクイモ拡大
(今年は開花が早く、9月末には花が咲いていた。 由仁町伏見で 2012.9.28)

種名のツベローサスとは、塊茎(tuber)を作るという意味の通り、地中にジャガイモともサトイモとも似ているイモを作ります。
塊茎
(これはやせている土地なので小さいが、肥沃なところではジャガイモくらいの塊茎になる 2012.10.13北大構内で)

わが国には既に江戸時代には渡来していたと言われ、各地に野生化していますが、特に北海道に多いのだそうです。全道いたるところの路傍や水路脇、放棄農地などに生えていますが、タネで増えるものではないので、塊茎が人為的に運ばれた結果であると考えられます。食料の乏しい時代には、キクイモも立派な食料とされていたので、開拓農家などがあちこちに持ち込んだものでしょうか。
ただキクイモの貯蔵養分は、他のイモのようなデンプンではなく、イヌリンが主成分です。イヌリンはデンプンのようには分解できないので、健康食品として人気が高く、検索をかけると膨大な関連ページが出てきます。

キクイモに極めて近縁の植物に、イヌキクイモ(H. strumosus)があります。(ストゥルモーサスとは、腫れたような膨らみのあるという意味だそうで、塊茎の形から来ています) キクイモによく似た植物にキクイモモドキ(Heliopsis)がありますが、これは別属の植物です。
道内では道南地方と根釧地域に野生化が見られ、札幌近辺でも数カ所確認されています。この二種は極めて近縁で区別ができなく、昔からあれこれ論議になっている植物ですが、道内では開花期が明らかに約一ヶ月早く、9月中旬に道南を走ると、あちこちの路傍で花を見ることができます。
イヌキクイモ拡大
(キクイモの花弁の先がやや丸いのに対し、イヌキクイモのそれはやや尖るとの記載の通りです。 厚沢部町内で 2008.10.15)

今までで一番近くは、小樽の塩谷の海岸でイヌキクイモを見たことがあります。
帰化植物について、時々お世話になる山口さんのレポートにある通り、イヌキクイモの塊茎はやや深いところにあり、小さなもののようです。食用として利用されることもなければ、なかなか広がりにくいのかもしれません。

道内では、夏以降に道端に咲いている植物が、オオハンゴンソウからオオアワダチソウにリレーされ、最後はキクイモが締めるという、北アメリカ原産の帰化植物のオンパレードになっています。それもまた北海道らしいと言えばそうなんでしょうね。

ヤマゴボウあれこれ

  • 2012.08.25 Saturday
  • 07:11
このブログを始めてちょうど4ヶ月が経ちました。主に身の回りの植物についてあれこれ書いてきましたが、おかげさまで非常にたくさんのアクセスをいただき(約25,000アクセス)、やめるにやめられず、半分意地になって毎日更新してきました…(^。^;;
といっても好きな植物が相手なので、別に苦痛になるわけでもなく、自分としても情報を確認して整理することにより、今まであやふやにしてきたことがとてもすっきりしてきました。これからもぼちぼちと続けて行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

昨日は、打合せで大通管理事務所に行く前に、バラ園や花壇を見て歩きました。
リラの会
大通公園西8丁目にある、リラの会が管理している花壇 (2012.8.24 以下同)

8丁目にあるリラの会の花壇が、ずいぶんもりもりしてきたなと思ったら、片方の花壇の中にヤマゴボウが植えてありました。嫌われ者の帰化植物の中で、お前はちゃんとガーデンに居場所を見つけて、高く売られるようになったんだなぁと、私なりに感慨深いものがありましたが。
でも、よく見ると2種のヤマゴボウが植えられているので、ひょっとして流通上は、この2種はごっちゃにされているのかな?と思った次第。
というのは、花序がだらんと垂れ下がっているヤマゴボウは、アメリカヤマゴボウ(ヨウシュヤマゴボウ)で、どちらかといえばややメジャーかな?という感じがします。

アメリカヤマゴボウ

子どもの頃、この実を集めてままごとで使ったり、ズボンを真っ赤にして叱られた思い出があります。英名はインクベリーで、一時的なインクや安いワインの着色に使われたといわれます。でもこれはかなり強い有毒植物で、子どもに触らせてはいけないし、口に入れると大変なことになると書いてあるものもあり、こんなもので遊んでいたのかと思うとぞっとします。しかもアメリカではワインの色づけに使ったり、ソウルフードとして食べられていたなんて…怖いですねぇ…

これに対してもう一種、花序が上を向いているものがヤマゴボウです。大通のものはまだ実になっていませんでしたが、そのあと19丁目にある行きつけのうどん屋に寄ったとき、店の前の街路樹の下に立派な実を付けている株がありました。

ヤマゴボウ
リラの会の花壇の中で
ヤマゴボウ実
うどん屋「おかだ」の前の街路樹にあったヤマゴボウ

アメリカヤマゴボウ(Phytolacca americana)は、その名の通り北アメリカ原産で、明治時代に渡来したとされています。これに対してヤマゴボウ(P.esculenta)はヒマラヤから中国原産で、江戸時代以前に食用や薬用として渡来しています。いずれも有毒植物ですが、ヤマゴボウの葉は食用に、根は薬用にされていたのです。(学名のエスクレンタとは、食用のという意味です)

花序の向きで大体区別できますが、実になっても区別できます。アメリカヤマゴボウの実は、10個に分かれているものの、間がくっついているのでほぼ丸くなっていますが、ヤマゴボウの実は8個の実が合体している様子がよく分かります。

ヤマゴボウ熟した実
動物園の森に発生したヤマゴボウの実 (2007.9.13)

帰化植物も、いろんな所に居場所を見つけて居心地よく生活しているものもあれば、嫌われ者になって目の敵のように抜き取られるものもあり、人生いろいろですねぇ…有毒植物は、管理にさえ気を付ければ何も問題は起きないのですが、くれぐれも子どもが口に入れたりしないよう注意が必要です。

なお、漬け物になっている「山ごぼう」は、アザミの一種であるモリアザミの根を使っているので、全く毒性はありません。ご心配なく〜

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM