皆楽公園のエゾエンゴサク

  • 2018.05.02 Wednesday
  • 06:01
せっかく美唄まで出かけたので、宮島沼を経由して月形へ。お目当ては、皆楽公園のエゾエンゴサクです。梅木さんに場所を教えていただき、排水機場のところで車を置いて歩いて行きました。(1日からはゲートが開くので、近くまで車が横付けできます。)皆楽公園は元の石狩川本流の河跡湖なので、この土手は自然堤防なんでしょう。そこに一面真っ青になるほどのエゾエンゴサクが咲き乱れていました。どんより曇っていたから色が冴えないけれど、晴れていればひたち海浜公園のネモフィラにだって負けないぞっ!
群生

よ〜く見ていくと、ピンクがかった株がかなり多いように思いました。もちろんグラデーションがあるのですが、これほどきれいなピンクの花は見たことがありませんでした。
ピンク

色の濃いものもかなり混じっています。何しろ足の踏み場もないくらいの密度なので、撮影できる範囲も限られてしまいますが、ここまで濃い赤紫も滅多に見られません。
赤紫

白花はあるのかな?と見ていくと、わりと奥の方に固まって8株、純白の花を見つけました。盗掘されないことを祈りたいです。
白花

オオウバユリやオオハナウドが少し混生していますが、パッと見ではほとんどすべてエゾエンゴサクに見えました。でもよく見ていくと、地味なレンプクソウがかなり混生しています。レンプクソウ科はレンプクソウのみ1属1種しかない地味〜な科だったのに、APG分類体系では、なんとスイカズラ科だったガマズミ属とニワトコ属がレンプクソウ科に組み込まれ、「レンプクソウも出世したもんだ!」と、やっかまれていたくらいです。
レンプクソウ

白い花が見えたのでキクザキイチゲかと思ったら、苦労して近づいてみるとアズマイチゲでした。札幌ではとっくに終わっているのに、ドカ雪の下でじっと我慢していたのですね。
アズマイチゲ

一株しか見当たらなかったアズマイチゲに対し、ニリンソウはもう少しあちこちにありましたが、ようやくつぼみが開き始めたところ。連休後半が見ごろになりそうです。
ニリンソウ

奥まで行って土手の上に上がり、今度は上から見下ろしながら戻って来ました。こちらから見た方が花の色がいいように見えたので、ぜひ両方から見ていただきたいと思います。せっかくハーブ王子がやってくるのに、見ごろはかなり過ぎてしまいそうですが、雪融けの遅かった下の方はこれから葉を広げてくるので、これらがちょうどいい案配になりそうです。くれぐれも足元には注意して、伸びてきている芽を踏まないように気をつけて下さい〜
俯瞰

道端に花が!

  • 2018.03.21 Wednesday
  • 05:51
午前中はかなりの吹雪に。すぐ近くで家を建て始めている工事現場では、吹雪の中でコンクリートを打設していました。運が悪いとしか言いようがありません… それでも午後からは日差しが戻り、大きな通りではたちまち雪が融けていました。そんな中、郵便を出しにいったときに、いつも最初に花を見つける建物際の陽だまりで目を凝らすと、やはり花が開いていました。
ハコベ

今年の第1号はコハコベ(Stellaria media)です。雑草としては嫌われ者だけど、こうしてけなげに咲いているのを見ると、よしよしとなでてやりたくなります。もともとはヨーロッパ原産らしいけれど、今では世界中に見られる史前帰化植物の一つです。それでも「はこべら(繁縷)」として、春の七種にもぐり込んでいるのですから立派なもの。
ハコベの花

タンポポはまだロゼット葉のままだけど、次に花を開こうとしているのがミチタネツケバナ(Cardamine hirsuta)でした。タネツケバナは、水田の畔などに生えるほど水分を好む植物ですが、こちらは乾燥した道端が好きな性質です。こちらもヨーロッパ原産の帰化植物で、身の回りにはごく普通に生えています。まだ食べたことはないけれど、さっと湯通しすれば美味しく食べられそうです。
タネツケバナ

夕方から、余市の娘が子供を連れてやって来ました。孫3号も、先週の日曜日から急に歩き始めたそうで、割と晩熟ながら、みんな元気に育ってきています。いくところがやはり冷蔵庫の前で、ひとしきり磁石で遊んでおりました。どんなおもちゃよりも、これが一番面白いだなんて。
3号

8時過ぎからドンドコ花火が上がるので、どこだろう?と外を見たら、大倉山で何かイベントやっていたのですね。時々花火は上がるけれど、こんなに大きな花火がたくさん上がったのは初めて。家がびりびり揺れるほどの振動の中、きょとんとして見ていたけれど、どんな風に映ったのかな?
花火

いよいよ3月も下旬に入り、雪割りした庭ではスノードロップやフクジュソウなどの花が見られることでしょう。春分の日は、気持ち的にも春のスタートに立たせてくれる気がします。

越後の雪割草

  • 2017.02.21 Tuesday
  • 05:48
本場越後の雪割草を見たのは、2010年のことでした。娘が長野の会社に就職することになり、買ったばかりの軽バンに荷物を詰め込み、引っ越しがてら送っていったのです。手帳を見ると3月28日の夜のフェリーで小樽を出発し、翌日夕方に新潟港到着。その日は新潟駅近くのホテルに泊まり、翌日の30日に長野に向かったのですが、せっかくなので国営越後丘陵公園に寄ってみようと、長岡で途中下車しました。開園と同時に中に入ると、ちょうど雪割草まつりをやっていたのです。
越後丘陵公園

さすが本場だけあって、メチャクチャたくさんの品種が展示されていました。なんとなく清楚なイメージを持っていたのですが、とんでもない。このあたりの花は、ただの色違いですが、花型には本当にたくさんの変異があるのにビックリでした。
赤 青

かなり暗い場所のため写りがよくありませんが、へぇこんなのあるんだ!というものばかり。雄しべが変化したものでしょうが、なんと呼べばよいのかも分からない。
変化 八重

雪割草には花弁がなく、花弁状のガク片が八重化、万重化したり、雄しべや雌しべが花弁状になったりと、実に複雑です。これなんかガクが葉に先祖返りしたのでしょうか。
緑 白万重

販売もされていましたが、結構いい値段がついていました。百合が原公園の売店でも、500円のものもあれば1,500円のものもあるように、品種によってピンキリなのでしょう。
ピンク万重 赤一重

息が詰まってきたので、さっそく外に出て自生地を見学に。まさにオオミスミソウの自生地が園内にたくさん広がっており、国際雪割草協会が手入れをしたり補植を行っているところです。
入り口

昔は長岡でも豪雪がありましたが、最近はあまり積もらないので、雪遊びする冬季レクリエーションがうまくできないそう。温暖化の影響が一番受けやすいエリアかもしれません。
自生地

雪のない場所では、落ち葉の中からたくさんの雪割草が咲いていました。どこまでが自生もので、どれが補植株かは分かりませんでした。でも写真を見ると自生地でもかなりの変異があるようなので、この時期には山の中をごそごそ探し回っている人がいるのかもしれません。
自生株

盤渓の道すがら

  • 2016.09.04 Sunday
  • 06:06
今年も毎朝、盤渓までの道を走ったり歩いたり。急勾配のところは無理しないで歩いているので、走るのは2/3くらいでしょうか。毎朝しっかり汗をかくと、血液がしっかり循環するので、やはり気持ちがいいものです。この時期の4時台はもう真っ暗。家に帰る頃にようやく夜が明けてくる感じです。先週少し遅く家を出た時に撮った写真なので、なんだかピンボケばかりですが、道端の草花をいくつか紹介しましょう。

途中にあるお寺の前の草むらの中で、白花アカツメクサを見つけました。赤クローバーの白花を見つけたのはこれで3回目ですが、今までのものは工事現場だったために既に失われているので、これは貴重な一株になりました。せっかくなので移植するか検討中です。
白花アカツメクサ

今まで全然気付かなかったものにヤブガラシがありました。こんな嫌なものを見つけるのは全然うれしくないのですが、だんだん家に近寄ってくるのが怖いです。これを見つけたら、否応なく抜き捨てないと大変なことになりますからね。
ヤブガラシ

ヤブガラシが絡んでいるのはオオイタドリですが、これは雄株で、すぐ横に雌株がありました。地下茎で増えるため、雌雄別々に大群落を作るのが普通ですが、こんなに近くに寄り添っているのは珍しいです。
イタドリの雌雄

盤渓までの道筋には、メマツヨイグサがたくさん咲いているのですが、ここではそれと同じくらいにアレチノマツヨイグサも生えています。昔は別名くらいにしか思わなかったのに、梅澤さんのおかげでこれを区別して見るようになりました。
メマツヨイグサ

他のところでは9:1くらいしかないアレチノマツヨイグサなのに、盤渓方面では半々くらいなのが珍しいです。
アレチノマツヨイグサ

三年ほど前に落石防止工事が行われたところでは、まず一斉にヒメジョオンやオニノゲシ、ブタナなどの帰化植物に覆われていました。ところが最近では、ヨツバヒヨドリやナワシロイチゴ、オトコヨモギなどの在来種にどんどん置き換わってきています。上の林内に生えているのか、ヤブタバコまでがこんなカンカン照りの場所にたくさん生えてきているので、少し環境も変わってきたのでしょうか。
ヤブタバコ

盤渓峠を越えて戻る途中、分譲地のところから見る風景はなんともいえず気持ちのいいものでした。このブログを始めた頃、新緑前の山の木々を見て「山笑う」という記事を書いたことを思い出しました。ここの空き地も隣のお寺に買われて駐車場になっていたのに、昨年から納骨堂の建設が始まりました。来春にはすっかり風景も変わってしまうのでしょうか。
納骨堂

こうして振り返ってみると、これまでのブログの記事の中で、身の回りの植物はかなり紹介されていることに気付きます。それでもまだ新発見が出てくるし、毎日気づきの連続なのが面白いところなのでしょう。

シドケ

  • 2016.05.18 Wednesday
  • 05:43
先日いつも行くスーパーの野菜売り場に、何も名前が付けられていない山菜が売られていました。しかも誰も買わないのでしなびてしまい、ますます売れなさそうな状態に。何かいな?とよく見ればなんと「シドケ」ではないですか!一度食べた見たかった『山菜の王様』です。

さっそく買って帰り、ボウルの水に漬けてしばらく給水させてやると、少しピンとしてきました。正式な名前はモミジガサの名の通り、モミジのように切れ込んだ葉が特徴です。
シドケ

こんな写真ではなんだか分からないので、一度道内のどこかで見たことがあったなぁと、パソコン内をいろいろ探してみましたが、残念ながら見つかりませんでした。(そこで山菜王国秋田の「あきた森づくり活動サポートセンター」のページから一枚拝借することに…m(__)m)
モミジガサ

モミジガサは石狩低地帯から南に自生し、その中でも胆振から日高、渡島半島先端部などに自生があります。でも道内では山菜として流通しているのを見たことがありませんでした。これも東北から持ってきたものか、道内で取られたものか、何もラベルがなかったので不明でした。
分布図
(「FLORA OF HOKKAIDO」Distribution Maps of Vascular Plants in HOKKAIDO, JAPAN より引用)

しっかり水を吸ったところで、軽く茹でて酢味噌でいただきましたが、キク科特有の香ばしさと、しゃりしゃりとした食感が独特の味わいでした。でも山菜の王様とあがめられるほどなんでしょうかねぇ。ちなみに「山菜の女王」は通称「アイコ」(ミヤマイラクサ)だそうです。道内でよく食べられるエゾイラクサよりも茎がもっとしっかりしているような感じですが、秋田県人は独特の好みがあるようです。
おひたし

もう一つ、「ヒデコ」(シオデ)も山菜の王様とも呼ばれるもので、東北では人気の高い山菜だそう。出張から帰ってきて、「アイコやヒデコを食べてきたけどおいしかったぁ〜」と言って夫婦げんかになったという笑い話もあるそうですが、こういう名前がつくほど山菜に対する思い入れが違うのですかねぇ…(笑)

盤渓の道すがら

  • 2015.08.24 Monday
  • 05:58
足の具合がよくなって、2週間の中断のあとまたそろそろと走り始めました。4時だとまだ真っ暗、4時半でうすぼらけ、5時でようやく夜が明けてきた感じになります。セミの声から虫の声にBGMも代わり、どんどん秋めいてきたので、出勤前に再度写真を撮してきました。

ばんけいスキー場の中には、道端にホソバウンラン(Linaria vulgaris)がクリーム色のかわいい花を満開に咲かせています。北一条通の中央分離帯でも密生して咲いているように、強い繁殖力や環境適応性、そして長い鑑賞期間を考慮すれば、ちゃんとグラウンドカバープランツに昇格させてあげてもいいと思いますが。
ホソバウンラン

あちこちでオオイタドリ(Polygonum sachalinense)が満開になってきています。花序が上を向く雄花(左)の方が鑑賞価値は高いですが、花期はあっという間で、そうなると雌花(右)の方に軍配が上がります。
イタドリ雄花 イタドリ雌花

民家の野菜畑の角に植えられた、赤と白のエキナケア(Echinacea purpurea)。この花色の組み合わせはいいですねぇ。
エキナケア

その隣ではもうシュウメイギクの花が咲き始めています。「盆花」の名のある宿根フロックスも、そろそろ選手交代の時期でしょう。
シュウメイギク

昨年落石防止柵が取り付けられたところの、工事跡地に真っ先に侵入してきたのは意外にもノゲシ(Sonchus oleraceus)でした。ノゲシはもともとはヨーロッパ原産で、古い時代に渡ってきた史前帰化植物であるといわれています。この身軽さで、簡単に大陸を渡って移動してきたものでしょう。
ノゲシ

そのすぐ近くの道端には、なんとヨモギ(Artemisia indica var. maximowiczii)が生えていました。道内でヨモギといわれるのは実はオオヨモギ(A.montana)で、こちらは全道に広く分布しています。本物のヨモギは基本的には石狩低地帯より南側に少しだけ分布している程度なので、滅多にお目にかかりません。ヨモギの見分け方は大変難しく、生育のよいヨモギと貧弱なオオヨモギの区別はなかなかつかないので、これも100%の自信はありませんが。
ヨモギ

このあたりの道端では、オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)が真っ盛り。もともと園芸植物として導入されたくらいですから、これだけ群生すればとても見事です。道内では至る所に野生化して、すっかり風景になじんでしまっておりますが、国による特定外来生物の指名手配を受けている身なので、様々な制約があります。栽培や増殖はもちろん禁止され、じゃあ抜いてあげましょうかということも、環境省の許可なくできないという面倒さ。限られた場所での抜き取りが行われている程度で、大半は我が世の「秋」を謳歌している次第です。
オオハンゴンソウ

雪が降るまであと二ヶ月あまり、だんだん植物達も見えにくくなってきますが、道端の植物達にも目を向けていきたいと思っています。

クルマユリ

  • 2015.07.30 Thursday
  • 05:42
先日ガーデンショーの会場でガイドしていた時に、ショーエリアの真ん中の林の中で、クルマユリが2株咲いていました。ショーエリアの中程にある林道より少し上、リム・インチョンさんの「人生の旅路」に向かっていく途中に、イワガラミとツルアジサイが一緒にからんでいる木(イタヤだったかな?)がありました。その真下あたりです。
ツルアジサイ+イワガラミ

クルマユリ
クルマユリ(Lilium medeoloides)は、本州中部以北から北海道、千島から樺太、沿海州地方などの寒冷地に広く分布するユリです。本州では高山のお花畑に生えているイメージがありますが、我が家のすぐ裏山にもたくさん生えており、道内では決して珍しいものではありません。森の迎賓館にも植えてありますが、こちらの方がはるかに立派でした。

輪生葉
我が国には14種のユリが自生するユリ王国ですが、クルマユリは暖地での栽培が難しいため、園芸化されない唯一の種類かもしれません。またこれだけが輪生葉をしているユリのため、他のユリとの交雑が難しく、似たような花の外国産のタケシマユリやチョウセンクルマユリ、マルタゴンリリーなどの輪生葉グループ同士でないと交雑できないので、あまり意味がなかったのでしょう。

タケシマユリ
これによく似ているタケシマユリ(L.hansonii)は、韓国鬱陵島の特産種で、昔竹島と呼ばれていたことからこの名がつけられました。領土問題になっている竹島ではありません。観賞用というより、苦みのない球根を古くから食用として栽培していたとされ、栄養繁殖が続けられたために種子の稔性が失われてしまい、普通はタネができません。

赤花タケシマユリ
ところが、北大の圃場に生き残っていたタケシマユリは、稔性が復活して種子ができること、さらには種子繁殖の結果赤花の変異株が形成されたらしく、みごとな花を咲かせています。森の迎賓館にひっそりと植えておいたものが、先日も花を咲かせておりました。

万寿錦
クルマユリはたいてい一段の輪生葉しかつけませんが、タケシマユリでは二段三段と輪生葉を重ねて、はるかにがっしりとしています。葉に覆輪斑が入る‘万寿錦(まんじゅにしき)’という品種があり、百合が原公園に昔植えられていましたが、今もあるのでしょうか。

名月とススキ

  • 2014.09.11 Thursday
  • 06:12
いやはやひどい天気。雨はそれほどでもないのですが、雷がひどくて寝られず、こまめも目をまん丸にして逃げ回っています。3時前に雨が強くなった頃から避難勧告のエリアメールがどんどん入り始め、なんと12本も。とりあえずハルニレの苗を取り込んでおきましたが、どこに逃げるといってもねぇ。南区の方がひどそうなので、被害のないことを祈りたいです。

今年の中秋の名月は、なんと9月8日だったとは。日曜日に買い物に行ったときに、やたらとススキがおかれているのでなんだろうと思っていたのです。中秋の名月とは旧暦の8月15日に見る月なので、たいてい9月中旬〜10月上旬という意識がありました。なのでこんなに早くやってくると、不意を喰らったようでびっくりしてしまいます。本州ではまだススキの穂が出ていないので、大変だったのではないでしょうか。
ちなみに来年以降は、ちゃんと元に戻っていくようです。
  2014年(平成26年):9月8日
  2015年(平成27年):9月27日
  2016年(平成28年):9月15日
  2017年(平成29年):10月4日
  2018年(平成30年):9月24日
  2019年(平成31年):9月13日
  2020年(平成32年):10月1日

ススキ
道内では8月になればススキ(Miscanthus sinensis)の穂が出始め、8月末には既に盛りを過ぎ、そろそろほほけて来る頃です。北国のススキは、芽が伸び始めてから約60日で開花してきますが、これに対して本州以南のススキでは、関東では160日、南九州では240日もかかってしまうのです。なので桜前線の逆に、8月初めに道北を出発した薄前線は、まだ東北地方を南下しているくらいではないでしょうか。
ススキ前線
 (「植物の生活誌」堀田満編、平凡社刊、1980)

生育期間が短いので、北国のススキはずいぶんと背が低いのにびっくりしました。こんなに短くては茅葺き屋根が葺けないぞ!と思ったほどです。南の方では背丈を超えるのが普通ですから。私たちの身の回りでも、本州からやってきた園芸種のススキは、まだのんびりと栄養生長を続けており、一向に穂が出る気配はありません。タカノハススキやシマフススキでは、10月上旬にならないと穂が出てこないのです。
タカノハススキ

先日見てきた植物園前に植えられている斑入りのススキは、葉の幅が広いので、多分ハチジョウススキ(M. condensatus)の園芸品種である‘コスモポリタン’ではないでしょうか。タカノハススキよりも大きく育っています。
ハチジョウススキ

さらに巨大になるススキもあります。イコロの森に植えられているものは、ススキの品種扱いになっていましたか?(メモが見当たらないのでごめんなさい) ‘ギガンテウス(Giganteus)’として出回っているものだったかな。
イコロの森

ススキの近縁種にオギ(M. sacchariforus)があります。ススキが乾燥した場所に生えて大きな株を作るのに対し、オギは湿った排水溝のような所を好み、株を作らずに地下茎を伸ばします。昔当別ダムの調査であの辺りを走り回っていたときに、随分と多いのに改めてビックリしたことがありました。同じ形の穂なので、ススキだと思ってしまうのです。ススキの遺伝子は2倍体であるのに対し、オギの遺伝子は4倍体。それを交雑することによってできる3倍体植物が「ジャイアントミスカンサス(Giant Miscanthus)」(M. × giganteus)として近年注目され始めました。
ジャイアントミスカンサス
短期間に巨大に育つために、バイオマス(バイオエタノール)資源として俄然脚光を浴びているのです。北大農学部にその第一人者の先生がいるので、農場内にはあちこちにこの巨大なススキが繁っています。でもこれは、効率よくエタノールを生産できるように遺伝子操作を行っているために、みだりに持ち出すと大変なことになりかねません。

私たちの回りには、イトススキやヤクシマススキのようなかわいいものから、ジャイアントミスカンサスのように圧倒されるほど巨大なものまで、実に様々なススキが植えられています。名月を愛で、ススキを添える感性だけは、いつまでも失わないようにしたいものだと思います。

リュウキンカ

  • 2014.05.22 Thursday
  • 05:52
北国の春の水辺では、ミズバショウと共に馴染みが深いのがエゾノリュウキンカ(Caltha palustris var. barthei)。道内ではヤチブキの名で知られ、山菜としても利用されますが、基本的には有毒なのであまりたくさん食べない方がよろしいかと。星置緑地にもたくさん自生があり、人気の植物となっています。
エゾノリュウキンカ
滝野公園でも、もともと沢筋などに自生もあったようですが、現在の平成の森などにはあとから植えられたものが大きく育ち、流れを埋め尽くしているところもあります。カントリーガーデンの造成にあたって、まきばのせせらぎにも植栽したのですが、何年かしてからどうも様子が変だということに気付きました。いろいろと特徴を見ても、エゾノリュウキンカとは全然違うのです。
リュウキンカ
あれこれ調べてみると、本州産のリュウキンカ(立金花)(Caltha palustris var. nipponica)でした。業者が本州から取り寄せた苗に紛れ込んでいたらしいのです。基本種であるカルタ・パルストリスはヨーロッパ原産ですが、エゾノリュウキンカとは区別しがたいと図鑑にはあります。本州〜九州〜朝鮮に自生のあるリュウキンカは、やや小型で花が葉腋に一花しか着かないので、そんなに華やかな雰囲気にはなりません。これに対してエゾの方は、枝分かれしてたくさんの花を咲かせるので、大変豪華な草姿になるのです。道内にはもう一種エンコウソウ(猿猴草)(Caltha palustris var. enkoso)が釧路湿原などで見られ、これは茎が立たないのではっきり分かります。
エンコウソウ
(温根内の木道から見たエンコウソウ。茎を長く伸ばして地面を這って広がる。 2002.5.13)

初めのうちは、比較して楽しめるのでいいかなと思っていたのですが、数年するとこれのこぼれ種から猛烈にたくさんの子株が増え始め、これは危険だということになりました。これが園外に流れ出し、生態系に危険を及ぼす可能性があるからです。このため5年ほど前からせっせと抜き取りをしているのですが、なかなか抜ききれずにいるのです。
滝野では、今年草花管理の作業員が大きく変わってしまい、また一から覚えていただかなければならないのが頭の痛いところ。葉の見分け方をじっくりと確認していただきました。
確認

慣れてくると、葉を見ればすぐに分かるのですが、大きく育ってくると違いが分かりにくくなるので、悩ましいものもあります。葉の艶がなく、葉脈が目立って凸凹で、黄緑っぽい葉をしているのがエゾノリュウキンカ、葉柄や葉の縁に少し赤味があり、艶々していて葉縁の切れ込みもあまりないのがリュウキンカです。
表 裏

まだ花が咲いていて、今からむしり取るのもかわいそうなので、花が終わり次第すべて抜き取ってしまいます。それでもたくさんのタネが落ちてしまっているので続々と生えて来るでしょう。根気よく続けて行く必要がある作業なのです。
池の中

フキノトウ

  • 2014.04.17 Thursday
  • 05:58
先日から何度も登場したフキノトウ。道内至るところに生えているし、雪融けと共にすぐに顔を出してくる、春の申し子のような存在です。道内など北日本に分布しているアキタブキ(Petasites japonicus subsp. giganteus)は、秋田産のものが先に有名になったので、この名前になったのでしょう。ちなみに基本種のフキは、一般的には京ブキと呼ばれることが多いようです。道内にも自生があることになっているけれど、本当かなぁ?

フキは雌雄異株なので、フキの花であるフキノトウにも雌雄があります。
♀株 ♂株
結構個体差はあるものの、全体に白っぽいのが雌株のフキノトウ、黄色っぽいのが雄株のフキノトウです。フキの花の構造はいろいろ複雑なようなのでここでは深入りせず、白い糸状の雌しべを持っているのを雌株、黄色い花粉が目立ってくるのを雄株としておきましょう。

小さなうちに雌雄が分からなくても、開花して10日もすればすぐに判別がつきます。花粉を飛ばした雄株では、大きさもさほど変わらず、先の方が黒くなってきて崩れてきます。
雄株その後
これに対して雌株ではどんどん成長し、大きなものでは腰の高さほどにもなってきます。アイヌ語ではフキノトウをマカヨと呼んでおり、むくむく大きくなるのをピンネ・マカヨ(雄のフキノトウ)、伸びないで枯れてしまうものをマチネ・マカヨ(雌のフキノトウ)と区別していたそうです。(「コタン生物記」更科源蔵・光著、法政大学出版会 より)
雌株その後
やがて山野が新緑に覆われる頃になると、巨大化したフキノトウはタンポポそっくりの白い綿毛を開き、風に飛ばされてまたあちこちに支店を出していくのです。
種子飛散

沢筋の土壌の肥えた湿地では、胸くらいの大きさになるフキも珍しくありませんが、足寄町螺湾(らわん)に生えているフキは特に巨大になり、かつては馬に乗ったままその下をくぐれたという伝説も残っているほどです。そんなフキがあちこちにあったので、コロポックル伝説が生まれたのかもしれません。現在ではそこまで巨大にならないようですが、それでも2〜3mになり、腕の太さほどになるけれど柔らかくてミネラルが豊富な『ラワンぶき』として商標登録し、株も門外不出となっているそうです。でも植物園には、辻井先生が持ち込んだ「ラワンぶき」が元気に育っています。物差し代わりになっている方は180cmほどもあるので、その大きさがお分かりでしょう。
ラワンブキ
昨年滝野公園でお会いした大阪からやってきたというご夫婦は、道内をレンタカーで走りながら、つい大きなフキのところで何度も写真を撮してしまったと笑っていました。私たちには見慣れてしまっているものにも、意外な話題性が眠っているのかもしれません。

シダの魅力

  • 2014.02.24 Monday
  • 05:41
土曜日には、滝野公園のフラワーガイドボランティアの研修会がありました。ボランティアの手で管理したり新しく作っている「こもれびの庭」から「疎林の小径」の見どころについて、簡単な講習を行うことになったので、前日から現地の画像をずっと見直していました。たくさんの植物の写真を見ていると、やはり気持ちが安らぐというか、それぞれの植物に思いをはせてしまってなかなかまとまらず、時間ぎりぎりに会場に行く羽目に…

そのなかで、おっと思ったのがシダの魅力です。
シダ3
花人の隠れ家から上に上がっていくと、両側にイングリッシュブルーベルが植えられており、その中に人工のものですが、小さなせせらぎを作っています。もともとの火山灰を土壌硬化剤で固め、護岸には羊蹄の山石を使っていました。初めのうちは少しごつごつしたせせらぎで、護岸回りに特に植栽もしていなかったので、今から見れば随分と殺風景なせせらぎでしたねぇ。
2001年9月5日
(護岸の石も丸見えだし、植栽も特にないので、かなり殺風景  2001.9.5)

そんなせせらぎに、知らぬ間にシダが生え始め、一度生えると急速に増加していき、やがてせせらぎがどこにあるのか、見えなくなってしまいました。どこからタネが飛んできたのか、エゾノリュウキンカも点々と生えてきているし、自然の営みのたくましさには、本当に感激してしまいます。
シダ1

一番多いのはオシダで、さらに大きくなるイヌガンソクが数株、緑が鮮やかなクサソテツもちらほらあります。でもシャキッとした草姿はオシダが一番で、ピンと揃った葉並びがとても魅力的です。
シダ2

なかなか家庭で楽しむサイズではないけれど、日陰でじめじめしたシェードでは、一株でもその存在感は空間を支配できるでしょう。クサソテツは地下茎でどんどん増えるので、我が家では除草対象種。もちろん若芽はコゴミなので、有効に使うことが出来ますが。道内には魅力的なシダはまだたくさんあり、豊かな自然の恵みに感謝したいです。
クサソテツ
(地下茎で増殖して群生するクサソテツはグラウンドカバープランツに好適)

雪の下

  • 2014.02.08 Saturday
  • 06:08
毎日凍てついた天気が続きます。今のアメダスは−13℃を下回っています。これだけ寒いと、雪像が融ける心配がなくて祭り関係者も安心でしょうが、ガードマンとか外に立ちっぱなしの人達は大変なことでしょう。
白いものは見飽きて来ているので、たまには緑の話題にとネタ探ししてみました。誕生花も全然季節と関係ないのではと思ったら、今日8日の花はユキノシタ(雪の下)。開花期は春ですが、まぁこの名前に免じて採用してあげましょう。
ユキノシタ

ユキノシタ(Saxifraga stolonifera)は道内には自生がなく、本州以南から中国大陸にかけて自生があります。道内でも育つようですが、あんまり植えられているのを見かけません。常緑の葉を持つので、積雪下で傷みやすいのでしょうか。松山の実家では、建物の陰のじめじめしたところにひっそり生えていました。ちょうどこの時期に、この草にはとても世話になった思い出があります。というのは、子どもの頃の暖房装置といっても火鉢とコタツ程度で、足の指はしもやけだらけになり、むず痒くて大変でした。そこでこの葉を火鉢で炙り、よくもんでその汁を霜焼けに塗るのです。すると血行がよくなってますますむずがゆく、うまくいけば治ってくれるのです。
もう一つの思い出は、この葉の天ぷらを作ってもらったことが。少し風味があり、肉厚の葉には少し甘みがあったような気がします。

道内で最も近いのはダイモンジソウ(S.fortunei var.alpina)。ユキノシタの花は下の2弁が長く上の3弁は退化しているのに対し、ダイモンジソウではほぼ同じ長さなので、大の字に見えることからこの名があります。毎年行く渡島大島にはこれがたくさん生えている場所があり、秋に行くと花が満開でとてもきれいです。
ダイモンジソウ
(渡島大島の日方泊方面の岩隙地に自生するダイモンジソウ  2008.9.17)

ユキノシタの葉には銀色の模様が入りますが、ダイモンジソウの葉は普通の緑色で、特に面白みはありません。花も野生のものではただ白いだけ。それから一体どうやってこんな園芸品種を作っていくのか、日本人の根気強さが生み出した品種群には目を見張らされます。以前は秋に豊平公園で行われていたダイモンジソウ展。これにはびっくりさせられました。
展示
(ダイモンジソウ展は、最近はやっていないようですね。  2006.10.4)

自生のものに、いくらか赤味がある花があるのでしょうか?一体どうやってこんな品種を作っていくのか本当に不思議ですが、端正な自生種の花と共に、こんな世界があることも知っておいてほしいです〜
舞扇
(赤花の品種‘舞扇’  2006.10.4)

フクジュソウ

  • 2014.01.12 Sunday
  • 05:56
こんなに凍てついてしまうと、さすがに気分が滅入ってきます。岩見沢はさらに積もっているようですが、札幌はほとんど降らないままでした。雪かきでもしなければ、外にも出なくなるので、ますますふさぎ込んでしまいます。こうなるとたまには植物の話でもと思い、今日の誕生花を調べてみるとフクジュソウ、キンセンカ、ラケナリア、スィートアリッサムなど。となるとやっぱりフクジュソウを取り上げてみましょう。

フクジュソウは、福寿草と書かれるように、昔からめでたい植物として知られています。江戸時代から、少し促成するだけで、旧正月の彩りになったことから、150品種もの園芸品種が作られていたようです。現在ではそれほど維持されていませんが、以前お会いしたことのある中村農園(安政年間に創業)は、埼玉県では夏の酷暑から生育不良になるそうで、道内に圃場を設けて増殖を始めているようです。なかなか古典品種も、生きづらい世の中のようで…
 古典品種

我が国のフクジュソウは、つい最近まで一種だと思われていました。(どの図鑑でもそうなっていますが) ところが最近の研究により、なんと4種類に分けられてしまっているのです。
  福寿草属
   (Wikipediaより引用)

フクジュソウの学名はずっと Adonis amurensis (アドニス・アムレンシス)でしたが、現在では A.ramosa (アドニス・ラモーサ)に変わっており、アムレンシスの方はキタミフクジュソウという北方系の種の学名になりました。学名の通りアムール川流域の沿海州から朝鮮、中国一帯に自生し、国内でも道東から道北にかけて分布しています。フクジュソウとの大きな違いは一茎一花であること、葉の裏に毛が密生することなどから区別されています。といっても、札幌近辺にあるものでも、生育状況から一茎一花になっているものが多いので、慌てないようにいなければ。フクジュソウでは山取品が大量に出回るので、混在している可能性も十分に考えられ、これからは葉の裏の毛をしっかり確認しなければなりません。
つぼみ
(これは滝野公園にあるものですが、自生ものか植栽ものかよく分かりません。 2013.5.7)

キンポウゲ科の植物では、ガク片が花弁化しているものが多いのですが、これはガク片よりも目立つ真っ黄色の花弁がたくさん着いています。まだ木々の葉が開かないうちに生育を完結する‘春植物’なので、まだ雪が残る頃から芽を出して速攻で花だけが開いてきます。パラボラアンテナのように丸く開いた花は、太陽が出ている時だけ開いて太陽に顔を向けます。花の中心に光を集めて暖め、外気温より10℃も高くするので、ハナアブなどが集まりやすくなり、授粉が行われやすくなるのだそうです。
満開
(葉が開いた頃には、花はかなりくたびれてくる。  北広島で。 2010.5.3)

春植物の多くは、木々の葉が展葉する頃には葉が黄ばんできて、また深い休眠に入ります。一年の大半を休眠しているとはいえ、その鮮烈な色彩の花は、他の春植物の中では抜群の存在感をもっているのではないでしょうか。

イケマ(神の足)

  • 2013.10.16 Wednesday
  • 07:08
今朝は多分、5℃以下に下がっていたと思います。盤渓峠を越える辺りで、道端のササがサラサラいうのでよく見ると、ザラメのような氷の粒が音もなく降ってきていました。細かい雨粒が凍って、雪のように降ってきたものでしょう。いよいよそんな季節になった来たのですね〜

大雪森のガーデンは、上川町の市街から車で10分ほどの場所にありますが、そこは既に山親爺のテリトリーです。先日行った時にも、途中に出没していた個体が駆除されたばかりでした。このため、ガーデン全体を電気柵でがっちりと囲っているので、不安なく鑑賞できるようになっています。ところが、園路から近い場所に柵があると、柵自体がやたら目立つし、また柵越しに外の駐車場などが丸見えになるのも、どうもあんばいが悪いのです。
フェンス

そこで、このフェンスの支柱などを部分的に隠せるつるものはないかと、辺りを探してみました。まさかアサガオやホップを植える訳にはいかず、ヤマブドウやミヤママタタビのような木本性のものは、電牧の意味がなくなるので不適なのです。すると回りのヤブに、イケマが繁っているのを見つけました。イケマであれば夏につるを伸ばしても、秋には枯れてしまうので、フェンスも傷まないのです。
イケマ
(イケマのつるは繊細で、ふんわりとしたヤブを作ります。 上川公園で、2013.7.12)

イケマはガガイモ科の多年草で、道内ではよく見かける多年生のつるものです。ハート型の葉がかわいく、花も手まり状でいい雰囲気です。アイヌの霊草として大切に扱われ、名前もアイヌ語のままという、大変珍しい植物でもあるのです。よく似ているガガイモ科の代表であるガガイモは、どちらかというと雑草のイメージが強く、つるが太くて葉も肉厚、しかもやたらはびこって畑地雑草になり、嫌われ者になっているのとはえらい違いです。
ガガイモ
(あちこちでヤブを作ったり、フェンスに絡まるガガイモ。イケマよりかなり太い果実をつけ、大量の綿毛付きのタネを飛散させる。 北大構内で、2012.9.22)

先日作業に行った時に、既に枯れているつるを頼りにイケマを掘ってみたのです。するとゴボウのような太い根をたくさん伸ばしている株がゴロゴロ出てきました。私も根を掘ったのは初めてだったのです。アイヌの人達にとって、偉大な霊力を持つ草といっても、この根を見せられただけではピンと来ませんねぇ…
神の足

いつもの「コタン生物記」(更科源蔵/光著、法政大学出版局、1976)を見ると、もちろん様々な霊力のことは書かれていますが、最後のところに面白い記述が…『・・・嫌いな亭主の褌をこれをつけた水で洗うと、それきり役に立たなくなるともいわれている。さらにこれで男根を叩かれでもしたら、生涯ものの役に立たなくなると・・・』なるほどねぇ…

釧路の海岸植生

  • 2013.09.30 Monday
  • 07:09
釧路からの帰りの丘珠行きは、休日のため午前の便がなく、始発が昼過ぎの飛行機だったので、午前中以前から見たかった海岸植生を見ることに。昨日に引き続きKさんMさんが足を確保してくれた上に、私の先輩でもあるKさんが、予定を変更して現地を案内してくれることになったのです。
白糠町の道の駅「しらぬか恋問」の、すぐ裏の海岸から見ることにしました。
恋問海岸
昨日とは大違い。空はどんよりして風が強く、そんなに寒くなかったのが救いでした。もちろんこの時期には、人っ子一人いるはずもなく、大きな波が打ち付けるばかりの海岸です。まず目を引くのがハナマスの真っ赤な実。普通だとかなり扁平な実をしているのですが、ここのハマナスはまん丸によく太り、とても美味しそうなので、早速いただきました。タネがびっしりですが、ビタミン豊富な秋の味覚です。
ハマナスの実

まだウンランやハマニガナ、アキノキリンソウ、キタノコギリソウ、クサフジなどがちらちら花を咲かせていました。そんな中全く見たことがない植物が。ナデシコ科だろうが、さっぱり思い浮かばないので宿題に。戻ってから図鑑を調べてみると、フシグロという植物でした。フシグロセンノウならぬ、ただのフシグロ。しかも二年草でした。初めてのご対面です〜
フシグロ

一面よく目立つのがシロヨモギ。穂を延ばしている枝と、きれいな葉を広げている株が、砂浜にたくさん散らばっています。
シロヨモギ
そんな中に、タネをびっしり付けてよく目立つ花茎と、艶々した葉のハマボウフウがたくさんありました。この辺りは春先たくさんの山菜掘りがやってくるそうですが、面積と人数のバランスが取れているのでしょう。石狩浜のように、株を探すのが困難な状態とはずいぶん違います。たくさんタネをばらまき、次の世代をどんどん作ってほしいものです。
ハマボウフウ
根室本線を挟んで内陸に、恋問自然観察公園というのがあるので、そちらに回ってみました。町が設置し、木道の観察園路が一回り整備されています。
恋問自然観察公園
大して期待していかなかったのですが、少し歩き始めてすぐに、ホロムイリンドウの小群落が。エゾリンドウの湿原型で、葉がかなり細いんだと、昨日大西先生に教えられたばかりでした。
ホロムイリンドウ
よく見ていくと、オミナエシ、クサレダマ、スズラン、ノハナショウブ、ナガボノシロワレモコウ、シラヤマギクなどがかなりの密度に生えています。花の時期に見れば、かなり見応えがある場所だということが分かりました。三人とも初めての場所だったので、来年は是非見に来たいといってましたが、私は見に来られるかなぁ…(>_<)
エゾノコギリソウ
エゾノコギリソウが、一株だけきれいに咲き残っていました。
森林から草原、湿原や海岸植生と、他にはない組み合わせの多様性があるのが釧路の特徴です。とてもうらやましく思った二日間の旅でした。しんどいスケジュールではありましたが、こんな花との出会いがあると疲れも吹き飛びます。釧路のみなさん、本当にお世話になりました〜

ワレモコウの季節

  • 2013.09.25 Wednesday
  • 07:15
庭でワレモコウが咲き乱れています。支柱を立て損なったので、まさに咲き乱れ状態になってしまいましたが、秋らしい独特の花の風情です。あまりに乱れているので、別の写真で…m(__)m
ワレモコウ

この花は、独特の色と形をしていますが、源氏物語に初めて紹介されているとのは、香りを楽しむものとしてだそうです。一般的には吾亦紅が使われますが、我吾紅、吾木香、我毛紅など、さまざまな文字が当てられています。諸説を読むと、中国からもたらされた薬用植物である木香(もこう)に薬効が似ているため、我が国産のという意味で、「われの木香」となったものから「ワレモコウ(吾木香)」となったというのが信憑性が高いようです。
ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)は、我が国から朝鮮半島、中国、シベリアを経てヨーロッパにまで自生しているとのこと。道内でもわずかですが、数カ所に散在しているようです。サンギソルバとは、血を吸収するという意味で、止血作用があるために、オフィキナリス(薬用の)という種小名を持っています。それにしても、花弁もなくガサガサした不思議な花ですが、我が国以外では園芸植物として利用されているのでしょうか?
花のアップ

山野では、ナガボノシロワレモコウ(S.tenuifolia var. alba)も咲いています。名前の通り長く垂れる花序を持ち、すっくと高く枝を伸ばしていますが、触るともろく、ポキッと折れていまいます。他のワレモコウ類が局所的なのに対し、本種は全道に広く分布しているので、一番見かけやすい種類です。
ナガボノシロワレモコウ
(枝先の方からから開花してくる。  滝野公園で  2007.9.24)

もう少し早く咲く仲間にはカライトソウ(S.hakusanensis)があります。ハクサネンシスの名の通り、白山など本州中部の日本海岸が産地で、花が大きく美しいので、道内でもよく植えられています。花の時期になると、草姿にだらしがないのが玉にキズですが。雄しべが長く垂れるので、ワレモコウとはかなり雰囲気が違って見えます。道内にもよく似たエゾトウウチソウが、日高地方の山地にあるようです。トウウチソウは唐打草と書き、牧野図鑑によれば、中国から渡ってきた打紐にこの花の質感が似ていたのでこの名前になったものであろう、と書かれています。
カライトソウ
(花が重たい訳でもなさそうなのに、よく垂れるカライトソウの花  十勝ヒルズで、2013.8.10)

以前様似の海岸で、ナガボノシロワレモコウに似た少し長めの花序ですが、ワレモコウより赤くなっているものを見つけ、ナガボノアカワレモコウというものだと、当時の梅俊図鑑で知りました。ところが新しい図鑑(梅俊図鑑2007)では、ミヤマワレモコウ(S.longifolia)となっており、「2001年まではナガボノアカワレモコウとされていた」とありました。うーーん
ミヤマワレモコウ
(様似町の海岸で咲くミヤマワレモコウ  2003.9.30)

地味な野草ではありますが、不思議な魅力をもっているワレモコウの仲間が咲き終わると、秋も深まってくるのです。
(参考:「植物和名の語源研究」 深津正著、八坂書房、2000)

ヤブガラシ

  • 2013.08.19 Monday
  • 06:51
土曜日に北大から帰って、駐車スペースに車を入れたところ、隣のHさんの車庫とのすき間に、ヤブガラシがずいぶん茂っているのに気付きました。数年前に初めて芽を出したのですが、やたら大きくなってきたのです。
   すき間

ヤブガラシ(Cayratia japonica)はブドウ科のつる性草本で、『藪枯らし』の名の通り、旺盛につるを繁らせて草や木を覆い尽くし、やがて枯らしてしまうほどです。別名「貧乏葛(びんぼうかづら)」とは、庭の手入れどころではない貧乏人の住処に茂ることなので、そろそろ隣のHさんに言って、抜いてもらわなければならないようです…(^。^;;
ヤブガラシ
この場所ではまだ花は咲いていないのですが、先ほど北大のアメリカヅタ(Parthenocissus quinquefolia)の花を見て、ヤブガラシそっくりだなぁと写真を撮したばかりでした。同じブドウ科ですから、似ていてもおかしくありませんが。
アメリカヅタ
(圃場のフェンスに絡まって花を着けているアメリカヅタ  2013.8.17)

実はこのヤブガラシ、もともと札幌近辺にはなかったもののようです。自生分布は渡島半島までで、確かに松前などではあちこちに藪を作っているのを見たことがあります。ところが最近、あちこちでヤブガラシに出会うようになりました。富丘西公園にも一部茂っているところがあるし、新川の河川敷にもあったとの情報も。先日はとうとう滝野公園にも出現し、あわてて抜いてもらったばかりでした。
滝野公園
(カントリーガーデンの‘アナベル’に絡みつくヤブガラシ  2013.7.30)

いろいろなものの移動が激しい世の中ですから、ヤブガラシだって何かに紛れ込むことは十分に考えられます。案外日除けにするつるものに最適だと、わざわざ持ち込まれることだってあるかもしれません。貧乏人だと思われないよう、見つけ次第駆除して下さいね〜

トウギボウシ(オオバギボウシ)

  • 2013.07.22 Monday
  • 06:57
ギボウシ類のトップとして、トウギボウシの花が咲いてきました。30年前に今のところに住み始めた時、元の家にあった唯一の宿根草がこれだったので、今でも家の回りで大きく繁っています。事務所の隣の家は、昔庭を造ったうちなので、今でもよく相談に乗っていますが、ブロック造の建物の外側が殺風景なので、道路との際に家からギボウシを持ってきて植えてあげました。今では大きく育って来ています。
細田さん

本種は北海道西南部から九州まで分布しており、日本海側のものをトウギボウシ(Hosta sieboldiana)、太平洋側と北海道のものをオオバギボウシ(H.montana)とする説もあり、なんだかよく分かりません。今は、あまり細かく分けない方向にあるようです。沢沿いの湿ったところに自生することが多いのですが、松前の海岸で出会ったこともあります。崖から水がしたたり落ちているので、そんなところにまで進出したものでしょう。
江良の海岸
(松前町江良の海岸の岩場に自生するオオバギボウシ  2011.6.26)

大きく繁る葉に存在感があるので、結構好きな植物です。滝野公園のカントリーガーデンにもたくさん植えているので、涼しげな花を咲かせています。
オオバギボウシ
(カントリーガーデンのまきばのせせらぎで 2013.7.16)

道内ではほとんど食べられませんが、東北では山菜としての利用が大変多いといわれ、『うるい』として出回ってきます。少しぬめりのある、大変美味しい山菜の一つでしょう。
うるい
(うるいの酢味噌和え  2009.1.11)

オオバギボウシは‘寒河江(さがえ)’のように、わが国で昔から使われてきた品種もありますが、欧米にもたらされてから、たくさんの園芸品種の交配親になり、現在のホスタブームの立役者の一つといえるでしょう。
そんな中、江戸時代からある品種で、とてもユニークなのに、あんまり普及しないものに‘トクダマ’があります。独立種(H.tokudama)とされることもありますが、トウギボウシの変種(H.sieboldiana var.condensata)が妥当なところでしょう。
とくだま
(北大の圃場で咲いてきたトクダマ  2013.7.20)
葉が丸く、葉脈の中が大きく凹み、葉の色も銀色が強いのが特徴です。葉も花茎もあんまり伸びず、全体にガッチリしているため、鉢植えにもすることができます。なんで徳玉なのか不明ですが、家で植えるのならこの方がコンパクトで向いているでしょう。

タンポポの季節

  • 2013.05.21 Tuesday
  • 07:08
昨日町に行くために、近くのバス停でバスを待っていると、買い物帰りのおばさんが。手にタンポポの花を10本くらい握って歩いて行きました。持ち帰って、コップに挿すのでしょうか?室内で開けばいいけれど…と心配になりましたが、春らしくて気持ちがほんわかするひとこまでした。

確かに日だまりでは、一斉にタンポポが咲いてきています。舗装のひび割れのような、日差しで暖まりやすいところから咲いてきていますが、日差しを受けると全開するタンポポの花は、春らしい陽気のシンボルかもしれません。
タンポポ2種
(葉の切れ込みが深いアカミタンポポ(左)と、セイヨウタンポポ(右)  2013.5.16)

先日来調査に行っていた場所にも、舗装の中からたくさんのタンポポが咲いていましたが、ここでもセイヨウタンポポ(Taraxacum officinale オフィキナーレは薬用の)よりも、アカミタンポポ(T.laevigatum レビガーツムは平滑な)の方が優勢になっていました。葉の切れ込みだけでは、正確な判断ができず、タネで確認しなければならないのですが、いつも行く無人島で区別の必要性に迫られているうちに、かなりの精度で区別できるようになりました。名前の通り、アカミタンポポのタネの色は赤いのです。もっとも、ヨーロッパではこの二種を種として分けず、ひとくくりにしているらしいので、余り細かくする必要もないのかもしれません。
タネ2種
(タネが赤みを帯びるアカミタンポポ(左)と、セイヨウタンポポ(右)  渡島大島で)

昨年は、いつも仕事をしている富丘西公園の中で、エゾタンポポ(T.hondoense エゾなのにホンドエンセとはこれいかに?)の小群落を発見。山道などでも、ぽつんぽつんと点在する程度の生え方なんですが、ここではかなりまとまって生えていました。とてもタンポポが生える環境とは思えない、薄暗い林内に生えているのです。開花数も少ないので、やっと生き延びてている感じがします。
エゾタンポポ
(林内の薄暗いところで花を咲かせるエゾタンポポ  富丘西公園、2012.5.23)
外来の2種のタンポポは総苞片が反っくり返っているのに対し、エゾタンポポはやさしく花を包み込んでいます。
総苞片

何度も言いますが、私の育った松山では、町中はさすがに真っ黄色ですが、大きな公園などでは今でも芝生の雑草はシロバナタンポポ(T.albidum アルビヅムは淡白色の)が主流で、申し訳程度にセイヨウタンポポが生えている程度です。先日も健在振りを見て、ニマッとしてしまいました。気候が合っているのでしょうかねぇ…?
シロバナタンポポ
(松山総合公園の雑草になっていたシロバナタンポポ  2013.4.3)

さて今日はこれから滝野公園。真駒内桜山辺りが満開で、駒岡辺りを桜前線が進行中のはず。どこで追い越すのか楽しみです〜

オオバナノエンレイソウ

  • 2013.05.20 Monday
  • 07:14
近くてすぐにも行けるのに、なかなか行けないところが結構あります。
昨日はようやくその一つ、花川の防風林にオオバナノエンレイソウを見に行きました。植木屋時代には、会社が手稲だったことや、お客さんが花川に何件もあったので、よく見に行きましたが、ここしばらく行けずじまいだったのです。

この防風林は、幹線防風林として開拓期に設定されたものなので、今でも国有林として管理されているはずです。花川の住宅地を斜めに横断し、海岸から札幌と接するところまでの間、幅70m、延長1.8kmにわたってヤチダモやカシワなどの巨木が残されています。ポプラなどが植えられている屯田防風林に比べると、かなり原生植生が残されているようです。
防風林

この林床には、ミズバショウやバイケイソウなどの湿生植物、オオウバユリ、マイヅルソウやオオアマドコロなどと共に、オオバナノエンレイソウが群生しているのです。密度の高いところを探すまでもなく、あちこちに真っ白な花が見え隠れしているので、適当なところで林内に入ってみました。
ミズバショウ

あきれるほどマイヅルソウが生えていましたが、その中に清楚なオオバナノエンレイソウが、そちこちに群落を作っています。北大構内に僅かに群生が残されていますが、札幌北部低地では、おそらくどこに行ってもこんな風景が見られたことでしょう。その意味からも、この防風林の貴重さは余りあるものがあるのです。
エンレイソウ

広尾の群生はまだ見たことがありませんが、あのあたりのオオバナノエンレイソウの花は特に大きく、花容が見事だということです。昔は植物園内に、道内各地の見本が植えられていましたが、そのうちに消えてしまっていました…日高方面の群生地は何度も見たことがありますが、日高のも結構見事です。
様似
(様似観音山で見た巨大輪オオバナノエンレイソウ 2005.6.4)

エンレイソウは見当たりませんでしたが、コジマエンレイソウが少しありました。エゾエンゴサクやキバナノアマナも全く見当たらず、植生がかなり片寄っているのでしょうか。じっくり見て歩けば面白いことでしょうね。それにしても林内はほぼすべてツタウルシに覆われているので、かぶれる方には厳しいところかもしれません。ゴミなどと共に侵入したスイセンなども目立ちますが、住宅地の中にある群生としては、よく保全されているといえるでしょう。これからも大切にしたいところです。
コジマ

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