大島調査編

  • 2017.06.29 Thursday
  • 06:03
前日とはうって変わって海は平穏。漁師さんは‘とろ波’と呼ぶ静かな海を、いつもの近海号はひた走り、2時間弱の航海を経て8時半には大島の東端にあるトリカラスノ浜に到着しました。
大島到着

上陸するとたくさんの重機が動き回り、海岸の風景も一変してました。流入する砂が港内を埋め尽くして、まるで海水浴場の砂浜みたいになっていたものが、がっぽり浚渫されてなくなってました。一冬で元に戻らなければよいですが。
浚渫作業

まずは荷物を宿舎に運び、寝る場所の確保。これまで工事が中断していた時には、建物は使えたけれど、水も電気も何もなかったのですが、たくさんの作業員が寝泊まりするようになって、室内もすっかりきれいになり、なんと布団も支給されました。以前の工事期間中でも、私たち調査班には布団など使わせてもらえず、固い板敷きに寝袋で寝泊まりしていたため、28年目の調査で初めて布団で休むことができるのです。その上なんと宿舎内にはWi-Fiまで完備しており、至れり尽くせりの環境です。聞いてみると、こんな場所で働いてもらうためには、このくらいしなくては若い人が集まらないのだそう。なるほどねえ…
宿舎

ここでの調査は多岐にわたり、最も大切なのは工事による環境の改変を押さえること。重機や資材が持ち込まれるため、いろんな外来植物が島内に持ち込まれ、安定した孤島の自然環境が脅かされるのを防ぐことです。今回も2種の新規侵入植物を発見して除去しました。このため工事区域をしらみつぶしに見て回り、2年前にはハマウツボという寄生植物が生えているのを見つけたこともあります。自生種でもこのように新規確認されることもあるのです。
ハマウツボ

工事ヤード内を歩いていると、バッと飛び出して逃げたのがこのアナウサギ。これは今から約80年前に、毛皮を取ろうと松前の漁師が放したもので、島内至る所に巣穴を掘りまくって大繁殖してしまったものです。ピーターラビット君はかわいいけれど、生態系に甚大な影響を与えるために、世界中で問題になっている外来種です。
ウサギ

島内の自生種でこの時期に花が咲いているものは、ウツボグサ、ホタルカズラとこのエゾノキリンソウくらい。海岸近くの草原にはこのカーペットが形成され、満開になると真っ黄色になって見事です。日当たりのよい海岸の砂礫地で、花が咲きかけた株を見つけました。
エゾノキリンソウ

絶海の孤島なので、西ノ島のように噴火して島ができて以降、風で飛んできたり渡り鳥によって運ばれた植物が少しずつ定着し、乏しいながら百数十種の植物が確認されています。その中には、海流によって種子が運ばれ、海岸の砂礫地に生えて来るものがいくつかあります。このハマベンケイソウもその一つ。波にさらわれない場所に3株が定着し、花を咲かせてきました。この葉はオイスターリーフと呼ばれ、牡蠣の風味があるサラダ用として利用されているものです。
ハマベンケイソウ

漁港を上から見るとこんな感じ。深さ1,500mの海底から羊蹄山より大きな火山が屹立し、上の700mだけが見えているような島なので、このような施設を作るのはものすごく大変なことなのです。米粒のように見える消波ブロックだって近くに寄ると小さな小屋くらいのサイズで、最大級の60トンブロックを積み上げています。全国的に見ても最も厳しい環境での避難港造りなので、現地着手以来28年経ってもまだ完成に至らないという状況です。この環境保全の仕事に関わって現場を知り尽くしている者として、最後まで関わっていかなければならないけれど、あと5年で70になるのだから、早く完成してほしいなぁ…(>_<)
漁港全景

松前移動編

  • 2017.06.28 Wednesday
  • 05:40
渡島大島からの更新です。今年の大島は、なんと宿舎棟まで Wi-Fi が完備されており、これまでの無人島生活とは大違い。工事が中断し、再開後も通いでの施工が続いていたけれど、いよいよ本格的に完成に向けて工事を進めなくてはならないことから、傷んだ建物を補修し、並みのホテルクラスの設備になっておりました。電気はもちろんのこと、トイレまでウォッシュレット付きになり、無人島を意識することが全くないのです。衛星回線経由なので少し遅いけれど、ネットにも繋げることができるようになったので、ぼちぼちと振り返ってみることにしましょう。

26日は、夕方までに松前に移動するだけなので、いつものH氏とのんびり中山峠経由での移動。まずは真狩の空(くう)の庭に寄ってみました。
空の庭

いつもは日曜に移動するため、会うことができなかったけれど、今回は一日遅れたためにSさんの元気な顔をみることができました。いろいろと苦労も多いけれど、すっかりこの場所になじんだ植物たち相手に、少しずつ自分らしさを発揮してくれるでしょう。
斜面花壇

ちょうどお昼になったので、近くの蕎麦屋に行ってみました。週末は激混みだけど、平日ならと寄ってみると、一組待ちでなんとか座ることができました。この「いし豆」は、マッカリーナと共にミシュランガイドに掲載の店。夫婦二人でやっているため、普段なかなか入ることも難しいのだとか。
メニュー

鶏ごぼうをいただきましたが、確かにキリッとした質の高いお蕎麦でした。返しがちょっときついのがもったいないかと思いましたが、旅の思い出になる蕎麦でした。
鶏ごぼう

月曜とあって道路もかなり空いており、黒松内から高速、落部で降りて厚沢部経由で日本海岸に出ると、まだ風が残っている海はかなりのうねりがありました。上ノ国を過ぎるとゆったりとした海岸草原が広がり、エゾスカシユリやエゾゼンテイカの花が見られ始め、以前にも立ち寄ったエゾニュウ群落で下車。3mを越すエゾニュウが見渡す限り咲いていて壮観です。
エゾニュウ

道路に戻ったところで思わず息を呑んでしまいました。ようやく晴れて暖かくなり、日向ぼっこに出てきたアオダイショウが。怖さ半分、でもあまりの美しさに、じっと我慢してしばらく眺めてしまいました。アオダイショウとはよく言ったもので、本当にきれいな色をしています。
アオダイショウ

松前に着くと、空き地にはたくさんのオオマツヨイグサが。この写真は翌日の朝のものですが、この花を見ると道南に来たことが実感されます。
オオマツヨイグサ

宿はいつもの民宿いかわ。いつも出迎えてくれるダックスの「うに」が、今年の冬に事故で亡くなってしまったとのこと。ちょっとしんみりしてしまいましたが、いつもの海鮮山盛りの夕食をいただくことができました。
いかわ

大通公園

  • 2017.06.26 Monday
  • 05:57
予定では昨日から、恒例の大島調査に出かけているところでしたが、あいにく海況が悪くて船が出せないため、一日延期になりました。このため、わやくちゃになっていた部屋の片付けやら書類の整理やら、調査の荷造りをじっくりやることができました。今回は完全な無人島状態ではなく、既に現地で工事が始まっているので、ご飯も風呂も付いている、ちょっとぜいたくな環境です。といっても離島には違いないので、絶対に忘れ物のないように準備ができて何よりでした。

土曜日は、午後から大通花壇の審査会がありました。この審査員になってもう20年以上になるので、そろそろ辞めさせてくれとお願いしているのですが、なかなか許してくれません。とてもいい花壇ばかりならやりがいもあるのですが、溜息の出るようなものもあるのです…
大通花壇

ここは3年市長賞を取ったので、2年間審査対象から外れる参考花壇。それでも手を抜かないで、しっかりした花壇を作っていました。狙いをしっかり定めてデザインしているので、好き嫌いはあってもレベルは高いのです。
市川造園

ここも毎度斬新なアイデアを提供してくれるところ。今回はエアプランツを多用して、思いきり立体的な花壇を作っていました。
四宮造園

ちょうど花フェスタの開幕に当たったため、各丁目にはいろんなブースが並んでいました。5丁目には道内の農業系高校生による「ガーデニング甲子園」。こちらの審査の方がやりがいがあるんだけどなぁ…(^^;)
高校生

各校とも、毎度いろんな工夫をした素晴らしい花壇を作っているので、こちらはぜひご覧になっていただきたいと思います。
岩農

6丁目では、恒例の日本ハンギングバスケット協会北海道支部による展示。ひょっとして、ミニチュア鉄道でも走っているかと、そおっと覗き込んでしまいました…(^^;)
ハンギング

いつもより少し狭くなったかな?と思いましたが、相変わらずレベルの高い作品がずらりと並んでいます。いわゆるハンギングよりも、このようなタブロータイプのものが増えたなぁと感じます。
タブロー

こちらのコーナーには、さらに凝った展示が。こういうものをなんと呼ぶのか分かりませんが、ここまで仕上げるのに一体どれだけ手間をかけたのでしょう。審査の合間にチラッと見るだけだっので、島から帰ってきたらまたじっくり見に来なくては。
ファンタジー

ということで、今日から四日ほど渡島大島に出かけてきます。調査に行き始めて今年で28年目。避難港完成まであと4年だそうですから、もうひと踏んばりというところ。戻るまで更新ができませんので、よろしくお願いします〜

じめじめ…

  • 2017.06.25 Sunday
  • 05:58
昨日も朝からひどい霧でしたが、とうとう晴れることなく一日じめじめした天気になりました。今日も全く同じ。なんで週末になるとこうも天気が崩れるのでしょうか…(>_<) 北大の圃場整備は2回続けて中止になり、なんとか芝刈りと最低限の作業をやって来ました。今日はどうだろうかと心配しながら圃場に着くと、アーチのツキヌキニンドウが満開の花で迎えてくれました。
ツキヌキニンドウ

芝刈りを先生方がやってくれたのが十日前だというのに、もう20cm近くも伸びていてびっくり。ケンタッキーブルーグラスに力を付けないとと、春の施肥をやったものだから、余計に伸びてしまいました。サンクンのコーナーに植えているネペタもびっくりするほどの生育ぶりです。
ネペタ

バラの‘スプリングコサージュ’は既に盛りを過ぎておりました。伸び始めると一気なんですね。
スプリングコサージュ

今月の学生実習では、毎度生垣刈りをやってもらうのですが、そのイボタもぼうぼう枝を伸ばしていました。ここは砂地で乾くため、毎年水切れで伸びが悪いのに、こんなに伸びたのは初めてです。参加人数にもよるのですが、こりゃ全部できるかなぁと不安がよぎりました。
生垣

毎度芝刈りをやってくれるFさんが今回は休みのため、早めに行って外周部の面倒なところは刈っておきました。ところが芝が濡れているため詰まって大苦戦。乾いていればすいすいできるものが、詰まるたびに芝刈り機を裏返して刈草の固まりを取り出さなければならないため。3倍も4倍も手間がかかってしまうのです。残りの芝刈りを、機械を使うのが初めてのSさんにお願いしましたが、悪戦苦闘しておりました。
芝刈り

学生さんたちは、ちょうど就活や公務員試験がピークのため、参加者は半分程度。すべて女性のため、結構力仕事の生垣刈りをやってもらうのは大変なんですが、M2から3年生までの6名で、中央部のイボタはきれいに刈ってくれました。
生垣刈り

11時過ぎから雨がパラつき始めたので、急いで作業を進め、芝刈りと生垣刈りだけはなんとか終えることができました。他にもやりたいことはあったけれど、こればかりはやむを得ません。すっかりきれいになった圃場を今一度学生さんたちに見てもらい、控え室にたくさんの花を持って帰ってもらいました。気持ちよく作業ができる日はいつになるのでしょうか〜
作業完了

黙々と作業三昧

  • 2017.06.24 Saturday
  • 05:47
町内に泊まると、ガーデンまでは15分なので、「通勤」がとても楽になります。あんまり早く行くのもなんだから、みんなより少し遅く、8時近くに出勤しました。入り口前にあるファーガス・ガレットが作った花壇では、アリウム‘パープルセンセーション’が満開で、‘グローブマスター’はまだつぼみが割れたくらい。2シーズン目に入ったので、本来の姿になっていくことでしょう。
ファーガス花壇

まずは高山植物コーナーである「大雪な庭」周辺の除草から始めました。びっくりするほど大きく生長したヒメジョオンやエゾノギシギシなどが、背後の低木の繁みに隠れて繁茂していたのです。そのすぐ前にはエゾスカシユリが満開に。植え替え前には息も絶え絶えだったのに、びっくりするほど元気になって、たくさんの花を咲かせてくれました。
スカシユリ

コマクサに覆い被さっていたエゾルリソウの実生株も、きれいな花を咲かせていたけれど、秩序を乱すものは容赦なく抜き取ります。実生株が無数に生えてくるものは、このような場所では要注意です。
コマクサ

ガーデナーたちが、24日から公開の「ドレスガーデン ツイン」の準備にかかりきりなので、アシスタントのMさんと、迎賓館の手入れを行いました。私なりに気になるところを順番につぶしていき、昼までにほぼ全域を回ることができました。例えば、縁取りに植えられているスジギボウシの、斑抜け株の処理。斑入りものでは必ず斑が抜けた株が出てきますが、こちらの方が葉緑素をたくさん持っているために、放置すればすべて斑抜けに占領されてしまいます。ただし、スジギボウシは夏を過ぎると斑が抜けて全体に緑葉になってしまう「のち暗み」が起きるので、斑抜けの処理は今が一番いいのです。
斑抜け 掘り取り

「ドレスガーデン ツイン」は、前日メデイアに公開されていましたが、道新旭川版に大きく取り上げられていました。町長と奥様がモデルです。
道新記事

昨年までのドレスガーデンは、確かに眺めはいいけれど、あんな所まで登っていくの…と敬遠されたのも事実です。このため、森の花園と森の迎賓館の間に設置されました。
ツイン

今度は二人並んで写真が写せるような構造のため、ご夫婦で来た場合には、誰かにシャッターを押してもらう必要がありそうです。新聞に出ていたからと、早速やってきた方もいらっしゃいましたが、公開は本日から、9月24日までとなっています。
裏側

森の花園では、たくさん植えられているスイセンがこの時期見苦しくないようにと、葉をくるくると巻いておりますが、これをやってくれるボランティアの方の中には、なかなか洒落た方がいらっしゃるようで、いろんなまとめ方があって面白いのです。この「三つ編みタイプ」は80代の女性の作品だとか〜(笑)
水仙の葉 三つ編み

この時期花数は確かに少ないけれど、いろんな面白さがガーデンには満ちあふれております。植物本来の魅力が発揮されてきた森のガーデンを、ゆっくりとお楽しみいただきたいと思います。

久しぶりの上川

  • 2017.06.23 Friday
  • 05:55
5月末に学会出張などが立て混んでしまい、森のガーデンの予定をずらしてしまったので、GW以来の上川行きとなりました。途中滝川から深川にかけてはかなり強い雨で、こりゃどうなるのか心配になるほどでしたが、トンネルを抜けて上川管内に入ると雨が上がり、上川町では道路も乾いていました。珍しいこともあるものです〜(^。^;;

ガーデン入り口の植え込みは、テマリシモツケやハクロニシキのカラーリーフがいい感じに収まっておりました。すべてがうまくいっている訳ではないけれど、いろいろと手をかけてきたことが、ちゃんと結果を出してくれると嬉しいものです。アプローチ

園内に入ってまずびっくりしたのが、ギボウシ類の元気なこと。このオオバギボウシや‘サガエ’は、3年前の秋に植えたものですが、しっかりと根を張って見事な株に育っていました。環境が合えば、本来の魅力を十分に発揮できるいい例です。
ギボウシ類

2年前にリニューアルした高山植物コーナーも
、一部元気のないものはあるものの、ちょっとうらやましいくらいの元気さでした。滝野公園の峠の庭も、こうやって植え替えしたいなぁ…(>_<)
大雪な庭

エゾツツジが町の花だというのを初めて知りました。さすが大雪山を町域に持つ町ならではのシンボルです。
エゾツツジ

メコノプシスが開花したというので、さっそく見に行くと、グランディスが一株だけ花を開いていました。ここもやっぱり花茎が上がっているものがやや少ないけれど、ベトニキフォリアもグランディスも順調に育っているので、来年には期待したいです。昨年メコノプシスの生産をお願いしているところの苗が全滅し。滝野公園もここも補植することができませんでした。今年こそ、夏を乗り切って欲しいものです。
メコノプシス

あちこちの木にからんでいるミヤママタタビが、まだ真っ白に色づいています。ちょうど花が開き始めていたので、雄花と雌花を比べてみました。雌しべがなく雄しべばかりの雄花と、雄しべが退化し、真ん中に雌しべのある雌花です。
ミヤママタタビ

ガーデンを造る時に、ほとんど木を植えていなかったけれど、森の広場の背景に大きな樹冠を作ってやろうと、ハルニレを2本植えてありました。ところが植え傷みで芯が枯れたり、あとから吹いてきた枝がからんでしまい、かなりひどい樹形に。今ならなんとか手が届くので、ハルニレらしい素直な樹形に整えておきました。
剪定前 剪定後

森のガーデンには、これまで月2回通っていましたが、往復400kmの日帰りがきついので、今年は月に一回にして上川に泊まることに。間は空くけれど、この方が体にかかる負担も少なくなるし、じっくり仕事ができるのです。さぁ今日もがんばるぞ。

はびこる植物

  • 2017.06.22 Thursday
  • 05:43
滝野公園の花のまきばでは、チューリップが掘り上げられてコスモスのタネを播く準備が進められていました。その中ほどの、ただの草っぱらにしか見えないところで、ひそかにタネをまき散らしているのが秋咲きクロッカス。(Crocus speciosus なのか C.pulchellus なのかよく分からないのですが) このタネからまた4〜5年もすれば花が咲いてくるので、ここもどんどん賑やかになっていくことでしょう。
秋咲きクロッカス

このエリアの見どころになっているのがコウリンタンポポ(Hieracium aurantiacum)。これはカントリーガーデンの造成時に、メドゥを形成させる植物として導入したものの名残です。草刈りにも負けない丈夫さから、このあたりはびっしりと咲いています。
コウリンタンポポ

ここ数年、園内で急速に増えているのがキバナコウリンタンポポ(Hieracium pratense)。道内には昔からあるにはあったけれど、かなり局所的だったものが、最近家のあたりでも猛烈に拡大中です。そのうちブタナより多くなるかもしれません。
キバナノコウリンタンポポ

メドウの中には、コメツブウマゴヤシ(Medicago lupulina)の花が咲いていました。ヨーロッパ原産で江戸時代には既に渡来していた古強者ですが、道内ではまだあまり見かけません。松山ではシロツメクサより多いくらいなので、暖地向きなのでしょうか。何かの苗にくっついて入ったようですが、はたしてここに定着できるかな?
コメツブウマゴヤシ

カントリーガーデンでは、ヒメジョオン(姫女菀)よりも多そうなのがハルジオン(春紫菀)(Erigeron philadelphicus)。まきばのせせらぎと花のまきばの間に、特にたくさん生えています。ぱっと見では、つぼみがうなだれるように垂れることや、花がややピンク色になるので区別がつきますが、葉の付け根が茎を抱いたり、茎が中空な点も区別のポイントです。宿根ボーダーに植えられることもあるくらいなので、草刈りからなんとなく守られているみたいです。
ハルジオン

せせらぎの中が真っ黄色になっているのは、ニシキミゾホオズキ(Mimulus luteus)。本当は在来のオオバミゾホオズキを入れたはずだったのに、しばらく経ってから何か様子が違うので、調べてみてこれだと分かりました。既に道内数カ所で定着している報告があります。セイタカミゾホオズキの別名がある通り、茎が直立するので様子が異なります。猛烈に増えているので、そろそろ危険水域かも。
ニシキミヤコグサ

収穫の谷では、ロビニア‘ヒリアリー’(Robinia x slavinii 'Hillieri' )が満開になっていました。もともと植えた株は枯れてしまったけれど、根萌芽といって、根から株が再生してこのあたりにはびこりつつあります。棘がほとんどないので扱いやすく、樹形もコンパクトなので、風当たりの弱い場所には向いていると思います。もう一種、真っ赤な花を咲かせる‘カスク・ルージュ’はとにかく枝がもろく、何度も強風に折れてなくなってしまいました。ヒリアリーの方が、まだ少し風には強いようです。
ヒリアリー

園芸植物と帰化植物とは、言葉の示す概念がもともと違うので、その境界がある訳ではありません。ここで挙げたような植物は、生態系の人達からすれば「とんでもない奴」と見られているものでしょう。私たちが扱う植物を、全く無秩序にしておける時代ではなくなっているので、これからは園としてのポリシーをしっかり持っておく必要があります。

メコノプシスの季節

  • 2017.06.21 Wednesday
  • 05:42
昨日は10日ぶりの滝野公園。朝から気温がぐんぐん上がり、まぶしい日差しを浴びて、東口花壇のアリウムが満開になっていました。普通のギガンチウムはまだつぼみだけれど、これは今年初めて導入した‘グローブマスター’。かなり高価な球根ですが、開花期間がめちゃ長いので、元が取れることをねらって植えてみたものです。シカ除けにもなるというので、道内向きかもしれません。
アリウム

メコノプシスがどのくらい咲いてくるのかが一番の問題なので、早速向かったのはこもれびの庭。濁りのない大輪の花が咲いていたのでまずはホッとしました。ピートモスマルチによって土壌を酸性に保っておけば、花色の濁りは心配なくなったようです。
メコノプシス

でも、全体をよく見ていくと、花茎が上がっているものがかなり少ないのです。株は十分なくらい大きくなっているのに、ある程度大きくなると細かく株が割れてしまい、全体としてみれば立派な株なのに、葉ばかり繁っているのです。昨年秋に株分けしてみたものは、どれもちゃんと生育しているけれど開花はなし。今度はこの課題をクリアしなければならないようです…(>_<)
葉っぱ

この時期には園内の花が極端に少なくなり、メコノプシス以外の見どころはシベリアアヤメぐらいでしょう。一番奥の山のお花畑で咲いています。
シベリアアヤメ

昨日はボランティアの作業日。参加して下さる方が固定されてきているような…(^^;) みなさん暑さにめげず、目一杯伸びた草刈りや雑草取りに精を出してくれました。まずはメコノプシスへのアプローチの除草と掃除。この法面は毎度崩れて緑化できず、なんとかしたいところです。
アプローチ

夏〜秋の見どころになるレンゲショウマは、渓流ゾーンからこちらに移植してきたものが元気よく育ってきました。メコノプシスを撮しにカメラを提げた方が次々とやって来て、次はレンゲショウマが楽しみです〜とみなさんおっしゃってました。
除草

最後にヤマアジサイが繁みに呑み込まれているので、回りを整理してあげました。衰退した株が多いので、これらもそろそろ補植が必要になってきたようです。
ヤマアジサイ

ガイド室に戻り、みんなでわいわいとお昼をいただいていると、机のゴミが何やら動くので、あれっ!っと思ったら、やはりマダニでした。マダニによる感染症が問題になっているので、あちこち注意喚起が賑やかです。ただ怖がっていても仕事になりませんが、仕事から帰った時にすぐに着替えてしまうのが一番でしょう。
マダニ

たまには庭仕事

  • 2017.06.20 Tuesday
  • 05:51
ここ数年、ほとんど土日もなく働き続けているけれど、その原因は仕事が増えたというより、処理能力の低下ではないかと… 気分が乗るとどんどんはかどる反面、仕事に緻密さがなくなってきたように感じます。そろそろ老化と正面切って向き合わなくてはいけないのでしょうか。

日曜は少し早く帰って、久しぶりに庭仕事に精を出しました。あれこれ植え替えをしなければならないものが溜まっていたのです。その一つがハルニレの植え替え。何かの時に持って歩けるようにと、一本だけ鉢植えにして手元に置いておきました。ちょうど一年前、NHKの生中継の時には、早速活躍してくれたのです。鉢が小さいので、一回り大きくしてあげなくてはと思いながら芽が動いてしまったけれど、底に根が回っていただけだったので、無事に植え替えができました。樹高約1mなので、これはこれ以上大きくしないでおこうと思います。
  ハルニレ

完全な「紺屋の白袴」状態だけど、少しは家の前に花でも飾らないとと、あわてて少し花苗を買ってきました。チューリップの入っていた鉢をひっくり返し、鉢底にはススキを敷き詰めます。これは兵庫県の藤岡作太郎先生が提唱している方法で、雪融け時にススキの枯れた茎を集めておき、5cmほどに切ったものを敷き詰めて土を入れるのです。すると通気性が極めてよくなるし、一年後にはこの土をススキごと堆積すると、堆肥化して土も再生できるという優れもの。是非やってみて下さい。
ススキ

事務所においてあるスパティフィルムが二鉢とも満開になっています。冬には室内に取り込んで、ギリギリの温度で管理していますが、暖かくなるとこの出窓に出してやります。北向きなので日焼けもせず、水をやるだけでほったらかしなのに、本当に丈夫な植物です。
スパティ

この株は30年以上植え継がれているもので、前の会社に入った時に家から持っていき、3〜4年おきに植え替えるだけですが、毎年たくさん花を咲かせ続けています。背の高い普通タイプと、ミニタイプの二つが、いつも同時に花を咲かせるというのも不思議なもの。これらも花が終わったら、株分けして植え替えてやらないといけません。こんな作業も私の息抜きになっているのです〜
満開

ハルニレの苗木

  • 2017.06.19 Monday
  • 05:53
土曜日午後は、札幌ハルニレプロジェクトの年次総会。参加人数は少なかったけれど、充実した打合せになりました。もともと国際芸術祭2014がきっかけになって始まった活動ですが、今回の芸術祭は完全にスルー。共鳴するテーマが見つからないのです。それよりも、今までの活動の延長として、タネを播いて作ってきた「血統書付き」のハルニレの苗木を、どこかに植えなくちゃなりません。メンバーのMさんが、金曜に苗木の様子を見てきてくれました。
苗木

1m前後の大苗が40本あるので、今年中に1.5〜2.0mくらいになりそうです。あんまり大きくなってしまうと、今度はお守りも大変だし、どこかに植えようと思っても運べなくなるので、来年くらいまでに片付けたいのです。

そこで、来年が開道150年に当たることから、その記念にこのハルニレを売り込もうと考えています。150年前の札幌の中心部の様子は、島義勇の部下であった高見澤権之丞が詳細な絵図を残してくれました。直線的な大友堀と蛇行している胆振川との関係から、ハルニレはこの位置(緑の丸)にあったものと考えられます。にじんだ文字には水車とあります。
高見沢図
 (「高見澤権之丞の旧札幌図」明治3年 日本の古地図15『札幌』、講談社、1977より)

もう一枚、方位が逆になりますが、施設配置を描いた見取り図があり、御本陣の脇に水車がありました。したがって、このハルニレの下に水車が置かれていたことが分かります。『札幌區史』(M43)をめくると、「先ず今の創成河畔豊平館の裏手に当たる北一条西1丁目の地を相し、元村大友亀太郎の役宅を移し、一官邸の建築に着手せり。」とあるので、これが御本陣であることが分かります。引き続き「今の豊平館敷地内に当たる所に、使掌長屋五戸続二棟の建築に着手し、続いて同所に米蔵及諸品庫の二棟を築き、(以下略)」とあるので、まさにこのハルニレは本陣の目印としてここに屹立し、島やその部下達が雪の中で拠点造りに励んでいた姿を見守っていたわけです。
見取り図
 (「高見澤権之丞見取図」 明治3年 日本の古地図15『札幌』、講談社、1977より)

後にここに豊平館が建てられた時、御雇い外国人のルイス・ベーマーがその前庭を造成しました。その際には、この胆振川をせき止めてここにゆったりした池を造り、その水を創成川に直結したものです。ここの昔の写真をネットで探していて、なんとカラーの絵葉書があったので慌てて注文して手に入れたのがこの画像。同じ画角のモノクロのものには大正時代とあったりして、そんな昔にはカラー写真はないだろうし、着色にしては精巧すぎるし、これがいつ撮されたものかは不明です。ともあれ、大きく枝を伸ばすハルニレと、なだらかに池に傾斜する芝生の様子がよく分かる、大変貴重なものとなっています。
豊平館

そんな由緒正しきハルニレからタネを取り、みんなの力で苗木を育てたものですから、立派な血統書を作ってこの苗木を売り込みたいと考えているのです。ご家庭の記念樹にするにはあまりにも場所をとるので、公共的な空間やビルなどの新築に合わせて植えてもらえば、札幌らしい記念樹になると思うのですけれど。

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